星新一「反応」のネタバレ解説

遠い惑星から宇宙船がやってきて、
わたしたちは高い文化を持つ星の者です、
みなさんはわたしたちの文化を受け入れ、
向上なさるおつもりはありませんか、
と通信を送ってきました。

地球上では歓迎しますが、宇宙船からは、
着陸にうつる前にいちおう調べさせていただきます、
悪用されては困るので、と通信がありました。

小型ロケットが地上に達し、なかからうそ発見器が出てきました。

宇宙船の指示に従い、うそ発見器から出ている電線のはじを、
10人が握ります。

あなたがたは、文化をさらに高めたいとお考えですか、
という質問、
あなたがたはわたしたちのもたらす文化を、
決して悪用なさらないでしょうね、
という質問に、10人はいっせいに「はい」と答えました。

しかし、もう1回お聞きしますが、将来とも決して悪用しないことを、
あなたがたの惑星にかけて誓うことができますか、
と質問され、みなが答えようと息をのんだ時に、
とつぜんの地震がみなを驚かせました。

装置は波形のはげしいみだれを宇宙船に伝え、
みなさんからのご返事がこんなとは思いませんでした、
これでは着陸するわけにはいきません、
と言われ、宇宙船からの通信がとだえました。


というあらすじなのですが、地球からの弁明も聞かずに、
一方的に通信を打ち切るような相手は信用できないので、
そんな文化は受け入れなくてよかったんじゃないかな、と思います。
ちょっと宗教くさいですし、悪用しようと思えばできる文化、
というのもうさん臭いですしね。

星新一「期待」のネタバレ解説

2003年8月1日、アパートの30階の一室で、
宇宙旅行用携帯食品の製造会社に勤めるナヤ氏が目覚めました。

ナヤ氏の心は期待で熱をおび、
ナヤ氏の見つめている孵卵器(ふらんき)のなかにも、
高い温度が満ちていました。

孵卵器のなかには卵がただ1つあり、
ナヤ氏はこれをかえすことに熱中していました。

ここで回想です。

ナヤ氏は郊外に越した友人のエル氏から手紙をもらい、
休日にナヤ氏の家を訪れました。

ナヤ氏の庭には白鳥が4羽いました。

ナヤ氏はこの白鳥を上流階級に売込む商売をはじめ、
それがうまく当り、金まわりがよくなったのだと言いました。

ナヤ氏は白鳥から目が離すことができなくなってしまいました。
自動装置にとりかこまれた毎日の生活から見ると、夢のような心持ちでした。

1羽でいいから、ゆずってくれないか、と頼みますが、
エル氏は商売をはじめたばかりで、高く売らないと引きあわないと言います。

いずれ数がふえ、安くなるから、そうなったら進呈するよ、
とエル氏に言われましたが、ナヤ氏はそれができそうにありませんでした。

エル氏が酒の用意をしているあいだに、
ナヤ氏は白鳥の巣のなかに卵が6つあるのを見つけ、
その1つをポケットに入れ、アパートまで持ち帰ってしまいました。

回想終わりです。

卵にヒビがはじめ、卵のヒビは大きくなりましたが、
ヒナはあらわれませんでした。

みなさま、生活にうるおいを与える白鳥をどうぞ、
エル商会特製の、本物そっくりで、成功きわまる、
ロボットの白鳥を、と音を出しつづける、
小さな装置が卵のなかにありました。

ナヤ氏はそれを思い切り床になげつけ、
『白鳥の湖』の曲とともに、宣伝文句を喋りつづけていた装置は、
こわれて静かになりました。


というあらすじなのですが、ナヤ氏が卵を盗んだのは、
エル氏にとって想定内の出来事だったのでしょうね。
むしろ、わざと盗まれやすい場所に巣をつくっていたのかもしれません。

ところで、冒頭に2003年8月1日という日付がありますが、
このショート・ショートが書かれた頃は遠い未来だったのでしょう。

今となっては、だいぶ前に過ぎ去った過去ですが。

当時は21世紀には宇宙旅行が当たり前の時代になると思っていたのでしょうね。

星新一「羽衣」のネタバレ解説

主人公の「あたし」は未来人で、月で不自由ない生活していましたが、
なにかが欠けているような気がして、
時間旅行会社を訪れて、過去の地球に行ってみたいと言いました。

費用は安くありませんが、
ほうぼうの劇場で歌ったり踊ったりして、
ずっと貯めてきたお金で、20分間だけの旅行を許されました。

宇宙船で地球の上空へ、そして、
タイムマシンで数千年の過去へと時間移動します。

時間旅行会社の事務員には、絶対に着陸なさらぬよう、
と言われていましたが、主人公は海岸の波に誘惑され、
松林のなかで無重力ガウンをぬぎ、
波うちぎわに駆け寄りました。

時計を見ると、8分がたっていて、今度は、
少し北の山々の谷を飛び、花々でも眺めてみようと思い、
松林に戻りました。

しかし、無重力ガウンがなく、富士山の上空で待つ、
宇宙船のなかのタイムマシンに戻れなくなってしまいました。

そこへ、銀色の無重力ガウンを持った青年が現れ、
美しい着物を宝にしたいと言いました。

主人公は、早くかえしてと言い、月から来たと言いましたが、
青年はなかなか信じてくれません。

天女なら、人間にできない、なにかができるはずです、
それを拝見させて下さい、そうすれば、この衣をおかえしします、
と青年に言われ、主人公はガウンを身につけ、空中に浮かび、
時間の許す限り、月の歌と踊りを見せてあげました。

主人公は青年の純真な目を見ながら、高く昇り、
人を信じ、欲の少ない、おだやかな人たちの時代に、
別れのあいさつを送りました。

こんないい人たちが、「なぜ2000年ほどあとに、
この地球をめちゃくちゃにしてしまったのかしら、
海のすべてを蒸発させ、除きようのない毒と放射能にみちた、
死の世界に変える戦いを始めてしまったのかしら、
と主人公は思いました。

宇宙基地に残った人びとが、人類と文化とを再建したとはいえ、
母なる地球は2度と戻ってきませんでした。


というあらすじなのですが、
この話は昔話の「天の羽衣の伝説」が元ネタですね。

ところで、この「羽衣」とよく似た話が、
偶然にも手塚治虫さんの「火の鳥 羽衣編」で描かれています。

「火の鳥」でも天女の正体は未来人で、
未来の世界は核戦争でめちゃくちゃになっている、
などの共通点があります。

ちなみに、このショート・ショートが発表されたのは1960年代で、
「火の鳥 羽衣編」の初出は1971年なので、
星新一さんの方が先ですね。

星新一「初夢」のネタバレ解説

主人公の「私」は、元日に年賀状を見ていました。

ひときわ目立つ、美しいカラー写真の年賀状を見つけます。
上のほうにまっ赤な太陽が、下のほうには青々とした海が、
その間には大型旅客機が銀色に輝いて、
ゆうゆうと飛んでいるという構図でした。

眠気が押しよせてきて、主人公は足をこたつに入れたまま、
無意識のうちに、その年賀状を頭の下にして、
たたみの上にあおむけに寝そべりました。

ふと気が付いてみると、外国のホテルの部屋にいました。

机の上にあるタバコの箱に手をのばし、あけてみると、
その箱は空っぽでした。

棚のうえに並んだ酒のびんを手にすると、
びんのなかは空っぽでした。

なんというひどいホテルだ、と主人公は言い、
そのへんを散歩しようとドアに手をかけますが、
外から鍵がかかっていてあきませんでした。

電話機の受話器に耳をあてると、なにかご用でございますか、
とむこうから声がしました。

主人公が不満を言うと、窓の下の通りをごらん下さいませ、
自動車がございますでしょう、と言われました。

窓から見おろしてみると、そこは露地になっていて、
美人の乗った1台のスポーツ・カーがとめてありました。

そのスポーツカーは、お客さまにさしあげようと思って、
用意したものでございます、と言われました。
美人は主人公の専属として雇った、通訳兼ガイドだと言われます。

しかし、ドアの鍵があかないと言うと、
じつは、まだ準備が……と言われてしまいます。

電話機のそばにあったメニューを開いて、料理をたのみますが、
料理のほうも、まだ準備が……と言われてしまいます。

さっきから見せつけるばかりで、なにひとつ手に入らない、
どうしたらこの先が実現するんだ、と主人公はどなり、
手にしていたメニューを力をこめて引き裂きました。

主人公は夢からさめ、頭の下に入れていた年賀状を、
ねぼけながら破いていました。

ひとの悪い夢を見させやがる、
こんな年賀状を送りつけたやつの名が知りたい、
と主人公はつぶやき、裏がえしました。

そこには「“あなたの夢を完全に実現する大特売。
海外旅行とスポーツ・カーの当る特賞”と書かれ、
それにつづいて、でかでかと商品名が印刷されていました。


というあらすじです。

枕の下に見たい夢の写真や絵を入れて眠ると、
その夢を見られる、というおまじないがありますが、
ダイレクトメールを頭の下に入れて眠ってしまうと、
こんな夢になってしまう、というオチですね。

星新一「その夜」のネタバレ解説

その夜。
敵国の軍隊が移動し、敵の原子力潜水艦隊が出航し、
5時間後に一斉攻撃があると、電波が激しく飛びかっていました。

この国の軍は、4時間後に全ミサイルを発射できるよう準備し、
ただちに戦闘態勢に入りました。

ミサイル基地の1つの地下道で、
兵士たちは強力極まる核弾頭、超水爆をミサイルの先端に結合しました。

兵士たち全員が倒れたあとは、自動装置がやってくれる、
と司令官が言ったのを聞いて、兵士は、
それを聞いて安心しました、敵さえ全滅してくれれば、
思い残すところはありません、と言いました。

しかし、3人の兵士が、昼間、
崩れかけた小屋のなかから拾ってきた本を読んでいました。

それは聖書、ルカによる福音書でした。

司令官は、その本はだいぶ前に禁止になった本だと言い、
小型火炎銃で本を灰にしました。

なぜいけないのです……と言った兵士に、
敵を憎むことがすべてに優先するからだ、
と司令官は言い、べつな銃をとりだし、3人の兵士の顔めがけて、
つぎつぎと引金をひきました。

銃口からは、どんな命令にも服従させる生理作用を持ったガスが流れ出し、
3人の兵士の顔は、ほかの者と同じように殺気の微笑にみちた表情になりました。

最高本部より攻撃開始の命令があり、
暗い地平線のかなたで、目もくらむような光が輝きました。

超水爆はすべての場所でくまなく爆発し、
すべての人が死に絶え、荒れ狂った炎と、熱と、
輝きだけがこの惑星の全部をおおいつくしました。

遠く遠くはなれた「地球から眺めると、
それは夜空でふいに輝きをました1つの星でした。

砂漠のベツレヘムの貧しい小屋なか、
星の光は一筋の糸のようにそのなかにさしこみ、
マリアという名の女性を照らし、
みどりご(赤ん坊)の誕生をうながしているようでした。


というあらすじなのですが、
おお、神よ、哀れな仔羊にオチの意味を教え給へ、
と思った人もいるのではないでしょうか。

神の代わりにしまうましたが答えると、
この話の元ネタは、「ベツレヘムの星」ですね。

キリスト教の聖書には、「キリストがベツレヘムで誕生した直後、
東の国で誰も見たことがない星が西の空に見え、
3人の博士は、ユダヤ人の王が生まれたことを知り、
その星に向かって旅を始めた」という感じのことが書かれています。

キリスト教徒はこの星を、メシアの誕生を示した奇跡と見ているらしいです。

その「ベツレヘムの星」の正体は、実は遠く遠くはなれた惑星の住民たちが、
戦争で自滅する際の光だった、という風に解釈したのが、
このショート・ショートの本筋ですね。

さらに、その惑星にもキリスト教があったけど、
キリスト教を禁止したせいで戦争が起こった、という風に解釈することもできます。

ただ、現実世界の歴史をひもといてみると、
キリスト教が原因で起こった戦争は数えきれないくらいありますし、
現在も信仰している神の違いが原因で、戦争や紛争が起こり続けているので、
神を信じようが信じまいが、結局戦争は起こるんだな、
としまうましたは思いました。
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