星新一「症状」のネタバレ解説

ケイ氏はビルの11階にある一室を訪れ、
精神分析の先生に夢のことについて相談しました。

眠りについてすぐ見る夢が、朝おきるところで、
服を着かえ、食事にかかります。
カバンを持って、会社に出勤し、事務をとりつづけ、
終ると家に帰り、寝床にはいります。

そこで夢が終り、目がさめるわけです。

一日の仕事だけでもうんざりなのに、夢のなかでまで、
それを繰り返すのは絶望だと先生に言いました。

しかし先生はいろいろな文献を調べた後、
どの本にも出ていません、お気の毒ですが……、と言いました。

それを聞いたケイ氏は、残された道はただひとつだと言い、
開いている窓から、身を投げました。

そして、「ケイ氏は久しぶりに、すがすがしい朝をむかえ、
うれしそうな声をあげました。
夢のなかの自分を消滅させることに成功したケイ氏は、
つぎの夜から、あのいまわしい夢を二度と見ることがありませんでした。


というあらすじなのですが、精神分析の先生に相談し、
窓から飛び降りたケイ氏の方が、
実は夢の中のケイ氏だった、というオチですね。
夢の中のケイ氏は、現実世界のケイ氏のことを夢だと認識していたのです。

しかし、たまたま夢の中のケイ氏の方が
飛び降り自殺したからよかったようなものの、
現実世界のケイ氏が発作的に自殺していたら、
どちらも死んでしまっていたので、
そう考えると怖いオチですね。

星新一「不運」のネタバレ解説

K氏は死ぬ覚悟で海の真ん中に身を投げました。

K氏はあらゆる勝負事が好きでしたが、
最後の一度にありとあらゆる財産をつぎこんでやった勝負に負けてしまいました。

なぜそんな大勝負に賭けるつもりになったかというと、
失恋してやけを起こしたからでした。
K氏は女性に対しては運のいいほうで、
失恋したことはなかったのですが、
心の底から愛した女性に対して失恋してしまったのでした。

その原因は、酒に悪酔いして不注意のため自動車にはねられ、
顔が醜く傷ついてしまったからでした。
K氏は酒が好きでしたが、悪酔いしたのはその一度だけでした。

K氏は生きがいを失い、死の決心を抱き、海に身を投げたのでした。

しかし、気がついてみると、K氏は豪華な遊覧船のベッドの上に横たわっていました。

船内のホールには無料のバーがありましたが、
K氏が死ぬつもりになった原因のひとつは酒だったので、ふりきりました。

ルーレット台もあり、お金は胴元に頼めば貸してくれるそうですが、
自分をこんな目に追い込んだ憎い勝負事に手を出す気はしませんでした。

デッキのほうに歩くと、若く美しい女に誘われましたが、
おれはもう、酒やルーレットや美人など、
見るのさえいやなんだと言い、K氏はまたも海に身を投げました。

気がつくと、「今度は小さな漁船の持ち主に助けられていました。

豪華な遊覧船のことを相手に伝えると、
船の灯りが水にうつっていなかったのでは……と言われ、
そのとおりでした。

それは幽霊船で、海の死者を拾いあげ、あの世の港に送りとどけるため、
途中で気が変らないように、至れりつくせりのサービスをしてくれるのだそうです。

K氏はもう一回飛びこみ、なんとかしてあれに乗ろう、と言いました。
しかし漁船の持ち主は、幽霊船から逃げ出すと、先客名簿から削られ、
死なない、死ねなくなってしまうのだと言いました。


というあらすじなのですが、これは本当に「不運」な話ですね……。

何をやってもうまくいかないときは、死ぬのさえうまくいかない、
ということなのでしょうか。

星新一「利益」のネタバレ解説

エヌ氏はそれまで女性に養ってもらっていましたが、
夫人の機嫌を損ね、彼女は土地と家を残して出ていってしまいました。

エヌ氏は金を稼ぐために、庭に釣り堀をつくることにして、
シャベルで地面を掘りかえしました。

しばらく夢中になって堀りつづけているうちに、
石の地蔵が出てきました。

通りかかった近所の老人が、持病の神経痛がなおるようにと地蔵に祈ると、
痛みが、すっかりなくなりました。
すごい、ご利益だ、と老人は言い、庭の片すみにお堂を建て、
石の地蔵をそのなかにまつりました。

エヌ氏はその前に賽銭箱をすえましたが、
つぎつぎと訪れる善男善女が、箱に賽銭を投げこんで帰っていったのに、
賽銭箱をあけてみると、ぜんぜん金が入っていませんでした。

エヌ氏は対策をねり、金庫屋に頼んで、
鍵のかかるスチール製の賽銭箱を作らせましたが、
あけてみると、またも金がなくなってみました。

その原因を確かめるために、徹夜で見張ってみると、
そこで、なにをしている、と地蔵の声が頭のなかに響いてきました。

賽銭が消えていたのは、地蔵が持ち去っていたからなのでした。

地蔵は、ちゃんとご利益を与えているから、
報酬を受け取る権利がある、と言いました。

エヌ氏は面白くない顔つきで、二、三日は家の中にとじこもり、
参拝する人波を見つめていましたが、
ある夜、エヌ氏は「堂をとりこわし、
石の地蔵を床下に運んで埋めてしまいました。

はじめの計画どおり、庭を釣り堀にすることにしました。

エヌ氏にとって必要なのは、ご利益(ごりやく)ではなく、
利益(りえき)なのでした。


というあらすじですが、まさかのダジャレオチですw

地蔵はエヌ氏に掘り起こしてもらい、
庭の土地を使わせてもらっている恩があるんだから、
地蔵もエヌ氏に分け前を与えていれば、
こんなことにならなかったのに、と思いました。

もしかしたら、地蔵が地面の下に埋まっていたのは、
前の持ち主もエヌ氏とまったく同じように考えて、
埋めたからなのかもしれませんね。

星新一「夜の道で」のネタバレ解説

主人公の「私」の友人が、体調を悪くして入院しました。

面会する前、担当の医者に病状を聞いてみると、
思わしくありませんな、と言われました。

あと、どれくらい持ちこたえるでしょう、と主人公が聞くと、
冷房はあっても、暑い季節は、いろいろ問題があります、
と具体的な余命は教えてくれませんでした。

朗らかな話でもして、元気づけてやるのが、一番でしょうね、
と医者に言われた主人公は、友人である彼の手相を見て、
ここ一年以内には、絶対に何も起こらないことが、
あらわれているよ、と言いました。

しかし、それからまもなく、友人は息をひきとってしまいました。

それから一年が過ぎた夏の夜ふけ、
終電を降りて畑の多い道を歩いて自宅に向かっていると、
『やい、うそつき』という友人の声が聞こえました。
思わずふりむいてみましたが、声のしたあたりにあるのは、
よどんだ濃い闇ばかりでした。


というあらすじなのですが、
今は末期の場合も患者に告知するようになりましたが、
この作品が書かれた当時は患者に知らせないことが多かったのです。

助かると思っていたのに死んでしまった患者からすれば、
この友人のように恨み言の一つも言いたくなったかもしれませんね。

星新一「凝視」のネタバレ解説

主人公の正男は、
おとなしくて優しい春子という女性と付き合っていましたが、
すぐに飽きて別れを告げました。

春子は踏切りで飛込み自殺をとげました。

その後、正男は新しい恋人のユリエと付き合い始め、
ユリエとのはじめてのデイトに向かうためタクシーに乗りました。

タクシーは春子が自殺した踏切りの上を通過します。
その時、背中の上を冷たさが走り抜け、
だれかの視線を感じるようになりました。

それ以来、正男はずっと背中に視線を感じ、
ユリエとのデイトにも集中できませんでした。

マンションに戻っても背中に残る視線は残り、
これは、正男が最後に「別れよう」と告げた時の、
目の下に泣きボクロがある春子の視線にちがいない、
と正男は考えました。

その時、春子は伏し目がちに、
内気ななかにうらみを含んだ視線で正男を見上げていました。

正男は追いつづける視線と戦いながらすごし、週末を迎え、
ユリエと海に行きました。
海水着に着がえた正男を見たユリエは、「正男の背中にアザがある、
と言いました。

アザの形は人間の目そっくりで、泣きボクロもありました。


というあらすじなのですが、ゾッとするオチですね。
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