西尾維新「ネコソギラジカル(上) 十三階段」のネタバレ解説

ネコソギラジカル(上) 十三階段 戯言 (講談社文庫)


戯言遣いシリーズの7冊目です。

まず、冒頭の登場人物紹介には、
これまでに登場したほぼ全てのキャラクターの名前が書かれています
(ただし、作者のミスで、
鈴無音々(すずなし・ねね)の名前が抜けていますが。
他にも形梨(かたなし)らぶみとかの名前もありませんが)。

次に、いーちゃんが調べた、狐面の男、
西東天(さいとう・たかし)についての情報がまとめられています。

幼い頃から天才だった西東は、6歳の4月に高都大学人類生物学科に入学し、
同年7月に卒業、翌年3月には大学院を卒業しました。

10歳の7月に、10歳年上で双子だった姉が2人とも行方不明になり、
13歳の時に両親が死亡しました。

渡米し、ER2システム(現ER3システム)に身をゆだね、
18歳の1月に単身、帰国しました。
19歳の3月より、高都大学で教授職として復職し、
21歳の4月に、架城明楽(かじょう・あきら)と、
藍川純哉(あいかわ・じゅんや)の2人と渡米し、
独自の組織を立ち上げますが、5年後、
その組織はER2システムに吸収合併されます。

3年後、29歳の夏に、架城明楽と藍川純哉、
1人の使用人、1人の娘を連れて帰国し、
同年の冬に、全員が死亡しました。

西東天は、公式の記録では、
10年前に死んだ人間ということになっていたのでした。

いーちゃんは、「ヒトクイマジカル」の事件で負傷し、入院していました。

同じアパートに住む闇口崩子がお見舞いに来て、
それと入れ違いに浅野みいこがやってきました。
1ヶ月ぶりの再会でした。

1ヶ月前、いーちゃんはみいこに告白同然のことを言っていましたが、
みいこは、お前と私は付き合えない、とお断りの返事をしました。
自分は過保護だから、付き合ったら自分もいーちゃんも、
どちらも駄目になってしまうと言います。

そこへ、病室の扉が開き、西東の組織≪十三階段≫の十二段目、
奇野頼知(きの・らいち)という男が現れました。

奇野は、西東から聞いていた敵、「いーちゃん」をみいこと誤認し、
みいこに宣戦布告します。
が、みいこは護身用の五段鉄棒(ロッド)で、剣道の動きをし、
奇野を圧倒しました。

奇野は謝り、西東から「いーちゃん」への手紙を届けに来ただけだ、
と言い、みいこに手紙を渡して逃げていきました。
しかし、みいこはその手紙を窓から破り捨ててしまいます。

9月21日、退院したいーちゃんは、崩子と一緒に、
京都駅の階段で千賀(ちが)ひかりと待ち合わせをしました。
ひかりは、「クビキリサイクル」に登場した三つ子メイドの1人です。

ホテルの部屋に移動し、ルームサービスを食べながら、
ひかりは、1ヶ月前に占い師の姫菜真姫(ひめな・まき)が殺された、
と報告しました。
密室殺人で、外部犯の犯行だったのだそうです。

また、「ヒトクイマジカル」のラストで、
8月20日に哀川とその戦闘相手が清水寺本堂を破壊してから、
哀川は行方不明になっていました。

いーちゃんは、ひかりに、西東天のことを訊きます。
哀川にとって、架城明楽、藍川純哉、西東天の3人は父親というべき存在で、
母親は不明なのだそうです。

姫菜真姫が殺されたとき、
烏の濡れ場島には春日井春日(かすがい・かすが)がいて、
いーちゃんは恐るべきメイドマニアだと聞いていたひかりは、
メイドとしていーちゃんのことを「ご主人様」と呼び、
アパートでいーちゃんの世話をするようになりました。

9月26日、いーちゃんは玖渚友(くなぎさ・とも)から呼び出しを受け、
玖渚のマンションに行きました。
そのとき、崩子が寝てしまったからと、ひかりはフィアットで待ちました。

玖渚の部屋に行くと、「園山赤音」がいました。
いや、正確には園山赤音ではないのですが、そう名乗っていた女です。
「園山赤音」は、現在行方不明中の哀川に成り代わろうとしていると言い、
帰っていきました。

玖渚機関の内部で反乱があったが、昨日、完璧に終わり、
玖渚の兄の直(なお)が玖渚機関機関長に就任し、
直以外の本家の人間は引退した、と玖渚は言いました。

玖渚は、精密検査を受け、身体が正常な機能を取り戻そうとしており、
それを異常と捉えて、この前の検査には引っかかったみたいだ、
と玖渚は言います。
6年前、いーちゃんが玖渚に与えたと思い込んでいる被害は、
これで全部、見える限りにおいては回復したと言える、と玖渚は言います。

部屋を出るとき、いーちゃんは玖渚に「愛し――」と言いかけますが、
「ICPOって何の略?」とごまかしました。

駐車場のエレベーターホールで、西東天と再会します。
≪十三階段≫が全員揃ったことや、西東が奇野頼知を騙して、
みいこを「いーちゃん」だと思わせたことなどを、西東は話します。

西東はいーちゃんにパーティーの招待状を渡し、
「殺して解(ばら)して並べて揃えて――晒してやるさ」
と、いーちゃんは零崎人識のセリフを借りて宣戦布告します。

福岡へ行け、そこにお前のよく知る男がいる、
と西東はいーちゃんにヒントを出した後、去り際に、
姫菜真姫を殺せと命令したのは自分だと、ついでのように言いました。

西東はポルシェに乗って駐車場から出て行きましたが、
その助手席には、浴衣姿で野球帽を被り、狐のお面をつけた、
子供が乗っていました。

フィアットに戻ると、哀川の失踪を誰から聞いたのか、とひかりに訊かれ、
見舞いに来てくれた大泥棒さんから聞いた、といーちゃんは答えました。

石丸小唄(いしまる・こうた)は、哀川潤と出夢が清水寺で殺し合い、
相打ちになった、と裏の世界で噂が流れているのを教えてくれました。
ただし、小唄本人は哀川の死を信じていなくて、
哀川を探しているのだそうです。

西東と再会した翌日、ひかりと崩子を振り切り、いーちゃんは福岡に行きました。

(余談ですが、この場面で、
いーちゃんの本名の苗字候補という説がある「壱外」について、
『九州、といわれてピンと来るのは、精々玖渚機関の配下である、
壱外と参榊くらいだが、その両方ともと、ぼくは大したかかわりをもっていない』
と書かれており、
『初めての九州なんだけどなあ』
というセリフがあります。
それも戯言なのかもしれませんが。)

以前、春日井春日が理澄から抜き取った名刺に書かれていた住所に行くと、
古くて汚いアパートがあり、その二〇五号室に出夢が潜伏していました。

出夢はいーちゃんがやってくるような気がして、
ここで待っていたのだそうです。

哀川との戦闘は、出夢が口を滑らせて「狐さん」のことを言ったら、
哀川は一瞬で察し、いつの間にか消えていたのだそうです。

いーちゃんが封筒から取り出した、
≪十三階段≫のメンバーが書かれた書面を見て、
出夢は、十二人しか、いねーじゃねーか、と首を傾げました。

出夢は、「ノイズ」という人物以外は、何らかの形で知っており、
色々と教えてくれます。

架城明楽は亡霊みたいなものであり、
一里塚木の実(いちりづか・このみ)は≪空間製作者≫であり、
絵本園樹(えもと・そのき)は医者、
宴九段(うたげくだん)は≪架空兵器≫なのだそうです。

古槍頭巾(ふるやり・ずきん)は刀鍛冶、
時宮時刻(ときみや・じこく)は操想術師、
右下(みぎした)るれろ、は人形師です。

闇口濡衣(やみぐち・ぬれぎぬ)は≪暗殺者≫で、
澪標深空(みおつくし・みそら)と澪標高海(たかみ)は、
双子の≪殺し屋≫であり、匂宮雑技団の下位組織なのだそうです。

出夢が知らない「ノイズ」を除き、残るは奇野頼知だけです。

その際、奇野頼知のことを「僕の知る限り十二人の中で一番ヤバい」と言い、
奇野は≪呪い名≫であり、いーちゃんかみいこのどちらか、
あるいは両方が、奇野に何かされている、と言いました。
奇野は身体の中に仕込んだ≪毒≫や≪病原菌≫を、
相手に移す能力を持っているのだそうです。

翌朝、崩子から電話があり、みいこが意識を失ったという連絡が入りました。

いーちゃんが病院に駆けつけると、鈴無音々がいました。
鈴無によると、みいこは原因不明の高熱や呼吸困難などの、
色んな病気の症状を出しており、
肉体自体の代謝機能や免疫機能が酷く低下しているのだそうです。

ベスパを取りに京都駅に戻る途中、電車に乗っていると
いつの間にかヘッドホンをつけた中学生以外の乗客が消えていました。

その中学生こそが≪十三階段≫の十一段目の「ノイズ」でした。

ノイズによると、西東はいーちゃんに本気にやる気を出させるために、
奇野に毒を仕掛けさせたのだそうです。

飲めば助かり、飲まなければ死ぬ解毒剤を手に入れるため、
指定した日時と場所にやってこい、とノイズは言いました。

ノイズというのは単なる記号で、ノイズには名前がないので、
いーちゃんの戯言が効かないのだそうです。
そのために西東はノイズを≪十三階段≫に入れたのでした。

名前のない相手には戯言が通じない、というのは、
はっきり言って意味不明なのですが、
いーちゃんは「………………っ!!」と、焦っており、図星らしいです。

いや、読者には意味不明なんですけどね。
いーちゃん、ピンチらしいです。

「クビキリサイクル」の事件を解決できなかったのも、
あの事件の真犯人には名前がなかったからであり、伏線だったらしいです。
いや、伏線を回収されても意味不明なことに変わりはないんですけどね。

アパートに戻ると、駐車場に崩子がいて、
いーちゃんは退院してからずっと誰かに尾行されていた、と言いました。

尾行の相手は、濡衣だろうと崩子は言いました。
それは、≪十三階段≫の1人である闇口濡衣であり、
崩子の親戚筋なのだそうです。

つまり、いーちゃんはずっと気づいていなかったのですが、
崩子が家出してきた実家というのは、≪暗殺者≫と呼ばれている、
裏の世界の「闇口」の家系なのでした。

崩子の兄である美少年の石凪萌太(いしなぎ・もえた)も、
「石凪」という「死神」の家系でした。

いーちゃんがこれまでの事情を説明すると、崩子は、
「わたしが人肌――脱ぎましょう」と言い、
いーちゃんにバタフライナイフを刺し、内臓を抉りました。

わたしはこれ以上お兄ちゃんが傷つくのを、見ていられません、
貴兄の奴.隷になることを誓います、と崩子が言うのを聞きながら、
いーちゃんは意識を失いました。

目を覚ますと、いつもお馴染みの病院で、
看護師の形無らぶみから、今日は9月30日だと言われました。
西東に指定されていた日になっていました。

らぶみにからかわれたり励まされたりして、いーちゃんは病院を抜け出し、
アパートに戻りました。
部屋で準備を調えると、千賀ひかりがいーちゃんのジャケットを持ってきて、
姫菜真姫の子供の頃のニックネームも、
紫木一姫(ゆかりぎ・いちひめ)と同じく、「姫ちゃん」だったのだ、
と言いました。

ひかりに背中を押してもらい、アパートを出て駐車場に行こうとすると、
そこに13歳の崩子と15歳の石凪萌太がいました。

崩子はいーちゃんと主従の契約を結んでいるので、
崩子はもういーちゃんに手を出せないし、
いーちゃんのすることに口も出せない、と萌太は言いました。

崩子は、契約をする前にいーちゃんの意識を失わせることで、
その間に自由に動くつもりだったらしいのですが、形梨らぶみによれば、
崩子に刺された傷はこれまでで一番の致命傷だったのだそうですw

試しにいーちゃんが崩子に、わんって言ってみて、と言うと、
崩子は屈辱に打ち震えながらクールな表情で「わん」と言いました。

ちなみに、2人は西東に指定されたパーティー会場である、
クビツリハイスクール」に登場した澄百合学園の場所が分からず、
いーちゃんを待っていたのだそうです。

駐車場に行くと、哀川潤が真っ赤なオープンカーに乗り、
いーちゃんを待っており、いーちゃん達はその車に乗りました。

哀川は、石丸小唄からある程度の事情を聞いていました。

哀川は、10年前からずっと西東天を探していたのだそうです。
行方不明になっていた間は、世界を半周して西東を捜していました。

ちなみに哀川は、西東天の姉の娘なのだそうです。

10年前、哀川と西東が喧嘩して、藍川純哉が哀川の味方になり、
架城明楽は西東につき、2対2の勝負になりましたが、
哀川だけが生き残ったのだそうです。

今度こそ西東を殺すために、哀川は西東を捜していたのでした。

その頃の哀川には名前がなかったので、
藍川純哉の名前をいただいたのだそうです。

また、いーちゃんのお世話をしてくれていた千賀ひかりは、
本物のひかりではなく、てる子なのだと哀川は言いました。

根拠は、三つ子メイドを唯一識別できる玖渚に、
「ひかり」が会いたがらなかったことです。
てる子は元々、メイドでありながらボディガードとしての役割もあったので、
イリアからいーちゃんを護衛するように頼まれていたのでした。

澄百合学園に着くと、その門の近くにノイズがいましたが、
哀川はアクセルを踏んで、車で鉄の扉をぶち破り、
ノイズを撥ねて、倒してしまいました。

校舎の中に入ると、戦闘が萌太で、いーちゃんと崩子が手を繋ぎ真ん中、
最後尾が哀川という菱形のフォーメーションで移動することになりました。

いーちゃんは萌太に、石凪の「死神」ってどういうことなのかと訊き、
萌太が詳しく解説してくれました。

しかし、その解説が途切れ、気が付くと、
いーちゃんと崩子の2人だけになっていました。

一里塚木の実の≪空間製作≫によって、いーちゃんと崩子が、
萌太と哀川から分断されてしまったのでした。

せっかくなので、哀川・萌太チームとは別行動をとることにします。

その際、崩子の「契約」についての説明があり、
契約は崩子の方から一方的にできる反面、
契約解除はいーちゃんの方から一方的にできるのだそうです。

また、崩子と萌太は母親が違うことも判明します。

崩子は、奴.隷の集団である≪闇口≫が嫌で、
萌太と一緒に家を出ましたが、それでも誰かの奴.隷にならないといけないなら、
いーちゃんを選ぶと言いました。

しばらくして、水着の上に白衣を着た、挙動不審な27歳の女性の医師、
絵本園樹に声をかけられました。

絵本は、非常に面倒くさい性格の持ち主で、
加害妄想をして一方的に喋りつづけることがあります。

敵味方関係なく、怪我の治療さえできればそれでいい、
ということで、周囲に怪我人が多い西東の傍にいるのだそうです。

早くも、浅野みいこの解毒剤を絵本から貰い、
いーちゃんと崩子は、絵本に案内されて美術室に行きました。

すると、そこには、いーちゃんを心配して、福岡から歩いて駆け付けた出夢がいて、
ついでに澪標深海と澪標高海の双子の姉妹を倒していました。

出夢は澪標姉妹から、哀川が第二体育館に向かっていることを聞いていたので、
絵本を美術室に残し、いーちゃんと崩子と出夢も、体育館に向かいました。

すると、階段の下で西東が待っていて、
いーちゃん達を体育館に案内してくれることになりました。

その際、西東にとって、哀川潤は、姉の子であり、自分の子供だと言いました。
つまり、西東は実の姉と、そういうことをしていたのでした。

また、西東の姉2人は、
西東準(じゅん)と西東順(じゅん)という名前だったのだそうです。

体育館に着くと、西東は、いーちゃんが持っている錠開け用ナイフで、
扉を開けさせます。

そのナイフは、元々は≪十三階段≫の1人である古槍頭巾が作ったもので、
零崎人識のものになり、哀川が人識から手に入れ、
それをいーちゃんが哀川から譲り受けた、という曰くつきのものでした。

体育館の中に入りながら時刻を確認すると、
間もなく日付が変わって10月になろうとしていました。

体育館の中で哀川を待ちながら、≪十三階段≫ってのは、
十二人、プラス一人なのだと、西東は言います。

そこへ、扉の向こうから哀川と萌太がやってきますが、
その2人の後ろに、もう1人、
幼稚な狐のお面を被り、浴衣を着た小さなシルエットがありました。

そして、哀川と萌太はその存在に気づいていませんでした。

西東が、「俺の孫」に、「好きにしろ」と言うと、
そのシルエットの腕が、哀川と萌太に伸びました。

その人物こそが、いーちゃんのER3システム時代の重要人物である、
橙なる種(だいだいなるしゅ)、代替なる朱(だいたいなるしゅ)の、
想影真心(おもかげ・まごころ)でした。

そしてこの話は、「ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs. 橙なる種」に続きます。                  スポンサードリンク

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