時雨沢恵一「キノの旅」10巻3話「保護の国」のネタバレ解説

夏の草原を車で走っていた師匠と荷物持ちさんは、
草原で動いていた動物を見かけました。

全長で60センチほどで、一見するとペンギンのような、
歩く鳥といった風体ですが、猿のように2本の腕がありました。
色は茶色とクリーム色の斑でした。

30頭ほどの動物に見つめられながら入国しました。

翌日、レストランで師匠と荷物持ちさんが襲い朝食を食べていると、
国の外で見かけたのと同じ動物が入ってきました。
ただし色は黒と茶色の斑でした。

動物が荷物持ちさんのシュークリームを食べようとして、
荷物持ちさんが動物を追い払おうとすると、
ウエイターに、旅人さん! ダメです! と言われました。
その隙に動物はシュークリームを奪って食べました。

この動物は、かつてこの辺の草原にたくさんいましたが、
乱獲で激減してしまい、国は、ある程度の数を国内で保護し、
餌を与えて繁殖させました。
この動物を絶滅から護るため、
人は一切危害を加えてはいけないと法律で定められ、
以降どこで何をされても、手を出してはいけなくなったのでした。

動物を殺したら終身刑です。

動物は師匠のシュークリームも?もうとしましたが、
師匠と目が合うと別の客のパンケーキを食べました。

それから師匠と荷物持ちさんは散歩がてらに国を見て回りましたが、
動物は群で道路を横切り車や馬車を止める、壁を登って洗濯物をぶちまける、
店の前の果物を食べ荒らす、農作物を投げて遊ぶ、
女の子の鞄をひったくり車道を走るトラックの前に投げてぺしゃんこにする、
などの傍若無人な振る舞いをしていました。

その日の夕方、ホテルのロビーでくつろいでいると、
オーナーである初老の男性が挨拶にやってきました。

師匠が、かつて出会った旅人がこのホテルに泊まったことを話すと、
オーナーはロビーのとても高いところに飾ってある
古びた白黒の写真を紹介しました。

何十年も前、オーナーの両親がこの地に小さな旅館を始めたこと、
もうあの写真しか残っていないことを、
オーナーは語りました。

翌朝、オーナーの絶叫が聞こえ、
師匠と荷物持ちさんがロビーへ行くと、
3頭の動物が「きゃきゅ!」と言いながら前述の写真を踏みつけ、
そこに涎やフンを垂れて汚していました。
従業員の女性が、棒を持って動物たちがやってきて、
立てかけると器用に登り、写真をたたき落としたと教えてくれました。

滂沱するしかないオーナーの前で、
動物は原型を留めていない写真を、さらに足で千切りました。

そんな時、師匠がリヴォルバーで1頭の動物を撃ち殺しました。
荷物持ちさんも動物をパースエイダーで殺しました。

お客さんの誰かが、保護動物を殺してしまったんだぞ……、
重罪だ……、と言いましたが、
どこに動物がいるんですか? と師匠は言いました。

オーナーも、動物なんてどこにもいないじゃないですか……と言い、
イスを残りの1頭へと力の限り打ち付け殺しました。

1ダース以上の動物がロビーに入ってきて、
仲間の死体を見ると、人間へ向けて突っ込んできました。
師匠と荷物持ちさんはパースエイダーを撃ちまくり、
動いている動物は1頭もいなくなりました。

動物は保護しなくちゃいけないが、どこにも動物はいないじゃないか!
と国の誰かが言い、ホテルから生まれた波がどんどん伝播し、
住人は手に棒や農具を持って、
見かけた動物を片っ端から殴り殺していきました。

夕方、師匠と荷物持ちさんがお礼の言葉を見送りに、
開かれた門をくぐっていく時、
茂みに潜んでいた1頭の動物が、車の屋根に飛び乗りました。

しばらく走り、師匠は動物を車から降ろし、
“守られている”ということは、“力がある”ということではないのですよ、
あの国で本当に力があったのは、あの国の人達です、
あなた達ではありませんでした、と言いました。

車が去った後、国から逃げた動物は、
色が違うだけの20頭ほどの動物の群れに殴り殺されてしまいました。

というあらすじなのですが、絶滅寸前まで乱獲したかと思えば、
保護動物に指定して繁殖させ、でもやっぱり害獣として駆除したという、
人間の身勝手さが際立つ話でしたね。

人間も動物をペットとして扱い、繁殖を制限して躾けるようにしていれば、
もっと違った結果になったのかもしれませんが。

動物は事実、害獣だったので駆除するのはいいですが、
法治国家なら、ちゃんと法改正をして法的手続きをとってから
駆除するべきだったのではないか、としまうましたは思いました。

しかし、この話の本質はそんなところにはありません。

“守られている”ということは、“力がある”ということではないのですよ、
という師匠の言葉に、この話の本質があるのだと思います。

その言葉は、動物だけではなく、人間にも当てはまるのでしょう。                  スポンサードリンク

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