時雨沢恵一「キノの旅」1巻3話「レールの上の三人の男」のネタバレ解説

キノとエルメスは森の中の線路を道の代わりにして、西に進むことにしました。

その途中、キノとエルメスは1人の老人と出会います。
老人は50年もの間、1人で線路の傍の草を抜き、レールを磨いていたのでした。
18歳のときに鉄道会社に就職した彼は、
今は使っていないレールがあるが、
そのうち使うかもしれないからできるだけ磨くように、
と言われていたのでした。
まだ止めろと言われていないからという理由で、老人は妻と子供のために、
50年間一度も国に帰らずにこの仕事を続けていたのでした。
「旅人さんは、何処に行かれるんじゃ?」
老人は何気なくそう訊ねました。

さらに道を進んだキノ達は、
50年間1人でレールや枕木を外す仕事をしている老人や、
同じく50年間1人でレールを直す仕事をしている老人と出会います。

さて、この話は軽くホラーです。
50年もの間、『やめろと言われていないから』という理由で
無駄なことをやり続けていたのは、
スイッチを切らない限り動き続ける機械を連想してしまいます。

普通は数日から数週間でおかしいと思って1度は国に帰るはずなのに、
なぜ彼らは帰らなかったのでしょうか。
もしかすると『大人の国』のような国の出身だったのかもしれません。

ただ、彼らがキノに、何処へ行くのかと尋ねていたのは、
自分の国や家族や会社がどうなっているのかを
知りたかったからだとも考えられます。
キノと彼らの進行方向は逆ですから、
このままキノが線路を進めば彼らのスタート地点に戻るはずですから。
そう考えると、やはり彼らも何かおかしいと感じていて、
しかしそれを認めたくないから延々と無駄なことを繰り返しているのかもしれません。

それにしても、なぜ鉄道会社は彼らを迎えに来なかったのでしょうか。

(1)国そのものが滅びていた。
(2)鉄道会社そのものが潰れていた。
(3)鉄道会社はブラック企業だった。

と、3つくらいの可能性を考えてみましたが、1番可能性が高いのは(3)でしょうか。

2番目3番目の男を送り出す前に、最初の男に仕事をやめるようにと伝えていませんし、
そもそも1人で50年やっても終わらないような仕事を
やらせること自体がおかしいですからね。

この後、キノが彼らの国に行って真相を確かめるという
話にすることは簡単だったはずですが、筆者はそうしていません。
あえて想像の余地を残すことで印象深い話にしたかったのでしょう。

ところで、最初の老人が線路の端に辿り着いてしまった時のことを想像すると、
さらに気分が悪くなります。
おそらく端に着いたら引き返すでしょうから、
2番目3番目の男と出会い、彼らは全員、
自分たちの人生が無意味だったことを知ってしまうのです。

ああでも、実は4番目5番目の男もいるなんてことは……

さすがにないですよね?
                 スポンサードリンク

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

新世界より(上) (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年6月9日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。