西尾維新「ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い」のネタバレ解説

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

戯言遣いシリーズ9冊目にして、最終巻です。

中巻の衝撃のラストの後、いーちゃんは玖渚に会いに、
玖渚のマンションに行きました。

玖渚はいつもの部屋ではなく、
屋上の落下防止用のフェンスの上にいました。
ほんの少しバランスを崩せば、マンションの高さの140メートル分、
落下する位置でした。

いーちゃんは玖渚の隣に座り、話しかけます。

玖渚には、1人では極端な上下移動ができない、という枷がありましたが、
それは誰かにそばにいてもらうためだけに、
自らに課した後づけのキャラ設定だから、
「ああいうのは、もういいんだよ」と玖渚は言いました。

滋賀井統乃(しがい・とうの)こと《屍(トリガーハッピーエンド)》こと
宴九段がいーちゃんに、玖渚が死ぬ、と教えたのを、玖渚は知っていました。

玖渚は《チーム》としての活動をやっていた頃、
西東天と喧嘩していたことがありました。
その時、滋賀井にスパイとして西東の配下に入ってもらったのですが、
玖渚が《チーム》の活動をやめた後も、滋賀井はスパイを続けていたのでした。

玖渚にとって、《チーム》は、いーちゃんの代替品でした。

前巻で玖渚は、いーちゃんに最後の意地悪のつもりで、治ったと嘘をつきましたが、
本当はすぐに、嘘だよ、死んじゃうよ、と訂正するつもりでした。

しかし、玖渚の予想に反していーちゃんが喜んだため、撤回できず、
見たくもない夢を、見ることになってしまったのでした。

生まれてすぐ、ここは僕様ちゃんの生まれてくるべき世界じゃない、
ああ、間違った、と思った玖渚友は、玖渚の兄の直の導きで、いーちゃんと出会いました。

玖渚にはいーちゃんしかいなかったので、いーちゃんを呪いの言葉で縛りました。

いーちゃんは、誰のことを見ても、玖渚のことしか考えられない。

それが玖渚の呪いでした。

玖渚はいーちゃんに、一緒に、死んでくれる? 
と聞きましたが、いーちゃんは「嫌だ」と答えました。

玖渚は、いーちゃんの友達である橙なる種のことだけは、助けてあげてね、と言いました。

そして、「いーちゃん、嫌い」と言って呪いを解き、
フェンスの内側に飛び降り、歩いていきました。

残されたいーちゃんのところに、零崎人識がやってきました。

人識の運転でアパートに帰る途中、いーちゃんは人識の身の上話を聞きました。

零崎はある日突然、殺人鬼になるのですが、人識は例外で、両親が殺人鬼でした。

人識が記憶力を獲得する前に、両親は既に死んでいて、人識は一賊の人間に育てられました。

しかし、この巻が始まった時点で、人識ともう1人を除いて、零崎一賊は全滅していました。
その辺の話は、スピンオフの零崎シリーズで詳しく語られています。

いーちゃんは人識に、真心にかけられた鎖が、そろそろ、完璧に解けると言いましたが、
人識は、多分、無理だぜ、と言いました。

真心に≪操想術≫を使った時宮時刻は、
『呪い名』の最上位である《時宮》からでさえ、追放された人間なのだそうです。

アパートに戻ると、骨董アパートが、倒壊していました。
大きなものから小さなものまで、完膚なきまでに、2つ以上のカタチに分解されていました。

いーちゃんはアパートの住人を心配して素手で掘り起こそうとしますが、
そこへ「クビシメロマンチスト」に登場した京都府警捜査一課の刑事、
斑鳩数一(いかるが・かずひと)が現れました。

斑鳩は、浅野みいこも、闇口崩子も、魔女の七々見奈波(ななななみ・ななみ)も、
筋肉爺の隼荒唐丸(はやぶさ・こうとうまる)も、アパートの住人は全員無事で、
全員が口を揃えて、事件じゃないと言い張っていて、病院行きだったと言いました。

その中に想影真心は含まれていませんでした。

アパートを倒壊させたのは、真心の仕業だといーちゃんは考えます。

斑鳩はいーちゃんのことを「怖い」と言い、
いーちゃんに向かって、どっか行っちゃえよ、と言った後、去っていきました。

斑鳩がいる間、隠れていた人識が戻ってきて、
生きるってのは、どういうことだと思う? と訊きました。

人識は生きるというのは、≪生きていると思うこと≫だと、最近、思ったのだそうです。

そんな話をしていると、絵本園樹が運転する白いベンツに轢かれそうになりました。
助手席には右下るれろも乗っていました。

いつものようにメンヘラっぷりを発揮した絵本を、人識は怖がっていました。

右下るれろは、時刻の旦那を――なめていた、と言いました。

時宮時刻は、真心に、右下るれろと奇野頼知の≪呪縛≫が解ければ発動する、
二重の操想術を施していたのでした。

ベンツの後部座席には、西東天と、哀川潤が乗っていました。

西東、哀川、絵本、右下るれろ、人識、いーちゃんの6人は、
木賀峰助教授の研究室で、元西東診療所に場所を移して話し合いを始めました。

西東は人識のことを、汀目俊希(みぎわめ・としき)という名前で呼びましたが、
人識は、零崎人識だと訂正しました。

また、人識は哀川に、あんたとの約束は、守ってる、多分あいつも、そうだ、
と思わせぶりなことを言いました。
この辺の伏線はスピンオフの零崎一賊シリーズで回収されます。

真心の話を始める前に、昨日の夜から完徹だった人識は、
眠いと言って、2階のベッドで寝ることになりました。

部屋を出る前に、零崎一賊が全滅したっつーのはてめーの仕業か?
と人識は西東に訊き、西東はそれを認めました。
真心の力試しの相手にしたのだそうです。

人識は2階に行き、そしてようやく、右下るれろは説明します。
るれろは、真心が≪十三階段≫の監視下から逃げ出す際、たまたま、
時宮時刻が席を外していた、という不自然に気づき、思い出しました。

奇野と右下るれろと時宮時刻が真心に≪術≫を施し、三本の鎖をかけた直後、
時宮時刻は真心のことを≪世界の終わり≫の一つの形だと言いました。

橙なる種は、本当はあんなものじゃないんじゃないか、と時宮時刻は言いました。

橙なる種は、いーちゃんが与えた気弱で弱気な性格のせいで、
自分で自分に無意識のセーブをかけているのだそうです。

そんなのはあまりにも、可哀相だ、と時宮時刻は言いました。

そして昨日、10月31日に、一里塚木の実から、
時宮時刻の企てを捕捉しました、という連絡が入りました。
木の実は澪標姉妹を使用して、時宮時刻を拘束すると言いました。

時宮時刻は、真心の、解放を、目論(もくろ)んだらしいです。

真心の心臓の鼓動を基調に、真心は操想術をかけられていました。

操想術にかかりっぱなしで、それがニュートラルな状態だったのです。

真心が心から解放された状態で望むのは、西東、ERシステム、
いーちゃんの3つだろう、という話になりました。

西東が、真心に大人しく殺されるしかない、と言うと、
哀川はマジで楽しそうに笑いました。
しかし、あれだけ派手に真心に負けた癖に、いつまで人類最強を名乗ってるんだ、
と西東が言うと、哀川は必死に言い訳をしました。

西東は、真心が存在として≪世界の終わり≫なのだとしたら、
「俺もくだらんものを追い求めてきたものだ」と言いました。

その言葉を聞いたいーちゃんは、もしも西東が、これを機会に、
≪世界の終わり≫≪物語の終わり≫について、≪くだらない≫と言い、
見切りをつけるというのなら、この件、ぼくが何とかしてもいい、と言いました。

しかし、西東は、できない約束はしない主義だ、
生きている以上、世界の終わりを物語の終わりを、諦めることはできない、
と言いました。

眠って起きた後、人識はいーちゃんに、時宮時刻の対策について、
≪もしも彼を敵に回してしまったら、何も見ないこと≫
とアドバイスをくれました。

また、零崎の≪家族≫である、兄と妹の話や、
≪汀目俊希≫というのは普通の中学生をやっていた頃に使用していた名前で、
匂宮出夢と知り合ったのも、中学校、卒業間近の頃だった、という話を、
人識はしました。
この辺の伏線も、零崎一賊シリーズで回収されます。

その後、木の実から右下るれろに、時宮時刻を拘束しました、という連絡がありました。

場面が変わり、11月2日、水曜日、午後4時に、
いーちゃんは本屋で一里塚木の実と待ち合わせをしました。

木の実は図書館で詩集でも読んでいそうな、真面目で、上品そうな女でした。

木の実は、玖渚機関の傘下の1つである壱外とは、少なからぬ縁があると言い、
いーちゃんは、じゃ、6年前、どっかで顔を合わせているかもしれませんね、
と言いました。

また、木の実の≪空間製作≫と、いーちゃんの≪戯言≫は、
基本的に同じ仕組みに基づいて構成されているものだ、という話をします。

木の実は、中巻の終盤で、
澪標姉妹がいーちゃんを襲う手助けをした経緯について説明します。

木の実は≪十三階段≫の内部調査をし、時宮時刻の歪みに気付き、
右下るれろに連絡を入れた後、逃走した時宮時刻を追わなければなりませんでした。

しかし、木の実も≪呪い名≫相手に1人で立ち向かうほど自信家ではなく、
いーちゃんの存在を利用し、澪標姉妹に手伝ってもらうことにしたのだそうです。

澪標姉妹に協力を要請したとき、彼女達は十二代目古槍頭巾を拷問しているところでした。
木の実はそんな彼女達のことを「お馬.鹿さん」と評しました。

澪標姉妹は古槍頭巾から、御苑でいーちゃんと会うことを聞き出していて、
澪標姉妹がいーちゃんに復讐する手伝いをする代わりに、
時宮時刻の探索を手伝ってくれるよう、依頼したのだそうです。

その一方で、いーちゃんが死なずに済むよう、木の実は宴九段に連絡を入れていました。

澪標姉妹には、≪チャンスは一回だけ、失敗しようが成功しようが、
次は時刻さんの探索に移行する≫と、西東の名前で約束していたのだそうです。

時宮時刻を捕らえた後は、西東診療所に戻って、
西東をガードするよう言ってあるのだそうです。

昔の知り合いを思い出す、といーちゃんがぼかして言うと、木の実は、
萩原子荻さんですか? と的中させ、木の実も澄百合学園の出身で、
素行不良が原因で高等部2年次で退学になった、という話をしました。

烏丸通りの信号を渡って、更に数十メートル歩き、
時宮時刻が軟禁されているビルディングに到着しました。

4階のデッドスペースを≪空間製作≫し、独立させてあるのだそうです。

いーちゃんは1人でその部屋に行き、床に打ち付けられた大きな釘に、
手錠で両腕を固定された男、時宮時刻と対面します。

時宮時刻は手拭いで目隠しされていましたが、いーちゃんにすぐ気付き、
自己紹介をした後、目隠しを、外して欲しい、と言いました。

しかしいーちゃんは、相手が素人ならば目を合わせただけでも操想術を施すことができる、
と木の実に言われていたので、断りました。

時宮時刻は、橙なる種を、可哀相だと思ったのは、本当だ、と言いました。

また、西東のことを亡霊だと言い、
西東天自身、既に≪世界の終わり≫と言えるんじゃないだろうか?
と時宮時刻は言いました。

時宮時刻は、抑圧から解放された橙なる種は、きみ達を、殺すだろう、と言いました。

≪解放≫の操想術を解除する方法はあるかと訊ねますが、ないと断言されました。

いーちゃんは、西東や時刻のやっている、世界を終らせようとする試みが、
徒労にしか思えないと言います。

だって――世界って、終わらないじゃないですか、といーちゃんは言います。

いーちゃんは、様々な人に「あなたにとっての世界の終わり」を質問したが、
その答は見事にばらばらで、時刻や西東が終わらせようとしているのも、
矮小な――個人的な世界なんじゃないか、という意味のことを言いました。

井底の蛙扱いされた時宮時刻は不愉快だと言います。

いーちゃんは真心を助ける方法を訊きましたが、そんな方法はないと時刻は言いました。

いーちゃんは、ヒントはつかめた、と言い、時刻の手拭いを外し、目を合わせました。

時刻の術は、強い心を持つ、いーちゃんのような人間んには通じません。
いーちゃんは、ぼくは正義の味方になってやる、と言い、
「あなたはとっても、弱いんだ」と呪いの言葉をかけました。

木の実と再会したいーちゃんは、時刻について、もう操想術は使えないと思いますよ、
と言い、西東には内緒で、真心を見つけてほしいと木の実に頼みました。

時刻と話したいーちゃんは、違和感に気付いていました。

真心がアパートを完全に破壊した件について、その破壊があまりにも精密過ぎるし、
アパートの敷地内のものだけを破壊しているという精確さや、
住民達の怪我も大したことないという被害の少なさは、
≪解放≫という点においては矛盾する、
という意味のことをいーちゃんは言いました。

また、≪解放≫されてから40時間以上が経過しようというのに、
今こうしていーちゃんが生きているという事実も、おかしいことでした。

場面が変わり、いーちゃんは西東診療所に戻ります。

いーちゃんは哀川のことを「甘い」と評価し、
10年前ならいざ知らず――今のあの人に、人を殺せるわけがない、と考えていました。

澪標姉妹は、いーちゃんが木の実と街に出ている間、人識とひと悶着あり、
前回と同じ結果になって、いきなり襲いかかってくることはありませんでしたが、
いーちゃんにからんできました。

澪標姉妹は古槍頭巾を殺したことについて、なんとも思っていませんでした。
人間の生命を奪うことを、何とも思っていない殺し屋でした。

いーちゃんは、西東診療所での生活を10日間続け、
11月12日に、真心さんが見つかりました、と木の実から連絡がありました。

買い出しに出る振りをして、いーちゃんは倒壊したアパートの現場に行きました。

真心は空間を製作していた、という意味のことを木の実は言いました。

空間製作は、ただの技術で、基本的には、誰にでもできることだ、と木の実は言います。
木の実は例として、いーちゃんの右手を両手で取って、自分の胸元に押しつけた後、
踏まれた右足の感じをいーちゃんに訊きましたが、
いーちゃんは右足を踏まれたことに気付かなかったようで、
答えることができませんでした。

空間製作は≪意識の空白≫を作るものなのだそうです。

その後、木の実は、澪標姉妹に対するあなたの態度を見ていると、
わたくしは疑問を憶えなくもないのです、
もしもあなたが――殺し屋として育てられた澪標深空と澪標高海を、
可哀相だと思っているのなら――それは筋違いというものです、と言いました。

しかしいーちゃんは、「クビツリハイスクール」に登場した西条玉藻に言われた、
あなたにはあたし達に匹敵する理由があるのか、という言葉を引用し、
ぼくには、ありません、ぼくにはわからないんです、
わからないから――文句のつけようが、ない、と言いました。

それを聞いた木の実は、澪標姉妹がどうしてあなたを殺さないのか、
納得した、という意味のことを言いました。

その後、真心がいたのはアパートから目と鼻の先の、北野天満宮だと木の実は言い、
ずっとそこにいたみたいだと言いました。

木の実は真心の前で何度か空間製作を披露していたので、
見様見真似で、パクられてしまいました、と木の実は言いました。

いーちゃんは真心のことを、一回見たモノなら、なんでもコピーできる、
完全生物だと言いました。

しかし木の実は、作られし最終人類だとすると、
哀川潤のような20代半ばの体型になるのが普通だが、
真心はティーンエイジにも乗らないような小柄な体型をしているのが説明がつかない、
という話をしました。

いーちゃんは1人で北野天満宮の敷地内に入り、
死体のような状態の真心を見つけました。

目の下に、黒々とした隈(くま)が、刻まれていて、服装も、ぼろぼろで、
裸足で、全体的に汚れていて、鮮やかだったオレンジ色の髪も錆色になっていて、
三つ編みはバラバラに解けていて、もつれ合っていました。

いーちゃんが真心に呼びかけると、
飲まず食わずでぼーっとしてりゃ死ねるかと思ったけど、
やっぱそう簡単にはいかないみたいだ、と真心は言いました。

真心は天満宮の奥の方まで歩き、石に腰を下ろし、
遠回りな自殺をしてると言いました。

真心はアパートの人達を気にしていて、もう――元には戻らないのかな、
家族みたい、だったのに、あのアパートは――家みたいだったのに、
家族も家も――俺様にはないものだから、壊しちゃったのかな、と言いました。

また、心臓に施されていた操想術は、もう解除したと言いました。

心臓のリズムを振り子に術をかけられているというのなら、
その心臓のリズムを狂わせればいい、
その辺のクルマからバッテリーをパクって、俺様の心臓に通電させた、
と真心は言いました。

時宮時刻の技で全てが解放されるほど、真心が自分にかけている呪縛は、
薄くはないので、意識を全て、操想術によって支配されてなかったのでした。

真心は、俺様があんなことをしでかしたのは、あいつに操られていたからじゃない、
れは、俺様が望んでやったことだ、俺様は許せなかったんだ、
ああいう……みんなとの、穏やかな生活が、と言いました。

そして暴走しましたが、自分の本音があんなものだったことを認められず、
遠回りな自殺を図ったのでした。

なあ、いーちゃん、生きてることが、つまんねーよ、と真心は言いました。

しかしいーちゃんは、玖渚とのことを話し、
喧嘩をするべきだったんだよ――言いたいことを、言えばよかったんだ、ぼくは、
と言いました。
玖渚だってそうだ、でも、ぼく達は、最初にボタンを掛け違っていたから――
もう別離するしか、死別するしかなかったんだ、と言いました。

抑圧から解放されて本音を言うのは、決して悪いことじゃない、といーちゃんが言うと、
真心は、幸せな奴なんか、全員、死んじゃえばいいんだ、と言いました。

しかし、いーちゃんがここから帰って、二度と会えなくなって、
真心を助けられなくてもいいのか、という意味のことを言うと、
真心は、さっきからずっと――助けてくれって言ってんのが、
わかんねーのか、この役立たず! と言いました。

いーちゃんは、お前がやり終えていない人間が、この世界に1人だけ、いる、
お前はまだ、哀川潤と――決着をつけていない、と言いました。

いーちゃんは絵本園樹に電話し、西東に電話を代わってもらい、
哀川さんと真心――もう一度戦えば、今度はどちらが勝つと思いますか? と訊きました。

真心だ、決まっている、と言った西東に、いーちゃんは、
真心が勝ったらぼくが死にますから――哀川さんが勝ったら、
あなたが死んでください、ぼくが、あなたを殺します、と言いました。

西東は初めて、西東天という名前をいーちゃんに名乗り、
いーちゃんも「×××××」と本名を名乗りました。

「×××××」は原文ママで、原作でも伏せられています。

いーちゃんの本名を明かすタイミングがあったとしたら、
戯言遣いシリーズ全体でこの瞬間だけだったと思うのですが、
結局、最後までいーちゃんの本名は不明なままでした。

その後、人識は妹の面倒をみると言って、西東診療所を出て行きました。

また、西東は、≪十三階段≫を解散する、昨日――俺の中で、明楽が死んだ、
だから――≪十三階段≫はおしまいだ、と宣言しました。

西東は診療所を出て行き、木の実も右下るれろも、
西東を追いかけるのではなく、諦めて出て行きました。

澪標姉妹は待合室の隅に、膝を抱え込んでいましたが、
辛気臭いから追い出そうよ、と絵本園樹が言うと、それが聞こえたのか、
澪標姉妹は立ち上がり、お世話になりあました、
迷惑ばかりかけて、ごめんなさいでした、殺しかけたこと、許してください、
といーちゃんに言い、故郷に帰っていきました。

去り際、狐さんなんてもういいんです、と澪標姉妹は言いました。
惚れられたねっ! と絵本は言い、邸宅に帰っていきました。

建物の中には、哀川潤と、いーちゃんだけが残りました。

いーちゃんは哀川に、真心にとって、あなたが≪姉≫としての存在ではなく、
≪親≫としての存在であることは間違いないんです、
真心に、≪お前は生きているんだ≫ってことを教えてあげることができるのは、
潤さんしかいないと言いました。

いーちゃんは哀川潤が勝つ方に賭けていると言うと、
哀川は、先月、どこで何をしていたのか話してくれました。

いーちゃんから逃げている西東に同行しているうちに、
西東を殺すタイミングを10年前に逃していたことに気付き、
どうやったところで、こいつは殺せないんだ、と気付いたのだそうです。

その後、いーちゃんは玖渚の話をしますが、やり直せばいいじゃねーか、
と哀川はあっさりと言いました。

玖渚が長くないことは哀川も知っていましたが、
生き残る方法が、ないでもないんだろ?
十万回に1回しか起きないことは1回目に起きる――千兆回だって、
それ以上だって、おんなじことだよ、
あたしは玖渚ちんが死ぬなんて、今んところ全然信じてねーぜ? と言いました。

玖渚が、自分の才能を、全部放棄すれば、方法はある、
でも、それは玖渚にとって、苦しい決断だ、という意味のことを、
いーちゃんは言いました。

玖渚ちんのこと、振られた今も――好き? と哀川に訊かれ、
大好きです、嫌ってほど好きで――憎たらしいほど愛してる、
といーちゃんは答えました。

ハッピーエンド以外は認めねえっつーの、と哀川は言いました。

その日の夕方、いーちゃんは石丸小唄と落ち合い、
拳銃のジェリコ941の弾丸、41AEを1ダース手渡されました。

決戦の場は、澄百合学園です。

第二体育館に、いーちゃん、哀川、真心、西東が揃いました。

真心は目の下に刻まれた隈は残っていましたが、
オレンジ色の髪を三つ編みにし、黒いスパッツに黒いタイとシャツを着ていました。

あんたなんかがいなきゃあ、俺様はいなくて済んだんだからな、
俺様の他にも、犠牲になった奴らが、俺様の5000倍ぐらい、いたんだ、
全員――あんたのせいで苦しんで、あんたのせいで死んでいった、
俺様は、あんたを許せない、と真心は哀川に言いました。

しかし哀川は、一人称が≪俺様≫だっていうキャラの立て方はイマドキかなり寒いと言い、
生きてるのがつまらねえっつーんならあたしがきっちり殺してやるから
さっさとかかってこいや、俺様ちゃん、と言いました。

真心が叫んで動き、戦闘が始まります。

しかし、真心の攻撃を食らっても、哀川は耐えていました。

真心は、匂宮出夢の技、≪一喰い(イーティングワン)≫を使いますが、
破られてしまいます。

大人と子供の、リーチの差があるため、哀川の方が優勢になります。
哀川と真心では、手足の長さが、倍くらい違うのです。

なんで? 前に2人が戦ったときは、あんなに秒殺だったのに、
といーちゃんが言うと、俺の娘もまた――自分で自分を抑圧し、呪縛していた、
と西東は言いました。

そのうち、哀川は、このリーチの差は、ちぃっとばっか≪卑怯≫って感じだ、
と言い、思い切り低く腰を沈め、膝は直角に近い角度まで折り曲げて、
長い両腕も、胸の辺りにそろえ、手足とタッパを真心のサイズに合わせてあげました。

真心は怒るかと思いきや、笑い、哀川に飛び掛かります。

哀川も真心も笑いながら戦闘し、流血し、骨を折り、それでも笑っていました。

西東は哀川のことを、あいつは根っからの主人公体質なんだぜ、
昔っから――1度負けた相手に、2度と負けたことはないと言い、
いーちゃんを体育館の外に連れ出しました。

明楽の形見である狐の面は供養に出したと西東は言い、
≪無銘≫を持ってきているかと訊きました。

西東は12代目古槍頭巾の≪普通≫を欲していたと言い、いーちゃんは、
いーちゃんが生き残ったら≪無銘≫を11代目古槍頭巾の墓前に供えるから、
西東が生き残った場合は、同じようにしてほしいと約束させました。

また、ルールの確認で、哀川と真心が引き分けの場合は、どうする、
と西東に訊かれ、2人とも死にましょう、といーちゃんは言いました。

西東は今のこの状況が、10年前、西東と純哉と明楽と哀川が対立し、
殺し合いになったときと、違うのに似ていると言い、
これだけ手を尽くして、ようやく辿り着いた境地が――10年前と、同じなんだ、
だったら――もう、俺はどう足掻いても、ここまでしか辿り着けないということだろう、
と言いました。

いーちゃんは、「クビキリサイクル」から「ヒトクイマジカル」までの事件を語り、
あなただけだ、あなただけが――ぼくを敵と言ってくれた、と言いました。

決着のシーンを見るために体育館に戻ると、哀川と真心はいなくなっていました。

血の跡を辿り、校舎の中に入ると、校舎内のあちこちが、壊れ、
血しぶきが花のように散っていました。

最上階の廊下で、赤色と橙色は向かい合っていました。
2人とも満身創痍で、血まみれで、傷まみれでした。

真心は血混じりの声で、あんたは、生きてることが――つまらなくないのか、
と哀川に訊きました。

すると哀川は、歯ごたえがなくて、つまらねーさ、だからしょーがねえから、
あたしが盛り上げてやってんじゃねえか……はははっ!
その甲斐あって、あたしは大抵の場合、楽しくて楽しくてたまらねえぜ!
と言いました。

真心は、こんなの、ただ、痛いだけで、死にそうな、だけじゃないか、
と言いましたが、哀川は、死にそう? だったらてめえ――生きてんじゃねーかよ、
と言いました。

哀川は、真心のことを今日から友達だと言いましたが、
今から俺様に殺されるから友達にはなれない、という意味のことを真心は言い、
戦闘が再開します。

2人は身体ごと――全身全霊、ぶつかりあい、哀川は真心の首に腕を引っかけ、
倒れそうになります。
真心は血まみれの床に裸足の足を滑らせ、真心が哀川の下敷きになるように、
廊下に倒れ込みました。

そして、折れた腕で、折れた脚で、「哀川潤が立ち上がりました。

西東は哀川のことを最強と認め、誰に恥じるところのない――俺の自慢の娘だ、
と言いました。

それを聞いて、哀川はまたも、倒れました。

サイズの違いから来る、身体の中の血液の量の差が、
最後の最後の最終に――利いたって感じだな、と西東は言いました。

どうして、哀川さんじゃなくて……真心が勝つ方に、賭けたんですか?
といーちゃんが訊くと、この娘は、敵に回したときの方が面白い、と西東は言いました。

哀川が勝ったので、いーちゃんは約束通り、西東を殺そうとします。

拳銃のジェリコを西東の鼻先に突きつけますが、いーちゃんは怖気づきます。

西東は、それならそれでいいだろう、俺はまた、新たに≪十三階段≫を組み直し、
世界の終わりを求めるだけだ、俺を止めたければ俺を殺すしかない――それともお前、
俺の企みに、一生付き合うつもりかよ、と言いました。

西東はいーちゃんに、お前は一体、これからどこへ行くんだ、と問います。

いーちゃんは、ぼくはもう、どこにも行かない――家に帰るんだ、
と言って、引鉄を引きました。


場面が変わります。

4年が経過しました。

アパートの跡地に建てられた6階建てのマンションの、いーちゃんの部屋に、
桜庭高校の女子高生が、いーちゃんの名刺を持って訪ねてきました。

女子高生は、本名朝日(ほんな・あさひ)という偽名を名乗ります。

朝日とコーヒーショップで待ち合わせをし、
名刺を誰からもらったのかと訊きました。

朝日は、ネットの友達のリンクスからもらったと言います。

いーちゃんは名刺を朝日に返し、権利は一度しか行使できないから、
きみはもうこの名刺を使うことはできないが、誰か、
きみの周りで困った人がいたときに、その名刺をプレゼントしてあげればいい、
という意味のことを言いました。

いーちゃんは請負人を名乗り、女子高生から話を聞きます。

桜庭高校では半年前に屋上から瀬戸瀬(せとせ)いろは、
という生徒が屋上から飛び降りて亡くなっていました。

朝日は瀬戸瀬に苛められていて、
それを朝日の兄が知ってすぐに瀬戸瀬が飛び降りたことから、
朝日の兄が瀬戸瀬に自殺を強要したのではないか、
と生徒から疑われているのだそうです。

桜庭高校は男子部と女子部が分かれていますが、
その壁を越えて、兄が女子部の中で、瀬戸瀬と言い争っているのを見た、
という証言があったのだそうです。

また、中学生や小学生のときも、こんなことがあり、兄が犯人でしたが、
兄なら、自分の手で、やるはずです、と朝日は言いました。

それを聞いたいーちゃんは、朝日の兄の潔白を証明するという条文で仕事を受け、
話し合いで、解決しよう、と言いました。

朝日と別れ、いーちゃんは「レストランで哀川と待ち合わせます。

真心はずっと哀川と一緒にいたのだそうですが、反抗期になり、
今は石丸小唄のところに、旅に出したのだそうです。

また、春日井春日が失踪したから捕まえてくれ、と哀川は赤神イリアに依頼されていました。

4年前、別れてから、いーちゃんは人識とは会っていませんでした。

澄百合学園の跡地は一度更地になり、檻神財閥がまっとうな学校を作るのだそうです。

お前、どうして4年前――引退しようと、思わなかったんだ? と哀川は訊きましたが、
続けてないと、昔のこと、忘れちゃいそうでね、といーちゃんは答えました。

哀川はいーちゃんに、親父がまた――何か、するつもりらしいぜ、と伝えました。
構いませんよ、ならばまた、邪魔するだけです、一生付き合うって、決めましたから、
といーちゃんは答えました。

哀川と別れ、回想です。
澄百合学園での戦闘の後、いーちゃんは大学を辞め、
哀川の真似をして、請負人になることを選びました。

浅野みいこは、26歳で、まだフリーター。
闇口崩子は、暗殺者としての能力をほとんど喪失しましたが、いーちゃんの仕事を、
色々と手伝っています。

職場件自宅のある、マンションの六階へ戻ると、真っ黒な髪で、
右目だけがかろうじて青い玖渚が立っていて、おかえりなさい、いーちゃん、と言いました。


というあらすじなのですが、結局、いーちゃんは西東を「殺さなかったのでした。

拳銃の引鉄は引きましたが、わざと狙いを外していたとか、
そういうことだったのでしょう。

玖渚が生き残った件については、作中でほとんど説明はありませんが、
青色サヴァンの能力を喪失することで、命は助かった、ということなのでしょう。
玖渚が死ぬと散々引っ張ったわりに、あっさりとした結末ですが、
狙ってやっているのでしょうね。


戯言遣いシリーズはこれで完結ですが、この後もスピンオフの、
零崎一賊シリーズや、人類最強・哀川潤シリーズという形で、物語は続いていきます。 見やすい記事一覧はこちらです。
                 スポンサードリンク

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

新世界より(上) (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
ネタバレ部分は白字にしてあるので反転してお読みください。
荒らし対策のため、コメントを承認制に変更しました。承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年11月9日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。