小林泰三「クララ殺し」のネタバレ解説

クララ殺し (創元クライム・クラブ)


この本は、「アリス殺し」の続編です。
「アリス殺し」のネタバレが多いので、「アリス殺し」を先に読んだ方がいいでしょう。

今作の「クララ殺し」は、19世紀初頭に活躍したドイツの作家、
エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの小説がモチーフとなっています。

ホフマンの小説は、「不思議の国のアリス」と比較すると、
日本での知名度は低いですが、
バレエ「くるみ割り人形」の原作を書いた人だといえば、
何となく想像がつくと思います。

蜥蜴のビルは、道に迷ってしまい、沼に入り込んでしまいます。
ずっと泳いでいるうちに、疲れて眠ってしまい、
目を覚ますと不思議の国とは別の世界に来てしまっていました。

そこでビルは、車椅子に乗った人間の少女、クララと出会います。
クララは穏やかな性格の持ち主で、
間抜けなビルにも優しくしてくれます。

しかし、右目のない老人のドロッセルマイアーは、
自己中心的な性格の持ち主で、
ビルのことを馬鹿にしたり、ビルの頭部を胴体から取り外したり、
脳を分解したりします。
……そんなことをしたら死ぬだろう、と思いますが、
この世界は地球ではないので、ドロッセルマイアーが脳と頭部を戻すと、
ビルは意識を取り戻しました。

ドロッセルマイアーによると、ビルは世界の境界を破ってしまい、
「ホフマン宇宙」と呼ばれる世界に来てしまったのでした。

ドロッセルマイアーは、地球で、
ビル「のアーヴァタールの井森健」と会う約束をしました。

ビルはクララの家に行き、
クララの父親の医学顧問官シュタールバウムを紹介してもらいます。

クララとビルと一緒に、異世界についての実験をしたい、
とドロッセルマイアーはシュタールバウムに言います。

シュタールバウムは反対しますが、
ドロッセルマイアーはシュタールバウムの脳を操作し、
無理やり賛成させました。

突然、ビルはクララの兄のフリッツに首を絞められます。
ドロッセルマイアーがフリッツを脅してビルを解放させますが、
ビルは落下して床に激突し、意識をなくしました。

地球で目を覚ました大学院生の井森健(=ビル)は、大学へ行き、
金髪で瞳の青い、車椅子に乗った少女と出会います。
少女は、「露天(ろてん)くらら」と名乗りました。

くららは、自分は誰かに命を狙われており、
車椅子に乗ることになったのも車に轢かれそうになったからだと言いました。

井森とくららは、大学のドロッセルマイアー教授の部屋へ行きます。
ドロッセルマイアー教授は、くららのおじで、
あの世界のドロッセルマイアーと容姿が全く同じでした。

(紛らわしいので、地球のドロッセルマイアー教授には、
「教授」という敬称をつけることにします。)

ドロッセルマイアー教授によると、ホフマン宇宙では、
不思議の国と違って、ホフマン宇宙の住民とそのアーヴァタールは、
容姿が似ているのだそうです。

ドロッセルマイアー教授は、くらら宛に届いた脅迫状を井森に見せます。
ホフマン宇宙で誰かが死ぬと、地球のアーヴァタールも死んでしまうので、
地球のくららだけではなく、ホフマン宇宙のクララも同時に守る必要があります。

そこでドロッセルマイアー教授は、井森(=ビル)に、
殺人未遂事件の捜査を依頼しました。

まず、井森はくららに、ひき逃げ事件について訊きます。
ホフマン宇宙では鼠に襲われ、地球でも鼠が車の導線や機械を齧り、
暴走した車に轢かれそうになったのだ、とくららは説明します。
車の中からは鼠の死骸が見つかりました。

さて、ホフマン宇宙で、ビルは協力者として、
ドロッセルマイアーからコッペリウスという探偵役を教えてもらいます。
コッペリウスの本職は弁護士なのだそうです。

しかし、道に迷ってしまい、ビルはナターナエルという青年に話しかけ、
コッペリウスの家を探していると言いました。

するとナターナエルは態度を急変させ、コッペリウスは砂男であり、
ナターナエルの父親を殺したのだと叫びます。

そこへ、物理学者にして発明家のスパランツァーニ教授と、
オリンピアが現れました。
ナターナエルはオリンピアに恋をしていましたが、
実はオリンピアはオートマータ(ロボット)でした。

しかしナターナエルはドロッセルマイアーに、
オリンピアと恋人同士だという記憶を植え付けられ、
オリンピアのことを人間だと思い込んでいました。
そんなことをされたのは、ナターナエルがクララとオリンピアのどっちをとるか、
とドロッセルマイアーとコッペリウスが賭けをしたからです。

そこへ、コッポラと名乗ることもある、大男のコッペリウスが現れます。

ビルは殺人未遂事件の捜査に協力してほしいとコッペリウスに頼みますが、
コッペリウスは、自分の助力が必要ならドロッセルマイアーが直接頼みに来い、
と言い、ビルの身体と脳を分解して、脳髄に直接書き込みました。

井森は地球でコッペリウスの言葉をドロッセルマイアー教授に伝えますが、
ドロッセルマイアー教授はコッペリウスに頭を下げるのを嫌がりました。

井森とくららは、ひき逃げされた現場に行きます。
そこで、諸星隼人という、くららの知り合いの人と出会いました。

(ちなみに、この諸星隼人というキャラは、
小林泰三作品の「AΩ(アルファオメガ)」の主人公です。)

諸星隼人もホフマン宇宙の住民のアーヴァタールのようで、
ビルが探偵を探していたことを知っていました。

諸星隼人がいなくなった後、ビルは、
ホフマン宇宙にいるクララの友達のことを訊きます。

くららは、マリーとピルリバートとゼルペンティーナという
3人の名前を挙げますが、向こうはクララを友達だと思っていないかもしれない、
と付け加えました。
マリーたち3人が、クララに黙って遊びに行くところを見たのだそうです。

ちなみに、マリーは魔法で動く人形です。
ピルリバートはお姫様で、ドロッセルマイアーの甥のくるみ割り人形の、
元許嫁でした。
ゼルペンティーナは蛇なのですが、魔法の力で女の子に変身しています。

その3人が、クララに黙って、カーニバルに向かうのを見たのだそうです。
カーニバルはホフマン宇宙最大の祭りで、
夕方から始まって、次の日の夕方まで続くのだそうです。

その話をした後、くららは、車に轢かれそうになったときに、
空き地に不審者がいたのを思い出し、その場所に移動します。

しかし、そこに落とし穴があり、くららは落とし穴の中に落下してしまいます。
くららを助けようとして、井森も落とし穴に落ちました。

くららは、穴の底に立っていた木の棒で喉を貫かれて死に、
井森も木の棒で左目を貫かれ、死にました。

が、ビル(=井森)はホフマン宇宙で目を覚まし、
カーニバルを見学していた年老いた男のパンタローンや、
若い娘のトゥルーテに、クララが殺されたことを伝えます。

ビルが騒いでいると、群衆の中から、
マドモワゼル・ド・スキュデリという老婦人が出てきて、
ビルの話を聞いてくれました。

やがてドロッセルマイアーがやってきて、
ビルのことを役立たずだと言い、ステッキで殴ったり踏みつけたりしました。

ビルは地球での出来事を説明し、
マリーとピルリパートとゼルペンティーナが山車に乗るのを見た、
というくららの証言を伝えました。

カーニバルが終わり、山車からマリーたち3人が降りてきました。

スキュデリが、マリーたち3人に、山車に乗ってから一度も降りなかったのか、
と確認すると、3人は降りなかったと答えました。

出入り口監視員のカルデヤックもそのことを裏付けます。

山車の中でクララが殺害されていない限り、
マリーたち3人にはアリバイが成立することになります。
山車の中を調べましたが、ここで殺人があったとしても、
誰も気付かないことはあり得ないとその場の全員が同意しました。

ドロッセルマイアーは捜査を打ち切りにしようとしましたが、
スキュデリは、自分とビルが捜査をすると提案しました。

地球に戻った井森(=ビル)は、ドロッセルマイアー教授の教授室を訪れた後、
落とし穴を見に行きました。
ちなみに、「アリス殺し」のラストの方で明かされましたが、「ビルの方が本体なので、
ビルが生きている限り、井森は何度でも生き返ることができます。


落とし穴には、くららの死体は残っていませんでした。

ドロッセルマイアー教授の知り合いだという、30代前半くらいの女性の、
新藤礼都(しんどう・れつ)が井森に話しかけました。

新藤礼都は、「密室・殺人」など、
複数の小林泰三作品に登場しているキャラクターです。

礼都は、警察に通報したら井森が疑われてしまうので、
くららの遺体を持ち去った犯人を、警察抜きで井森が捜すべきだ、
と言います。
ちなみに、礼都は井森の相談に乗るだけです。

一方、ホフマン宇宙で、スキュデリがドロッセルマイアーに質問していると、
ビルがやってきて、ナターナエルが殺されたと言いました。

ナターナエルは突然、市役所の塔に登り始め、変なことを叫んだあと、
そのまま飛び降り、ナターナエルの頭は砕けました。
それを見て、コッペリウスは満足そうに頷くと、その場を去ったのだそうです。

スキュデリとビルは、コッペリウスの家に行き、
ナターナエルに何をしたのかと訊きました。

コッペリウスは、ナターナエルに、
コッペリウスがナターナエルの父親を殺したという妄想を与え、
心を壊してしまったのでした。

一方、地球では、井森がくららの知り合いとして諸星隼人の名前を出しました。

礼都は、隼人が乗った旅客機の一〇二四便が墜落し、
生存者が1人もいないという新聞記事を見せました。

しかし、井森は、隼人が立っているのを目撃します。
1万メートル上空から落下したのですが、確かに生きていました。

井森が、夢の中であなたは誰だったのかと訊いたら、
ナターナエルだと隼人は答えました。

ナターナエルの死後は、ナターナエルの夢を見なくなったのだそうです。

礼都はそれを「リンクが切れた」と表現しました。

今はナターナエルの夢の代わりに、
自分が怪物というか超人に変身する夢を見ているのだそうです。

(この飛行機事故のエピソードは、小林泰三作品「AΩ」で詳しく書かれています。
簡単にネタバレ解説すると、隼人は飛行機事故で間違いなく死亡したのですが、
地球にやってきた宇宙生命体に身体を乗っ取られ、
宇宙生命体に寄生されて、生命維持される形で蘇生されてしまったのでした。)

礼都は、隼人の問題と、井森の問題は、質が違うから、
隼人のことは忘れるようにと言いました。

井森は礼都と別れた後、もう一度落とし穴を確認しに行きます。

井森は穴の底に白いものが落ちているのを見つけました。
しかし、誰かに足首を掴まれ、穴の中に落とされ、死んでしまいました。

ホフマン宇宙で目覚めたビルは、そのことで騒ぎました。

その話を聞いたマリーは、この世界のクララはもう死んでるんじゃないか、
と言いました。
スキュデリは、犯人の動機を気にしていましたが、
マリーは、犯行が可能だった人物、不可能だった人物をリストアップした方がいい、
と言いました。
しかし、スキュデリは言うことを聞かず、マリーがリストを作ることになりました。

一方、地球では、くららの死体が、近くの川の橋脚に引っかかっているのが見つかり、
ドロッセルマイアー教授のところに連絡がきました。

検視によると、死因は窒息死で、数日前の大雨の時に川に落ちて溺れたのではないか、
と警察は考えているようでした。

ホフマン宇宙で、スキュデリとビルは、
クララの関係者から、話を聞くことにしました。

まず、ピルリパートは、あまりクララとは親しくない様子でした。
「胡桃割り人形」のエピソードを語ります。

ゼルペンティーナは、自分はクララとの間に確執はなかったと言います。
ホフマン作品の「黄金の壺」のエピソードを語ります。

オートマータのオリンピアは、ナターナエルを愛してもいないし、
クララを憎んでもいない、と言いました。
ビルは、マリーが怪しいと言いましたが、
オリンピアは、マリーは被害者だから犯人ではない、と言いました。

ドロッセルマイアーや砂男から、クララの兄という記憶を植え付けられた、
ロータルという男に会います。
ロータルの額の皺は左右の真ん中あたりでずれていました。

ナターナエルは自殺する直前にクララを殺そうとした、
とロータルは証言しますが、その時には既にクララは失踪していたので、
辻褄が合わず、記憶が混乱してロータルは気を失ってしまいました。

一方、地球では井森が、スキュデリのアーヴァタールを探そう、
と主張しましたが、ドロッセルマイアー教授にも礼都にも反対されました。

井森は1人でスキュデリのアーヴァタールを探すことにし、
くららの遺体が見つかった橋脚に行きました。。

そこで、岡崎徳三郎(おかざき・とくざぶろう)という老人と出会います。
この「徳さん」も、「密室・殺人」や「記憶破断者」など、
小林泰三作品に登場するキャラクターです。

事件の話を聞いた徳さんは、警察の知らない現場を調べるべきだ、
と言いました。

井森は再び、落とし穴に行き、落とし穴の底にあった紙切れを持ち出しました。

その紙切れには、「もしわたしが本当に死んでしまったら、
クララを探してください。マリーのことは気にする必要はありません」
と書かれていました。
その後、誰かに紐で首を絞められ、井森は死にました。

ホフマン宇宙でそのことをスキュデリに伝えると、
マリーのアリバイは都合が良すぎる、とスキュデリは言いました。
そこへ、ドロッセルマイアーの甥の胡桃割り人形がやってきて、
マリーが側溝の中で死んでいるのが見つかった、と言いました。

マリーの遺体を調べたシュタールバウムは、マリーは窒息死したと言いました。
マリーはオートマータではなく、魔法の力で動く人形なので、
人間と同じく呼吸をするのでした。
改造されたような跡もあり、元人間だったのかもしれない、
とシュタールバウムは言いました。

スキュデリはドロッセルマイアーの前で、
ビルに、井森への伝言を頼みます。

地球で目覚めたビルは、二十四時間以内に解決しなければ、
ビルは死刑だ、とドロッセルマイアー教授に言われました。
ビルがホフマン宇宙にやってきてから、立て続けに事件が起こったから、
ビルが怪しい、というのがドロッセルマイアー教授の主張でした。

井森は落とし穴の杭の血液検査をドロッセルマイアー教授に頼みます。

礼都がかわりに血液検査を業者に依頼に行っている間に、
井森はドロッセルマイアー教授に、
『スキュデリがドロッセルマイアーに直接問い合わせていた、
くららが車椅子に乗っている間に行った場所を全てピックアップして、
一覧表にしてもらう件』の回答を頼みましたが、
ドロッセルマイアー教授は、まだ完成していないと答えました。

ホフマン宇宙で、スキュデリは、
スキュデリの養女の長男であるオリヴィエ・ブリュッソンと、
オリヴィエの許嫁であるマドロン・カルデヤックと、
マドロンの父であるルネ・カルデヤックを、
ドロッセルマイアーに紹介します。

ドロッセルマイアーは、
地球で落とし穴の血液の分析をちゃんとやっておいた、と言いました。

しかし、井森がドロッセルマイアー教授に頼んだのはそれ1つだけか、
とスキュデリが訊くと、ドロッセルマイアーは黙り、話を逸らした後、
大きな依頼はそれだけだと答えました。

くららが車椅子に乗っている間に行った場所をリストアップして、
一覧表にしておくように頼んだ、とスキュデリはビルに嘘をつき、
ドロッセルマイアーの他に誰もいない時に、それを確認しておいて、
とビル経由でスキュデリは井森に頼んでいました。

しかし、実際にはそんな頼まれごとはしていないのに、
地球のドロッセルマイアー教授は井森に話を合わせていました。

つまり、地球のドロッセルマイアー教授は、
ホフマン宇宙のドロッセルマイアーのアーヴァタールではなく、
そのことをスキュデリは証明したのでした。

オリヴィエ、マドロン、ルネがその証人になってくれました。


地球で、井森が礼都に、そのことを伝えると、
礼都はドロッセルマイアー教授にそのことをばらしてしまいました。
礼都は井森ではなくドロッセルマイアー教授の味方をしていました。

礼都は、スキュデリが事情聴取した人物の証言を突き合わせたら、
何か分かるかもしれない、と言いましたが、
ドロッセルマイアーやコッペリウスは他人の記憶を改変できるので、
どこまで信用できるかわかりません。

記憶改変の痕跡である、額の皺がずれている人物は、
シュタールバウム、マリー、フリッツ、トゥルーテ、
パンタローン、ピルリパート、ナターナエル、ロータル、
スパランツァーニ、若いドロッセルマイアー(胡桃割り人形)でした。

井森は再び落とし穴のところへ行き、杭の血の付き方が、
上から振り掛けたようだと気付いた後、またしても殺されました。

ホフマン宇宙では、スキュデリが関係者を広場に集め、
推理を説明することになりました。

スキュデリが、井森は身長2メートル以上の大男だと嘘をついたところ、
ドロッセルマイアーは、「井森の身長はせいぜい1メートル70センチ代だろう、
と見てきたように言いました。
というか、見てきたのです。

ホフマン宇宙のドロッセルマイアーのアーヴァタールも、
地球にいるのです。

替え玉を使ったのは、別の世界からやってきたビルに、
『不思議の国』とは違い、ホフマン宇宙の人々のアーヴァタールは、
本体と似ている、と思い込ませるためでした。

ドロッセルマイアーはマリーの協力者として、ビル(=井森)を騙し、
マリーのアリバイを作ったのでした。

実は、クララのアーヴァタールはくららではありませんでした。
マリーのアーヴァタールがくららだったのです。

くららが落とし穴に落ちて自殺することで、
クララが死んだからくららも死んだ、と井森(=ビル)に思い込ませ、
クララの死亡日時をずらし、マリーはアリバイを作ったのでした。

また、ドロッセルマイアーとコッペリウスは、
マリーとクララを入れ替えるという悪戯をしていたことを白状しました。

本当は、シュタールバウム家の長女はマリーであって、
その人形がクララだったのですが、
ドロッセルマイアーとコッペリウスは、マリーを人形に改造し、
クララを人間に改造したのです。
さらに、シュタールバウム家や近隣に人間の記憶も書き替えました。

そんなことをしたのは、ゲームのためでした。

当事者の2人にはゲームだということもゲームのルールも教えず、
最終的にクララとマリーのどちらが勝つかを競っていたのです。

自分は人形ではなく、クララに胡桃割り人形の物語を奪われた、
とマリーはドロッセルマイアーに相談しました。

マリーは、地球にいる自分のアーヴァタールの預金で、
誰かを雇ってドロッセルマイアーのアーヴァタールに成りすませる、
という作戦を、ドロッセルマイアーに告げます。

地球で募集広告を出し、
偽者のドロッセルマイアーのアーヴァタールは大学教授に決まりました。

別の世界からビルがやってきたので、ビルを騙すことにし、
くらら(=マリー)は、井森の前で落とし穴に落ち、自殺しました。
しかし、ホフマン宇宙に本体がいる限り、マリーは生き返るので、
自殺と言っても狂言のようなものでした。

ドロッセルマイアーはマリーに協力したことは認めましたが、
マリーがクララを殺すつもりだったことは知らなかったと言い、
罪を逃れようとしました。


スキュデリは、「偽ドロッセルマイアー教授の本体に相当する人物は、
クララだったと言いました。

クララ(=ドロッセルマイアー教授)は、
マリー(=くらら)の計画を途中まで実行させ、
自分は死んだことにした後で、マリーを殺しました。

クララが失踪した後もロータルがクララを目撃していたのは、
そういう事情だったのです。

ドロッセルマイアーは、クララとも共犯関係にあり、
死んだはずのクララをオリンピアと入れ替わらせた、
スキュデリは言いました。

スキュデリは、オリンピアに事情聴取した際、
単に『遺体発見』としか言っていなかったのに、
オリンピアはそれをマリーの遺体だと知っていました。

一方、ピルリパートやゼルペンティーナは、
あの時点で行方不明になっていたのはクララであり、
マリーではなかったので、クララの遺体が見つかったと思っていました。


つまり、「オリンピアはその時点で知っているはずのない、
マリーの死を知っていたことになり、
オリンピアが犯人だということが証明されました。

クララはマリーに、毒針で怪我をしたと思い込ませ、
解毒剤だと偽って強力な睡眠導入剤を飲ませ、溺死させました。

溺死なら、地球のくららの遺体は海や川で見つかる公算が高く、
死体は相当傷んでいるはずなので、
刺し傷が見つからなくても問題ないと思ったのです。

ドロッセルマイアーは、マリーの計画のことは知っていたが、
クララの計画のことは知らなかった、と主張し、罪を逃れようとします。
クララは死んでいないので、クララ殺しの計画の共犯者として、
ドロッセルマイアーに殺人罪を適用することはできませんでした。

しかし、法的には無罪でも、広場で推理を聞いた人達は、
ドロッセルマイアーを無実だとは思わないので、
これからドロッセルマイアーは鼻つまみ者として過ごすことになりました。

本当のオリンピアの身体は、クララがばらして地下室に放り込んでおきました。
しかし、オリンピアに偽装したくららのぜんまいが切れている間に、
スパランツァーニがオリンピアの中身を入れ替えてしまっていました。

もはや、今のオリンピアがクララなのかオリンピアなのか、
分からなくなってしまいました。

コッペリウスがオリンピアもしくはクララを分解し、
ドロッセルマイアーとコッペリウスとスパランツァーニが、
3人でオリンピアもしくはクララの身体をぐちゃぐちゃにしてしまいました。
今度こそ、クララは殺されてしまったのでした。


地球に戻った井森は、「ドロッセルマイアー教授(=クララ)が、
脳梗塞で突然倒れたことを知りました。

井森は礼都に、あなたはドロッセルマイアーですね?
と訊き、礼都はそれを認めました。

見せかけのアーヴァタールは、クララ(=露天くらら)、
ドロッセルマイアー(=ドロッセルマイアー教授)でしたが、
実際にはクララ(=ドロッセルマイアー教授)、
マリー(=露天くらら)、
ドロッセルマイアー(=新藤礼都)だったわけです。

礼都は、くららが落とし穴に落ちた後、井森を殺す予定でした。
しかし、井森がくららと一緒に落ちて死んだので、未遂に終わりましたが。

井森を落とし穴に着き落として殺したのはくらら(=マリー)で、
首を絞めて殺したのはクララ(=偽ドロッセルマイアー)でした。

突然、徳さん(岡崎徳三郎)が現れ、礼都が過去に人殺しで逮捕されたが、
裁判で自分で弁護人をしてひっくり返した、という話をしました。
(このエピソードは、「密室・殺人」の後日談ですね)

礼都は、スキュデリのアーヴァタールが徳さんであることに気付くと、
震え出しました。

井森は、大学の食堂へ行き、そこで話しかけてきた女性(おそらく
『アリス殺し』の主人公の栗栖川亜里でしょう)に、
『スナークは?』という合言葉を言い、女性は『ブージャムだった』と答えました。

この合言葉で、世界はがらりと変わりました。


というあらすじなのですが、今回は「アリス殺し」以上に、
ややこしい話でしたね。

「アリス」のキャラクターに比べると知名度の低いキャラが多く、
覚えにくい名前がたくさん出てきたのも厄介でした。

でも、その分トリックがたくさんあって面白かったです。                  スポンサードリンク

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