星新一「危険な年代」のネタバレ解説

50をちょっと過ぎた年齢の、社会評論家のアール氏は、
原稿を書く時のなにかの参考になるだろう、と裁判を傍聴してみることにしました。

小さな法廷でしたが、異様な空気がただよっているように感じられて、
アール氏は椅子に腰をおろしました。

判事も検事も、弁護士までいずれも相当な年配であり、それにひきかえ、
被告の席の男は、ちょうどアール氏の息子ぐらいの年齢の、あどけなさが残る青年でした。

しばらくまえの夜、街なかの盛り場で、非行少年のグループどうしが乱闘し、
そのあげく、けが人がひとり発生した事件の裁判でした。

おれじゃない、おれは、なにもしていない、と青年は叫び声をあげましたが、
判事と弁護人は青年を黙らせました。

勤続25年の相当な年配の警官が証人で、
倒れた被害者から被告人の青年がナイフを引き抜いたことを証言しました。

弁護人は弁論をはじめ、被告は少年のころに両親を失い、親類の手で育てられたことにも言及し、
被告は自分の罪をみとめ、心から反省しております、なにとぞ寛大な判決を、と言いました。

判事は、求刑よりは軽くなっていましたが、猶予のつかない懲役刑の宣告をしました。

おれじゃない、おれはなにもしていないんだ、と青年は絶叫しました。

いまの青年は本当に罪をおかしたのでしょうか、とアール氏は弁護士に話しかけました。

青年の言い分によると、自分もさわぎに参加したが、傷つけはしない、
血まみれのナイフを拾い、驚いてぼんやりとしていた自分だけがつかまった、というのだそうです。
被害者はうしろから刺されて前に倒れたため、相手の顔を目撃していないのだそうです。

どこかまちがっている、どこかに悪がひそんでいるようだ、正体は不明だが、
なにかの力が法廷を支配していたようだ、と思ったアール氏は、家に帰って筆をとりました。
筆を進めている時、「アール氏の息子が帰宅して、
事件の夜に息子はどこへいっていたか尋ねると、息子の顔色は、少し変ったようでした。

アール氏はそれ以上、なにも言わず机の上の書きかけの原稿を破り捨てました。

息子を動きのとれないような立場に追いこむかもしれない可能性を少しでも含んだ作業など、
つづける気になれなかったのでした。

アール氏は、弁護士、検事、証人の警官たちに、親しさを感じはじめていて、
みな、同じように息子を持ち、それを心から愛し、なにをしても許し、
まもってやる、やさしく善良な父親たちなのだ、自分たちののような立場の者を、
危険な年代と呼ぶのだろうか、と思ったのでした。


というあらすじなのですが、被告の青年が少年のころに両親を失った、
というのが伏線だったのですね。

青年には「危険な年代である両親がいないから、無実の罪で逮捕され、
投獄されてしまったのでした……。

胸糞悪い話です。

しまうましたには、アール氏たちのどこがやさしく善良な父親たちなのか、1ミリも理解できません。


こんな事件が現実では起こってほしくないです。

しかし、残念ながらこれと同じような事件が実際に起こっているような気がしてなりません。

たまに、どう見ても他殺なのに、自殺として処理されて捜査が打ち切られた事件が発生しますよね。
警察が被疑者に自白を強要させていて、冤罪だと判明した事件も後を絶ちません。

それらの真相も、この話と同じようなものなのかもしれません……。

しまうましたが被告の青年のような立場に立たされたらと考えると、下手なホラーより怖いです。

星新一「車内の事件」のネタバレ解説

主人公の「あたし」は、若くて美しい女性です。

主人公は列車のなかで、隣りの30歳ぐらいの男が無意識なのか時どき胸を押えるのを見て、
内ポケットになにか大切なものが入っていると見きわめました。

主人公はうつむきながら、苦しそうな声を出し、男に話しかけてもらい、
少しぐあいが悪いことを打ちあけました。

上の棚の旅行バッグに薬びんが入っていて、その錠剤を出し、
水にとかして飲ませてもらうことを男に頼みました。

男が鞄をおろすのに気をとられているすきに、主人公は内ポケットの封筒を盗み、
封筒の中身が札束なのを確認し、用意してあった同じ大きさの紙片を代りに入れました。

薬と言ったのはただの砂糖で、薬を飲んで徐々によくなったようなふりをして、
次の駅で下車しました。

主人公はその駅のビルのなかの商店街の宝石店で、
いま手に入れたばかりのお金で支払いをしましたが、
これはみな、にせ札でございます……と店員は言い、警察を呼びました。

いまの列車のなかで、隣りの席の男から包みを渡されたの、
改札口で待っている緑のネクタイの男に渡してほしいって、
ところがそんな人はいないし、あけてみるとお金で、借用したくなって……、
と主人公は警官に嘘をつきました。

その男の座席の場所と人相を伝えると、警官は電話で連絡をとりましたが、
その男はにせ札犯人ではありません、
にせ札に関する裁判の証拠品を持って旅行中の検事だったのです……、と言ったのでした。


というあらすじなのですが、皆さんもスリには気をつけましょうね。

相手が若くて美しい女性であっても、油断してはいけません。

人がごった返しているイベント会場に行く時や、旅行で遠出する時などには、
ほとんどお金が入っていないダミー用の財布を、
目立つ場所のポケットに入れておくといいらしいですよ。

星新一「副作用」のネタバレ解説

エフ氏のとなりの家には、金をためるのが、なによりも好きな老人が住んでいて、
わしの信頼する友人はこの金庫だけだ、と老人は立派な金庫を指さしました。

あの金庫のなかの金を、なんとかして手に入れたいとエフ氏は作戦をねり、
友人の医者をごまかして、自白薬を手に入れ、お菓子にまぜ、老人に食べさせました。

老人に金庫のあけかたを訊ね、ダイヤルの番号とカギの場所、
非常ベルがついていないことも聞き出しました。

薬は2時間ほどで効力を失い、いずれ老人は目がさめ、
その間に話したことは、記憶に残りません。

エフ氏は自分の家に引きあげ、つぎの日、エフ氏は老人の外出するのをたしかめ、
裏口からしのびこみました。

金庫のダイヤルを合わせ、カギをカギ穴にさしこみましたが、扉は開きませんでした。

エフ氏は扉を押したり、体当りもしましたが、扉は開きません。

すっかり考え込んでいると、警官をつれた老人がそばにいて、警官に逮捕されました。

老人は、「きのうから、なぜか頭がぼんやりし、きょうも外出してから、
大変な忘れ物をしたのを思いだし、戻ってきてエフ氏を発見し、
警官に来てもらったということを話しました。

その忘れ物とは、金庫にカギをかけることでした。

エフ氏は自分で金庫にカギをかけ、悪戦苦闘していたのでした。


というあらすじなのですが、タイトルの「副作用」は、
自白薬の副作用で、「老人の頭がぼんやりし、金庫にカギをかけ忘れた、ということですね。

星新一「あこがれの朝」のネタバレ解説

主人公の洋一郎は生まれつきハンサムでスタイルにもめぐまれていましたが、
甘い誘惑によって横道にそれることもなく勉強に熱中し、
一流の大学を卒業して一流の官庁に就職することができました。

1年後、洋一郎はある会合で知りあった1人の若い女性に対し、恋を感じはじめましたが、
彼女の父のやっている会社が、赤字を重ね、経営不振におちいってきて、
彼女は取引き先の社長の息子との結婚を強いられることになりました。

といって、洋一郎にその赤字を埋めることなど、できるはずがありませんでしたが、
洋一郎のその時の地位を利用し、彼女の父の会社に対し、
ある種の許可を与え、立なおらせ、すべては解決してしまったように見えました。

しかし、少したって、会ったこともない、魅力というものがほとんどない、
できれば口をききたくないような女、道子が訪問してきて、
書類らしきものを出して、説明しはじめました。

洋一郎より5つ年上の道子は、洋一郎が不当に許可を与えた会社の社員で、
持っているのは、それに関する書類だったのでした。

洋一郎は道子に脅迫され、愛する女と別れ、道子と結婚させられました。

道子は洋一郎を束縛し、給料を取り上げ、悪夢のような生活が始まり、
2年が過ぎました。

書類は封をして、ある弁護士にあずけてあり、道子が死んだら、
まず洋一郎を疑うように頼んでいるのだということを、道子は何度も洋一郎に話しました。

道子が堂々と浮気するために外出すると、洋一郎の友人がやってきました。

書類の点はぼかし、あとの部分を大げさに友人に話すと、
結婚詐欺の常習犯に頼んだら、うまく片づけてくれるかもしれないと友人は言いました。

洋一郎は友人に頼み、数週間が過ぎ、道子のほうから別れたいと言いました。

洋一郎は慎重に交渉し、問題の書類をとりかえすことに成功しました。

ところが、つぎの日の朝、「それぞれの手に大きな封筒を持った女性の訪問者が押しかけてきました。

道子は、書類のコピーを大量に作り、これを持っていれば、洋一郎と結婚してもらえると言って、
純真な大ぜいの女たちに売りつけていたのでした。


というあらすじなのですが、これはもう、どうしようもないですね……。

詰んでいます。

洋一郎は諦めて警察に自首して、罪を世間に公表するしかないと、
しまうましたは思います。

前科持ちだったとしても、これだけハンサムで女性からモテるのなら、
何をやっても生きていけるでしょうし。

星新一「人質」のネタバレ解説

夕ぐれ近い時刻、街なかの公園で、銀行強盗が警察に包囲されていました。

手をあげて出てこい、さもないと、容赦なく射撃する、と警察は言いました。

しかし、木の茂みにいた強盗は、こっちには人質がいる、それでもうつ気か、と言い、
子供を抱きかかえて姿をあらわしました。

ねえ、助けて、おうちへ帰りたい、と、あどけない声で悲しそうに訴えています。

オートバイを1台、用意してくれ、それに乗って逃げる、
子供は背中にせおってゆく、子供をかえす場所は、あとで連絡する、と強盗は言いました。

取り引きが成立し、強盗はオートバイに飛び乗り、
包囲網のとかれた道を全速力で通りぬけました。

あとで対策本部に強盗から電話があり、子供は「ゴム製で、
息を吹き込んでふくらませた品だと言われました。

強盗は声帯模写の芸人では食えないので強盗をやっていたのでした。

約束は守りますよ、小包でお送りしましょうか、と強盗は言い、
電話の声は、さっきの子供の声にかわり、
……警察はいやよ、やっと、おうちへ帰れたのに、と言い、あどけない笑い声がしました。


というあらすじなのですが、このオチは読めなかったですw

警察が間抜けな気もしますが、夕方だと視界が悪くて子供の様子もよく見えないでしょうし、
騙されても仕方がない気がします。
プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
ネタバレ部分は白字にしてあるので反転してお読みください。
荒らし対策のため、コメントを承認制に変更しました。承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2018年5月29日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
検索フォーム
最新記事
月別アーカイブ(タブ)
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。