三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」第3話「寺山修司『われに五月を』(作品社)」のネタバレ解説

大輔のミスで残業になった後、電話がかかってきます。

田中敏雄の弁護士が保釈申請したことを伝える、
検察からの電話でした。

文香が顔を出し、母屋に客が来て夕食を食べている、
と言いました。

何かの間違いではないかと思いながら、
大輔と栞子さんが母屋に行くと、そこにいたのは、
門野澄夫という30代後半の男でした。

澄夫は、一昨年、栞子さんが店への出入りを禁止した男でした。

澄夫は智恵子(当時の旧姓は三浦)の幼馴染だったのです。

澄夫は最近智恵子と偶然会っており、
寺山修司の『われに五月を』の初版本の問題を相談したら、
栞子さんに相談するといいと言われてやってきたのでした。

澄夫がトイレに行った隙に、澄夫が何をやったのか、
大輔は栞子さんに訊きます。

当時、父を亡くし、
バイトに逃げられて困っていた栞子さんのところに、
澄夫がやってきて、寺山の初版本を含む本を
毎日のように売りに来てくれるようになりました。

しかし、澄夫の1番目の兄の勝巳が店にやってきて、
寺山の初版本は全部自分の本だと驚いた様子で言いました。

澄夫は兄の勝巳の本を盗み、さらによそのお店で万引きした本を、
ビブリア古書堂に売っていたのでした。

警察沙汰になりましたが、勝巳が被害に遭ったお店を回り、
謝罪金を渡したおかげで不起訴処分になりました。

それ以来、門野は実家と絶縁状態になりましたが、
勝巳が亡くなる一週間ほど前に勝巳から電話がかかってきて、
寺山修司の『われに五月を』の初版本を譲りたいと言われたのだそうです。

しかし、四十九日のときに持って帰ろうとしたら勝巳の遺族に止められます。
当然ですが。

澄夫は既に、『われに五月を』を売り払う約束をしており、
金を受け取っているので困っていました。

栞子さんは不本意でしたが、これが母親の智恵子が用意した「依頼」なので、
断るわけにはいかず、とりあえず事実関係を調べることにしました。

後日、深沢にある澄夫の実家へ行きます。
門野澄夫の2番目の兄、門野幸作と、
1番目の兄の勝巳の妻の門野久枝が出迎えてくれました。

幸作によると、澄夫は子供の頃から嘘ばかりついており、
手癖も悪かったのだそうです。

澄夫が5歳、幸作が13歳、勝己が20歳のときに、
旅行先の火事に巻き込まれて、澄夫の両親は亡くなったのだそうです。

勝己の書庫を見せてもらい、「われに五月を」を開くと、
中から一枚の写真が出てきました。

当時5、6歳だった澄夫が、
足を怪我してギプスをした状態で絵を描いている写真です。
撮影者は、当時から澄夫の面倒をみていた久枝で、
最近になってネガからプリントされた写真でした。

澄夫が色鉛筆で絵を描いている紙は、
寺山修司の下書きや覚え書きの文字を消しゴムで消したものでした。
絵を描いている途中で画用紙がなくなり、
澄夫は書庫の中にあった紙を、その価値を知らずに使ったのでした。

その頃から、その頃から、勝己は書庫に鍵をかけるようになり、
澄夫に厳しく当たるようになったのだそうです。

翌日、久枝がビブリア古書堂にやってきて、
澄夫にお金を渡してほしいと言いました。
澄夫が落書きをした日、久枝は自分になつかない澄夫に腹を立て、
澄夫を書庫に閉じこめたことで責任を感じていたのでした。

しかし、店にやってきた澄夫は、お金はいらないから本が欲しいと言い、
久枝の申し出を断りました。
勝己が「われに五月を」をくれると言った電話のとき、
勝己は『作家の自伝40 寺山修司』という本を読んでいた、
という話を聞きます。

その翌日、再度、大輔と栞子さんは澄夫の実家に行き、久枝と対面します。

栞子さんは、『作家の自伝40 寺山修司』の表紙に消しゴムが映っているのを見て、
消しゴムを持っていなかった澄夫には、
寺山の下書きや覚え書きを消すことはできなかった、と気付きました。

消しゴムで消したのは、澄夫ではなく久枝だったのです。
久枝は、勝己が智恵子に心を奪われているのに嫉妬し、
勝己が大切にしていたものを台無しにしようとしたのでした。

しかし、勝己は澄夫の犯行だと誤解し、ひどく怒ったため、
言い出せなくなってしまい、そのまま30年が過ぎたのでした。

それを廊下で立ち聞きしていた澄夫は、
われに五月を」は本当に寺山の本を大事に読んでくれるファンが読むべきだと言い、
それを手に取りました。
久枝は、もう二度とここへは来ないで、と澄夫に言いました。


モノレールの駅に行くと、智恵子がいて、一応は合格だと言いました。

大輔は智恵子を残し、大橋駅に行きました。
そこに澄夫がいて、「寺山の大ファンだという大学院生の女の子の友達に、
たった千円で『われに五月を』を売ってしまいました。
澄夫は本当に、大事に読んでくれるファンにあげたかったのです。

澄夫は寺山の文を引用し、誤解を愛しているから、
このことは久枝や栞子に言わないでほしいと言い、沖縄へ引っ越していきました。
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