星新一「女の効用」のネタバレ解説

主人公の「私」は部下の警官2名を連れて、町はずれの小屋に近づきました。

小屋のなかには宝石店をおそい、店員を傷つけ、
札束を強奪して逃走した犯人の青年がひそんでいて、
主人公は青年を逮捕しに来たのでした。

青年はバーにつとめている年上の女に熱をあげ、金が必要だったのだそうです。

主人公は青年に出てこいと大声でどなりますが、犯人は弾丸で返事をします。

主人公は、青年が熱をあげていた女を部下に連れてこさせました。

女が顔をしかめると、美人でもない顔がますます変な顔になり、
やつはどうしてこんな女に夢中になったのだろうと主人公は考えました。

女が青年に、あたしのためにこれ以上、罪を重ねないでちょうだい、
と言うと、青年が小屋から出てきて銃を投げ捨て、彼女と抱きあいました。

その時、「青年がナイフを彼女の首すじにつきつけ、
主人公と部下の2人に拳銃を捨てさせました。

青年は拳銃を拾いあつめ、その1つを手に構え、彼女に命令して、
主人公と部下の手足をしばらせ、手の拳銃で女の頭をなぐりつけました。

どういうつもりだ、おまえはその女に夢中になって、強盗を働いたのだろう、
と主人公が言うと、
金があると、人間、冷静になるものです、冷静になってその女を見なおしたら、
どう考えてもたいした女じゃなかったですね、と青年は言い、
部下のポケットから自動車のキーを引っぱりだし、遠ざかってゆきました。


というあらすじで、ひどいオチですが、現実の事件でもありそうな話ですね……。

タイトルの「女の効用」は、「男を冷静じゃなくさせる」で、
「金の効用」は、「人間を冷静にさせる」ということでしょうか。

また、「犯罪の陰に女あり」という格言もあります。
多くの場合、犯罪を犯すのは大半が男だが、
その陰には何らかのかたちで女が介在し関与している、という意味です。

星新一「運命のまばたき」のネタバレ解説

刑務所に3人の囚人がいて、そのなかの1人である主人公の「おれ」は、
うまい計画を立てたのだが、まばたき一つする時間のために、つかまってしまった、
とほかの2人の囚人に話しました。

主人公はアパートの2階の1室に住んでいました。
昼間は時計工場に勤めていましたが、借金をして買った株が値下がりし、
給料の大部分は借金をかえすのに回さなければなりませんでした。

主人公は時計工場に忍びこんで金を盗むことにしましたが、主人公に疑いがかかってくるため、
カメラを利用したアリバイトリックを考えつきました。

泥棒に入っている時刻に、アパートの窓からそとの薬屋を写していたことにするため、
時計とシャッターでカメラに時限装置をとりつけました。

計画を実行にうつすことにし、アパートに帰り、夜になるのを待って、
窓のそとにカメラを向けて2、3回シャッターを押し、
薬屋に向けてカメラを固定しました。

工場から金を盗み出し、アパートに戻り、カメラをみると、
うまくシャッターが押されてありました。

主人公はもう1回シャッターを押し、手製の時限シャッターをはずして近くの川に投げこみ、
札束は空き缶に詰めて川岸の石垣のあいだにかくしました。

つぎの日、主人公は証拠としてカメラごと警官に渡しました。

主人公が30分以上は部屋をあけなかったことがはっきりし、
往復に1時間もかかる工場へは、出かけなかったことがわかるはずでしたが、
警察が現像したフィルムには、「大きな鏡をつんでいた家具屋の配達用のトラックが、
たまたま道ばたで停車していて、そこに主人公の部屋の窓が映っていました。

部屋には、だれもいないことばかりか、自動シャッターつきのカメラまでわかってしまいました。

カメラが、とんでもない時にまばたきをしたからだ、と主人公は2人の囚人に言ったのでした。


というあらすじなのですが、フィルムって何? と思った人もいるのではないでしょうか。

デジタルでなかった頃のカメラは、フィルムというものに写真を記録していて、
それを専門の業者が現像というか印刷をしないと、写真を見ることができなかったのです。

そのため、主人公は盗みをして帰ったその場で写真を確認することができず、
警察にそのままカメラを渡してしまったのでした。

ところで、何のために自分の部屋の窓のそとにある薬屋の写真を撮っていたのか?
と警官に聞かれていたら、どう答えるつもりだったのか、気になります。

アリバイトリックが成功していたとしても、凄く怪しい行動ですよねw

星新一「危険な年代」のネタバレ解説

50をちょっと過ぎた年齢の、社会評論家のアール氏は、
原稿を書く時のなにかの参考になるだろう、と裁判を傍聴してみることにしました。

小さな法廷でしたが、異様な空気がただよっているように感じられて、
アール氏は椅子に腰をおろしました。

判事も検事も、弁護士までいずれも相当な年配であり、それにひきかえ、
被告の席の男は、ちょうどアール氏の息子ぐらいの年齢の、あどけなさが残る青年でした。

しばらくまえの夜、街なかの盛り場で、非行少年のグループどうしが乱闘し、
そのあげく、けが人がひとり発生した事件の裁判でした。

おれじゃない、おれは、なにもしていない、と青年は叫び声をあげましたが、
判事と弁護人は青年を黙らせました。

勤続25年の相当な年配の警官が証人で、
倒れた被害者から被告人の青年がナイフを引き抜いたことを証言しました。

弁護人は弁論をはじめ、被告は少年のころに両親を失い、親類の手で育てられたことにも言及し、
被告は自分の罪をみとめ、心から反省しております、なにとぞ寛大な判決を、と言いました。

判事は、求刑よりは軽くなっていましたが、猶予のつかない懲役刑の宣告をしました。

おれじゃない、おれはなにもしていないんだ、と青年は絶叫しました。

いまの青年は本当に罪をおかしたのでしょうか、とアール氏は弁護士に話しかけました。

青年の言い分によると、自分もさわぎに参加したが、傷つけはしない、
血まみれのナイフを拾い、驚いてぼんやりとしていた自分だけがつかまった、というのだそうです。
被害者はうしろから刺されて前に倒れたため、相手の顔を目撃していないのだそうです。

どこかまちがっている、どこかに悪がひそんでいるようだ、正体は不明だが、
なにかの力が法廷を支配していたようだ、と思ったアール氏は、家に帰って筆をとりました。
筆を進めている時、「アール氏の息子が帰宅して、
事件の夜に息子はどこへいっていたか尋ねると、息子の顔色は、少し変ったようでした。

アール氏はそれ以上、なにも言わず机の上の書きかけの原稿を破り捨てました。

息子を動きのとれないような立場に追いこむかもしれない可能性を少しでも含んだ作業など、
つづける気になれなかったのでした。

アール氏は、弁護士、検事、証人の警官たちに、親しさを感じはじめていて、
みな、同じように息子を持ち、それを心から愛し、なにをしても許し、
まもってやる、やさしく善良な父親たちなのだ、自分たちののような立場の者を、
危険な年代と呼ぶのだろうか、と思ったのでした。


というあらすじなのですが、被告の青年が少年のころに両親を失った、
というのが伏線だったのですね。

青年には「危険な年代である両親がいないから、無実の罪で逮捕され、
投獄されてしまったのでした……。

胸糞悪い話です。

しまうましたには、アール氏たちのどこがやさしく善良な父親たちなのか、1ミリも理解できません。


こんな事件が現実では起こってほしくないです。

しかし、残念ながらこれと同じような事件が実際に起こっているような気がしてなりません。

たまに、どう見ても他殺なのに、自殺として処理されて捜査が打ち切られた事件が発生しますよね。
警察が被疑者に自白を強要させていて、冤罪だと判明した事件も後を絶ちません。

それらの真相も、この話と同じようなものなのかもしれません……。

しまうましたが被告の青年のような立場に立たされたらと考えると、下手なホラーより怖いです。

西尾維新「混物語」傷物語〈Ⅲ冷血編〉来場者特典④「第大話 みここコミュニティ」のネタバレ解説

阿良々木くんは曲直瀬(まなせ)大学理学部数学科に補欠合格し、
同じ大学に進学した戦場ヶ原さんや老倉育とつるんでいましたが、
私達、こんなんじゃ高校時代と何も変わってないわ、何の成長も見えないわ、
と戦場ヶ原さんが言いました。

阿良々木くんは最近では気持ち悪いことにマムと呼んでいる羽川さんに泣きつき、
他の大学の葵井巫女子(あおいい・みここ)、江本智恵(えもと・ともえ)、
貴宮(あてみや)むいみという女子大生、
いーちゃんと、宇佐美秋春(あきはる)という男子大学生との、
交流の場をセッティングしてもらいました。

巫女子たちは、戯言遣いシリーズ第2弾、
「クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識」に登場しています。

カラオケルームでの二次会の席では2組に別れることになり、
阿良々木くん、葵井巫女子、江本智恵、貴宮むいみで1チーム作りました。

おきゃんな葵井巫女子、儚げな江本智恵、元ヤンの貴宮むいみは3人だけでも会話を回すことができ、
人見知りな阿良々木くんはミステリアスな雰囲気を出そうとして失敗し続けていました。

『変わる』ということについて話が弾み、江本智恵に促されて、
葵井巫女子はいーちゃんから聞いたという、変化する彫刻の話を阿良々木くんに話しました。

大学生になったばかりの頃、こんなことでいいのか、こんなあたしでいいのか、
と悩んでいた巫女子に、いーちゃんが話してくれたのだそうです。

むかしむかし、とある高名な僧侶が彫った、その年の干支である鼠の象は、
見事な出来栄えで、今にも動き出しそうで、
ある人がその鼠が逃げ出さないように、檻の中に閉じ込めたのだそうです。

僧侶はそれを見て、無駄なことだ、閉じ込めたところで、拙僧が込めた魂までは囚われない、
と言ったのだそうです。

翌年、檻の中の鼠の彫像が、牛の彫像になり、新年を迎えるたびに、
鼠、牛、虎、兎、竜、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪に変化し、
12回目の新年には、猪から鼠に変身することなく、ふっと消えてなくなったのだそうです。

江本智恵によれば、「変わりたいと思う気持ちは、自殺だよね」と、
いーちゃんはそんなことも言っていたのだそうです。

阿良々木くんは色々と考えましたが、問題は、変わったのではなく、変えられた場合――だ、
自分にとっていい変化ではなく――誰かにとって都合のいい変化、
己の変化と無変化について思い悩む葵井に対して、そういう意図で、
くだんの変化する彫刻の話をしたのであれば――『いっくん』は、闇だ、と考えました。

後日談では、阿良々木くんは3人の女子大生とは普通に別れて、その後、
普通に会っていないことが語られます。
戦場ヶ原さんや老倉も、その後、あちらのコミュニティと連絡が取れなくなったのだそうです。

変化する彫刻の謎について阿良々木くんは、「僧侶は檻の隙間から、
巨大な『鼠』の中にいる『牛』を、掘り出し、『牛』の中にいる『虎』を掘り出し、
(中略)『犬』の中にいる『猪』を掘り出したのだと推理しました。

『猪』の彫像は最小のサイズになり、檻の隙間をするりと通り、自由になったのでした。

また、現状を変えたくて、あのような交流の席に参加した阿良々木くん達3人に向けて、
変わりたいだなんて、変わってるね、といーちゃんは言ったのだそうです。


というあらすじなのですが、変わりたいと思う気持ちは、自殺だよね、
といういーちゃんの言葉は、「クビシメロマンチスト」で、
いーちゃんと関わったばかりに強制的に変化させられて崩壊した、
「みここコミュニティ」を暗示するような言葉ですね。

ちなみに、この話で干支を題材にしたのは、この話が混物語の12話目だったからでしょうね。

もしかして、「あかりトリプル」が〈Ⅲ冷血篇〉の③じゃなかったのは、
「あかりトリプル」が10話目の話で、「酉(とり)」が干支の10番目だから、
それと掛けたのでは――と思いましたが、
今日子さんの「子」が、「子(ね)」であることと、
「まゆみレッドアイ」のレッドアイが兎の赤い目と関係していること以外、
他の話は別に干支とは関係ないものばかりだったので、これは深読みしすぎですねw

西尾維新「混物語」傷物語〈Ⅲ冷血編〉来場者特典③「第喰話 りずむロックン」のネタバレ解説

今回のゲストキャラクターは、戯言遣いシリーズ第6弾、
『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』に登場する、
匂宮理澄(におうのみや・りずむ)です。

2月初旬、『恋物語』『憑物語』の間くらいの時期に北白蛇神社を訪れた阿良々木くんは、
名探偵という肩書の匂宮理澄と出会いました。

理澄は眼鏡をかけていて、拘束衣の上にマントを着ている、自称16歳の女の子です。

理澄に帰っていただくために、
阿良々木くんは理澄が捜査している児童誘拐事件について推理することになります。

誘拐された被害者は、骨董アパートに住む、
闇口崩子(やみぐち・ほうこ)という13歳の暗殺者の女の子です。

郵送で5000万円の身代金を要求する脅迫状が入ったアタッシュケースが届きました。

崩子の兄は地獄主義者の死神、父親は結晶皇帝(クリスタルカイザー)、
生涯無敗の六何我樹丸(りっかが・じゅまる)で、
その父親が『呪(まじな)い名』の時宮病院の身内の娘に手をつけていて、
その復讐で崩子は誘拐されたのだと理澄は見立てていました。

しかし、父親はお金なんて払わないでしょうし、
崩子とその兄は父親から逃げて家出中なので、
お金は骨董アパートに住む戯言遣いこと「いーちゃん」とねんごろな、
大金持ちのご令嬢、青色サヴァンこと玖渚友(くなぎさ・とも)が立て替えてくれました。

手紙で要求された通り、5000万円をアタッシュケースに詰めて、
兄を含む骨董アパートの住民の皆さんは、北白蛇神社の賽銭箱の上に置きました。

仲間みんなで、神社の各所に潜んで、犯人のやってくるのを待ちましたが、
犯人は約束の時間になっても現れず、いーちゃんがたまりかねて賽銭箱に駆け寄り、
アタッシュケースを開けると、5000万円は消えていて、
中にはすやすや眠る崩子が入っていたのだそうです。

理澄によると、時宮病院でも、その場を見張っていた全員を術中に陥れるのは無理なのだそうです。

謎が残り、名探偵がお出まししたのだそうです。

アタッシュケースは金庫みたいに頑丈で、それ自体が重さのあるものだから、
5000万円と13歳児の質量差は、誤差の範囲内だと聞き、
阿良々木くんは、「アタッシュケースが二重底だったという可能性を考えました。

13歳児をアタッシュケースに詰め込んで、山道を持ち運んだら、
『無傷』で済むはずがないと考えた阿良々木くんは、真相に辿り着きました。

理澄ちゃんっ――! と、阿良々木くんが理澄に向き直ると、
理澄の『兄』の人格、『殺し屋』の匂宮出夢(いずむ)が出現していました。

操想術で操られた崩子は、5000万円をくしゃくしゃに丸めて緩衝剤にしていたのでした。

アパートの住民は、帰ってきた崩子を連れて、アタッシュケースを残してすぐに山を下りたので、
時宮病院は5000万円を回収していたのでした。

阿良々木くんの推理を聞いた出夢は、5000万円を取り戻そうと、爆笑しながら、
北白蛇神社から跳び去っていったのでした。


というあらすじなのですが、意外な真相で、ミステリーとして面白かったです。

理澄は名探偵という肩書なのに、結局全部阿良々木くんが推理してるじゃないかと思う人もいるでしょうが、
理澄は戯言遣いシリーズの中でもそういう立ち位置のキャラですw

ちなみに、この「りずむロックン」は2月の話ですが、
戯言遣いシリーズ第1弾「クビキリサイクル 戯言遣いと青色サヴァン」の2ヶ月前の話ですね。

「クビキリサイクル」よりも後の2月だと考えると、重大な矛盾が生じてしまうので。

ネタバレになりますが、「クビキリサイクル」の後の2月の時点では、
理澄と出夢、崩子の兄」は既に死んでしまっていますから。

しかし、無桐伊織というキャラクターが生まれるのは、「クビキリサイクル」よりも後のことなので、
「いおりフーガ」は「クビキリサイクル」よりも後の話です。

「いおりフーガ」と「りずむロックン」はどちらも阿良々木くんが高校3年生の時の話なので、
時系列的に矛盾が生じてしまっています。

ちょっとこの説明で伝わるか怪しいので、別の言い方をすると、
「クビキリサイクル」は4月の話なので、「クビキリサイクル」の前か後かで、
阿良々木くんの学年が変わってしまうのです。

「りずむロックン」が阿良々木くんが高校3年生の話だとすると、
「いおりフーガ」は阿良々木くんが大学1年生以降の話でないといけません。

逆に、「いおりフーガ」が阿良々木くんが高校3年生の話だとすると、
「りずむロックン」は阿良々木くんが高校2年生の話でないといけません。

その辺の矛盾を解消するために、「しおぎレンジャー」で、
パラレルワールドやループの存在に言及していたのかもしれません。
プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
ネタバレ部分は白字にしてあるので反転してお読みください。
荒らし対策のため、コメントを承認制に変更しました。承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2018年5月29日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
検索フォーム
最新記事
月別アーカイブ(タブ)
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。