赤川次郎「杉原爽香43歳の秋 栗色のスカーフ」のネタバレ解説

栗色のスカーフ: 杉原爽香(43歳の秋) (光文社文庫)


ある日、爽香は付き合いのある会社で、浅野みずきという女性が受付で騒ぎ、
久留修二という男に罵詈雑言を浴びせかけているのを目撃しました。
みずきは久留と不倫していたのにこじれてしまったのです。

その夜、久留は別の不倫相手の貫井聡子の家に行きます。
すると、そこにみずきが押し掛けてきて、聡子の部屋で自殺してしまいました。

久留は、妻の由美に電話し、由美の父親の小田宅司を呼び出します。
小田宅司は定年退職する前は警視正だった男です。

小田の判断で、久留はみずきの死体を遠くに埋めました。

一方、爽香のところへ有本縁から、
M地建の会長、蔵本正史が亡くなったという知らせが来ます
(有本緑は、「新緑色のスクールバス」に登場した旧姓滝井緑です。
有本哲也と結婚して苗字が変わっています)。

田端が駆けつけるべきか判断するため、まずは爽香が蔵本の家に行きます。

すると、家出するために塀を乗り越えていた、蔵本泰子の下敷きになってしまいます。
泰子は正史の孫娘で、16歳です。

家に通されて怪我の手当てをしていると、
蔵本の親戚の沢本充がやってきて、泰子の叔母とラブシーンを演じ始めました。
爽香が自分の存在を知らせると、2人はやめました。

帰りに、爽香は泰子から頼みごとをされます。
ネットカフェにいる「ボブ」という男に、
正史が亡くなったと知らせてほしいと言われました。
爽香がどう見ても日本人の中年男性の「ボブ」に言うと、
「ボブ」はネットカフェを飛び出していきました。

正史の通夜に、みずきの妹だという小百合という女が現れ、
久留に詰め寄りました。爽香はそれを目撃します。

久留は小百合と場所を改めて話をすることにします。
しかし、久留は不安になり、聡子に相談しました。
さらに、聡子は小田に相談します。

小百合が指定されたホテルの部屋に行くと、
毒殺された聡子の死体がありました。
久留と小田は、小百合を共犯者に仕立て上げたのでした。
小百合は横領の罪で故郷を離れており、
会ったこともなかった生き別れの姉、みずきを頼ろうと上京していたのでした。

久留は小百合に好意を抱き、そういう関係になります。
小百合は、最初はお金を手に入れ、久留の弱みを握ろうとしただけだったのですが、
やがてこんな男のために姉は死んだのかと、虚しさを覚えました。

一方、明男が娘の珠実を連れてファミレスに行ったとき、大宅栄子と出くわします。
栄子はわざと、栗色のスカーフを忘れていき、それを明男に届けさせました。
栗色は栗の中身ではなく外側の色でした
(ちなみに、このスカーフの栗色について明男と栄子が話をする場面が、
1冊の中に2回もあります……。
演出ではなくミスだと思うので、重版するときには直してほしいです)

栄子は別の男性と結婚を考えていましたが、
その前に明男と数時間でいいから関係を持ちたいと言います。
しかし、栄子の娘が帰ってきたため、その話は流れました。

また、爽香の姪の杉原瞳にもスポットが当たります。
瞳は現在16歳の女子高校生で、これまでにも何度も登場していましたが、
単なる「姪」ではなく1人のキャラクターとして焦点が当たるのは、
今回が初めてです。

瞳は合唱部の先輩の那山みちるに恋心を抱いていました。
みちると話をするだけで、瞳は幸せな気分になります。
しかし、以前から瞳を振り向かせようと必死な、
別の高校のプレイボーイ、水沼登が登場します。

瞳は男の子には興味がなく、女の子が好きなのですが、
そんなことを知らない自信過剰な登は、
瞳が自分を好きにならないのが気に食わず、ムキになっていました。

登はみちると関係を持ち、さらに瞳も自分の女にしようとします。
瞳は激しい怒りを覚え、絶対に許さないと思いました。

一方、爽香は、泰子、泰子の母の明子、泰子の父の正一郎と、
3人から同時に相談されてしまいます。

泰子は「ボブ」=本木重治が正史を憎んでいたことについて相談します。

明子は、泰子は正一郎と結婚する前に付き合っていた男性の子供だ、
ということについて相談します。

正一郎は、爽香をG興産から引き抜こうとしましたが、爽香はそれを断りました。

後日、爽香田端真保に呼び出され、
田端が妙な占い師カルメン・レミに入れ込んでいるから何とかしてほしい、
と頼まれます。

爽香が消息屋の松下に頼んで調べてもらうと、
カルメン・レミは田端に、爽香をクビにするようにと助言していました。

それを聞いて心配した明男は栗原英子に相談しました。
爽香が英子にカルメン・レミの顔写真を見せると、
英子は、昔女優だった如月姫香に似ていると言いました。

如月姫香の娘だったカルメン・レミは、「英子が如月姫香から仕事を奪ったと逆恨みし、
英子をナイフで刺そうとしましたが、それはカルメン・レミの誤解でした。
カルメン・レミが爽香と敵対していたのは、
爽香が英子と仲が良いと知っていたからなのでしょう。

泰子は家出し、しばらく爽香の家にいましたが、さらにそこからも家出し、
本木重治と逃避行してしまいます。
ただし、泰子と重治の間には恋愛関係はなく、代わりに信頼関係がありました。
重治は病に冒されており、自殺をするために湖の近くのホテルでしばらく泰子と滞在した後、
自殺してしまいました。

重治は蔵本正史の隠し子だったのです。
『ボブ』というのは昔蔵本家で飼っていた犬の名前で、
ボブより大事にされていないから、という理由で重治はそう名乗っていたのでした。

同じく隠し子の沢本充から、泰子はそのことを聞きました。
泰子は、正一郎と血が繋がっていないことも、正一郎に伝えますが、
正一郎はそのことを受け止めました。

久留は聡子殺害の容疑で逮捕されそうになりますが、
そのときは小田と一緒にいたからアリバイがあると主張します。
しかし、そこに改心した小百合が現れ、
小田と久留が共謀して聡子を殺したのだとぶちまけます。

杉原瞳は、憧れの先輩である那山みちるを奪い、
ストーカーと化していた水沼登をナイフで刺そうとしますが、
明男に見つかり取り上げられてしまいました。

瞳は爽香に、自分は女の子が好きなのだと打ち明けます。
すると爽香は、瞳が同性愛者であることを肯定します。
その結果、瞳は少し楽になりました。

これにて大団円――と言いたいところなのですが、
明男は人混みの中で揺れている栗色のスカーフを発見してしまいました。


というあらすじなのですが、もうこのシリーズは不倫がテーマなのだと理解したので、
明男と栄子の関係についてはもう突っ込みを入れません。

瞳がカミングアウトしたのを爽香が肯定したのは、
渋谷区で同性パートナーシップ条例が施行されたり、
ディズニーランドで女性同士で結婚式を挙げたのが話題になったりした、
今の時代の流れを反映している気がしますね。

昔だったら、そのうち男の子を好きになるだろうから~と、
全く同性愛者を理解していない発言をし、
瞳を傷つけていたかもしれない場面ですから。

こういうのも、キャラがリアルタイムで年齢を重ねていくシリーズの
面白さの一つではないかと思います。                  スポンサードリンク

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