星新一「ごきげん保険」のネタバレ解説

朝、エヌ氏は万能生活保険会社へ電話し、
保険証書の番号を告げました。

昨夜はノラネコが一晩じゅう近所をうろつき、
なき声をあげていたせいでぐっすり眠れなかった、
とエヌ氏は文句をぶちまけました。

保健会社の人は、心から、ご同情申し上げます、
不愉快さに相当する金額をお支払いします、
それで、お許しいただけないでしょうか、と言いました。

エヌ氏はさっぱりした表情になり、電話を切りました。

万能生活保険会社に入ってから、2か月になりますが、
やはり加入してよかったようだ、とひとりごとを言いました。

エヌ氏はコーヒーに砂糖を入れ、また顔を曇らせました。
万能生活保険会社に電話し、
半年ほど前に買った、砂糖入れの模様がはげかかっている、
面白くない、とエヌ氏が言うと、
保健会社の人は、その製品に相当する代金を、
当社からお支払いします、と言いました。

出勤の途中、エヌ氏はまた万能生活保険会社に電話しました。
電車のなかで、そばに美人が乗っていた、
何度もウインクしてみたが、いっこうに反応がない、
精神的に傷つけられた、とエヌ氏が言うと、
保健会社の人は、それに対応する慰謝料を、
当社がお支払い申しあげます、と言いました。

1日の仕事を終えた後、仕事の能率が悪いと上役に怒られたことや、
道ばたに落ちていた、だれかが捨てたタバコの吸殻や、
商店の看板に見つけた、文字の誤りをエヌ氏は指摘し、
いかに精神的に不快であるかを、
思いきり万能生活保険会社に訴えました。

相手は心から同情してくれ、保険金の支払いを承知してくれました。

その後も、ひいきしている野球チームが、負けてしまったことや、
テレビのドラマのなかで、あまりにも人が死にすぎることや、
ちっとも人が死なないことについて、文句を言いました。

眠る前には、数年まえにくらべて、若さがいくらか失われてきたことや、
万能生活保険がなぜもっと早く、勧誘に来てくれなかったのか、
ということについて不満を言いました。

エヌ氏の1日は、かくして終り、つぎの日も、そのつぎの日も……。
そして、月末、エヌ氏は銀行へ寄り、
たまった金額の数字をうれしそうに眺め、
その金額を全部おろし、「自分の給料のなかから相当の額を加え、
万能生活保険会社へ保険料を納めたのでした。


というあらすじなのですが、結局、
いくら保険金を支払ってもらったところで、
それ以上に保険料を支払わないといけないので、
この万能生活保険で儲けることはできないのですね。

反論されずに愚痴を聞いてもらうのが目的で、
エヌ氏はこの保険に入っているのでしょう。

星新一「すばらしい星」のネタバレ解説

地球から出発した宇宙船が、小さな惑星を発見し、
山のそばの草原におりたちました。

小さな星ですが、海も陸もあり、美しい草花が咲いていて、
大気も清潔そのものでした。

隊員たちは、大輪の5色の花をつけた草花、
家のふさふさしたリスをつかまえました。

大理石でできた廃墟のいたるところに、
黄金製の彫刻品が並んでいました。

山の洞穴には放射性鉱物がありました。

空では声のいい小鳥たちがさえずり、
夜になると草むらの虫が銀の鈴を振るように鳴き、
地球上の四季の、いいところだけを寄せ集めたような状態でした。

樹々には味のいい果実がみのり、澄んだ小川には、
たくさんの魚がむれていて、川の底には、
地球では産出しない種類の宝石が、大粒の輝きを放って散っていました。

しかも、住民がまったくいませんでした。

みなは宇宙船のなかに、あらゆる物をはこびこみ、
隊長は出発の命令を口にしようとしました。

その時、「青空の雲のかげから、
みたこともない型の小さな宇宙艇が高速度でおりてきました。
相手の異星人科学力は優秀で、その気になれば、
地球の宇宙船など、一瞬で灰にすることもできるのだそうです。

異星人ふたりは宇宙船内を調べ、代金をお支払い願います、と言いました。

この星は異星人たちが作った、セルフサービスのマーケットだったのでした。

隊長が、代金の用意がないと言うと、借用書を書かされてしまいました。

いずれ、あなたがたの地球という星へも、品物を仕入れにまいります、
おかげさまで、ますます繁盛するようになるでしょう、
と異星人は言ったのでした。


というあらすじなのですが、すばらしい品々がある無人の星なんて、
都合のいい話はない、ということなのでしょうね。

星新一「逃走」のネタバレ解説

主人公の青年は友人の家でおそくまで酒を飲み、
夜の雨のなかを車で走り、帰路についていました。

その時、ライトのなかに、とつぜん人影があらわれ、
避けるひまもなく、重い衝撃が伝わってきました。

ひいたぞ、と心の奥が叫び声をひびかせました。

青年はブレーキをかけたものの、うしろを振りむくことができず、
手はふるえてドアをあけることをこばみました。

耳をすませますが、かすかな雨の音しか聞こえず、
うめき声は……と考えかけ、そんなものは聞きたくないと、
青年は反射的に車をスタートさせました。

ひき逃げになるぞ、ひき逃げだ、と心の奥が、強烈な言葉を告げました。

青年は心の奥の声に逆らいながら逃走を続けますが、
パトカーのサイレンの音が追っているような気がしました。

横へ曲る道をみつけ、それへハンドルを切りました。
しかし、ライトのなかに、横に張られたくさりが見え、
青年は思いきりブレーキをふみました。

黒い人影がドアをあけ、ぐったりした青年を取りおさえました。

やがて意識を取り戻すと、青年は小さな部屋のなかにいました。
目の前に見知らぬ人物がいて、ここは法廷で、
事故をよそおった殺人だと青年を糾弾し、死刑だと言いました。

その人物に向かって、
わたしは精神に異.常があるのです、狂.気なのです、
と、青年はくりかえし主張しました。

明日まで休廷する、と相手は言い、
青年は、明日はまた、気力の限りしゃべりつづけることにしました。

場面が変わり、「訪問者が医者に、あの青年はどうしたのですか、
と訊ねました。
医者によると、青年は毎日、一定時間だけ自己の狂.気を主張しつづけ、
あとは死んだように、ぐっったりするのだそうです。

青年は数ヶ月前、公園のなかの自動車の運転席で、
バックミラーにうつる自分にむかって、ああしゃべっているところを、
つれてこられただそうです。
その自動車ですが、どこかの街路樹をかすめたらしく、
そのあとが車体に少しついていました、
これはなんの関係もないことでしょうが……、と医者は言ったのでした。


というあらすじなのですが、「本当にひき逃げがあったら、
警察がそれを青年と関連づけるでしょうから、
青年がひいたのは人ではなく、街路樹だったのでしょう。

青年は街路樹を人影だと思いこみ、逃走して現実逃避を続けたせいで、
本当に精神に異.常を来してしまったのですね。

事故を起こしたときに、すぐ車から降りて確認していれば、
こんなことにはならなかったのに、としまうましたは思いました。

星新一「遠大な計画」のネタバレ解説

生れてまもない赤ちゃんがいるエフ夫妻は、
ダイレクトメールのカタログに、
万能育児器と書いてあるのを見て、問いあわせました。

すると、すぐさま現物が送られてきて、
しかも、値段は無料でした。

装置を使ってみると、適温にしたミルクを自動で飲ませてくれ、
おしめをかえ、泣けばあやし、眠るまえには、
やさしい声で子守唄を歌ってくれました。

赤ちゃんの成長につれ、装置は言葉を教え、
おとぎ話を物語りもしました。

ぶっそうな思想を、ふきこむこともなく、
エフ夫妻はすっかり安心し、すべてを育児器にまかせることにしました。
どこの家庭でもそうしていました。

万能育児器は、しつけもしてくれました。
これこれをしなさいとか、これこれをしては、いけません、
と、特徴のあるやさしい声でお行儀を教えました。

20数年がたち、その子供たちは立派に成人しました。

そのころ、テレビやラジオのコマーシャルに、
この品を、お買いなさい、ほかのマークの品を買っては、いけませんよ、
と育児器の声と同じ声で、文句があらわれました。

両親よりも説得力のある、心の奥底に焼きついている、なつかしい声で、
だれもが無条件で、その指示に従いました。


というあらすじなのですが、これは本当に「遠大な計画」ですね。

効果があらわれるまでに時間がかかりすぎです。
それまでは、万能育児器の製作費は会社の持ち出しだったでしょうし、
気の長い計画です。

今だと、子供向けアニメの声優さんが、
CMに出演しても似たような効果がありそうですね。

星新一「銀色のボンベ」のネタバレ解説

ある病院に、金属性の装置、
酸素吸入器から流れ出る気体を吸う老人がいました。

老人が亡くなると、女性看護師に吸入器を運ばせてきた医者は、
その装置から銀色の小さなボンベを外しました。

レッテルをはり、番号を書きこみ、戸棚にしまいました。

薄暗い戸棚のなかには、おなじようなのが、
いくつも並べられてありました。

死者のこの世にむかっての最後の息、
それが吸入器に付属している装置のすばやい操作によって集められ、
このボンベにおさめられていました。

実業家のもあったし、作家や彫刻家のもあり、
彼等はみな、この世での経験、この世への心残りや気体などのすべてを、
このボンベのなかにとどめて、死の国へと旅立っていきました。

女性看護師から電話があり、医者は、まもなく、
父親になる若い男に声をかけました。

お子さんには将来、どんな人になってもらいたいというご希望ですか、
と医者が訊ねると、できたら科学者に育てたいと思います、
と若い男は言いました。

医者は、「上から2つ目の棚、7番と記してあるボンベを取ってきてくれ、
と女性看護師に命じました。

夜ふけの廊下を行きつ戻りつしていた若い男は、うぶ声を耳にしました。
この世に生れた新しい命の、はじめての動き、
空気を力一杯に吸う音を聞きました。


というあらすじなのですが、死んだ科学者の最後の息をボンベに集め、
それを「生れたばかりの赤ん坊に吸わせていたのでしょうね。

そうすることで、死者のこの世への心残りを、
赤ん坊が引き継ぐことになる、ということなのでしょう。


ただ、赤ん坊の人生は赤ん坊だけのものなので、
大人が勝手に赤ん坊の人生を決めるのは駄目だろうと、
しまうましたは思います。

親は子供を科学者にしたいと思っても、
子供本人はスポーツ選手や漫画家や歌手になりたいかもしれないでしょう。
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