東川篤哉「放課後はミステリーとともに」第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」のネタバレ解説

放課後はミステリーとともに


「放課後はミステリーとともに」の第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」の
ネタバレ解説です。

この「放課後はミステリーとともに」は、
「学ばない探偵たちの学園」や「殺意は必ず三度ある」などの
鯉ヶ窪学園探偵部シリーズの番外編という位置づけです。
番外編と言っても、「学ばない~」の赤坂を語り部とした話は「殺意~」以降
発表されていないのに対し、「放課後~」の霧ヶ峰涼を語り部とした作品は、
現在も小説誌に不定期で掲載されていますから、
そのうち本編と番外編が逆転するかもしれませんが。

霧ヶ峰涼は「学ばない~」や「殺意~」には登場しませんが、
探偵部の顧問の石崎や祖師ヶ谷警部、烏山刑事などが登場しているので、
「放課後はミステリーとともに」から読み始めて、
まだ「学ばない~」を読んでいないという人は是非読んでみてください。

さて、この霧ヶ峰涼は、エアコンみたいな名前であるということに
コンプレックスを持つ高校2年生です。

なぜ霧ヶ峰だとエアコンみたいな名前なんだ、
と思う人もいるかもしれないので一応説明すると、
もともと霧ヶ峰というのは長野県にある山の名前なのですが、
三菱電機から発売されているエアコンの名前としての方が有名なのです。
ちなみに霧ヶ峰のある長野県諏訪市からは知名度が上がったということで、
三菱電機に感謝状まで送られているらしいです。

そんな霧ヶ峰涼ですが、中学に入ってからある先輩に
「広島カープのエースと名探偵の名前は漢字三文字がよろしい」
と言われたことをきっかけに、
広島カープファンのミステリマニアとなりました。

まだ正式な部活として認められていない探偵部の顧問になってもらおうと、
放課後、霧ヶ峰涼は生物教師の石崎のところを訪れます。

その際、Eの形をした建物、E館の右下の④の出入り口から入り、
Eの上辺の部分にある生物教室へ向かいます。
しかし生物教室には明かりが灯っておらず、
霧ヶ峰はEの右上の①の出入り口から外へ出ようとします。
ところが、①の出入り口の前の視聴覚資料室に明かりが見え、
霧ヶ峰涼は中に入り、そこにいた不審者に突き飛ばされてしまいました。

追いかけようと慌てて外に出た霧ヶ峰涼は、
生物教室から飛び出してきた斉藤健太と合流し、
さらにEの中棒と縦棒が交わる場所で江川警備員と合流し、
④の出入り口から外へ出ます。
そして、その近くでずっと花の手入れをしていた藤田用務員に話を聞くと、
誰も通っていないと答えました。

再び視聴覚資料室へ行くと、芸能人の生徒の映ったお宝映像の
ビデオテープが盗まれていました。
さらに、江川警備員が①や③の出入り口を既に施錠しており、
窓にも鉄格子が嵌まっていることが判明し、
④の出入り口以外に犯人の逃げ場所はないのに犯人が消えてしまった――
という事件の様相が明らかになります。

個人的には、せっかく霧ヶ峰涼が④の出入り口からE館の中に入ったのだから、
その際に出入り口の傍に藤田用務員がいることを描写しておくともう少し
分かりやすかったのではないか、と思うのですが……。

城ノ内室長を交えて事情聴取をしているときに、
藤田用務員がやってきて「『もしも泥棒が本当におったというなら、
犯人は君たち三人の中の誰かと違うのかね』と言います。

実はこのとき、藤田用務員は霧ヶ峰涼が女の子であるということから
無意識に人数から省いており、代わりに犯人の城ノ内を人数に入れていたのでした。
城ノ内は自分も犯人を追いかけているふりをすることで藤田用務員の眼を
欺いていたのでした。

――ということを、石崎が推理します。
『霧ヶ峰涼が探偵役じゃないんかい!』というのと、
『霧ヶ峰涼はボクっ娘だったのか!』という叙述トリックの2つに驚く話です。
ただし、本の冒頭に
『※本作品集は、ミステリーの仕掛けをご堪能いただくため、第1話
「霧ヶ峰涼の屈辱」からお読みいただくようお願いします。』
という但し書きがあるので、勘のいい人なら主要登場人物の誰かに
叙述トリックがあるのではないか、と疑ってしまうでしょうが。

また、この小説はドラマ化されているので、例えドラマを見ていない人であっても、
CMなどで霧ヶ峰涼が女の子であるということをネタバレされているかもしれません。
その場合はもう、運が悪かったと諦めるしかないでしょう……。


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「放課後はミステリーとともに」東川篤哉

鯉ケ窪学園高校探偵部副部長・霧ケ峰涼の周辺には、なぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動――解決へ意気込む涼だが、

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