時雨沢恵一「キノの旅」7巻「あとがき」のネタバレ解説

今回のあとがきは、何とカラーです。

普段なら黒星紅白さんによるカラーの挿絵があるページに、
「カラーなあとがき」があります。


しかし、せっかくカラーなのに、カラフルなのは最初のタイトルだけで、
本文は青色一色なのですが……。


内容は、アニメ化されて嬉しいということと、
キノの旅のひな形、1巻「平和な国」の館長の最後の台詞

ええ。キノさん。あなたがあなたの子供を宿して、
その子のぬくもりを自分の中に感じた時にきっと

を思いついたのは、今から10年前で、
学生だった頃だということなどが書かれています。


そのころ、10年後の自分への質問として
“夢は、叶えたか?”
と日記に書いていたそうです。

本当に狭き門をくぐりぬけてライトノベル作家になり、
夢を叶えたのだから、凄いですよね。


せっかくなので、
しまうましたも10年後の自分へ向けて質問を書いておこうと思います。


“ブログが書籍化されて作家デビューするという夢は叶ったか?”
と。

星新一「乾燥時代」のネタバレ解説

禁酒法が成立した未来の世界の話です。

ビルの80階に住む80歳の老人は、
機械に世話されながら、ぼんやりと暮らしていました。

むかしの老人たちは、どんな余生をすごしていたのだろう、
と思い、図書館に調べに行ってみたことがありましたが、
現在の社会に合わない風俗の記録はすべて抹消されていました。

夜になり、老人はビルから出ました。

自然が全くない「死の谷」の通りを歩き、
老人は2ブロック離れたビルの地下にある、
秘密のクラブに入りました。

もとは学者だった男が1人で経営している小さなクラブは、
ひそかに酒を飲むことのできる店でした。
もちろん非.合法なので、
店を出るときには酔いが覚める薬を飲まないといけませんでした。

他の客がいない店内で、老人は酒を飲み、店の主人に、
どこで酒を造っているのか聞きました。

蛇口をひねると、いつも酒が出てきますが、
そのパイプのもう一方のはじは、過去につながっているのだそうです。

かつては学者だった主人は、タイムマシンを作り、
遠い昔に行き、自動的に酒を造る装置を置いたのだそうです。

しかし、その話をしている途中で、酒の流れがふいに止まってしまいました。

パイプがこわれたので修理に行くという主人に頼み、
老人は一緒にタイムマシンに乗って過去に連れて行ってもらいました。

老人は過去の光景に見とれました。
季節は夏で、緑の葉をいっぱいにつけた林、そのあいだを舞う白いチョウ、
草いきれ、水の流れる音がありました。

その時、老人は、
ふしぎそうな顔をして、川の水をくんでいる若者を見つけました。

主人と若者のあとをつけると、「若者はワラぶきの家に入りました。

若者は父親に向かって、お父さんの好きなお酒を手に入れたい、
そう考えながら歩いていると、いいにおいがしてきて、
滝のそばの水をくんでみると、お酒だった、
という意味のことを言いました。

あれぐらいなら、大丈夫だろう、
と主人は言い、装置を直し、老人と未来の世界に帰りました。

老人の眼には、過去の美しい風景が焼きついていました。

老人は酔いをさます薬を飲み、酔いはさめていきましたが、
頭に残った光景は消えませんでした。
水の流れていないビルの谷間をひとりで歩き、
機械と装置の林のなか、テープの鳴き声の待つ部屋に帰りました。


というあらすじなのですが、これはアメリカの禁酒法時代と、
「養老の滝」の「考子伝説」が元ネタですね。

孝子伝説というのは、以下のような話です。

美濃の国に、源丞内(げんじょうない)という貧しい若者がいました。
丞内には、目が不自由で日々酒だけが楽しみの老父がいました。
ある日、丞内は山の中で香り高い酒が湧き出る泉を見つけました。
丞内は喜んで、老父にその酒を与えました。
すると老父の目が見えるようになりました。

という感じの話です。

星新一「むだな時間」のネタバレ解説

80歳のエル博士は、郊外の静かな林にかこまれた別荘で、
ひとり余生を送っていました。

そこへ、大きな広告会社を経営している50歳の息子が訪れました。

エル博士は一日じゅうテレビを眺めている生活をしていましたが、
番組のあいだに入る、あのコマーシャルは、
まったく目ざわりな存在じゃな、と言いました。

広告業の自分の仕事に誇りを持っている息子は、
みなが面白い番組を眺められるのは、
多くの会社がスポンサーとなって、
お金を出してくれているからです、とCMの弁護をはじめました。

しかし、息子が何と言おうとエル博士はCMが嫌いで、
あるテレビを発明しました。

そのテレビは、コマーシャル消し器がついていました。
息子がテレビを見ていると、番組が終ったかと思うと、
すぐにつぎの番組がはじまり、そのあいだに入れるべく、
息子の会社で苦心して製作したCMが現れなかったのでした。

コマーシャルが始まると、テレビが自動的に反応し、
人体に無害の睡眠電波が視聴者にあてられるのです。

番組に戻ると、その電波はとまり、目がさめるというしかけでした。

エル博士は、コマーシャルは番組のほぼ1割の時間を占めている、
と言いました。
コマーシャルを見る愚にもつかない行為から解放され、
休養にむけられる、人びとのためになる装置だとエル博士は主張しました。

しかし、今の順調な広告会社の仕事を失いたくない息子は、
コマーシャルのあいだ眠るのなら、立っていた人は倒れる、
発作が起ってもすぐ薬が飲めない、
熱いコーヒーを飲みかけていた者はやけどをする、
などとこの装置の欠点を教えてあげました。

息子の助言で、エル博士はこの装置の改良をするのをやめ、
コマーシャルを見ない特権を味わいながら、
テレビを楽しんで余生を送ることにしました。

その後、年月が流れ、エル博士に、天寿を全うする日が訪れました。

毎日飲んで抵抗力をつけられる老人薬がテレビで大きく宣伝されていましたが、
コマーシャルを見ないエル博士はその薬の存在を知らず、飲んでいませんでした。

その薬には、「あなたの老後を1割のばせる、
という息子が作ったキャッチフレーズがついていましたが、
それを聞いたエル博士は、それなら、なにも残念がることはない、と言いました。

1割はコマーシャルの時間と同じで、それを見なおすなら、
そのぶんだけ長生きさせてやると言われても、断わるよ、
という意味のことをエル博士は言い、にっこり笑い、静かに目を閉じました。


というあらすじなのですが、
これはまだテレビ番組を録画することができなかった時代に書かれた話ですね。

今は予め録画しておけば、CMを飛ばせるようになったので、
時代がこのショート・ショートに追いついてしまいましたね。

ところで、コマーシャル消し器の部分はともかく、
その睡眠電波が出る装置を不眠症の人に売りつければ、
大儲けできたんじゃないかなと、しまうましたは思いました。

星新一「健康の販売員」のネタバレ解説

主人公は、かつてはSF作家を志していましたが、
諦めて薬売りに転向しました。

訪問先の家の前で肩のロボット・キツツキが
「ギャラクシー製薬からまいりました」
と、わめきたて、この家の主婦が応対に出ました。

キツツキが肩から飛び下りて、
主婦の息子のおし.りにくちばしを筋肉深くつきさしました。

くちばしは精巧な電気メスになっているので、
血も出なければ、もちろん痛くもありません。

おし.りの筋肉内から小さなカプセルが取り出され、
キツツキが測定をしました。

このカプセルのなかには濃度の高い栄養剤がつめこまれていて、
これを筋肉内に埋めておけば、人体は必要に応じて、
そこから不足した栄養を取り出し、消費します。

主人公は定期的に各家庭を訪問し、その消費されたぶんを補給し、
代金を集めてまわるのが主な仕事でした。

キツツキは補給し終えたカプセルを子供のおし.りに埋め、
主婦にも同じようにしました。

腕時計用注射装置の記録装置を調べ、
時どきは検査にお出しにならないと、と主人公は言いました。

健康と生活の薬のほかに、趣味の薬のカタログを主婦に見せます。

あらゆる感覚と、判断力をいっせいに敏感にする、
テレパシー剤に主婦は興味を持ちました。
夫の浮気を疑っている主婦に、主人公はその薬を勧め、購入させました。

主人公はその家を出ると、「主婦の夫の勤め先に連絡し、
すぐさまテレパシー防止薬を売りつけました。


というあらすじなのですが、主人公は商売が上手いですね。

ところで、SF作家を志していたのに薬売りになった、
という主人公のプロフィールは、
製薬会社の社長をやめてSF作家になった星新一さんとは、真逆ですね。
興味深いです。

星新一「友を失った夜」のネタバレ解説

春の夜、祖母と孫の坊やはテレビを見ていました。

「ターザンの秘宝」という昔の映画が放映されていましたが、
映画は中断され、臨時ニュースが始まりました。

最後の一頭となってしまった、
人類のよき友であったゾウが亡くなりそうだ、
とアナウンサーは告げていました。

ゾウはなぜ、いなくなっちゃうの、と坊やが聞くと、
この地球の上には、ゾウの好きな場所が、
もうなくなっちゃったからだろうね、と祖母は答えました。

再会した映画の中では、いま死にかけているゾウの先祖たちが、
元気に、何頭も山を越え、川をわたっていました。

またも映画が中断し、ゾウは死んでしまいました、
ついに絶滅してしまったのです……とアナウンサーは言いました。

坊やは、今夜はゾウのぬいぐるみといっしょに寝ることにしました。

いま死んだゾウはこの夜、世界じゅうの子供たちの夢にあらわれ、
別れを告げてまわるのでした。

というあらすじなのですが、今回はオチらしいオチはありませんね。

ただ、現実にはゾウは個体数を大幅に減らしているものの、
まだ絶滅していないので、
これは未来の出来事を予言している話ですね。

このショート・ショートには書かれていませんでしたが、
ゾウの個体数が減少傾向にある最大の原因は、
象牙を手に入れることが目的の、人間による乱獲です。

象牙は古来より宝石や工芸材料として珍重されてきて、
日本でも最高級のハンコや麻雀牌の材料として根強い人気があります。

ハンコや麻雀牌の材料となるために、武装グループによって野生のゾウが密猟され、
日本に密輸されていると言われています。

ゾウには人に知られていない、定まった死に場所があり、
死期の迫ったゾウはそこで死ぬという「ゾウの墓場」伝説がありますが、
この伝説は嘘です。

自然死したゾウの死体から入手した象牙だから合法ですよ、と言う人もいますが、
それは象牙の密猟者が犯行を隠すためにでっち上げた伝説であり、
現在日本で出回っている象牙の大部分は、違法に密猟・密輸されたものです。

象牙の売買をしたり、象牙を材料にしたハンコや麻雀牌を製造・購入するのは、
ゾウを絶滅させることに繋がるので、やめましょう。
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