湊かなえ「告白」第2章「殉教者」のネタバレ解説

第2章は、北原美月という委員長の女子生徒が、
森口悠子に向けて書いた「手紙」という形式で書かれています。

しかし、修哉と直樹を裁いた後、森口悠子は姿を消し、
美月は森口の連絡先を捜すことができませんでした。

美月はその「手紙」を小説として、
4月号まで『世直しやんちゃ先生』のコラムが連載されていた文芸誌の
新人賞に応募することにしました。

美月は直樹の幼なじみで、直樹のことを「直くん」と呼んでいます。

2年生の新学期以降、直樹は不登校になりましたが、
修哉は2年B組の教室に来ていました。

新しい担任の若い男は、寺田良輝(よしき)という名前を黒板に書いた後、
僕は学生時代から『ウェルテル』と呼ばれているから、
みんなもそう呼んでくれ、と言いました。

寺田は、桜宮正義に憧れて熱血教師になりたがっているけど、
なりきれていない、という感じの人物です。

みんなに対して先入観を持たないように、
1年生のときの担任の先生が書いた調査書は、
あえて読まないことにしていると寺田は言いました。

5月半ばまでは、直樹は1日も学校に来ていませんでしたし、
修哉はみんなから避けられていましたが、比較的落ち着いていました。

ある日、寺田は自宅から桜宮正義の書いた本をクラスに持ってきて、
学級文庫を作りましたが、反応が薄いことに不満を感じたのか、
数学の授業中に桜宮の本を読み上げました。

その後、学校を休み続けている直樹のことを、
みんなで考えようという内容のことを、寺田は言いました。

直樹が学校に来れない理由を知らないのは、クラスの中で寺田だけでした。

寺田が教室を出ていき、解散した直後、全員のケータイに、謎のアドレスから、
B組内での告白を外にもらしたヤツは、少年Cとみなす、
というメールが届きました。

寺田は、直樹の家に、みんなで授業のノートのコピーを届けよう、
と言いましたが、あからさまにイヤそうな声が上がり、
理由を訊かれた男子は、家が反対方向だから、と言い訳しました。

みんなで交代でノートのコピーをとり、
直樹の近所であり委員長の美月が、
週に1度、直樹の家に届けると寺田は決めてしまいました。

さらに、美月が寺田のことをウェルテルと呼んでいないのが不満な寺田は、
美月には、何かニックネームはないのかと訊きました。

特にない、と美月は答えましたが、
綾香という女子が「ミヅホ!」と大きな声で言いました。
小学校低学年の頃、美月はほぼ全員の同級生からそう呼ばれていていました。

寺田の呼びかけで、美月は再びミヅホと呼ばれるようになりました。

5月の第3金曜日に、初めて直樹の家にノートを届けました。

直樹の母親は、直樹が「心の病」になってしまったのは、
去年の担任のせいだと言い、
寺田は、直樹くんのことは僕に任せてください、と言いました。

6月の第1月曜日、クラス全員に牛乳が配られました。
『全国中高生乳製品促進運動』の効果を受け、
県内の全中学校で、毎日牛乳が支給されることになったのでした。

しかし、牛乳を飲むのは寺田だけで、みんなは部活のあとで飲むということにして、
牛乳をカバンにしまい込みました。

その日の放課後、掃除当番に当たっていた修哉の足元に、
野球部の星野祐介が牛乳パックを投げつけ、牛乳が飛び散りました。
祐介は修哉に、おまえ、まったく反省してねえだろ、と言い、
それから修哉に対する制裁が始まりました。

野球部は5月初めにおこなわれた県の新人戦で、私立の強豪校を打ち負かし、
ベスト4に入り、一番活躍したのはエースで4番の祐介でした。

しかし、寺田は、がんばったのは祐介だけだろうか?
祐介と他の8人のメンバー、そして、レギュラーに選ばれなかった補欠部員、
全員に賞賛を送りたいと思う、と言い、
祐介の活躍を喜ぶ楽しい空気に水を差しました。

その不満が修哉に向いたのだと、美月は考えていました。

直樹の家には毎週金曜日に寺田と通っていましたが、
訪問を重ねるごとに直樹の母親の応対時間は短くなりました。
また、直樹の母親は唇が少し腫れていました。

美月は寺田に、家庭訪問をこれ以上続けても、
直樹を追いつめることになるのではないか、
という意味のことを言いましたが、寺田は、
お互い今が正念場なんだと思う、と言いました。

週が明けた月曜日、寺田の提案で直樹に励ましの寄せ書きをすることになりましたが、
教室内には異様な空気が流れ、クスクス笑っている女の子や、
ニヤニヤ笑っている男子もいました。

ある日、全員のケータイに、
修哉に天罰を! 制裁ポイントを集めろ!
というメールが届きました。

制裁ポイントというのは、修哉に対する嫌がらせのことで、
このアドレスに嫌がらせの内容を報告することで制裁ポイントが与えられ、
毎週土曜日に集計し、クラスで1番ポイント数の少ない人は、
翌週から人殺しの味方とみなされ、同じように制裁を受けることになる、
ということでした。

6月の第4週、寺田は数学の授業を学級会に変更し、
このクラスにはいいじめがあります、と書かれた宿題のノートを全員に見せました。

修哉に対する嫌がらせは、学年でも1、2位を争う成績の修哉に対する嫉妬だ、
という意味のことを寺田は言い、説教をしました。

同じ日の放課後、美月は5、6人に取り囲まれ、綾香から、
ウェルテルにチクったのって、ミヅホ、あんたでしょ、と言われました。

美月は否定しましたが、牛乳パックを差し出され、修哉にぶつけたら、
無罪だって信じてあげる、と綾香は言いました。

美月は目を瞑って牛乳を投げ、それは修哉の顔に当たりました。
ごめん……と美月が謝ったのを、綾香が聞き、
犯人はミヅホよ、裏切り者に、制裁を!
と叫び、美月は両腕を後ろから締め上げられ、
牛乳で汚れた修哉とキスをさせられ、ケータイで写真を撮られました。

深夜零時頃、修哉にコンビニの駐車場に呼び出され、
血液検査の結果が書かれた紙を見せられました。
修哉はHIVに感染していないことを示されたのですが、
美月は、知ってた、と言いました。

深夜に修哉と自転車の2人乗りをし、修哉の家に連れ込まれた後、
美月は知っていた理由を話します。
美月は、第1章で直樹と修哉が飲まされた牛乳パックを回収し、
血液に反応する溶液を落とし、血液が入っていなかったことを知ったのでした。

それを黙っていたのは、修哉に対する嫌がらせを軽減させるためでした。

その日、修哉と美月は缶ジュースの飲み回しをし、キスしました。

翌朝、学校に行くと修哉と美月の机に落書きがされていました。
修哉は、自分の子指の先を噛み、昨日美月を締め上げた男子の頬に、
血液をなすりつけました。

また、血だらけになった手で、綾香のケータイを握り、
祐介に、おまえがバカ女そそのかして、俺への嫌がらせ煽ってたのなんて、
バレバレだっつーの、と言い、祐介にキスをして脅し、嫌がらせをとめました。

美月は修哉の家の「研究室」に通うようになり、
7月の半ば、完成した「嘘発見器」を見せてもらいました。
また、猫や犬を殺していたというのは、相手の反応を強くするための嘘だった、
という意味のことを言い、修哉は泣きました。

美月は修哉を抱きしめ、その日、家に帰ったのは、明け方近くでした。

1学期の終業式前日、放課後、寺田は寄せ書きを直樹の母親に渡し、
玄関のドアのすきまに片足を挟み、家の中に向かって、
修哉はクラスメイトからいじめを受けていたが、
寺田の説教のおかげでいじめがなくなった、明日の終業式に必ず来てくれ、
という内容を叫びました。
近所の人たちも、何ごとかと外を覗いていたようでした。

美月はその日、血液検査の結果を書いた手紙を直樹に渡すつもりでしたが、
渡せず、握りつぶしました。

その晩、直樹は「母親を殺しました。
時間短縮された終業式の後、美月は教室に残されました。

美月は寺田の腕に、修哉の作った嘘発見器をはめ、
先生が毎週家庭訪問をしていたのは、直くんのことを思ってですか?
それとも、先制の自己満足のためですか? と訊ねました。

直樹のことを思って、家庭訪問していたんだ、と寺田は言いましたが、
嘘発見器は嘘を告げるアラームを鳴らしました。

校長室に呼び出された美月は、校長や警察に向かって、
寺田の家庭訪問で追いつめられた直樹は母親に暴力をふるうようになっていたのに、
寺田は家庭訪問を控えず、事件の当日は、近所の人たちにまで聞こえるような声で、
直樹を見せ物にした、寺田が愚かな自己顕示欲さえ示そうとしなければ、
この悲劇は起こらなかったはずだ、という内容を話しました。

夏休みにその手紙を書いていた美月は、去年の夏からいろいろな薬品を集めていて、
理科の先生から化学室の鍵を借りて青酸カリを牛乳に入れ、
寺田に飲ませようと考えている、という内容を書きます。

そこまで寺田を憎むのは、美月アホ、の略のミヅホというあだ名のせいでした。
小学校の低学年の頃、直樹だけがミヅホではなく『美月ちゃん』と呼び、
美月は直樹を好きになりました。初恋でした。

美月が森口に、先生は、少年2人を自分が直接裁いたことを、
今どう思ってますか?

と訊ねたところで、2章は終わりです。

というあらすじなのですが、寺田良輝のウザいキャラクターの描写は、
湊かなえさんの本領発揮だな、という感じですね。

ところで、森口は『T市・一家五人殺害事件』こと『ルナシー事件』を毛嫌いしていたのに、
そんな森口に、第二のルナシー事件を起こすつもりだという内容の手紙を読ませて、
美月はどうするつもりだったのでしょうね。

美月は美月でもともと異常だったのが、
事件やいじめをきっかけに表面化してしまった、という感じでしょうか。

この話は3章「慈愛者」に続きます。                  スポンサードリンク

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