貴志祐介「鍵のかかった部屋」2話「鍵のかかった部屋」のネタバレ解説

会田愛一郎は、代々続く裕福な開業医の家に生まれましたが、
猛勉強と、口うるさい両親に我慢ができなくなり、
高校3年生の時に家を飛び出しました。

空き巣狙いの見張り役をするうちに、
会田は、音のしないハンドドリルでドアに穴を開け、
『アイアイの中指』というサムターン回しの器具を入れ、
サムターンを素早く回して鍵を開ける、という手口を創案しました。

(最初に読んだ時は、会田愛一郎という名前の元ネタは、
泡坂妻夫さんの亜愛一郎シリーズの亜愛一郎かと思いましたが、
「アイアイ」の語呂合わせだったみたいです。)

養親が前立腺ガンで死去した後、
会田は「サムターンの魔術師」として荒稼ぎをしながらも、
姉のみどりの息子と娘である、
大樹(ひろき)と美樹を可愛がっていました。

しかし、ある家に泥棒に入った時、
誰でもいいから人を殺してみたいと考える引きこもりの息子に襲われ、
殺してしまいました。
正当防衛ではありましたが、会田が不法侵入していたことから、
5年の懲役で服役しました。

その2年後には、姉のみどりが亡くなりましたが、
服役中だった会田は葬式にも行けませんでした。

出所した会田は、5年ぶりに、大樹と美樹に会いに行きます。

中学校で理科を教えている高澤芳男が出迎えてくれました。

みどりは大樹と美樹をもうけてから、夫に先立たれており、
再婚した相手が高澤でした。

しばらく応接間で話をしていると、
15歳に成長した美樹が帰ってきました。
美樹は大樹に、会田が来たことを教えに行きましたが、
大樹は部屋から出てきませんでした。

大樹は17歳でしたが、学校には通っていませんでした。

会田が大樹の部屋のドアを開けようとしても、開きません。

高澤によると、今日、美樹が外出してから、
大樹がドアに補助錠をつけていたのだそうです。

高澤がドリルでドアに穴を開けました。

会田はその穴に、
折り畳み傘の軸に隠していた『アイアイの中指』を入れ、
サムターンを回そうとしました。
しかし、何かで滑って、なかなか開かず、しばらく苦労してから、
ようやく開けることができました。

部屋の中にはバーベキューコンロがあり、
灰になった練炭がありました。

ドアと窓にはビニールテープで目張りがしてあり、
壁には赤と緑の紙テープで『サヨナラ』という文字が見えました。

大樹は練炭自殺した、と警察は考えていましたが、
会田はその見解に納得できず、「古い友人」の榎本に相談しました。

榎本は、青砥純子に相談し、協力してもらうことにします。

会田は、大樹は高澤に殺されたのではないか、と疑っていました。

みどりは両親から4億円もの遺産をすべて相続しており、
みどりの死後は大樹と美樹がその遺産を受け継いでいたため、
高澤には動機があったことになります。

純子が美樹を説得し、榎本と会田も、
家に招き入れてもらうことができました。

榎本は鍵を調べ、受け金の奥に脱脂綿があり、
開錠のときは音がするのに、
施錠のときには音がしないようになっていることに気付きました。

また、会田は、幅が2センチ足らずで、長さが7~8センチくらいの、
白い紙テープを見せました。
遺体発見時にドアを開けた瞬間、
部屋から飛んできたものを拾っていたのでした。

榎本は、ドアの目張りと窓の目張りに使われていたのが、
ポリ塩化ビニールの配管用テープであることを説明します。
そのテープは、「マイナスに停電しやすい性質を持っているため、
犯人はドアの外周に沿って半分が外にはみ出るようにテープを貼り、
ドアを閉めた後、ナイロンやウールなどでこすって帯電させ、
静電気で床に貼り付けさせたのでした。

そこへ、高澤が帰ってきて、榎本は高澤と対決します。

高澤が睡眠薬入りのコーヒーを大樹に飲ませて眠らせ、
コンロで一酸化炭素を発生させて大樹を中毒死させた、
と榎本は言いました。

高澤はその後、「普通に、ドアを開けて外へ出ました。

そして、エアコンを設定して、中の温度を2~3度上げて、
気圧差でドアが開かないようにしたのでした。

普通なら、温度が上がって空気が膨張したら、
ドアの隙間から空気が逃げるのでそんなことにはならないのですが、
この部屋はテープで密閉されていたため、そんな状態になったのでした。

高澤は、会田と美樹の目の前で、ドリルでドアに穴を開け、
空気を出すことでドアが開くようにしました。

さらに、予めサムターンに紙テープを分厚く巻いてあったため、
ドリルの回転で紙テープを引っ張り、サムターンを回して施錠したのでした。

会田がサムターンを回そうとしたとき、なかなかドアが開かなかったのは、
その紙テープの一部がサムターンの上に残ってしまっていたからでした。

会田が拾っていた紙テープの切れ端を調べれば、
ドリルで切断されたことは分かるでしょうから、
高澤が犯人だということが証明できました。


というあらすじなのですが、またしても、
一つの短編で複数の密室トリックが使われており、贅沢です。                  スポンサードリンク

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