米澤穂信「いまさら翼といわれても」2話「鏡には映らない」のネタバレ解説

今回は伊原摩耶花の視点で話が進みます。

日曜日、Gペンを買いに出かけた摩耶花は、
絵を描くためのパソコンの下見に電器屋にも行き、
そこで中学校時代のクラスメートの池平という女子と再会しました。

池平に奉太郎と同じ部活に入っていると言うと、
池平はサイアクと言い、追い出しちゃいなよ、と言いました。

池平の反応は過剰なものではなく、あの年、
鏑矢中学3年5組にいた人間は奉太郎を軽蔑していました。

ここで回想です。
中学3年生の11月に、学年全体で卒業制作をすることになりました。

縦が2メートル近い大きな鏡に、木製の飾り枠をつけることになり、
クラスごとに分担して、その木枠に彫刻を施すのでした。

市の絵画コンクールで銀賞を取った2組の鷹栖亜美がデザインを作り、
それを何十かのパーツに分割して、5クラスに均等に割り当て、
各クラス内でそれぞれ再度割り振って彫り、
最後にそれを組み合わせて完成でした。

デザインは、横に伸びたツルが一度大きく垂れ下がり、
弧を描いて上っていくように描かれていました。

摩耶花の班の男子は、
割り当てられたパーツの作業量が他の班より多いことに文句を言い、
摩耶花と、美術部の三島という女子の2人だけでパーツを彫りました。

提出日になりましたが、奉太郎が提出したパーツは、
デザイン画を完全に無視して、
板の中央に横一本のツルがあるだけに変更されていました。
学級委員長の男子の細島が、どういうつもりなんだよ、と声を荒げると、
奉太郎は、だって曲がってると面倒だろ、と答えました。

体育館でレリーフを組み立てると、
奉太郎の班が担当したパーツは目立たないように見えました。

ところが、デザインを担当した派手な女子、鷹栖亜美が、
その友達3人とやってきてレリーフを見ると、
奉太郎の班が彫ったパーツを見て悲鳴を上げ、
泣き始めてしまいました。
鷹栖亜美の友達に責められ、5組の代表として摩耶花が名乗り出ると、
先生がフォローするまで3人組に罵られ続けました。

また、5組の生徒は奉太郎に詰め寄り、
奉太郎は教室から消えて図書室で本を読むことが多くなりました。

回想終わりです。

古典部に入ってからの奉太郎を知っていた摩耶花は、
あのとき、奉太郎は何か企んでいたんじゃないか、と考え、
月曜日の部活の時間に奉太郎に訊きました。
しかし、奉太郎は「忘れた」「よく憶えてない」と繰り返しました。

翌日、中学時代に奉太郎と同じ班だった、E組の芝野めぐみを訪ね、
当時のことを訊きました。

班単位で作るはずのものだったのに、奉太郎1人で作ることになったのは、
奉太郎が自分から、手伝ってくれる人がいるからと言い出したからなのだそうです。

奉太郎が頼もうとしていたのは、鳥羽麻美(とば・あさみ)という子で、
奉太郎の彼女だったみたいだ、と芝野めぐみは言い、摩耶花は驚きました。

翌日、鳥羽麻美が所属する写真部に行きますが不在でした。
しかし、部長は、鳥羽麻美は屋上にいることを教えてくれ、
摩耶花は屋上に行きました。

鳥羽麻美は摩耶花に対して拒絶的な態度をとりましたが、
奉太郎が手抜きしたんじゃないのなら、謝る、と言うと、
鳥羽麻美は少し協力的になりました。

鳥羽麻美にとって奉太郎はヒーローであり、摩耶花は最低だと言い、
知りたければ鏡を見てきたら? と言いました。
逆立ちでもしないと、あなたにはわからないと思うけど、
と鳥羽麻美は言いました。

摩耶花は鏑矢中学校に行き、問題の鏡を見て、
下の方ほどデザインが入り組んでいると思いました。

摩耶花は、鳥羽麻美の「『逆立ちでもしないと』という言葉をヒントに、
携帯電話で写真を撮り、上下逆さまにして見ました。

翌日、プリントアウトした15枚の写真を逆さにして、
奉太郎と里志に見せました。
ただ見ているだけでは、曲がりくねったツルだとしか思えませんが、
逆さまにすると、“WE HATE A AMI T”
と読めるようになっていました。

意味は、『私達は亜美が嫌い』です。
しかし、元々のデザインは“WE HATE ASAMI T”で、
『私達は麻美が嫌い』になるはずでした。

それを奉太郎がデザインを変えて一文字落としたことで、
文章が変わってしまったのでした。

鷹栖亜美とその取り巻きは鳥羽麻美をいじめていましたが、
奉太郎は逆さ文字に気づき、卒業制作の進行を担当していた里志に相談し、
メッセージの文章を変えたのでした。


摩耶花が奉太郎に謝ったところで、この話は終わります。

というあらすじなのですが、シリーズ第一作の「氷菓」で、
なぜ摩耶花が奉太郎のことを軽蔑しているような態度を取っていたのかが分かり、
面白かったです。                  スポンサードリンク

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