西尾維新「ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs. 橙なる種」のネタバレ解説

ネコソギラジカル(中) 赤き征裁vs.橙なる種 戯言 (講談社文庫)


戯言遣いシリーズ8冊目です。
この記事は「ネコソギラジカル」の中巻の解説で、上巻の解説はこちらです。

想影真心は、まずは萌太を殴り、
萌太は両腕を胸の前で組んで防御動作をとりました。

しかし、両腕の骨が折れ、萌太は吹っ飛ばされ、
背後にいた哀川潤に衝突し、哀川も後ろに転がりました。

いーちゃんの後ろにいた匂宮出夢と、
いーちゃんの隣にいた闇口崩子が、
真心に近づき、時間差で殴りかかります。

しかし、まずは崩子の腕がいなされ、
崩子は額から、体育館の床に突っ込みました。

出夢は脚で攻撃しようとしましたが、その腕がいなされ、
出夢は床に叩きつけられました。

どんな手を使ったんだ、あいつは、死んだはずだ、
といーちゃんは西東天に言います。

真心が紅蓮の炎に焼かれて死んだのを、
いーちゃんはこの目で見たのですが、
死んだというならば俺も死んでいる、俺の娘も死んでいる、
と西東は言いました。

いきなりいーちゃんの仲間4人が倒されてしまいましたが、
そのうち哀川だけは萌太を庇ってわざと転がったので、
無傷でした。

哀川は、てめえは――なんだ? と真心に訊きましたが、
真心は立ったまま眠っていて反応しませんでした。

そんなに眠てーならよ―― 一生眠ってろ!
と哀川は叫び、真心に飛びかかろうとします。

その声で真心は目を開き、オレンジ色の瞳で哀川を見ました。

哀川は真心に倒され、起き上がりませんでした。
その哀川を、真心は踏みつけます。

西東は、哀川のことを「旧式」と呼び、
正面からぶつかれば、こんなもんか、と言いました。

いーちゃんは舞台を降りようとしますが、西東に止められます。

出夢が立ち上がり、哀川を踏んでいる足をどけろ、と言いますが、
真心は反応しません。
出夢は激昂して左右両腕で≪一喰い(イーティング・ワン)≫を
繰り出そうとしましたが、人類最終、橙なる種は、
出夢の攻撃の先を取る形で、右脇腹に力任せの一撃を打ち込み、
根こそぎ破壊し、血と肉と内臓を撒き散らせました。

たった一人立っている真心は、
「げらげらげらげら(中略)げらげらげらげら!」と哄笑しました。

もうやめろ、真心! といーちゃんが叫ぶと、
真心はいーちゃんを見て、「いーちゃん」と言い、
電池が切れたように倒れました。

西東は、真心を制御するために、
時宮時刻と奇野頼知と右下るれろを選んだ、と言いました。

哀川と萌太と真心が入ってきた鉄の扉の向こうに、
身体中に包帯を巻いた女、人形士の右下るれろが立っていました。
包帯だらけなのは、真心を調.教する際に手を焼いたせいなのだそうです。

西東は、携帯電話に十一桁の番号を押して、絵本園樹に電話し、
第二体育館には怪我人がいっぱいだぞ、と伝えました。

いーちゃんはここでようやく、西東から「もういいぞ」と言われ、
舞台から飛び降り、一番怪我を負った出夢のところに駆けつけます。

どてっぱらをぶち抜かれた出夢は、息も絶え絶えに、
零崎人識は生きてるぜ、といーちゃんに伝え、
いーちゃんの頬にキスをし、そこにいてくれたんだ――理澄、
と言い、死にました。

これで今回のパーティはお開きだ、と西東は言いました。
右下るれろは真心を抱え、
西東は、俺の娘は連れてくぜ、と言って哀川を支え、
第二体育館から姿を消しました。

絵本園樹は、萌太と崩子の手当てをし、
木の実ちゃんが処理すると思うから、出夢くんはこのままにしておいてね、
と言って、西東が待っているところに戻っていきました。

萌太は両腕に添え木をし、崩子は額にガーゼを貼られていました。
精神にも傷を負った2人は無口になっていました。

3人は歩いて人里に出て、駅のホームで電車を待っていました。

いーちゃんは萌太と崩子に、2人はここで退くべきだと言いましたが、
いーちゃんの周囲にいる以上西東は2人もちょっかいを出すので、
どちらにしても同じことだ、と萌太は言いました。

それよりも萌太は、どうして闇口濡衣は萌太達の前に姿を現さなかったのか、
ということの方が気になっているようでした。

しばらくして始発電車がやってきます。

いーちゃんが初めて気を抜いたそのとき、背中を、押されました。

電車がホームに入ってきます。
線路に落ちそうになったいーちゃんの腕を崩子が引っ張り、
今度は崩子が前に出て線路に落ちそうになります。

しかし、萌太が崩子の前に割り込み、崩子と衝突して、
萌太だけが線路の上に落ちました。

両腕を骨折して起き上がれない萌太はいーちゃんと崩子を見て、
納得したような表情になり、満足そうに微笑み、
さようなら、と言って死にました。

ここで回想があり、実験体として使われていた真心に、
ぼくと一緒に逃げよう、手を取り合ってどこまでも、
といーちゃんが言い、真心が嬉しそうな顔をした、
というシーンが描写されます。

回想が終わると、萌太が死んでから一週間が経過し、
10月8日、土曜日になっていました。
目を覚ますと浅野みいこがいました。

萌太が死んだのは知っているというみいこに、
いーちゃんは崩子のことを話します。

崩子は、目の前で萌太が死んだので、精神の方に強いショックを受け、
過剰な自傷の傾向があるため、
鎮静剤を打たれて個室のベッドに縛り付けられていました。
それは形梨らぶみからの伝聞で、崩子は面会謝絶のため、
いーちゃんもまだ崩子には会っていませんでしたが。

みいこはいーちゃんを慰めるために病室に来たのですが、
いーちゃんは、それは、まだ、大丈夫です、と言いました。

みいこが病室を出て行った後、いーちゃんは石丸小唄に電話し、
哀川が西東に連れ去られたことを伝え、
哀川を探すついでに、零崎人識も探して欲しい、と頼みました。
小唄の声が低くなり、これ以上の話はいーちゃんが月曜日に退院してから、
ということになりました。

その翌日、らぶみは非公式で崩子と会ってもいい、と言いました。

崩子の病室に行こうとすると、喫煙スペースに設置されていた、
公衆電話が鳴りました。

その電話に出ると、一言でもあなたが喋れば私は即座にこの通話を切断します、
と前置きがあり、私の名前は闇口濡衣です、と電話の相手は名乗りました。

先日あなたの背中を押したのは私です、と闇口濡衣は言いました。

濡衣の目的は、闇口の家系の恥晒しである崩子でした。
崩子が闇口の≪力≫を発揮するのが許せず、
濡衣はいーちゃんを突き落としました。

濡衣は、いーちゃんを庇って崩子が死ぬのを予想していて、
萌太が崩子を庇うのは思いもしなかったのだそうです。

しかし、目の前で兄が死んだとなれば、崩子は再起不能だろうから、
濡衣の目的は果たされたのだそうです。

戯言遣いの戯言を恐れる濡衣は、あなたに私を恨んで欲しくない、と言い、
≪十三階段≫から抜けることを伝えました。
元々、萌太と崩子を≪停止≫させたら抜ける契約になっていたのだそうです。

ちなみに、姫菜真姫を殺したのも、濡衣でした。

また、澪標姉妹がいーちゃんを狙っている、と内部告発してくれました。

澪標深空と澪標高海は、西東の前で恥をかかされた、と思っており、
西東の指示を離れ、独自に動こうとしているのだそうです。

もしも≪十三階段≫を崩したいなら、
宴九段か絵本園樹辺りからが適当だと思いますよ、
と濡衣は助言し、通話を切ろうとしました。

あなたにとって世界の終わりとは何ですか、といーちゃんが聞くと、
我があるじの死、と濡衣は言って通話を切りました。

崩子の病室に行くと、崩子はいーちゃんに抱きつき、泣きました。

線路に落ちた萌太は、いーちゃんの背後に闇口濡衣の姿を見て、
自分がここで死ねば崩子は殺されずに済むことを理解して、
足掻かなかったのだろう、といーちゃんは考えました。

いーちゃんは崩子を抱きしめ、ぼくはずっと、崩子ちゃんのそばにいる、
崩子ちゃんを愛している、と言いました。

退院の日、千賀ひかりが迎えに来てくれました。
哀川によれば、ひかりではなくてる子なのだそうですが、
いーちゃんは彼女のことをひかりとして扱い続けることにしました。

ひかりの運転で、小唄と待ち合わせをしている新京極のホテルに向かう途中、
ひかりは哀川のことを「哀川さん」と苗字で呼びました。

哀川さん、苗字で呼ばれるの、嫌がるでしょう?
といーちゃんが言うと、ひかりはきょとんとしました。

いーちゃんはずっと、あたしを苗字で呼ぶのは敵だけだ、
と哀川に言われ続けてきたのに、
ひかりはそんなこと言われたことないのだそうです。

2ヶ月前、木賀峰約とも会ったホテルの喫茶店に行くと、
小唄はもう来ていました。

零崎人識は哀川とも西東天とも関わりがある、といーちゃんは言いました。

そもそも、いーちゃんは零崎人識の代理品(オルタナティブ)として
西東の敵になったので、西東と人識の間には、何らかの繋がりがあるはずでした。

いーちゃんはその繋がりを使い、揺さぶりをかけようとしていました。

小唄と分かれて車に戻ると、ひかりは寝ていました。
ひかりを寝かせるために2時間ほど時間を潰していーちゃんは再び車に戻り、
玖渚友のマンションに行ってもらいました。

玖渚は、機関に無能がいて、
玖渚のロストテクノロジーをいじくって機能低下させていた、
といーちゃんに愚痴を言いました。

いーちゃんは玖渚に、機関の力をフル活用して、これまでこの国で、
ぼくとかかわりをもった全ての人を、守って欲しい、と頼みました。

さらに、ぼくが、今巻き込まれているくだらないいざこざから、
無事に生還することができたらさ、結婚しようぜ、とプロポーズしました。

玖渚は吹き出して笑った後、2人とも、20になってからにしようよ、
と言いました。

(……っていうか、ほんの1週間くらい前に崩子に向かって、
ぼくはずっと、崩子ちゃんのそばにいる、崩子ちゃんを愛している、
と言ってたのに……。

いーちゃんは天然の女たらしですね……)

アパートに戻ると、いーちゃんの部屋に想影真心がいました。

場面が変わり、いーちゃんは絵本園樹に電話して、
京都御苑で待ち合わせをしました。
電話番号は、西東が絵本に電話した時の手の動きを何とか思い出し、
11桁の数字の並びの組み合わせを数十回数百回チャレンジして、
絵本の携帯電話に繋がりました。

待ち合わせ場所のベンチに行くと、
待ち合わせの時間の1時間前から待っていたと言い、
絵本はいきなり泣いていました。
しかし、ミスタードーナツでセール中だったフレンチクルーラー10個を渡すと、
絵本は機嫌を直しました。

(ところで、ミスタードーナツが好きなキャラって、
物語シリーズの忍野忍の焼き直しみたいですが、
実際には絵本の方が先です)

狐さんを裏切って、ぼくに協力してください、
といーちゃんは絵本に頼みました。

いーちゃんは≪十三階段≫の全員に裏切ってもらうつもりだと説明しました。

絵本は、狐さんみたいに強制してよ、と言いましたが、
いーちゃんはあなたが決めてください、ぼくと友達になってください、
と言いました。
フレンチクルーラー100個で、絵本は西東を裏切って、
いーちゃんと友達になってくれることになりました。

だって、あたし、本当は――世界に、終わって欲しくなんかない、
と絵本は初めて本音を言いました。

真心がいーちゃんの部屋にいることを教えると、
西東は真心が出した被害の整理をするだけで精一杯だ、
と絵本は言いました。

西東は10月の半ばをキリに、
またいーちゃんにちょっかいをかけるつもりだったらしいのですが、
真心の出した被害のせいでそれどころではなくなってしまったのだそうです。

また、哀川は絵本が治療したので生きていますが、
今どこにいるのかはわからないのだそうです。

時宮時刻が席を外したときを狙って、真心は動きました。
奇野を殺されて、右下るれろは大怪我を負ったのだそうです。

それまでは、奇野は真心の体力を、右下るれろは真心の肉体を、
時宮は真心の意識を、それぞれに支配していたのだそうです。

絵本の次は右下るれろに会うことにして、
翌日また絵本と待ち合わせの約束をしました。

アパートに帰ると、ひかりと真心が2人ともメイド服姿になっていました。

真心は、いーちゃん、好きっ、と言っていーちゃんを抱きしめました。

ちなみに時宮達に支配されていないときの真心は、
一人称が「俺様」で、野性児っぽい感じの喋り方をします。

ER3システムは真心を≪橙なる種≫として「完成」したのか、
といーちゃんは聞きましたが、真心は、わからん、知らん、と答えました。

真心はおそらく一里塚木の実の空間製作で、
いつの間にか西東に誘拐されていたようでした。

話の途中で、真心は急に寝てしまいました。

ひかりによると、眠り病のような症状が近いのだそうです。
おそらく、時宮の≪操想術≫のせいでした。

真心を紫木一姫が使っていた部屋に連れて行って寝かせ、
隣の部屋の七々見奈波(ななななみ・ななみ)に、隣、よろしく、
とドア越しに頼みました。

右下るれろは面会謝絶状態だったため、
主治医の絵本の許可が出て右下るれろと会えることになったのは、
10月15日、土曜日でした。
右下るれろは現在、「ヒトクイマジカル」に登場し、木賀峰約が使っていた、
西東診療所と呼ばれていたところで治療中でした。

それまでの3日間に、いーちゃんはひかりと真心の衣類を買いに行き、
西東の話をしました。
世界が終わるか自分が死ぬかしなければ、西東天は止まりませんが、
ひかりはいーちゃんに、あなたに人は殺せない、と思います、と言いました。

昔ならいざ知らず、今のいーちゃんは守りたいものを認識してしまったので、
人を殺せないだろう、と自覚しました。

真心との馴れ初めを聞かれ、いーちゃんがER3に渡った経緯から説明します。

いーちゃんは中学の時に、玖渚機関とトラブルを起こし、
国外逃亡を余儀なくされ、玖渚友の兄の玖渚直の手引きで、
ER3システムの、ERプログラムという留学制度に参加しました。

その寮で、いーちゃんと同室だったのが想影真心でした。
しかし真心は橙なる種としての実験体であり、
そのことは公然の秘密のようなものでした。

当時のいーちゃんは知りませんでしたが、MS-2は、
木賀峰約のように西東の続きをやろうとして、
人為的に哀川潤を作ろうとしていたのでした。

いーちゃんは無自覚に、真心の監視役――及び世話係として、
MS-2の研究には一役買っていたみたいだったようです。

いーちゃんは真心と仲良くなりましたが、
≪友人≫としてのいーちゃんが必要なくなり、邪魔になったから、
別離させるために、ER3システム、MS-2が、
いーちゃんに対しては真心は炎の中で焼け死んだと偽装工作をしたようでした。

「クビツリハイスクール」に登場した萩原子荻によれば、
いーちゃんは周囲の場を狂わせてしまい、
不幸と災厄を引き寄せる自己頻発性体質なので、
ぼくのせいなのかなあ、といーちゃんは思っていました。

しかし、たとえそうだったとしても、それはあなたの責任ではありません、
とひかりに励まされ、ですね、といーちゃんは言いました。

どうも先程から、誰かに尾行されているようです、とひかりに言われ、
尾行を意識しながら横断歩道を渡り、地下鉄の電車に乗ります。
ドアーが閉まりかけたところでいーちゃんとひかりが飛び降りると、
尾行の相手も飛び降りました。

その相手は、今風の茶髪で制服を着て、赤い緑の眼鏡をかけた女子高生でした。

女子高生は、≪十三階段≫の5段目、古槍頭巾と名乗りましたが、
いーちゃんは、月並みだな、と思いました。

逃げようとした頭巾を捕まえると、離しなさい! 殺さば殺せ!
と言われたので、いーちゃんは頭巾を線路に突き落としました。
そのまま地上に出ると、次の電車が来るまで十分な時間があったので、
殺す気かーっ! と言って頭巾が追ってきました。

(このシーン、完全にギャグなのですが、
ほんの2週間くらい前に萌太が線路に落ちて電車に轢かれて死んだのを考えると、
ギャグにしていいのかなあ……と思わないでもありません。
不謹慎だけど、面白いからいいのですが)

古槍頭巾は老人だって聞いたんだけど、といーちゃんが言うと、
女子高生は、わたし、12代目だから、と言いました。

いーちゃんが聞いていたのは11代目で、
11代目は老人だったのですが、老衰で亡くなってしまい、
その孫の女子高生が12代目の古槍頭巾になったのだそうです。

11代目古槍頭巾は、いーちゃんが哀川からもらった刀子(とうす)、
≪無銘≫を手に入れるために≪十三階段≫に入ったのだそうです。

そして12代目の古槍頭巾は、亡き祖父に代わって、
≪無銘≫をいーちゃんからもらおうとしました。

そこへ、石丸小唄から電話があり、零崎一賊、どうやら全滅しています、
と言われました。

切り札を失ったいーちゃんは、ひとまず、
10月中に12代目古槍頭巾が何もしなかったら、≪無銘≫をあげる、
それと引き換えに古槍頭巾は西東を裏切って≪十三階段≫を抜ける、
と約束しました。

10月15日、土曜日になりました。
絵本が裏切ったことを右下るれろに教えるわけにはいかないので、
絵本がいないときにいーちゃんが診療所に忍び込んだ、
という設定で、右下るれろに会いに行きました。

包帯とギプス、コルセット、点滴などの治療機器で
ベッドに縛り付けられているような状態の右下るれろは、
西東のことを最悪だと言いながらも、西東を裏切れないと言いました。

しばらくして、駐車場に西東の乗った真っ白いポルシェが停まりました。
西東は、診療所の中に這入ってきます。

いーちゃんはジェリコ(拳銃)を右下るれろに見せ、
ぼくのことを、決して話さないでください、と言って、
ベッドの下に隠れました。

やってきた西東は、澄百合学園で真心がいーちゃんを認識したのは予定外であり、
それは右下るれろが時間にルーズで予定より遅れて来たからだ、
という意味のことを言いました。

西東は、闇口濡衣が≪十三階段≫を抜けたこと、
奇野頼知や11代目古槍頭巾が死んだことを話し、
いーちゃんが月並みと判断していた女子高生の12代目については、
「とてもいいぜ」「あの娘は――最高だ」と褒めました。

ノイズもリタイアしており、架城明楽を除けば、
残る≪十三階段≫は8人です。

真心がいーちゃんの手に渡ったことで、西東の予定していた今後の展開は、
すべておじゃんになってしまっていました。

奴は≪十三階段≫全員を一人ずつ順番に――裏切らせるつもりだろう、
と西東はまさに今いーちゃんがやっていることを予想していました。

その成功率は8割強だと西東は言います。

澪標姉妹と右下るれろは西東に忠誠を誓っているから絶対に裏切ったりしない、
と右下ろれろは言いましたが、その忠誠こそが枷なのさ、と西東は言いました。

西東は右下るれろに、近い将来、いーちゃんが右下るれろの前に現れたら、
西東の意思で裏切れ、と命令しました。

一里塚木の実以外の全員に同じ指示を出し、
西東を裏切ってもらうつもりだと西東は言いました。

西東は、いーちゃんから手を引くことにしたのでした。

奴の無為識を甘く見ていた、と西東は言いました。
「無為識」というのは、「クビツリハイスクール」で萩原子荻が言っていた、
いーちゃんの能力みたいなものです。

いーちゃんの周りでは、何もかもが、うまくいかない――誰の望みも叶いません。
本人は何もしないのに、周囲が勝手に狂い出します。

いーちゃんは物語を掻き乱す存在であり、だからこそ、
いーちゃんには西東が望んでいる「物語を加速させる」資格がありました。

しかし、これ以上の被害は出せないので、
西東は負けを認め、投了することにしたのでした。

西東はいーちゃんとの因果は切り、別のアプローチで物語を加速させ、
世界の終わりを見るつもりなのだそうです。

駐車場に絵本園樹がやってきて、「俺の敵に、よろしくな」と西東は言って、
絵本に話をしに行きました。

いーちゃんがベッドの下から這い出ると、いーちゃんはお礼を言い、謝りました。

しかし、右下るれろは、最初から、
いーちゃんの拳銃に弾丸が入っていないことを見抜いていました。

真心の鎖を解いてください、といーちゃんは右下るれろに頼みます。

しかし、右下るれろの≪人形≫も時宮時刻の≪操想術≫も奇野頼知の≪病毒≫も、
何もしなくても、11月になる頃には、全部綺麗さっぱり、
夢から覚めたように消えてなくなるのだそうです。

いーちゃんは、この勝負――ぼくの勝ちです、
と勝利宣言をしてアパートに帰りました。
西東は宣言通り、その日以来、
いーちゃんに対して本当に何の手出しもしてきませんでした。

真心の睡眠時間は少しずつ短くなり、長時間の活動が、可能になっていきました。

10月20日には、浅野みいこと闇口崩子が退院してきました。

崩子が真心と対面した時にはひと悶着ありましたが、
最終的には、打ち解けました。

10月25日には、千賀ひかり、
あるいは千賀てる子が鴉の濡れ羽島に帰っていきました。

そして――10月31日夜9時に、いーちゃんは約束通り、
12代目古槍頭巾に≪無銘≫を渡すため、京都御苑で待ち合わせをしました。

ところが、そこに現れたのは、古槍頭巾の上半身だけを左右でぶら下げている、
澪標深空と澪標高海の姉妹でした。

澪標姉妹は、裏切者である古槍頭巾を殺したのだそうです。

狐さんはもう、ぼくに手出しはしないはずだ、といーちゃんは言いましたが、
澪標姉妹は、そんなことは関係ない、あんたを殺さない限り、
狐さんに合わせる顔がない、と言いました。

西東は澪標姉妹の説得に失敗したのでした。

前巻では匂宮出夢にあっさりとやられていた澪標姉妹でしたが、
いーちゃんにとっては強敵で、いーちゃんは逃げ惑います。

いーちゃんは逃げながら、御所の壁に近付いて警報を鳴らそうとしますが、
警報など鳴らしても無駄だ、誰も来ない、と澪標姉妹は言いました。
一里塚木の実が空間製作をしているせいでした。

いーちゃんは澪標姉妹に殺されそうになりましたが、
そこに「零崎人識が登場し、助けてくれました。

零崎人識はあっさりと澪標姉妹を倒し、澪標姉妹は逃げて行きました。

いーちゃんがここにいると人識に教えてくれたのは、
コートを着た女、宴九段でした。

宴九段は玖渚の≪軍団(レギオン)≫の1人、
≪屍(トリガーハッピーエンド)≫の滋賀井統乃(しがいとうの)として
この場にいました。

宴九段は、玖渚友はもう駄目だ、と言いました。
きみが悪いんだよ、戯言遣い、と宴九段はいーちゃんを責めました。

いーちゃんがいつからか、停止することをやめ、
一人で変わり始めてしまったから、
玖渚友もまた、停止し続けることができなくなり、
成長せざるをえなくなってしまった、と宴九段は言いました。

玖渚友の10年も止まっていた肉体が今更成長に耐えうるわけがなく、
機関の人間も元≪軍団≫のメンバーも、
最早いーちゃん以外は全員が知っていることなのだと前置きしたうえで、
宴九段はこう言いました。

今や玖渚友は――いつ死んだって、おかしくない、と。


というあらすじなのですが、衝撃の展開で、この巻は終わります。

しかし、「この巻でいーちゃんと玖渚は婚約しましたが、
この戦争が終わったら結婚しよう、
というのは、完全に死亡フラグでしたよね……。


それにしても、タイトルが「赤き征裁 vs. 橙なる種」なのに、
哀川と真心が戦闘しているシーンがほとんどありませんでしたね。

この話は、戯言遣いシリーズ最終巻の
「ネコソギラジカル(下) 戯言遣いと青色サヴァン」に続きます。                  スポンサードリンク

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