星新一「期待」のネタバレ解説

2003年8月1日、アパートの30階の一室で、
宇宙旅行用携帯食品の製造会社に勤めるナヤ氏が目覚めました。

ナヤ氏の心は期待で熱をおび、
ナヤ氏の見つめている孵卵器(ふらんき)のなかにも、
高い温度が満ちていました。

孵卵器のなかには卵がただ1つあり、
ナヤ氏はこれをかえすことに熱中していました。

ここで回想です。

ナヤ氏は郊外に越した友人のエル氏から手紙をもらい、
休日にナヤ氏の家を訪れました。

ナヤ氏の庭には白鳥が4羽いました。

ナヤ氏はこの白鳥を上流階級に売込む商売をはじめ、
それがうまく当り、金まわりがよくなったのだと言いました。

ナヤ氏は白鳥から目が離すことができなくなってしまいました。
自動装置にとりかこまれた毎日の生活から見ると、夢のような心持ちでした。

1羽でいいから、ゆずってくれないか、と頼みますが、
エル氏は商売をはじめたばかりで、高く売らないと引きあわないと言います。

いずれ数がふえ、安くなるから、そうなったら進呈するよ、
とエル氏に言われましたが、ナヤ氏はそれができそうにありませんでした。

エル氏が酒の用意をしているあいだに、
ナヤ氏は白鳥の巣のなかに卵が6つあるのを見つけ、
その1つをポケットに入れ、アパートまで持ち帰ってしまいました。

回想終わりです。

卵にヒビがはじめ、卵のヒビは大きくなりましたが、
ヒナはあらわれませんでした。

みなさま、生活にうるおいを与える白鳥をどうぞ、
エル商会特製の、本物そっくりで、成功きわまる、
ロボットの白鳥を、と音を出しつづける、
小さな装置が卵のなかにありました。

ナヤ氏はそれを思い切り床になげつけ、
『白鳥の湖』の曲とともに、宣伝文句を喋りつづけていた装置は、
こわれて静かになりました。


というあらすじなのですが、ナヤ氏が卵を盗んだのは、
エル氏にとって想定内の出来事だったのでしょうね。
むしろ、わざと盗まれやすい場所に巣をつくっていたのかもしれません。

ところで、冒頭に2003年8月1日という日付がありますが、
このショート・ショートが書かれた頃は遠い未来だったのでしょう。

今となっては、だいぶ前に過ぎ去った過去ですが。

当時は21世紀には宇宙旅行が当たり前の時代になると思っていたのでしょうね。                  スポンサードリンク

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

新世界より(上) (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

豆の上で眠る (新潮文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年9月8日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。