湊かなえ「告白」第3章「慈愛者」のネタバレ解説

下村直樹には、2人の姉がいます。
その下の方の姉で、大学2年生の聖美は家を出ていて、
上の方の姉は結婚して隣町に住んでいました。

聖美は7月20日に父から電話で、
母親が直樹に殺されたと知らされました。

母の遺体には、腹部に刺し傷が1つ、
後頭部に打撲のあとが1ヶ所あったのだそうです。
包丁で刺された後、階段から突き落とされたのだそうです。

事件から2日後、警察から、直樹は2年生になってから、
一度も学校に行っていなかったと知らされました。
同居していた父親も含めて、
そのことを母親以外の家族全員が知りませんでした。

聖美は、母親の日記帳を見つけ、それを読みます。

以下は、その日記の内容です。

3月1×日。
昨日、森口が直樹の家にやってきた、ということが書かれています。

直樹の母親は、シングルマザーであることを理由に森口が嫌いで、
担任がシングルマザーなんてとんでもない、
と校長宛に手紙を書いたこともありました。

森口は、直樹がテニス部をやめたこと、
ゲームセンターで不良高校生にからまれたこと、
被害者であるにもかかわらずペナルティを受けることに
なってしまったことなど、直樹とその母親の前で話しました。

森口が愛美の事故について尋ねると、直樹は、
僕のせいじゃない、と言いました。

渡辺修哉と愛美を殺したときの話をしますが、
第1章の森口の言葉を借りれば「親バカ」である直樹の母親は、
普段から直樹を甘やかしており、
事件前後の直樹の行動も、好意的に解釈していました。

愛美の死因は水死ではなく感電死だと思いこんでいることもあり、
悪いのは全部、渡辺修哉で、直樹は被害者だと直樹の母親は考えていました。

森口が帰った後、後で強請られたりしないよう、
森口に賠償金を支払っておいたほうがよいのではないかと思い、
直樹の母親は夫に事件のことをかいつまんで話し、
森口の家に電話をかけてもらいました。
しかし、森口は賠償金を断りました。

夫は、警察に報告した方がいいと言いましたが、
直樹が共犯の罪に問われたらどうするつもりなのだ、
と母親はやめさせました。

さらに、事件そのものが森口の作り話なのではないか、
それなら、渡辺という子も被害者です、悪いのはすべて森口なのです、
と胸糞悪いことを考えていました。

3月2×日、春休みに入った直後から、直樹は不潔になりました。

たった数枚の皿と茶碗を、1時間近くもかけて洗ったり、
洗濯も、除菌効果のある漂白剤を必要以上に入れて、
何度も繰り返し洗ったりする一方で、とにかく、不潔でした。

歯を磨こうとせず、風呂に入るのも嫌がるようになりあmした。

3月3×日、モナカを食べて涙を流した直樹を見て、
直樹の潔癖症やそれに相反する行動は、
思春期や反抗期のせいではなく、あの事故のせいだと直樹の母親は考えました。

憎いのはやはり、あらぬ疑いで直樹を精神的に追い詰めた、あの森口です、
直樹はほんの少し、運が悪かっただけなのです、と母親は日記に書きました。

4月×日、直樹の上の姉の真理子が、妊娠したと報告にきました。
しかし、直樹は風邪気味だから、移してしまったら申し訳ないと言い、
下に降りてきませんでした。
真理子の帰り際、直樹が自分の部屋の窓を開け、
お姉ちゃん、おめでとう、と言いながら手を振りました。

その後は、直樹の母親が昔、中学生の頃に亡くなり、
8歳年下の弟と一緒に親戚の家に預けられた、ということなどが書かれています。

4月1×日、登校しない直樹を仮病だと考え、
心が疲れているのなら、医者に診てもらって、
診断書を書いてもらわなければならない、と母親は考えました。

4月2×日、母親は直樹を病院に連れて行き、自律神経失調症と診断されました。

帰りに、直樹の希望でファストフードのハンバーガーを食べることになりました。
ショップのとなりの席には、4歳くらいの女の子と、その母親が座っていました。

子供が飲んでいた牛乳パックを落として、
飛び散った牛乳が直樹のズボンと裾と靴にかかってしまうと、
直樹はトイレに駆け込み、食べたものをもどしてしまいました。

5月×日、直樹は1日の大半、掃除をして過ごしていました。
風呂は週に1回入ればいいほうで、その他の時間は、
ずっと自分の部屋に閉じこもっていました。

5月2×日、新しい担任の寺田良輝と、北原美月が家庭訪問にきて、
直樹の母親は寺田に好印象を持ちました。
しかし、ノートのコピーを直樹の部屋に届けに行くと、
この、無神経ババア、余計なことしゃべんなよ、と直樹は怒鳴り、
辞書を1冊投げつけました。

6月1×日、直樹は皿洗いに疲れたのか、
自分の食事は紙皿に入れてほしいと言いました。

風呂にはもう3週間以上入っていなくて、
服や下着も何日も同じものを身に着けたままでした。

このような状態になってしまったのは、家庭訪問が原因だと母親は考えました。
寺田にしても、初めこそ熱意のある方だと感心していましたが、
回を重ねるにつれ、何の役にもたたないことに気がついていました。

7月×日、直樹はまったく自分の部屋から出てこなくなりました。
母親が出かけているときや、用意をしているときをねらって、
トイレには行っているようですが、ピカピカなのに、異臭が残っていました。

7月1×日、母親は直樹の昼食にこっそり睡眠薬を盛り、
寝ている直樹の、長く伸びた脂だらけの髪の毛を、ハサミで切りました。
不潔の鎧にひびを入れるのが目的でした。

母親が夕食の準備を始めると、獣の咆哮のような声が家中に響き渡り、
直樹が暴れました。

しかし、明け方、直樹は1時間以上シャワーを浴び、
頭を丸坊主にしました。

ちょっとそこのコンビニまで行ってくるよ、と直樹は言って出かけましたが、
数十分後、コンビニの店長から電話がありました。
コンビニに行った直樹は、ポケットの剃刀の刃で指を切り、
血だらけの手で片っ端からおにぎりやお弁当、ペットボトルのふたなど、
店の商品に触っていったのでした。

コンビニに行った母親は、血のついた商品を全部買い取り、
家に帰り、こんなことをした理由を訊ねました。
警察につかまりたかったから、と直樹は言いました。

母親がおにぎりを食べようとすると、それ食べない方がいいよ、
エイズになって死んじゃうから、と言い、
終業式の日の出来事を直樹は初めて話しました。

また、プールで愛美がポシェットで感電して気を失った後、
愛美は「直樹の目の前で、目を覚ましましたが、
そのあと、直樹はプールにあの子を投げ落とした、という話をしました。
これは、森口にも話していないことでした。

目を覚ましたのに、プールに投げ込んだのは、怖かったからでしょ?
と母親は何度も何度も繰り返し訊ねましたが、
直樹は、母さんがそう思いたいなら、それでいいよ、と言い、
早く警察に行こうよ、と繰り返していました。

その後、寺田がやってきて、近所に響き渡るような大声で、
直樹が学校に行っていないことを言いふらし、
クラス全員で寄せ書きをした色紙を直樹の母親に渡しました。

しかし、その一見いい言葉が書かれているメッセージの頭文字を合わせると、
『人殺し、死.ね』という暗号になっていました。

それで決心がつき、直樹の母親は、夫と真理子と聖美に遺言を書き、
私は直樹を連れて、みんなより一足先に、
大好きだった父と母のところへ行きますね、と書き、日記は終わりました。

日記を読み終わった聖美は、父は本当に何も気付いていなかったのだろうか、
本当は、我が家に異変が起きていることを知りながら、
気付かぬフリをしていたのではないだろうか、と考えました。

聖美が、日記や心療内科にかかった記録と合わせて、
直樹を無罪にしてやりたい、でも、それをするのは、
弟の本心を確認してからだ
」と考えたところで、この3章は終わります。

というあらすじなのですが、
直樹を甘やかし続けた母親が間違ったやり方で直樹を庇おうとしたせいで、
余計に直樹が追いつめられてしまった、という感じの話ですね。

母親も最悪ですが、聖美が最後に考えた「弟を無罪にしてやりたい」というのも、
最悪だな、と思います。

この話は、4章の「求道者」に続きます。                  スポンサードリンク

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