時雨沢恵一「キノの旅」14巻11話「卑怯者の国」のネタバレ解説

この話は、プレイステーション2用ゲームソフト「キノの旅」
同梱ブックレットに収録されていた話です。

キノはとある国の野外カフェでお茶を飲んでいましたが、
20代後半ほどの男がアタッシュケースを置いて立ち去りました。

それを見たキノはすぐに、飲みかけのお茶を残し、
エルメスを押し歩いてカフェから離れました。

キノの後で、カフェの中心で、アタッシュケースが爆発しました。

救急車と消防車とパトカーが乗り込んできました。

昔からいる反政府主義者が、
“富を公平に分配し貧乏人を救え”と言って、
理解が得られないと今度は人の集まるところで爆弾だ、
また始めやがった、ということを中年の男の警察官は言いました。

何の罪もない人を巻き込みやがって、
それで社会がどうにかなるとでも思っているのか、
奴等は、正々堂々と勝負ができない卑怯者だ、
と中年の男の警察官は言いました。

ライヤという20代後半ほどの女性の刑事がキノとエルメスに話しかけ、
爆弾魔の男はこの中にいるかと言って写真を数枚見せました。
キノが左から2番目を指さすと、ライヤの顔が一瞬で曇りました。

次の日の朝、新聞スタンドを見て、昨日のテロは死者3人、
負傷者8人だったことを知りました。

キノが国のほぼ中央の湖のそばの森で昼食のサンドイッチを食べ、
森を出ると、高速で走るオープンカーに撥ねられそうになりました。

オープンカーを運転していたのはテロの犯人だということをエルメスが言い、
キノは警察に通報しました。

ライヤと中年の男の刑事達がやってきます。
中年の刑事と他の警察官だけが、犯人の男が潜伏している家に突入します。
新米のライヤは、中年の刑事に足手まといだと言われ、
ここにいろと言われました。

ライヤは、爆弾魔が逃げてくるかもしれない道で爆弾魔を待っていましたが、
犯人は中年の刑事達が突入すると、家を爆発させ、
ボートで湖に出て逃走しました。

その日、キノは宿代と食事代をライヤに払ってもらいました。
次の日、つまりキノが入国してから3日目の朝、
ライヤは、キノ達が爆弾魔に報復で狙われるということを言いました。

ライヤと爆弾魔は、同じ貧しい農村で育った幼なじみで、
ライヤが家族で都市部に引っ越して、しばらく彼とは会っていなかった、
ぜったいに自分で捕まえたい、ということをライヤは話しました。

このままだと爆弾魔は射殺されますが、
この国に死刑制度はなく、逮捕できれば終身刑になるのだそうです。

ライヤが運転する農業用の小型トラックの荷台に、エルメスを乗せ、
助手席にはキノが乗り、城門を目指します。

ライヤは、爆弾魔とよくオモチャのパースエイダーでの撃ち合いをして遊んだ、
という話をしました。
コインを弾き上げて、落ちたら抜いて撃つ、という遊びだったのだそうですが、
ライヤは爆弾魔に全然勝てなかったのだそうです。

ライヤは警察学校で本物のパースエイダーを握った時、
そのことばかり思い出して、必死に練習したのだそうです。

道を半分占領して、トラクターが1台止まっていました。

トラクター脇から爆弾魔の男が現れ、トランシーバーのような物を高くかかげ、
動くと足下が吹っ飛ぶぞ! と言いました。
犯人がボタンを押すか、リモコンが地面に落ちるかすれば、
トラックの下の爆薬が爆発するのだそうです。

ライヤはトラックからおりて、爆弾魔に、お久しぶりね、トルス、と言いました。

キノは、爆弾魔の目的は、キノになりすまして、
国外に脱出することだろうと看破しました。
爆弾魔はエルメスが欲しいので、爆破するわけがありません。

見抜かれた爆弾魔はリモコンをぽいと投げ捨てました。

ライヤは爆弾魔に、今ここで2人で、コインが落ちた瞬間にパースエイダーを抜いて撃つ、
という方法で決めることを提案し、男はそりゃいいと笑いました。

ライヤがコインを1枚出し、親指で弾き、コインが昇りきった時、
ライヤは撃ちました。

爆弾魔は防弾チョッキを着ていたので死にませんでしたが、
やり方が汚ねえ……、卑怯者……、と言いました。

キノは城門についたら、警察に応援を呼びます、と言い、トラックに振り向きましたが、
ライヤは自分のリヴォルバーをキノに向けました。
しかしキノは、トラックのフロントガラスでその動きを見て、ライヤを撃ちました。

刑事さんの誘いを断ってもよかった、とキノが言うと、
じゃあ、なんでそうしなかったのさ?
最後もあんな刑事さんを試すようなことを言わないで、
2人を放っておくこともできたじゃん、とエルメスが言いました。

1つ目は、宿代と食事代が浮いたから、2つ目は、お茶の恨み、とキノが言うと、
それ聞いたら、あの刑事さんはキノに絶対こう言うと思うよ、“この卑怯者”――って、
とエルメスは言いました。

次の日、爆弾魔の男と、女性刑事が木に縛りつけられていた、
という記事が新聞に載りました。
家宅捜索の結果、彼女は爆弾魔の同郷であり、爆弾魔の家族や村人の依頼を受け、
終身刑を回避するために爆弾魔を村で匿おうとしていたことが判明しました。
女性刑事は弾丸を防弾チョッキに受けていましたが、
誰がそれを行って気に縛り付けたのか、判明していないのだそうです。


というあらすじなのですが、せっかく「ライヤは貧しい生活から脱出し、
警察官になれたのに、もったいないことをしたな、と思いました。

時雨沢恵一「キノの旅」14巻10話「正しい国」のネタバレ解説

キノとエルメスは、森の中で国を探していました。
周辺に比べて、飛び抜けて科学技術が発展している国が、
盆地にあるとだいぶ遠くの国々で聞いたのですが、
この地に近づくと、ぱたりと情報がなくなってしまいました。

とても快適な道をゆっくりと走りながら、左右の景色に、
注意深く視線を送ります。

エルメスが、右側にトーチカを発見しました。
トーチカというのは、軍隊が防御する時に使うものです。
穴を掘って、敵の砲弾にも耐えられるように、
丸いお椀型の屋根を持った、分厚いコンクリートの家を造ります。
パースエイダーとかで敵を撃てるように、小さな穴を開けておきます。

それが、道にすっぽり埋まっているのでした。

そこから森の中を進むと、直径にして十数キロメートルはある、
大きな湖に出ました。

また、歳にして70ほどの男がいました。

男に、探している国について訊ねると、
男はその国のことを話し始めました。

42年前まで、この湖があったところに、国があったのだそうです。

ここにあった国は、飛び抜けた科学技術を持っている、
“平和を愛する国”であり、だからまわりの国々に攻め入ったのだそうです。

ここにあったくには、とにかく平和を尊重する国で、
戦争は絶対にやってはいけない悪だと、国民全員が徹底的に教育され、
何百年も国は続いていました。

そして、45年前のある時、この国の運命を変えてしまう、
歌が作られたのでした。

男が鞄から取り出した金属プレートに、
その歌がレーザー刻印で刻まれていました。

『平和の歌』というタイトルで、戦争を絶対に許してはならない、
戦いは全て悪である、ということが荒っぽく書かれていました。

この作詞者は、もともと詩なんて1度も書いたことがなく、
ある日ふと思いついて、戯れに書き殴ったのだそうです。

金属プレート4枚目には、平和を愛する我らが同志よ!
戦争を肯定する者達をぶっ殺そう、と書かれていました。

5枚目はさらに極端になり、軍人全員をぶっ殺せ!
軍人を支持するものをぶっ殺せ! 軍人を親に持つ者もぶっ殺せ!
などと書かれていました。

その“平和の歌”が、心地よい音楽に合わせて、国中で歌われ、
国民全員で熱狂したのだそうです。

その国は“世界平和のために、平和を愛さない人達を皆殺しにしよう”
と決意を固め、“世界平和実現協力チーム”という組織を拵えました。
でも実情は、強力な軍隊以外の何物でもありませんでした。

彼等は意気揚々と、“世界を平和にするため”に国を出発し、
最寄りの国の城壁に大砲を突きつけ、
“あなた達の持つ軍隊を即時に解体しろ”と要求を出しました。

そんなのが通じるわけがなく、突然脅されたその国はパニックになり、
別の国に助けを求めようと伝令を出しました。
伝令が情報を伝えて戻った時、その国は集中砲火を浴びて、
一晩もかからずに滅ぼされていました。
抵抗した人達も幸福を申し出た人達も、
負傷者も女性も子供含めて皆殺しにされたのだそうです。

周辺国は連合軍を結成し、この湖にあった国を取り囲みました。

盆地を取り囲んだ連合軍は、数の上では圧倒的に有利でしたが、
武器の性能では劣っていて、
死者数は、連合軍の方が数十倍は多かったのだそうです。

その国の彼等は多勢に無勢――、やはり数には勝てずにジワジワと押し込まれ、
最後は連合軍の降伏勧告を聞きました。

彼等は“戦争を肯定するような非道で野蛮な生き物に降伏などしたら、
虐殺されるに決まっている! 人間としての誇りを胸に、
世界平和のために最後まで諦めない!”と勧告を突っぱね、
連合軍はその国の人達を全員殺すしかありませんでした。

解決するまでに2年かかり、皮肉なことに、
激戦を戦った国々は、すっかり戦争が嫌になってしまったので、
その国の技術を放棄し封印することになりました。

1年以上かけてその国を爆発させ、連合軍は、
荒れ地となった盆地に木をたくさん植えて、痕跡を隠し、
新しい道を作り、旅人が湖に近づかないようにしたのだそうです。

男がそんなに詳しい理由は、その国の出身だからでした。

男だけがその国の“考え”から逃れることができたのは、
“平和の歌”を作ったのが、その男だったからでした。

ある日男は、仕事で些細なミスをしたというつまらない切っ掛けから、
いつまでも戦争を止めない人達への怒りが爆発し、
詩で書いたことを本気で思い、感情のままに書き殴り、
新聞に投稿したのだそうです。

しかし、国民が一丸となって盛り上がっていく中で、
男は冷めてしまい、祖国から逃げたのだそうです。

男は過去を捨てて、近くの国で生きていますが、
全てが終わって長い年月が過ぎた今でも、ここに来て、
湖を見ているのだそうです。

“正しさ”だけを追い求めると、人はそれ以外が見えなくなる、
それでいいこともあるし、それでは生きていけないこともある、
後者を無視すれば、悲劇しか生まれない、と男は言いました。

その後、50歳ほどの男と、80歳は越えていそうな老人、
20歳ほどの男の3人が乗った四輪駆動車がやってきました。

彼等は、私のお客さんなんだよ、と男は言いました。

男は老人と話をし、老人が「ライフルで男を撃ち、
男は湖へと倒れて、2度と動かなくなりました。

老人は、滅ぼされた国の伝令で、50歳ほどの男はその息子、
20歳ほどの男は息子の息子だったのでした。

彼と父――、2人にとっては、今日が戦争の終わった日だ、
“なかった戦争”なんてものは、なかったのさ、
と50歳ほどの男は言ったのでした。


というあらすじなのですが、理念はどんなに正しくても、
その結果やることが正しいとは限らない、
ということは往々にしてありますよね。

この話を読んで、自分達は核兵器を所有していて手放そうとしないのに、
他国に対しては「平和のために核兵器を持つな、放棄しろ」と主張する某国々を、
しまうましたは思い出しました。

時雨沢恵一「キノの旅」14巻9話「差別をする国」のネタバレ解説

キノとエルメスはとある国を訪れ、入国審査官から、
あなたはズムトラッタラ人ではないですよね?
と確認され、違うと答えました。

その日の午後、アイスクリーム売りのおばさんにも、
ズムトラッタラ人じゃないわよね? と聞かれました。

ズムトラッタラ人とは、ここから北にある国の住人で、
薄汚い最低の奴等なのだとおばさんは言いました。

おばさんによると、ズムトラッタラ人はこすっからくて、守銭奴で、
臭くて、弱虫で、それでいて尊大で、
この国の人達はズムトラッタラ人達のことが嫌いなのだそうです。

“ズムトラッタラ”というのは、古い言葉で“人間のな.り損ない”
という意味なのだそうです。
ただし、おばさんはまだズムトラッタラ人には会ったことがないのだそうです。

その後、国のあちこちで、
この国の住人達はズムトラッタラ人を貶していました。

どうやらこの国では、ズムトラッタラ人は大人気だよ、とエルメスが言い、
あながち違うとは言い切れないなあ、とキノは言いました。

ホテルの玄関には、“野良犬とズムトラッタラ人の立ち入りを禁ずる”
と書かれていました。

2日後、その国から出国したキノとエルメスは、旅の男に出会いました。

旅の男は、キノ達が出国したばかりの国出身で、
北を旅してズムトラッタラ人達の国を訪れてみたのだそうです。

旅の男によると、ズムトラッタラ人の国は、
故郷とは風習が違っていたけど、普通の国だったのだそうです。
噂なんてみんな嘘だった、とズムトラッタラ人は言いました。

でも、1つだけ、旅の男の故郷と同じことをしていたのだそうです。

その国の人達は、旅の男達を“ベッタラムニュット人”――
彼等の言葉で“知能を持てない生き物”と呼び、
毎日馬.鹿にしながら自らを戒めていたのだそうです。


というあらすじなのですが、タイトルが衝撃的だった割には、
意外と「あるあるネタ」なオチに収まりましたね。

ズムトラッタラ人とベッタラムニュット人の関係に似た国や地域は、
現実世界でもいくつか思い浮かびます。

しまうましたはズムトラッタラ人ではないので、
あえて、どこの国や地域だとは言いませんがw

時雨沢恵一「キノの旅」14巻8話「寄生虫の国」のネタバレ解説

キノとエルメスは、夏に、山岳地帯にある国を訪れました。

その国の人は、国民全員が死ぬまで一切の病気をしない国だ
という噂があるのだそうです。

昔ながらの生活をしている国に入国し、ダム湖の周辺にある町に入ると、
数百人の住人達がいて、皆嬉しそうな顔でキノ達を待っていました。

入国の情報は、伝書鳩のような鳥で伝わったようでした。

50歳ほどに見える男が、この国で最年長だと言い、
案内をしてくれることになりました。

案内人と、指導者と一緒に夕食をとります。
この国の全員が健康であるという噂話を振ると、
それは真実です、ちょうどいいので、明日、全てをお見せしますよ、
と案内人は言いました。

翌朝、町の広場で、死ぬまで健康なのは、
私達が体内に寄生虫を飼っているからです!
そして、私は今日死にます! と案内人は言いました。

案内人達の先祖がここに住むのを決めた理由は、
水が豊富なことと、石が豊富なこと、作物が育つ土地があること、
そして寄生虫を見つけたからでした。

先祖は遊牧でこの地に来た時に、ちょうど夏の時期に、
半数が見たことのない虫に刺されたのだそうです。

冬を迎えてすぐに、刺された人達だけが、
病気とは縁のない頑強な肉体を手にしたことに気づいたのだそうです。

再び夏が来て、先祖は虫を探し、
最後まで怖がった数人を除いてわざとその虫に刺され、
再び冬が来ました。

一際寒さの厳しい冬で、全員が飢えに苦しみましたが、冬が明けた時、
刺された全員は風邪一つ引かず春を迎えたのだそうです。

それがもう、何百年か前のことでした。
以来ずっと、病気で死んだ人間は誰もいなくて、怪我をする人、
火傷をする人はいますが、やがて治ってしまうのだそうです。

赤ん坊が生まれると、夏に必ず刺してもらいます。

案内人が“今日死ぬ”のは、50歳だからだそうです。
寄生虫は、宿主が50歳になると、体から出てきて、
その時、宿主は死ぬのだそうです。

今まで全員、頭のなかから声が聞こえた翌日の朝に、
50歳で死んできたのだそうです。

みんなありがとう! 素晴らしい人生だった! 私は幸せだった!
と案内人は言い、倒れ、死にました。

案内人の息子が、虫は人間を完璧に健康にしますが、
50年経つと成虫として出てくるので、それ以上は生きられない、
ということを言いました。

最初に寄生された人達は、寄生されてから50年生きたので、
それが虫の成長年数なのでした。
それまでの、過酷だった生活と、今の安定した生活を比較し、
50歳で死ぬことを覚悟の上で、全員が納得して受け入れたのだそうです。

キノが望めば、今日から50年間の健康を手に入れることが出来る
と言われましたが、キノは断りました。

赤ん坊を抱いた、キノとそれほど変わらない年頃の女の子が4人、
進み出て、死体のすぐ側に、我が子を置いて、赤ん坊のお腹を出しました。

案内人の死体の口から、鈍いクリーム色をした、
ナメクジに似た虫が出てきて、背中が割れ、中から、
蜂のようでもあり、蜻蛉のようでもあり、蝶のようでもある虫が現れ、
死体から飛び立ちました。

虫は死体のまわりに置かれた赤ん坊のお腹へと降り立ち、
そこへ尾の先端を押しつけました。
4人の赤ちゃんのお腹で卵を産むと、虫は死にました。

この虫は、この谷にしかいなくて、
成虫になって4つ卵を産むとすぐに死んでしまうのだそうです。

案内人の葬儀に出席し、翌日の朝、キノは出国しました。

キノが健康にしてもらわなかったのは、
50年は短いと思ったからなのだそうです。

もし、このことがたくさんの人に知られたら、奪い合いになり、
寄生虫を手に入れた人は、命を狙われるだろう、とキノは言いました。

というあらすじなのですが、しまうましただったら、50年がどうとかよりも、
身体の中で寄生虫を飼うのが気持ち悪くて、拒否するかもしれませんね。

でも、大病を患って医者から余命を宣告されたら、
この寄生虫が欲しくてたまらなくなるのかもしれませんが。

時雨沢恵一「キノの旅」14巻7話「結婚の国」のネタバレ解説

キノは低圧ガスでプラスチックの弾を撃つ、
非致死性のパースエイダーを使い、
豪華な訓練施設の中で男達と戦っていました。
というか、男達はキノに敵わず、
キノが一方的に撃っているだけという感じでしたが。

その様子を別の部屋で、別の男達やエルメスが観戦していました。

結局、勝負はキノが12人目を倒した時点で、
そろそろやめてもらってもいいでしょうか?
わざと撃たれるのも、失礼かと思って、
というキノからの言葉で終わりました。

ホテルの食堂で、中年の男から“コンバットゲーム”の感想を聞かれ、
撃ち合いの訓練だと思えば面白かったです、と答えました。

我が国の若い連中の動きなどは? と中年の男に訊かれ、
ちょっと“一途過ぎる”とキノは答えました。

相手を倒そう、倒そう、とばかりに迫ってくるので、
動きは所々で雑になり、最後は焦ってきます。
しかしキノは、撃たれたら死ぬかもしれないと思っているから、
機会があれば逃げることをも考えていて、無理に勝たなくてもいいので、
察知はしやすかったのでした。

キノは料理をご馳走してもらい、容赦なく食べ、
あのコンバットゲーム、なんのためなんですか? とキノは訊ねました。

この国の18歳以上、30歳未満の未婚男性は、
全員あのコンバットゲームを行っていましたが、
皆があのゲームによって何をしたいのかは、よく分かりませんでした。

男は、実はあれ、結婚活動なんですよ、と言いました。
この国は、実に平和で長閑で、生活は安定していて、
男性も女性も、働いてさえいれば、生活は保証されます。
ただ、国を繋いでいくためには皆が結婚して子供を産まないといけません、
と男は言いました。

他の国では、女性が結婚相手に1番求める能力は経済力でしたが、
今のこの国では、ほとんどの若い男に経済力の格差はありません。

男性がコンバットゲームで強くなると、この国の女性には、
魅力的に見えるようにしています。
コンバットゲームは全て録画されていて、
今まで何人を仕留めたのかもポイントで記録されていて、
それを合コンとかで意中の女性に見せるのだそうです。

また、この国では、男は30歳まで、女は25歳までに結婚できないと、
かなり可哀相なことになるのだそうです。

あのゲームが上手だと素晴らしい夫になると女性が信じているのは、
“みんながそう思っているから”です。
小学校高学年の頃からそう教えつづけ、メディアでもそう喧伝し、
社会全体でブームを作り、女性に教え込んでいるのでした。

50年くらい前にこのブームは作られましたが、
その前はトランプの順番を早く覚えられる人がモテ、
その前は、キュウリをなるべく細かく速く切れる人が、
その前は、後ろ向きに速く走れる人がモテたのだそうです。

要は、国民全体で、“こういう人が理想の夫になる!”
って考えが必要なだけです。

結婚して、上手くいく2人なら、上手くいくし、そうでない2人なら、そうはなりません。

結婚後の生活においては、いつだって、結局のところ試されるのは、
“夫婦の力”ってやつですよ、と男は言ったのでした。

というあらすじなのですが、しまうましたは、
こんな国に生まれなくてよかったなー、と思いました。
そもそも、結婚は子供を産むためにするもの、
という考え方がしまうましたには合いませんし。

ところで、コンバットゲームは、的となる体が小さな人、
小柄な人の方が有利で、逆に大柄な人は的が大きいから不利ですよね。

小柄な人の方がモテるようになると、時代を経るにつれ、
どんどん国民全体の平均身長が低くなっていくような気がしますね。
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