知念実希人「あなたのための誘拐」のネタバレ解説

あなたのための誘拐


平成23年、ゲームマスターと名乗る誘拐犯が
高輪台(たかなわだい)で女子中学生を誘拐し、
警察に通報するように女子中学生の家族に指示しました。

ゲームマスターは、
40歳の刑事の、上原真悟(うえはら・しんご)に身代金を持たせると、
制限時間を区切って東京中を走りまわらせました。
しかし、午前10時から午前0時まで、
14時間も走り続けた上原は体力の限界に達し、
代々木公園で12秒間に合いませんでした。

そして、翌日、人質だった中学生は荒川の河川敷で、遺体で発見されました。

遺体を見た真悟は自分のせいだと己を責め、
警察を退職して独自にゲームマスターを追いました。

事件が起こる半年ほど前から、
真悟は部下の加山楓(かやま・かえで)と不倫関係にありました。
しかし、事件のせいで楓との関係が悪くなり、事件から半年後に、
真悟は一方的に別れを告げました。

容疑者として浮上したのは、
荒川区に住んでいた桃井一太(ももい・いちた)という22歳の無職の男でした。

桃井一太は事件の1ヶ月ほど前、裏で流れているプリペイド携帯電話を
20個ほどまとめ買いしていました。

桃井一太は高校卒業後に警察の採用試験を受け続けましたが、
ことごとく不採用となりました。
夢に破れた桃井一太は親が所有するアパートの一室に籠もり、
インターネットの掲示板などに警察に対する逆恨みを
書き連ねる生活を送っていました。

真悟は桃井一太の部屋の向かい側のアパートを借り、
桃井一太の部屋を見張っていました。

それから2週間後、桃井一太は自室で首吊り自殺をしました。

真悟は生ける屍のような状態になり、半年後には妻と離婚しました。

誘拐事件から4年後の、平成27年10月31日、
警視庁本部庁舎6階にある、刑事部捜査一課特殊班係に、
高輪署管轄内で誘拐事件が発生したという電話がきました。

その電話を取った加山楓(かやま・かえで)は、
オペレーターから詳細を聞きます。

佐和奈々子(さわ・ななこ)という白金(しろかね)高輪に住む
17歳の高校3年生が誘拐されました。

マル被(犯人)から、娘を返してほしければ5000万円用意しろと
奈々子の母親に電話があったのだそうです。

マル被が通報を指示し、2時間以内にまた連絡する、
捜査員と家で連絡を待つように指示したのだそうです。

また、マル被は、自分は“ゲームマスター”だと名乗っていました。

加山は、我那覇(がなは)、若林という男性刑事と一緒に、
佐和奈々子の自宅へ行き被害者対策をすることになりました。

自宅に行くと、佐和奈々子の母親の真奈美はいましたが、
真奈美の夫は名古屋に出張中でこちらに戻っているところでした。

やがて犯人から電話があり、ゲームマスターの指示で楓は電話に出ました。

ゲームマスターは、君も僕を偽者だと思ってるでしょ? と言いました。

ゲームマスターは、僕こそがゲームマスターだと言い、
桃井一太はスケープゴートだと主張しました。

ゲームマスターは、4年前の事件のときも、
楓が被害者の家にいたということを知っていました。

ゲームマスターは最初の要求として、正午までに上原真悟を呼べと言いました。
真悟はもう警察を辞め、警備員をやっていましたが、
ゲームマスターはそのことも知っていました。

場面が変わり、上原真悟は大学2年生の娘の水田優衣(ゆい)と
表参道のカフェで会っていました。

苗字が違うのは、離婚して優衣が元妻に引き取られたからでした。

毎月1回、真悟は優衣と面会していて、今日がその日でした。
優衣は真悟のことを“お父さん”ではなく“真悟さん”
と呼ぶようになっていて、よそよそしい態度でした。

真悟は優衣に、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ、と言いましたが、
そのとき、楓から電話があり、ゲームマスターが誘拐事件を起こしたと知らされ、
優衣に1万円札を渡して佐和奈々子の家に行きました。

奈々子の父親の佐和好嗣はもう帰宅していました。

真悟は奈々子の母親の真奈美に頼み、奈々子の部屋を見せてもらいます。

その際、最後に娘と会ったのはいつかと訊ねると、
昨日の夕方、午後5時ごろだと真奈美は答えました。
今日が創立記念日で、奈々子は友達の家に泊まって、
勉強すると言って出かけたのだそうです。

真奈美に出て行ってもらい、1人で奈々子の部屋を調べると、
“ユメキス”というロックバンドのポスターが貼ってありました。

ゲームマスターからボイスチェンジャーで声を変えた電話があり、
本物だという証拠を見せると言い、電話が切れました。

続いて、真悟のスマートフォンに非通知でゲームマスターから電話があり、
『ミッション・インコンプリート』という、
4年前にゲームマスターが最後に言った言葉を言われました。

報告書にも書かなかったので、それを知っているのは、
真悟とゲームマスターだけでした。

真悟は、いま話している相手がゲームマスターだと確信しました。

ゲームマスターは、14時までに池袋のジュンク堂書店に、
身代金をリュックに入れて真悟が持ってきて、と最初の指示を出しました。

しかし、指揮本部は、刑事を辞めた真悟に重要任務を任せられるわけがない、
と揉めていて、本部からの指示が遅れていました。

特殊班の担当管理官の近衛司(このえ・つかさ)警視は、
5年近く真悟と働いたことがあり、他の幕僚たちを説得し、
身代金の搬送を上原真悟に任せると結論を出させました。

池袋のジュンク堂書店で待っていると、ゲームマスターから電話があり、
ルール説明がありました。
真悟がゲームマスターの指示を最後までクリアーできたら、
真悟は一番欲しいものを手に入れるのだそうです。

最初のゲームの制限時間は、この通話を切ってから5分後です。

その書店の中を走らせると言い、ゲームマスターは、
私の靴は走るのには適していない、走ったら簡単に脱げちゃうかもしれないし、
それ以前にバラバラに砕けちゃうかも、
午前零時までに見つけてね、そうじゃないと、
あなたはもう私が私だって分からなくなってしまう、
零時までが魔法の時間、とヒントを出しました。

真悟はそのヒントが『シンデレラ』を意味していると判断し、
8階の児童書のコーナーに行きました。

電子音が聞こえていて、『シンデレラ』の本を引き抜くと、
携帯電話が鳴っていました。

その通話ボタンを押すと、ゲームマスターは、
ミッション・コンプリートだと言いました。

ゲームマスターは、2020年にはこの東京でオリンピックがあるね、
たのしみでしかたなくて、頭の中が未来にタイムスリップしちゃっているんだ、
と言った後、15時半までに、この東京で一番魚が集まるところに行ってもらおうかな、
と言いました。

真悟は築地に行きましたが、そのことをゲームマスターに伝えると、
カジキはサメに食べられちゃったからね、年寄りが一人で漁に出たりするからだよ、
もし少年が一人乗っていたら、大物を水揚げできたのにねぇ、
ゲームマスターはヒントを出しました。

さらに、カーンという音が聞こえ、質問は「誰の?」だよ、
「タメ」はひらながじゃなくて漢字だ、とゲームマスターは言いました。

そこに隠してある別の携帯電話に、15分後に連絡を入れる、と言いました。

東京オリンピックがある2020年には、築地の魚河岸は豊洲に移転しているはずで、
ゲームマスターが行けと指示していた場所は豊洲だと真悟は気付きました。

それを聞いた近衛はオートバイ追跡部隊の「トカゲ」に、
真悟を豊洲に運ぶよう指示しました。

また、カジキマグロはサメに食われて水揚げできなかった、
というのは「老人と海」という小説の内容だと近衛は真悟に伝えました。

「老人と海」の作者はアーネスト・ヘミングウェイで、
ヘミングウェイが書いた「誰がために鐘は鳴る」が、
ゲームマスターの指示した場所だと真悟は判断しました。

豊洲にある一番規模が大きい「ららぽーと豊洲」の3階にある紀伊国屋書店に向かいますが、
「タメ」が漢字だというゲームマスターの言葉を思い出し、
映画の「誰が為に鐘は鳴る」だと真悟は気付きました。

「誰が為に鐘は鳴る」を上映している映画館に行くと、
背もたれのそこで携帯電話が鳴っていました。

指示はそこに封筒が貼ってあるから、中の便箋を見て、とゲームマスターは言いました。

封筒の中には便箋が1枚と携帯電話の電池、
コインロッカーのものらしき小さな鍵が入っていました。

便箋には定規を使って書かれたカクカクとした文字で、
18時までに代々木八幡にある喫茶「ケイト」に水田優衣を呼べ、
という内容がカタカナで書かれていました。

場面が変わり、午後5時48分に、
真悟は代々木公園のそばにある“ケイト”という名の喫茶店で優衣と待ち合わせました。

優衣が来ると、ゲームマスターから電話があり、
真悟が娘に隠していることを10分以内に全部娘に告白すればゲームクリア―、
という内容を言われました。

真悟は優衣に、膵臓癌(すいぞうがん)が見つかったと告白しました。

去年の9月に、このまま治療を受けなければ余命は半年ほどだが、
化学療法を受ければさらに半年ほど延命が可能だと説明されていました。

抗癌剤を投与することで背中の疼痛が弱くなる可能性があると説明され、
真悟は化学療法を選択しました。

現在も週に1回は抗癌剤の点滴を受けに通院していますが、
癌は大きくなってきていて、残された時間は半年はないだろうと主治医は告げました。

しかし、ゲームマスターは、まだ隠していることがあると言います。

楓から、特殊班の刑事として、するべきことをしてください、
というメールが届き、真悟は楓と不倫していたことを優衣に告白しました。

誰と付き合っていたのよ! と優衣に言われ、ゲームマスターからも全部告白しろ、
と言われ、楓の名前を口にしました。

優衣は、14歳の誕生日に真悟がプレゼントした星型のペンダントを胸元から引き抜き、
真悟に投げつけ、さよなら、二度と会いたくない、もう連絡しないで、
と言い、気茶店から出て行きました。

ゲームマスターは最後の大勝負だと言い、東京のてっぺん、
日本史上最高の剣豪がいる場所に午後8時までに行ってね、と言いました。
封筒に入っていた鍵はそこの地下にあるコインロッカーの鍵なのだそうです。

日本史上最強の剣豪と言えば、宮本武蔵で、
高さ634(ムサシ)メートルを誇る日本最大の建築物、
東京スカイツリーに行けという指示なのでした。

コインロッカーには『20時00分』と入場時間が記された
展望デッキの予約入場券が入っていました。

スカイツリーでは、ハロウィンナイトというイベントが開催中で、
仮想すれば展望台への入場料が無料になるとポスターに書かれていました。

時刻はまだ午後7時前でしたが、ゲームマスターから予定変更の電話があり、
4年前に女子中学生の遺体が発見された、荒川にかかる千住新橋に行って、
北千住側の欄干下に隠してあるスーツケースに5000万円を入れて、
午後9時ちょうどに橋の真ん中から荒川に落とせ、
という内容を言われました。

真悟はそれを指揮本部に伝えましたが、荒川はダミーであり、
スカイツリーから捜査員を減らすためだと言いました。
真悟は、スカイツリーにも捜査員を残してくれと頼みました。

8時になると、再びゲームマスターから電話があり、
ゲームマスターは荒川の指示はダミーだと認めました。

20分以内にスカイツリーの最上階、
450メートルフロアまで上がってきてくれるかな?
とゲームマスターは指示を出しました。

その通りにすると、午後8時25分までにソラカラポイントで記念写真を撮影し、
身代金の入ったリュックをカボチャの後ろに置いて、とメールが入りました。

ソラカラポイントというのは、スカイツリー展望台の最高点のことで、
ハロウィンらしく、ジャック・オー・ランタンの顔が彫られた
巨大なカボチャのオブジェが置かれていました。

指示通りにすると、僕を見つけて、真ん中にある五角形、その中に僕はいるよ、
僕を見つけられなかったら、人質は殺す、
僕を見つけられたら、一番欲しいものをあげる、とメールがきました。

そのとき、煙が上がりました。
その場所に行くと、窓際の見つかりにくい位置に発煙筒が何個も置かれていました。

多機能トイレから、警備員の制服を着た若い細身の男が出てきました。
そのトイレの隙間から、もうもうと煙が溢れはじめました。

その男を捕まえると、ネットで誰だかわからない奴から依頼され、
今日、午後8時半にここで発煙筒を10本以上焚けば、
金をくれると言われたのだと男は言いました。

カボチャの後ろからも煙が上がり、5000万円は奪われてしまいました。

真悟は五角形を探し、星型の形をした公式キャラクターの、
バンパイアの着ぐるみを見つけました。
その後頭部は緩やかな五角形に見えなくもなく、真悟は着ぐるみに声をかけました。

着ぐるみは逃げましたが、真悟は着ぐるみを捕まえ、チャックを開けました。

しかし、その男もネットで依頼されただけで、
警備員の制服を着て発煙筒を炊いた男の友達なのだと言いました。

ゲームマスターから電話があり、今日一日の行動を思い出してみなよ、
手がかりはそろっている、と言いました。

真悟はスカイツリーから東京の夜景を見下ろし、皇居だ! と叫びました。

池袋、豊洲、代々木、このスカイツリー、この四ヶ所の真ん中にして、
東京の中心にあるのが、五角形の皇居でした。

しかし、ゲームマスターはそれが正解なのか言わず、
なんの変哲もない白いワンボックスカーの写真と、
誘拐された子はこの車の中にいるよ、という文面のメールが送られてきました。

真悟はゲームマスターの指示で佐和奈々子の家に戻った後、
今日真悟がやった4つのゲーム、
シンデレラ、誰が為に鐘は鳴る、ケイト、バンパイア、
の最初の文字を入れ替えると「竹橋」になると気付きました。
竹橋は、皇居の堀にかかっている橋のことです。

その近くにある東京国立近代美術館の駐車場でバンが発見されましたが、
バンの中には首元を大きく切られて大量に出血し、
死亡した佐和奈々子の遺体がありました。

ゲームマスターから電話があり、上原さんは本当の答えを見つけられなかった、
これで前半戦はお終い、これから後半戦といこうじゃないか、
そのゲームに勝てば、君が本当に欲しかった僕が手に入る、
実は僕、上原さんと会ったことがあるんだよ、という内容を言われました。

それから13日後、真悟のことを昔から毛嫌いしている、
警視庁捜査一課殺人犯捜査第四係の刑事である重野竜三(しげの・りゅうぞう)が、
真悟が抗癌剤を投与しに来た病院へやってきました。

真悟は最後のゲームマスターの電話の内容を警察に教えていませんでしたが、
重野は真悟が何か隠していると考えていました。

重野がトイレへ行っている間に、重野に同行していた新人刑事の佐藤に話しかけ、
重野がいる四係のほかに六係が捜査をしていると情報を引き出しました。

真悟は、六係にいる刑事の阿久津和弘(あくつ・かずひろ)とバーで会い、
捜査本部の情報を流してもらう代わりに、
1ヶ月後、真悟が知っている情報を全部阿久津に渡す、と取引をしました。

佐和奈々子の死亡推定時刻は10月31日の午後7時から9時の間で、
バンは盗まれたもので、ナンバープレートが付け替えられていたため、
Nシステムにも引っかかっていませんでした。

また、事件前日の佐和奈々子の足取りがおかしく、
友達のところに泊まるというのは嘘で、渋谷に行っていました。
ゲームマスターは佐和奈々子の恋人でだったのかもしれない、
と本部は考えていました。

阿久津から情報提供を受けた3日後の昼下がり、
真悟は佐和奈々子が通っていたという品川の塾の応接室に行き、
堂本駿平(しゅんぺい)という若い男性の塾講師と話をしましたが、
あまり有力な情報は得られませんでした。

今度は、奈々子の友人の猪原(いのはら)美香に、路地で話しかけますが、
話をするのを拒否されました。
しかし、美香の鞄に5人組男性アイドルグループの写真がついたキーホルダーを見て、
翌日、そのアイドルグループのコンサートのチケットと引き換えに、
話を聞かせてもらうことにしました。

ちなみに、そのプラチナチケットは80万円も情報屋に払って手に入れました。
真悟は癌の診断によって3000万円の保険金を手に入れていたので、
お金には余裕がありました。

奈々子には恋人がいて、その恋人から洗脳されたせいで人が変わった、
と美香は言いました。

奈々子は“ユメキス”というバンドが好きで、
そのライブ会場で声をかけて、自分もあのバンドのファンだとか言えば、
奈々子と仲よくなるのは簡単だ、と美香は言いました。

インターネットカフェで調べ、
“ユメキス”は、現在は“MASK”と名乗っていると判明しました。
次のライブが3日後に渋谷であることを確認し、帰る途中、
真悟は男に尾行されているのに気付きました。

しかし、癌の疼痛が起きてしまい、男を逃がしてしまいます。

自宅に帰ると、『マダ ボクヲ ミツケラレナイノ?』という手紙がありました。

3日後、全員がマスクをして演奏する女性4人組バンド“MASK”のライブが終った後、
出演者控室に行き、“メイ”“スズ”“アカネ”“キッコ”たちに話しかけます。

1枚2000円のCDを300枚買い取り、佐和奈々子の話を聞きます。

今はマイナーなバンドの“MASK”ですが、
1年前まで“ユメキス”と名乗っていた頃は熱烈なファンがいっぱいいて、
佐和奈々子もその中の1人でした。

ファンはほとんどが若い女の子で、ライブに男が来たらかなり目立って、
覚えていますが、奈々子が男と一緒にいたことはなかったはずだ、
とメンバーたちは答えました。

家に帰ろうとすると、ゲームマスターから、
今夜午前2時に指定する場所に来て、と電話がありました。

東京湾野鳥公園の近くにある倉庫行くと、サングラスをかけた男に殴られ、
床に倒れてしまいました。

サングラスの男は、倉庫の奥にいる目出し帽の男に話しかけました。
腕ひしぎ十字固めでサングラスの男の肘を折ります。

サングラスの男に見覚えがあり、バーで真悟を監視していた男でした。

真悟が目出し帽の男の目出し帽を取ると、そこから現れたのは佐和好嗣でした。

サングラスの男は佐和好嗣に雇われた探偵で、
真悟のせいで奈々子が殺されたと考えた佐和好嗣は、
真悟を呼び出して2、3発殴ろうとしたのでした。

探偵が逃げた後、佐和好嗣は何度も真悟を殴りましたが、
真悟は何も言わず、謝罪しました。

慟哭する佐和好嗣に、真悟は、協力を仰ぎました。

佐和好嗣を自宅に招き、奈々子との親子関係について質問します。
1年前までは、奈々子は佐和好嗣を慕っていましたが、
いつの間にか、両親を憎むようになっていました。

3ヶ月前、奈々子が男とホテルに入るところを取った写真が送られてきて、
娘を問いつめましたが、奈々子は最後まで相手についてはなにも言いませんでした。

週に3回は塾に行かせ、他の日は門限を午後6時にし、
土日や休日などは、誰とどこに行くか説明させてから外出させ、
さっき逃げた探偵に尾行させていました。

しかし、事件当日は、奈々子が外出することを佐和好嗣は知らず、
尾行がついていませんでした。
夫がやり過ぎだと思っていた妻の真奈美は、
夫に知らせずに奈々子に外泊を許可しました。

誘拐事件の後、真奈美は責任を感じて、大量の睡眠薬を飲んで自殺未遂をし、
今も入院中でした。

奈々子の机の抽斗に、4年前の誘拐事件に関して記された本が何冊もあった、
と佐和好嗣は言いました。
本に混ざって、桃井一太の母親の家の写真も入っていました。

また、佐和好嗣は探偵に真悟を監視させ、
ボイスチェンジャーを使って呼び出させましたが、脅迫状は出していないと言いました。

家に帰ると、新しい脅迫状が入っていて、
10年以上君を見続けている、という内容が書かれていました。

翌日、真悟は桃井一太の母親の桃井初子に会いに行き、
偽名でジャーナリストを名乗り、息子さんは冤罪です!
と言って、初子から話を聞くことに成功しました。

初子に奈々子の写真を見せると、初子は破顔して、ナオコちゃん、と言いました。

奈々子は初子にナオコという偽名で大学生を名乗って、
桃井一太について調べていたのでした。

3ヶ月前までは、月に2回くらいは来ていたのだそうです。

桃井一太の無実を証明するためだと言い、
地下室にあった桃井一太の遺品を見せてもらいます。

警察について書かれたノートが大量にありましたが、
『特殊班捜査係』についてまとめられているノートだけが見つかりませんでした。

また、エメラルドグリーンの錠剤が入ったピルケースを発見しました。

桃井初子の家を出ると、重野に公務執行妨害で捕まりそうになります。

しかし、そのとき、真悟は吐血し、重野は救急車を呼びました。

もうすぐ死ぬと思った真悟は、桃井初子の家に隠されていたノートの存在や、
10年前に真悟が壊滅させた組織が売りさばいていた合成麻.薬、
『グリーングリーン』を見つけたことについて話しました。

真悟はその後、一命をとりとめましたが、吐血は鎮静剤の飲み過ぎが原因で、
今後は麻.薬によって痛みをコントロールすることを条件に、
退院が許可されました。

退院し、駅に向かう途中、“罰ゲーム”をした、
とゲームマスターから電話がありました。

真悟がグリーングリーンについて話すと、ゲームマスターは数十秒沈黙し、
回線を遮断させました。

自宅に帰る途中、阿久津から電話があり、今日発売の週刊誌に、
事件の責任は全部真悟にあるという論調で真悟のことが書かれている、
と言われました。

その直後、マスコミに囲まれましたが、フルフェイスヘルメットを被り、
バイクに乗った楓が助けに来てくれ、真悟たちはファミリーレストランに入りました。

楓は有給をとっていましたが、近衛から連絡があり、
真悟を助けに行ったのだと言いました。

奈々子は恋人に、駆け落ちして新しい人生を始めようとそそのかされ、
狂言誘拐をしようとしたのではないか、と楓は推理していました。

しかし、恋人は最初から奈々子を利用するつもりで、
ホテルに入る写真も恋人が送ったのだと、楓は考えていました。

その後、真悟は楓のマンションに行き、関係を再開しました。

翌朝、真悟がマンションから出て行った後、楓はシャワーを浴び、地図を見ました。

そして、なんでゲームマスターは真悟をスカイツリーから佐和奈々子の家に戻したのか、
と考え、地図を見つめました。

楓はゲームの本当の答えに気付き、スマートフォンで真悟に伝えようとしましたが、
そこへゲームマスターが現れ、「楓はナイフで刺されて殺されてしまいました。

一方、ビジネスホテルにいた真悟に、阿久津から電話があり、
重要参考人が浮かび上がったと言われました。

10年前、真悟はグリーングリーンの事件で服部(はっとり)駿平という
医学部の学生を逮捕していました。

服部駿平は母親の姓に苗字を変え、進学塾の英語講師となりました。

奈々子が通っていた塾の講師、堂本駿平と服部駿平は同一人物でした。

ちょっと会って話したい、と阿久津は言い、いつものバーで待ち合わせすることにしました。

しかし、バーに向かう途中、公衆電話から電話がありました。
電話の相手は近衛で、楓が遺体で発見されたことを告げました。

防犯カメラには、楓のマンションから出て行く真悟の姿が映っていたのだそうです。

通話を切ると、阿久津が現れましたが、阿久津は楓を殺した犯人が真悟だと考えていて、
真悟を重要参考人として署に連れて行こうとしました。

しかし、真悟は阿久津の仲間の刑事を倒し、逃げました。


その後、ゲームマスターから電話があり、真悟の宝物を預かっていると言いました。

電話から、助けて、という優衣の声が聞こえてきました。

ゲームマスターは優衣を預かっていると言い、
狛江市の住宅街から外れた場所にある4階建てのビルの廃墟に行くよう、
真悟に指示しました。

真悟がその廃墟に入ると、2階から4階までの床が半分ほど取り壊され、
吹き抜けになっていて、そこに猿轡を噛まされ、
後ろ手に縛られた優衣が椅子に座らされていました。

そこへ「堂本駿平が現れ、真悟が武器を隠していないことを確認した後、
4階まで上がらせました。

堂本駿平は真悟に恨み言を並べ、暗視ゴーグルを握ると、
光源のランタンを消しました。

真悟は闇の中で一方的に殴られます。
その間、俺は奈々子を愛していたんだ、それなのにお前のせいで奈々子は死んだんだ!
と、堂本駿平は正気ではないことを口にしました。

堂本駿平は再びランタンに光を灯すと、優衣の喉元にナイフを当て、立たせました。

優衣の猿轡を外すと、優衣は、
久しぶりに『真悟さん』ではなく『お父さん』と真悟のことを呼びました。

そのとき、無数のパトカーのサイレンが聞こえました。
廃墟に入る寸前、真悟は近衛にメールしていたのでした。

真悟は4階に上がる途中に靴下の中に隠していた、
鋭いガラス片を武器に、堂本を切りつけます。

致命傷ではありませんでしたが、優衣が堂本の背中を押し、バランスを崩します。

さらに、真悟が堂本の踵を思い切り払い、堂本は吹き抜けから落下し、
首を折って死亡しました。

優衣は真悟に抱きつき、お父さん、ありがとう、と何度も言いました。


それから2週間後、真悟は元妻の亜紀と電話で話していました。

2年半前、亜紀が真悟に離婚を切り出したのは、
あのときなら、優衣が真悟に失望していて、
優衣の親権を真悟に取られないと思ったからなのだそうです。

優衣にとって真悟はずっとヒーローだったのだと亜紀は言います。

優衣は中学生くらいからカリスマ的な存在で、歌も上手く、
女の子からもよくラブレターをもらっていた、という話を亜紀はしました。

真悟が刑事時代みたいにかっこよくなって、いまの優衣は本当に幸せそうだ、
と亜紀は言いました。

その後、近衛がやってきて、「堂本が真悟を切りつけたナイフが、
楓を刺した凶器だと証明された、と言いました。

しかし、4年前の女子中学生誘拐殺人事件のときには、
堂本はその頃に勤めていた塾の勉強合宿で北海道にいたという
完璧なアリバイがありました。

真悟は、刺された楓のそばには、地図があったという話や、
奈々子が誘拐された事件の最後に真悟が奈々子の家に戻された理由について
楓が気にしていたのを思い出し、地図を広げました。

赤いボールペンで、白金高輪から池袋、豊洲、代々木八幡、スカイツリー、
白金高輪、の順に線を引きました。

すると、五芒星が現れ、その中心にはきれいな五角形が浮かび上がりました。

また、“MASK”はバンドメンバーのメイ、アカネ、スズ、キッコの名前を、
ローマ字で記した際の頭文字を並べて、“MASK”と名乗っていたのだろう、
と推理しました。
1年ほど前に“ユメキス”からバンドの名前が変わり、人気が急に落ちたのは、
熱狂的なファンを惹きつけていたカリスマメンバーがバンドを脱退したからでした。

1年前に脱退したそのメンバーの名は“ユ”から始まるものでした。
そのメンバーは若い女性で、奈々子はそのメンバーに心酔していました。

真悟は、代々木八幡の喫茶店で優衣に突き返された、
五芒星のペンダントを取り出し、真ん中の五角形に埋め込まれた琥珀を外しました。

そこに小さく折り畳まれた紙片が入っていて、電話番号が書かれていました。

その番号に電話すると、ゲームマスターが出ました。

4年前の女子中学生誘拐殺人事件は桃井一太の単独犯でした。
しかし、ゲームマスターは真悟が金庫に隠していたノートを読み、
その詳細や、真悟とゲームマスターしか知らないはずの
『ミッション・インコンプリート』という言葉なども知ったのでした。

堂本もゲームマスターの駒で、
家庭教師のアルバイトをして堂本に近づいたゲームマスターは、
堂本をコントロールしていたのでした。

そして、堂本と奈々子を会わせて、お互いに運命の相手だと暗示をかけました。

事件当日、真悟にかかってきた電話の中には、奈々子が掛けていたものもありました。
どうしてもゲームマスターが電話を掛けられないときには、
奈々子が代わりにゲームマスター役を引き受けていたのです。

マスコミに情報を流したのは、楓の居場所を見つけるためでした。

真悟のスマートフォンは優衣に設定してもらったものでしたが、
その中には、真悟がどこにいるのか、誰と電話やメールをしたのか、
全部ゲームマスターのスマートフォンに情報が送ららてくる
スパイアプリが仕込まれていました。

楓を殺したのは、優衣から真悟を奪ったからでした。
桃井一太の家にグリーングリーンを置いたのもゲームマスターでした。

ゲームマスターは、刑事時代の自信に溢れて、輝いていた真悟に会いたかったから、
こんな事件を起こしたのだと言いました。

ゲームマスターこと優衣は、本当の“最後のゲーム”をしようよ、と言いました。
私を捕まえてよ、そうしたら、真悟さんが一番欲しいものをあげる、
と優衣は言った後、愛しているよ、……お父さん、と言って通話を切りました。


というあらすじなのですが、面白かったです。

ゲームマスターの正体に関しては、タイトルの「あなたのための誘拐」が大ヒント過ぎて、
中盤で気付いてしまいましたが。

タイトルでネタバレしちゃってますね。

でも、それを差し引いても、話がめまぐるしく動き、
終盤には怒涛の伏線回収があり、凄く面白かったです。

そんな理由で2人(実質3人)も殺すなよ、とは思いましたが。                  スポンサードリンク

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