貴志祐介「鍵のかかった部屋」1話「佇む男」のネタバレ解説

鍵のかかった部屋 (角川文庫)


防犯探偵・榎本径シリーズ3作目です。

この短編集のタイトルでドラマ化もされていますが、
しまうましたはドラマは観ていません。
榎本役の人が、原作のイメージと全然違っていたので……。
(原作だと、榎本は小柄で色白で目が大きいという設定です。
体型はイメージ通りですが、ドラマの俳優は色黒なんですよね……)

「戦う司法書士」を標榜する日下部雅友は、新日本葬礼社の社長、
大石満寿男(ますお)と3日前から連絡がとれなくなり、
心配になって会社を訪れました。

日下部は社長秘書と総務課長を兼任している田代芙美子に声をかけ、
社長を話がしたいと言いました。

田代芙美子から、大石社長の遠縁である池端誠一専務の許可が欲しい、
と言われ、日下部は専務室に行き、池端専務と直談判します。

池端は、大石社長は奥多摩にある山荘に行っていると言い、
電話をかけましたが、大石は出ませんでした。

日下部、池端、君塚という若い男性社員の3人は、
大石のいる山荘へ行きます。

山荘の正面玄関の前には大石の車がありましたが、
インターホンを押しても応答はありませんでした。

池端に誘導され、建物の裏から書斎の中を覗くと、
大石が倒れているのが見えました。
窓を開けると、恐ろしい腐敗臭が漂ってきました。

大石は、ドアの前に白幕を張り、ドアを背にして床に座り、
ガラステーブルの下に足を入れた状態で死んでいました。

玄関も勝手口も窓もすべて施錠されており、密室状態でした。

遺書があったことから、警察は、大石は自殺したと考えました。

しかし、その遺書は池端に有利な内容で、
しかも以前に作った遺書と殆ど同じ内容だったため、
日下部は警察の見解に納得できませんでした。

日下部は、密室事件ばかり数多く扱っている美人弁護士の、
青砥純子に依頼しました。

純子、榎本径、日下部、芙美子の4人は、
事件のあった山荘に現場検証に行きました。

まず、山荘の玄関が施錠されていた密室の謎については、
榎本はすぐに、「廊下の突き当たりにある換気用小窓から、
8~9メートル以上の長さの釣り竿を伸ばし、
サムターンを内側から回して施錠した」と看破しました。

難関は、大石の死体が見つかった書斎の密室です。

ガラスに小さな穴を開けておき、
密室を破る時にその穴を割ったのではないか、
と純子は推理しましたが、
警察は割れた窓ガラスの破片を一枚残らず回収して、
繋ぎ合わせており、穴の開いたガラス片がないのは一目瞭然でした。

密室の謎を考えているうちに、窓の外に、
この近くの別荘に遊びに来ている男の子が顔を覗かせました。

純子が外に出て、その男の子、松田大輝に、事件の時のことを訊くと、
ドアの前に髪の毛が真っ白な人が立って自分を睨んでいるのを見た、
と松田大輝は答えました。

書斎に戻ると、日下部は死体を発見した時に、
死体の口のあたりに蛆がいたのを見た、という話をしていました。

そこへ、最有力容疑者の池端専務がやってきます。

純子は松田大輝を呼び、大輝が見たのは池端専務ではないかと訊きましたが、
大輝が見たのは人物の特徴は、大石社長のものでした。
しかも、大石が佇んでいるのを大輝が見たのは、
遺体が発見される前日の、29日の朝でした。
しかし、検視によれば、
大石が亡くなったのは28日の昼から夕方にかけてでした。

ますます謎が深まりましたが、純子が何気なく口にした、
「次元の違う発想が必要」という言葉を聞いて、
榎本は謎を解き明かしました。

榎本は、蛆が育つのには通常は丸一日から半日程度必要だと言いました。
しかし、検視の結果によると、
発見される2日前には大石は亡くなっていたので、
大石が亡くなった後、この書斎は一度開けられていたことになります。

犯人は、「大石を殺した後、死体を横たえ、
殺害から半日以上経過してから戻ってきました。
その時には死後硬直で大石の身体は硬くなっているので、
遺体を仰向けにして、白幕を張ったドアに立てかけ、
ガラステーブルに爪先を差し込んで固定し、
ドアの隙間から脱出したのでした。

その後、大石の死後硬直はゆっくりと解けていくため、
自然と発見時のような姿勢になりました。

白幕には大石のDNAなどの痕跡が発見されるはずなので、
警察が調べ直せば、このトリックが使われたことは証明できます。

また、遺書には池端しか知らないことが書かれていたため、
池端が犯人であることも証明されました。


というあらすじなのですが、犯人はバレバレでも、
トリックが意外だったので面白く読むことができました。

トリックが分かってから読むと、
タイトルの「佇む男」の意味がよく分かります。

(鍵のかかった部屋 1話 2話 3話 4話                  スポンサードリンク

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