湊かなえ「告白」第4章「求道者」のネタバレ解説

第4章は、真っ白な狭い部屋にいる下村直樹の回想が書かれています。

直樹は、物心ついた頃から、ひたすら母親に褒められながら育ち、
自分は頭がいいし、スポーツもできると思っていました。

しかし、小学校3年生になる頃には、それは母親の願望であって、
実際はがんばったところで中の上くらいにしかなれないことに気付いていました。

しかし、褒めるところがないため、
母親が直樹のことを「優しい」という言葉でごまかしていました。

成績上位者を子供たちの前で発表する森口に、
母親がクレームの手紙を書いていたのを知ると、
母親が「優しい」と親戚や近所の人に自慢するたびに、
直樹はみじめな気分になりました。

そんな直樹は、2月に、
クラスの男子から一目置かれた渡辺修哉に声をかけられ、
お世辞を言われたことで、有頂天になりました。

川沿いにある古い平屋の一室、修哉の「研究室」を訪れ、
パワーアップした「びっくり財布」を見せられます。

懲らしめたいヤツを直樹に選んでほしいと言われ、
直樹はA組の担任の戸倉や、森口の名前をあげますが、
修哉に却下されました。

しかし、森口の子供の愛美はどうかと言うと、修哉は興味を持ちました。

ショッピングセンターで愛美がポシェットをおねだりしていたのに、
買ってもらえなかったことを教え、
直樹と修哉はショッピングセンターに買いに行きました。

計画を立て、事件当日の放課後、
竹中の家の飼い犬のムクがいる庭にボールを投げこみ、
竹中が留守にしているのを確認します。

愛美を待っている間、直樹は修哉に、今度、うちに遊びにきてよ、
母さん、僕に頭のいい友だちができてうれしいみたい、と言いました。

修哉は、ムクにパンをやりにきた愛美にポシェットを渡します。

直樹は、びっくりして尻餅をつく程度だと思っていたのですが、
愛美は気を失い、目を閉じたまま、ピクリとも動かなくなりました。

それまで直樹をおだてていた修哉は手のひらを返し、
みんなに言いふらしていいよ、共犯とか、気にしないでね、
最初から仲間だなんて思ってないから、
脳なしのくせにプライドだけは高い君はあきらかに人間の失敗作だよ、
という意味のことを言いました。

修哉は帰っていきましたが、直樹は、
愛美がプールに落ちたことにしようと、
プールサイドぎりぎりのところまで運びます。

愛美は目を覚ましましたが、人間の失敗作だよ、という言葉が、
直樹の頭の中によみがえります。

やっぱり殺人者になろうとしていたんだ、僕を利用して、
でも、子供は生きている、渡辺くんの計画は失敗だ、失敗! 失敗!
と考え、直樹は徐々に意識を取り戻した愛美をプールに落としました。

渡辺が失敗したことに、成功したんだ、
と思いながら、直樹はプールから出ていきました。

翌日、何で余計なことをしたんだ、と修哉に言われ、
話しかけないでよ、仲間でもないのに、
それから言いふらしたければ自分でどうぞ、
という意味のことを直樹は言いました。

しかし、事件から1ヶ月後、森口にプールで話がしたいと言われましたが、
直樹は家に来てほしいと頼みました。

直樹は、愛美がプールに落ちる直前に目を覚ましたことだけは隠し、
嘘をつきました。

それから一週間後の終業式の日、森口はクラス全員に、
少年AとBが修哉と直樹であることが分かるように話し、
殺したのは直樹だと断言し、牛乳に桜宮の血液を混入したことを話しました。

それ以降、絶対に両親に感染させてはいけない、
と直樹は考えながら過ごしました。

不登校が続き、病院に連れて行かれた帰り、
ハンバーガーショップの隣の席にいた子供が、
足元に牛乳をこぼし、直樹は隣の席の親子を森口とその子供だと思いこみ、
トイレで吐きました。

それ以来、外に出られなくなりました。

また、家庭訪問にきた寺田を、森口とグルになっているのかもしれない、
美月だって信用できたもんじゃないと考え、
部屋に上がってきた母親に怒鳴って辞書を投げつけました。

それでも直樹は生きていることに喜びを感じていたのですが、
後日、母親が作った食事に睡眠薬を混入されて、
眠っているあいだに髪の毛を切られてしまいます。

しかし、母親の仕業とは知らない直樹は、自分が死にかけているのだと思い、
パニックになり、風呂場で頭を丸刈りにした後、
自分はゾンビになったのだと思いこみ、
コンビニの商品に血をつけました。

母さんは、ゾンビになってしまった僕ですら、受け入れてくれている、
と直樹は思い、森口の子を故意に殺したことを打ち明けました。

プールに投げ込んだのは、怖かったからでしょ?
と母親に何度も訊ねられましたが、
母さんの理想に限りなく近いヤツが失敗したことを、成功させたかったんだ、
とは、さすがに言えませんでした。

その後、寺田と美月が家庭訪問にやってきて、
寺田は、修哉はずっと学校に行っていたということや、
いじめられてはいたけれど、解決したということを大声で言いました。

あいつはきっと、ひきこもりになった僕を心から軽蔑し、
笑っているに違いない、と怒った直樹は、
明日、警察に行って、全部全部ぶちまけてやる、と考えました。

しかし、「包丁を持った母親がやってきて、直樹を抱きしめ、
母さんと一緒に、おじいちゃんとおばあちゃんのところに行きましょう、
直くん、ごめんね、上手に育ててあげられなくて、ごめんね、
失敗して、ごめんね、と言いました。

失敗という言葉に過剰に反応した直樹は、包丁を奪って母親を刺しました。
そのまま、母親は階段を落ちていき、
僕も一緒に、連れてって、と考えました。

直樹の姉がやってきて、部屋の外から、
直くんは、何もしていないんだからね、悪い夢を見ていただけなんだからね、
と言われ、直樹は、
今までの出来事を夢で見た別の少年のことだと考えていました。


というところで4章は終わるのですが、もし仮に修哉に話しかけられなくても、
他人のせいにするのをやめない限り、
直樹はいつか駄目になっていたと思います。

それよりも、HIVは感染力が弱いので、
トイレでの便座の共有や、同じコップでの回し飲み、
お風呂やプール、洗濯などでは感染することはないのに、
それで感染するかのように描写し、
HIVへの偏見を煽っていることのほうが気になりますね。

直樹の視点の4章でそれを書くのは無理でも、2章5章あたりで、
それについて言及するべきだったのではないかと思います。

この話は5章「信奉者」に続きます。 見やすい記事一覧はこちらです。
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