星新一「再認識」のネタバレ解説

勤続35年の社員である主人公の男、「私」は、
いままで限りなく、「のろま」「ぼんやり」「このままではくび」
と言われ続けていました。

社長に呼ばれて主人公が社長室に行くと、
社長室が荒らされ、札束、高価な美術品、舶来のゴルフ道具など、
金目のものばかりがなくなっていました。

社長は警察にとどけに行ってくれと言いましたが、
主人公は、内部の事情にくわしい者の犯行かもしれませんから、
とどける前に、いちおう、少し調べてからのほうがよろしいでしょう、
と言いました。

ほかの部屋は、どこも荒らされていないので、
この部屋が社長室だと知っているもののしわざに、ちがいありません、
と主人公は言いました。

また、すぐそのことに気がついたのですから、
のろまという言葉を、お使いにならないようお願いしたい、
と社長に言いました。

また、窓には錠がおりているから、犯人はここから出入りしたのではない、
と主人公は気がついたので、
ぼんやりという形容詞も取り消していただけませんか、と社長に言いました。

社長は、一度はそれを了承しましたが、とつぜん叫び声をあげ、
おまえはやはり、のろまで、ぼんやりで、その上、くびだ、と言いました。

理由を聞くと、「さっき社長は自分の鍵でドアをあけて部屋に入りましたが、
予備のただひとつの鍵を持っているのは主人公だけなので、
主人公が泥棒だということになるのだそうです。

おまえは自分の存在を再認識させようとして、
こんなことをたくらんだのだろう、
盗んだ物をかえせば、警察ざただけはかんべんしてやる、と社長は言いました。

しかし主人公は、のろま、ぼんやり、くび、
の三つの言葉をお使いにならないようにお願いします、と言いました。

昨夜、社長室を物色中、
社長の脱.税に関する詳細な帳簿を見つけていたのでした。


というあらすじなのですが、
主人公は社長からパワハラされるのがよっぽど嫌だったんでしょうね……。

主人公がやったことは、もちろん悪い行為ですが、
パワハラを苦に自殺するよりはマシだったのではないかと思います。

星新一「鋭い目の男」のネタバレ解説

ニセの洋酒が出回り始めました。

国税関係の、その方面の係官である主人公の男、「私」は、
ニセ洋酒の摘発をすべく、ひそかに捜索を進めてきました。

主人公は場末の小さなビルの地下にあるバーが、
ニセ酒の取引現場であることを突き止めました。

そのバーで主人公が密造の洋酒を大量に売りたいという噂を流し、
オトリ捜査をします。

しばらくして目つきのよくない男がやってきて、
話にうつりました。

しかし、お金が先だという主人公と、
酒が先だという取引相手で意見がまとまらず、
形勢は不穏になってきました。

すると相手は、「じつは警察官だと言い、黒い手帳を示しました。

警察に連れて行かれそうになり、主人公も身分を明かします。

主人公と相手は、
バーテンと、他に1人だけいた客をしぼろうとしますが、
もう1人の客は衛星関係の官庁から依頼された私立探偵でした。

バーテンはある新聞の社会部の記者で、
ニセ酒の全容をあばくため、バーテンになりすまして潜入していました。

4人は鋭い目を見かわし、むなしい笑い声を響かせました。


というあらすじなのですが、このオチは、
今となってはありがちで、手垢のついたオチですね。

「こち亀」でこれとよく似たオチを3回は読んだような気がします。

しかし、このショート・ショートが発表された1960年代には、
斬新で画期的なオチだったのではないかと思います。

星新一「夜の侵入者」のネタバレ解説

夜、9時を少し過ぎたころ、
映画会社のメーキャップ係の女性の家に、若い青年がやってきました。

青年は、半年ばかり、未決囚で自由がなく、法廷へ連れて行かれる途中、
すきを見て逃げ出してきました。

青年は、評判を何かで読んだメーキャップ係の女性の家を訪れ、
警戒の網を通り抜けるために顔を変えろと脅しました。

なるべく今の顔とかけはなれたのに、変えてくれればいい、
と青年は言い、女は青年の顔を、年配の、ぶっそうな顔に変えました。

しかし、メークが終ると青年はそばにあった電気スタンドのコードで
女の手足をしばりました。

青年は、女が男の背中に白い粉でクエスチョンマークを書き、
見た者が不審に思うようにしていたことに気付いたのでした。

そして男は、「警察につかまりました。

女は街角に張り出してある凶悪犯人の殺人犯の顔を、
青年のうえに作ったのでした。

青年も殺人犯としてつかまるより、単なる脱走犯人としてつかまるほうを好み、
すべてを自白しました。

女は仕事の参考資料として手配写真を熱心に見ていたため、
凶悪犯人の顔を覚えていたのでした。


というあらすじなのですが、女性のとっさの機転がうまくいってよかったです。

文句のつけようがないオチです。

星新一「上流階級」のネタバレ解説

アール夫人は、あまり強そうではない殺し屋の青年を豪華な家に出むかえ、
夫を殺して欲しいと頼みました。

アール夫人は今の夫に飽き、ほかに好きな人ができましたが、
いまの生活も捨てたくなくて、夫だけを交替させたいのだそうです。

アール夫人はナイフで夫を刺してちょうだい、と青年に頼みました。
約束の額の札束を青年に渡し、きょうこれから、
夫を殺してくれと言います。

夕方になると、夫はあの林のなかの小道を歩いて帰ってくるので、
近よって、すれちがいざま刺してちょうだい、とアール夫人は言いました。

一方、アール氏の方も、筋骨たくましい殺し屋の男に、
妻の不倫相手の男を殺してくれと頼んでいました。

アール氏はポケットから札束を出し、これから自宅に帰り、
不倫相手を殺してくれと言いました。
不倫相手もいまごろは妻と自宅にいるでしょうから、
これから帰り、近くから電話するとアール氏は言いました。

不倫相手は、あわてて逃げだすでしょうから、
そこを襲ってくれればいい、とアール氏は殺し屋の男に言いました。

そして、「アール夫人が依頼した殺し屋の青年と、
アール氏が依頼した殺し屋の男は殺し合い、
青年の方が勝ちましたが、青年も重傷を負っていました。

青年は医者を呼んで下さいとアール夫人に言いましたが、
いつのまにかアール夫人のそばにはアール氏がいました。

アール氏とアール夫人は、どちらの殺し屋が勝つのか賭けをしていて、
今回はアール夫人が勝ったので、ダイヤモンドを買ってもらうことになりました。

その会話を聞き、くやしそうにもがいていた青年は、
まもなく首をがっくり落としました。

アール氏とアール夫人は2人のポケットから札束を取り戻し、
警察に電話して死体を片づけてもらうことにしました。
そしてアール夫妻はつぎも勝負をつづけるつもりでした。


というあらすじなのですが、いかにも「上流階級」っぽい話でしたね(棒読み)。

デスゲームの勝敗の結果を金持ちが賭けて遊ぶ、
という内容の映画や小説や漫画は数多くありますが、
これはその先駆けかもしれませんね。

星新一「宇宙の指導員」のネタバレ解説

他星指導援助計画がたてられ、主人公はその実行部門の部長をやっていました。

養成された隊員は、船で遠くまで行き、
文明のおくれている星をみつけだし、
そこに文化と産業と平和とを築く指導をするのが目的でした。

こんどの隊員はサソリ座の方角に向かい、報告がつづきました。

隊員は、毛皮をまとい、原始的な生活をしている住民のいる星に着陸しました。

一度受信は中断しましたが、ふたたび報告が入り、
貨物船に酒をつんで、至急お送り下さい、と報告が入りました。

主人公は無人操縦の貨物船のタンクに酒をみたし、飛ばしました。

それからしばらくして、またしても酒をつんだ船を送って欲しい、
と連絡がありました。

その後も、酒を送って下さいと何度も連絡があり、
がまんできなくなった主人公は貨物船の奥に隠れ、出発しました。

目的の星に着くと、原住民たちが入ってきて、
酒をつぎつぎと運び出していき、酒もりがはじまりました。

夜になり、主人公は船体を出て、歩きつづけるうち、
木の枝でがんじょうに作られたオリを見つけました。

そのオリの中には「隊員が入っていて、隊員は、
この星の住民たちは素質があり、もう、立派に文明の星だと言いました。

かくれて下さい、と隊員に言われて主人公が隠れると、
千鳥足の住民がやってきて、酒を早く注文しろと隊員に言いました。
もういいかげんに、帰して下さいよ、と隊員は言いましたが、
われわれはそんなことをするほどばかではない、と住民は言いました。

オリのそばに、通信装置が運ばれてきて、
よけいなことを言うと、殺すぞ、と太い棍棒でおどかされながら、
隊員は地球の本部に酒をつんだ貨物船を送ってくれと言ったのでした。


というあらすじなのですが、そもそも、
「文明の遅れている星に文化と産業と平和とを築く指導をする」
というのが、大きなお世話ですよね。

その星の住民たちも、その星なりに独自の文明を築いているはずなのに、
それを破壊しようとしているだけですからね。

アフリカの恵まれない子ども達を救うためにに~とかいうのも、
それと全く同じです。

アフリカの人達だって、ヨーロッパの人達が余計なことをするまでは、
狩猟生活をしながらちゃんと独自に生活していたのです。

それが今では完全に彼らの文化を破壊されてしまい、
先進国からの援助に依存するようになってしまいました。

何十年も他国が支援し続けて、アフリカの人口は爆発的に増えていますが、
恵まれない人も増えていて、作物を育てるための種を送っても、
その種を畑に撒かずに食べてしまう始末です。
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