湊かなえ「リバース」のネタバレ解説

リバース


まずは表紙についてのコメントですけど、この表紙、ちょっと気持ち悪いですよね。

コーヒー豆をモチーフにしているのは分かるんですけど、
ブツブツみたいに見えて生理的に気持ち悪いです。
文庫版を出すときは違う表紙にしてくれないかなあ……と思います。
ストーリーもあれな感じなので、内容に合っていると言えば合っていますが。

(追記:しまうましたの願いが通じたわけではないでしょうが、
本当に文庫版では表紙が変わりましたね。よくあることですが。
文庫版の表紙↓)

リバース (講談社文庫)


表紙についてはこれくらいにしておき、本編のネタバレ解説をします。

主人公である24~25歳の深瀬和久は、ニシダ事務機械株式会社に勤める営業マンです。

7月某日。
深瀬は、大学時代に同じゼミだった浅見康介が教師をやっている、
神奈川県立楢崎高校に、商品を届けに行きました。
浅見と会話をして別れた後、浅見の同僚の木田瑞希という女性から、
浅見のことについて探りを入れられます。
どうやら木田瑞希は浅見に好意を抱いている様子でした。

会社に戻ると、深瀬は同僚たちにコーヒーを淹れてあげました。
深瀬の趣味はコーヒーなので、同僚たちから人気でした。

深瀬は会社の帰りに、夫婦で経営しているコーヒー豆専門店の「クローバー・コーヒー」に寄りました。
深瀬がいつもコーヒー豆を買っているお店で、店内には小さいながらも喫茶スペースがあります。

深瀬は「クローバー・コーヒー」の奥さんから、蜂蜜をもらってくれないかと訊かれます。
コーヒーに入れたらどうか、と深瀬は言いながら、
大学時代に同じゼミだった広沢由樹(よしき)のことを思い出しました。

大学時代、広沢も実家から大量の蜂蜜が送られてきたからと、深瀬にお裾分けしたことがあったのです。
そのときも、コーヒーに蜂蜜を入れて飲み、美味しかったという思い出がありました。

また、深瀬は恋人の越智美穂子との出会いについても回想します。
深瀬が美穂子と出会ったのは4ヶ月前のことでした。
美穂子もクローバー・コーヒーの常連客で、マスターと奥さんに後押しされる形で付き合い始めました。

この7月某日も深瀬は美穂子とクローバー・コーヒーで待ち合わせしていたのですが、
美穂子は店にやってきませんでした。
電話してみると、美穂子は深瀬の住むアパートの前にいるのだそうです。

アパートに帰った深瀬は、美穂子から、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれた紙を見せられました。
その告発文は、美穂子の働いているパン屋に届けられたのだそうです。

そして、深瀬は美穂子に、大学時代の苦い思い出について話し始めました。
ここから長い回想が始まります。

深瀬和久、広沢由樹、浅見康介、村井隆明、谷原康生の5人は同じゼミに所属していました。
3年前の夏、大学4年生のときに、斑丘高原に行かないか、と村井が他の4人を誘いました。
村井の叔父が、斑丘高原に別荘を持っているのだそうです。

ただ、谷原と村井は既に就職の内定が出ていましたが、浅見は教員採用試験の最中で、
深瀬と広沢はまだ内定がないという、微妙な状況でした。

それでも5人で斑丘高原の別荘へ行くことになったのですが、
当日、村井の彼女が事故で怪我をしてしまい、
村井だけ欠席することになってしまいました。

別荘へ行く途中、深瀬は事前に調べてあった水蕎麦があるお店へ行こうと提案しますが、
広沢だけはどうしてもカレーが食べたいからとレストランへ行きました。

また、途中のサービスエリアで深瀬たちはパンや野菜など、料理の材料を購入します。
その際、「森川さんちのハチミツ」という、大量生産ではなく個人が作った感じの蜂蜜も購入しました。

狭い山道を通って別荘に到着すると、村井が用意していてくれた高級肉や、
用意しておいたお酒などを飲むことにしました。
が、深瀬と広沢が自分たちはお酒が飲めないと言うと、谷原がキレ始めました。

ここで深瀬は初めて、自分がアルコールに対してアレルギーがあることを告白しました。
すると広沢は深瀬に気を遣ったのか、自分はお酒を飲んでも眠くなるだけだからと、お酒を口にしました。

そんなタイミングで、村井から電話がかかってきました。
村井は今、駅まで来ているので、迎えに来てほしいのだそうです。
ところが、運転免許を持っている浅見と広沢の二人は、どちらもお酒を飲んでしまっていました。
しかも、外は台風が来ていて荒れています。

タクシーを呼べと言っても村井はゴネ、浅見は自分は教員試験の最中だからと断ります。
そして、広沢が迎えの運転をしろと押しつけられてしまいました。

深瀬は、せめて目覚まし代わりになればと、蜂蜜入りのコーヒーを広沢に渡しました。

ところが、広沢は運転を誤り、崖から転落して車が炎上し、亡くなってしまいました。

広沢が飲酒していたことは伏せて、深瀬、村井、浅見、谷原の4人は広沢の両親に謝罪しました。
広沢の両親はいい人たちで、葬式でもいい位置に深瀬たちを座らせました。

ここで一旦、回想終わります。

広沢の死についての告白を聞くと、美穂子は、広沢の死について、
「(深瀬は)無罪って言わないと思う」と言い、去っていきました。

それ以来、深瀬は美穂子と会うのが怖くなり、「クローバー・コーヒー」にも行けなくなりました。

数日後、楢崎高校へ行った深瀬は、木田瑞希から、
浅見の車に『浅見康介は人殺しだ』という告発文が貼られており、話題になっていると教えられました。

その帰りに、村井から個室のある料理屋へ呼び出されました。
料理屋へ行くと、村井の父親の選挙事務所にも告発文が貼られていたのだと言われました。
浅見は広沢の死以来、酒を断っていたのですが、村井は今でも飲酒をしており、
深瀬は不快感を覚えました。
村井は、浅見と谷原が共謀して広沢を事故に見せかけて殺したのではないか、
という説を披露しましたが、深瀬は何も言い返しませんでした。

さらに数日後、深瀬は「クローバー・コーヒー」とは別のコーヒー豆専門店で豆を購入し、
愛媛県産の蜂蜜が塗られたトーストを食べました。
そのとき村井から、もう一度会いたい、谷原が線路に突き落とされた、というメールが届きます。
ただ、谷原は助かり、怪我もありませんでした。

深瀬、村井、浅見の3人で告発文について相談した後、会社を休んでいる谷原の家を訪れます。
そして深瀬は自分から、告発文を送った犯人捜しを自分がやりたいと言いました。

深瀬は広沢について知るために、「広沢由樹は」から始まる文章をノートに書き貯め始めました。

深瀬は愛媛県の広沢の実家を訪れ、お墓参りをしながら、広沢の父親に広沢について訪ねます。
すると広沢の父は、広沢は大学を卒業したら一年間外国に行きたいと言っていたことが判明しました。

また、広沢の父に紹介してもらった、松永陽一という広沢の同級生から話を聞きます。
松永は、小学校中学校時代の広沢は野球の強いスポーツマンだったと言いました。

広沢の母親からは、古川という名前の、広沢の高校時代の友達の存在を教えられます。

上田麻友、吉梅あおいという広沢の同級生からは、
あおいが高校のときにいじめの対象になりそうだったとき、
広沢から庇ってもらったという話を聞きました。

その話を聞いたとき、深瀬は広沢のことを理解しました。
広沢は争いごとが嫌いだから、あの台風の夜にビールを飲み、村井の迎えを引き受けたのだと。

さらに、高校時代に広沢が所属していたバレー部のキャプテン、岡本翔真からも話を聞きます。
岡本は凄くイヤミな性格の持ち主で、
広沢は本来ならばスクールカースト上位のグループに入れるはずなのに、
広沢の親友気取りの古川大志という地味な奴がそれを邪魔していた、
という感じのことを言いました。
一応、深瀬は古川の連絡先を聞きます。

そして深瀬は帰りの飛行機の中で、上田麻友から借りた卒業アルバムの中に、
思いがけない顔を発見したのでした。

それはともかくとして、深瀬は以前コーヒー豆を買った店で古川と会いました。
古川は、広沢の彼女について話します。
ある日、古川と彼女が二人きりになったのですが、
そのとき周囲からヒソヒソされたのがトラウマになりました。
古川は、本来ならば高い場所にいるはずの広沢を、
低いところに引きずりおろしていたのだと考えるようになりました。

そしてそれは、深瀬にも同じことがいえるのではないか、と深瀬は考えました。
自分は広沢の親友のつもりだったけど、
それは広沢が自分に会わせてくれていただけだったのではないか、と。

古川は広沢を解放しようと、「おまえみたいな偽善者と付き合うのは、もうまっぴらだ」
と広沢に言い、絶縁したのだそうです。

その後、古川は広沢の彼女の名前を告げました。

広沢の彼女は「卒業アルバムに顔があった木田瑞希だ、
と深瀬は思っていたのですが、それは勘違いでした。

広沢の本当の彼女は、越智美穂子でした。
……まあ、正直に言うと、しまうましたは、
広沢の死に関する回想があった段階くらいでそうじゃないかなと思ってましたけどね。

深瀬は美穂子を『クローバー・カフェ』に呼び出し、直談判します。

美穂子は広沢の彼女だったことを認め、広沢が死ぬ直前にギクシャクしていたことを話しました。
広沢が一年間外国を旅行したいと言ったとき、美穂子は『就職しないのなら別れる』と言いました。
すると広沢はちゃんと就職すると言いましたが、美穂子はそのことを後悔していました。

それで、生前の広沢のことをもっとよく知ろうと思い、美穂子はまず浅見に接触しました。
浅見から村井、谷原、深瀬のことを聞き出すと、
美穂子はそれぞれ自然な成り行きを装って接触していたのでした。

そして広沢は生前、古川や深瀬は一緒にいると居心地がいいと思える奴だと、
美穂子に語っていたことが明らかになります。

美穂子は深瀬たち4人に告発文を送り、その反応を見ていました。
谷原は広沢の死を茶化すようなことを言っていたため、美穂子は谷原を線路に突き落としました。

深瀬は『広沢由樹は』で始まる文章を書いたノートを美穂子に見せ、
広沢の両親に懺悔して謝罪すると言いました。

どう頑張っても広沢は生き返らないので、ハッピー・エンドではないかもしれませんが、
ベストなエンドではないかと思います。

と、ここで終わっていればよかったのですがーー。

美穂子は『広沢由樹は蕎麦が食べられない』とノートに書きました。
広沢は蕎麦アレルギーで、だから死んだあの日も、
一人だけ蕎麦を断ってカレーを食べていたのでした。

そこへ、蕎麦の花の蜂蜜を、『クローバー・コーヒー』の奥さんが持ってきました。
その蜂蜜は、飲酒して村井を迎えにいくことになった広沢のコーヒーに深瀬が入れた蜂蜜と、
同じ色、同じ味がしました。

広沢の本当の死の原因は飲酒運転ではなく、蕎麦アレルギーだったのです。

アレルギーというのは人によって症状の程度は違いますが、酷い場合は死に至ることもあります。
山道を運転する途中に症状が出たら、操作を誤って崖から転落してもおかしくありません。

つまり、広沢を殺したのは深瀬だったのでした。


というオチなのですが、
うわああああああっ!!!
と頭を抱えて叫び出したくなりますね。

すべての出来事が、タイトル通り、リバースして(反転して)しまいました。

どこにも救いがないです。
考えられる限り、最悪の結末、最悪の真相です。

でも、「その責任が深瀬だけにあるとは思えないんですけどね。

蕎麦アレルギーというのは代表的なアレルギーの一つですし、蕎麦の花の蜂蜜を売るなら、
原材料くらいは書いておくべきです。

それから、広沢も深瀬のことを特別な友人だと思っていたのなら、
浅見や谷原や村井はともかく、
深瀬だけには何かの機会に教えておくべきだったと思います。

でも、そうすると深瀬を傷つけてしまったり、
谷原とかがキレて和を乱したりすると思って、性格的に言えなかったのでしょうか……。
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No title

TVドラマ1話のみしか拝見できておらず、結果が気になってここのサイトにたどり着きました。
文中の苗字が広瀬と広沢の苗字が混在していますが、広沢が正しかったですよね?
ご確認願います。

Re: No title

> TVドラマ1話のみしか拝見できておらず、結果が気になってここのサイトにたどり着きました。
> 文中の苗字が広瀬と広沢の苗字が混在していますが、広沢が正しかったですよね?
> ご確認願います。

確認したところ、2ヶ所、広沢が広瀬になってしまっていた部分がありました。

修正しました。
ご指摘ありがとうございました。
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