大樹連司・鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻5章「ワク」のネタバレ解説

ぼくらの~alternative~2 (ガガガ文庫)


1巻4章「ツバサ」の続きです。

2巻は第5章の「ワク」編が長く、1冊のうち半分くらいを占めています。

交番勤務の村井巡査は、
被災地で他の少年と喧嘩をしていた少年を補導しました。

荷物から、補導した少年の名前は和久隆であることが判明しましたが、
和久隆は黙秘を貫いています。

そこへ、警察署長と、国防省軍令局の佐々見という男が現れ、
和久隆を連れて行ってしまいました。

その夜、村井巡査は、和久隆という少年が、
今日になって半壊したビルの下敷きになり死亡したことを知りました。

しかし、その時間、村井巡査は和久隆を補導していたはずなのです。
村井巡査は自分の勤務記録を調べますが、
和久隆を補導したという記録は一切残っていませんでした。

場面が変わり、ワクはヘリコプターの中で佐々見と話をします。
佐々見は既に、ワクやその仲間たちが、
ロボットのパイロットであることを知っていました。

ワクは国防軍の横田基地に連れて行かれました。

そこには、
カンジこと、吉川寛治。
マリアこと、一之瀬マリア。
キリエこと、切江洋介。
チズこと、本田千鶴。
マコこと、阿野摩子。
コダマこと、小高勝。
アンコこと、徃住愛子。
ウシロこと、宇白順と、妹のカナこと、宇白可奈。
と、9人の仲間が集まっていました。

背後から、コモこと、古茂田孝美に話しかけられます。
コモの隣には、海上国防軍に所属するコモの父親がいました。

コモは重圧に耐えかねて、父親に話してしまったのでした。

佐々見は、今後あのロボットを動かしてはいけないと言い、
ワクたちを怒鳴りつけました。

佐々見に命令され、ワクたちは身体検査を受けさせられました。

その後、庄司邦夫一等陸尉、関政光一等海尉、
田中美純一等空尉の3人を紹介され、個別に尋問されました。

その際、チズだけ途中で尋問を打ち切られ、
別室に連れて行かれました。

尋問が終わると、明日も親に内緒で時間を作るようにと言われます。

ただし、今回のパイロットのワクだけは家に帰ることはできませんでした。
ワクは公式には死亡扱いになってしまったのです。

翌日、マコはワクに謝ろうとして、謝ることができませんでした。
実は、コモを説得して大人たちを介入させたのはマコだったのです。
ツバサの戦闘のときに倒れたナギが、
現在マコの弟を妊娠中の母親と重なり、
母親を守るためには大人たちの力があった方がいいとマコは考えたのです。

海洋にある二段空母、赤城に移動した後、
佐々見はロボットを調査したいと言い出します。
しかし、マリアは、
他国に対する軍事的優位を手に入れるのが目的ではないか、
と痛いところをつきます。

庄司と佐々見はマリアに対して敵対的な態度をとり、
マリアの身柄も拘束すると言います。
しかしマリアは、コエムシが協力すればテレポートできるのだから、
拘束するのは無理だと言います。

マリアはコエムシを呼び出し、
マリアと庄司を父親の艦にテレポートさせてもらいました。

原作のコエムシに比べれば、小説版のコエムシはまだ穏やかな性格なので、
発艦作業中のカタパルトに転送される程度で済み、
怪我はしませんでした。

田中が説得し、ロボットを見せてもらうことにしました。
まるでお子さんでもいらっしゃるような口ぶりね、
と、いつの間にか現れたマーヤが言うと、
カナと同じ10歳の娘がいると田中は言いました。

マーヤが許可し、≪人形≫が出現します。

数日間、実りのない調査を続けた田中と関は、
カコの遺体を発見しました。

さらに、カコ以外にも何十、何百という夥しい数の死体があり、
全く腐敗した様子がありませんでした。
その中には、関とそっくりな遺体もありました。

ワクは自主的に空母に留まっていてくれますが、
子供たちの中にはコエムシの力を借りて
それを拒む者もいるかもしれないということで、
陸防の庄司は膨大な量の仕事をこなしていました。

そこへ、チズがテレポートしてきて、
5人の男たちを探してほしいと庄司に依頼しました。

たとえば、「モリタ 50代くらい 中肉中背、
ニックネーム・ショチョウ……署長か?」
という曖昧な特徴が書かれていました。

(余談ですが、アニメ版「ぼくらの」の監督の苗字も森田です。
しかし、よくある苗字ですし、これは偶然でしょうね。たぶん)

顔写真くらいは分からないとどうしようもない、
と言った庄司に、チズは記録媒体を渡しました。

そこに録画されていたのは、
チズが5人の男たちにレ○○されているシーンでした。

チズは、この5人に復讐したいと言いますが、
庄司は警察に届けるべきだと言います。

そんな綺麗事を振りかざす庄司の前で、
チズは自分のワンピースを引き裂きました。

庄司に乱暴されたことにしたり、
庄司を5人の仲間であると偽証したりしてもいい、
とチズは脅迫します。
庄司はチズの言いなりになるしかありませんでした。

チズが自分の部屋に戻ると、マーヤが現れ、
このままだと戦う理由がなくなったワクは負ける、
チズが女の子としてワクを元気づけてあげればいい、と言いました。

一方、ワクのところに、マコやマリアやキリエが遊びに来て、
ワクを励ましていました。
軍人たちもワクに優しくしてくれます。

軍人はワクたちに自分の部隊のTシャツを勧めており、
それを聞いたマコは、ユニフォームがあるといいと思うか、
とワクに訊きました。
ワクはすぐに「おう」と頷きました。

皆の前では明るく振る舞っていたワクでしたが、
艦内の自分の部屋に戻り、関が訪ねてくると、
自分のお通夜のことを思い出してしまいました。

お通夜のあった日、ワクはコエムシに転送してもらったのですが、
強がっているワクの級友がワクの悪口を言っているのを聞いてしまい、
両親の顔も見ずに艦に戻ってしまいました。

地球が滅亡の危機だっていうのに、大人たちはケンカばかりしている、
オレが守りたいって思った世界はどこにあるのか、
オレは何のために死ぬのか、とワクは後ろ向きなことを考えていました。

ワクの部屋を出て、関が田中と相談しているところに、
カナとコエムシが現れました。
コエムシは、カナがお願いがあるのだと言いました。

その夜、ワクの部屋に、何ひとつ身にまとっていないチズが現れました。
チズは、わたしを愛しなさい、愛するわたしのために戦いなさい、
と言い、ワクを押し倒しました。

しかし、ワクはこんなのは違うと思い、チズを拒絶しました。

次の日の夕刻、敵が襲来しました。

田中と関もマーヤの計らいでコックピットに転送してもらえました。
チズは庄司にも来てもらった方がいいと言い、
コエムシは庄司も転送しました。

関はワクに、予定通りロボットを動かさないように、と言います。

大人たちは、敵は国防軍が倒す、そうすればワクは死なずに済む、
と甘いことを考えていたのです。

しかしマーヤは、この≪人形≫を動かさずに勝った例など、
これまでに見たことがないと言います。

やがて、敵性トミコローツ≪洋梨≫が現れました。
くびれをもった丸くて背の低い瓶のような形をしています。

国防軍は、怪獣の総称を「トミコローツ」とし、
≪人形≫のことは「アムシペ」と呼んでいました。

国防軍は≪洋梨≫を攻撃しますが、効いていませんでした。

さらに、≪洋梨≫の腕の先に、
平凡な服を着た民間人の女の子が立っているのが見えました。

ワクは、その女の子をコズエだと思い、混乱します。

やがて、キリエが、あれが敵のパイロットなんだと言いました。
あの子は、地球人だけど、ぼくらの地球の人間じゃない、と言います。

マーヤは、枝状分岐宇端末点(えだじょうぶんきうたんまつてん)、
要するにパラレルワールドの地球と戦っていたのだ、と言います。
可能性同士を戦わせて、有意味な可能性だけを残そうとしているのです。

ワクたちは、これまでに世界3つと戦って勝ってきたので、
ざっと3百億人くらい殺してきたことになります。

≪洋梨≫のパイロットの女の子は、それに耐えられなくて、
あのような自殺行為をしているのでした。

ちなみに、本当の勝利条件は、敵の急所を潰すことではなく、
敵のパイロットをこちらの地球人が殺すことでした。

それを聞いた関は、≪洋梨≫の女の子を殺すように指示を出します。

しかし、ワクは、やめろと叫び、ミサイルをレーザーで撃ち落とします。
そんなワクに、庄司が拳銃をつきつけ、いいかげんにしろと怒鳴りました。

しかし、ワクは拳銃に怯まず、もう誰にも死んでほしくないと叫び、
新しいミサイルをレーザーで撃ち落としました。

しかし、「それはミサイルではなく、人の乗っている飛行機でした。
人を殺してしまったことに絶望したワクは、
誰も殺したくないんだ! 誰にも死んでほしくないんだ!
と叫びます。

しかし、≪洋梨≫の少女は、自分の仲間に殺されてしまいました。

さらに、チズが庄司の拳銃に手をかけ、
引き金を引かせてワクを射殺してしまいました。

ヒーローになろうとしたワクは、ヒーローになれないまま死んでしまいました。


というあらすじなのですが、原作にもあったエピソードを上手く組み合わせ、
ワクが混乱し、絶望していく様子を描いていたと思います。

衝撃的なラストで「ワク」編は終わり、第6章「チズ」編に続きます。

(原作 鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻 5章 6章 7章                  スポンサードリンク

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