星新一「羽衣」のネタバレ解説

主人公の「あたし」は未来人で、月で不自由ない生活していましたが、
なにかが欠けているような気がして、
時間旅行会社を訪れて、過去の地球に行ってみたいと言いました。

費用は安くありませんが、
ほうぼうの劇場で歌ったり踊ったりして、
ずっと貯めてきたお金で、20分間だけの旅行を許されました。

宇宙船で地球の上空へ、そして、
タイムマシンで数千年の過去へと時間移動します。

時間旅行会社の事務員には、絶対に着陸なさらぬよう、
と言われていましたが、主人公は海岸の波に誘惑され、
松林のなかで無重力ガウンをぬぎ、
波うちぎわに駆け寄りました。

時計を見ると、8分がたっていて、今度は、
少し北の山々の谷を飛び、花々でも眺めてみようと思い、
松林に戻りました。

しかし、無重力ガウンがなく、富士山の上空で待つ、
宇宙船のなかのタイムマシンに戻れなくなってしまいました。

そこへ、銀色の無重力ガウンを持った青年が現れ、
美しい着物を宝にしたいと言いました。

主人公は、早くかえしてと言い、月から来たと言いましたが、
青年はなかなか信じてくれません。

天女なら、人間にできない、なにかができるはずです、
それを拝見させて下さい、そうすれば、この衣をおかえしします、
と青年に言われ、主人公はガウンを身につけ、空中に浮かび、
時間の許す限り、月の歌と踊りを見せてあげました。

主人公は青年の純真な目を見ながら、高く昇り、
人を信じ、欲の少ない、おだやかな人たちの時代に、
別れのあいさつを送りました。

こんないい人たちが、「なぜ2000年ほどあとに、
この地球をめちゃくちゃにしてしまったのかしら、
海のすべてを蒸発させ、除きようのない毒と放射能にみちた、
死の世界に変える戦いを始めてしまったのかしら、
と主人公は思いました。

宇宙基地に残った人びとが、人類と文化とを再建したとはいえ、
母なる地球は2度と戻ってきませんでした。


というあらすじなのですが、
この話は昔話の「天の羽衣の伝説」が元ネタですね。

ところで、この「羽衣」とよく似た話が、
偶然にも手塚治虫さんの「火の鳥 羽衣編」で描かれています。

「火の鳥」でも天女の正体は未来人で、
未来の世界は核戦争でめちゃくちゃになっている、
などの共通点があります。

ちなみに、このショート・ショートが発表されたのは1960年代で、
「火の鳥 羽衣編」の初出は1971年なので、
星新一さんの方が先ですね。 見やすい記事一覧はこちらです。
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