東野圭吾「夢幻花」のネタバレ解説

夢幻花(むげんばな)


1962年。
真一という男が通り魔に襲われ殺されてしまいます。
真一の妻を和子も、まだ1歳の娘を庇って殺されてしまいました。

それからガラリと場面が変わります。
3人いる主人公の1人である、14歳で中学二年生の蒲生蒼太は、
毎年七夕の日に家族揃って朝顔市に連れて行かれるのが不満でした。

朝顔市というのはその名の通り、
様々な朝顔を展示、販売している場所のことです。

朝顔に興味のない蒼太は退屈で仕方がなく、
靴擦れができたのを両親に訴え、朝顔市を離脱し休んでました。

と、その隣に蒼太と同級生の、見知らぬ可愛い女の子が座りました。

蒼太と女の子の前を通った男が財布を落とし、
それを2人で協力して届けたのをきっかけにして、
2人は世間話をすることになりました。

女の子は伊庭孝美という名前で、上野に住んでいるのだそうです。

蒼太は思い切って孝美から携帯電話のメールアドレスと電話番号を聞き出しました。

蒼太は携帯電話を持っていないので、自分のパソコンからメールを出し、
仲良くなっていきます。

それから2ヶ月くらい毎週末デートをしていたのですが、
蒼太のパソコンの中身をチェックした警察官の父親の蒲生真嗣から、
孝美と会うなと説教されてしまいます。

すると孝美からも電話があり、
もう蒼太と会ったり電話したりするのはやめようと思うと言われました。

そして、それから10年が経過し、現代。

3人の主人公の中の2人目である20歳の秋山梨乃は、
1歳年上の従兄の鳥井尚人が自宅のマンションから飛び降りて自殺した、
という知らせを受けました。

尚人はプロを目指してアマチュアバンド『ペンデュラム』の活動をしており、
充実していたはずで、尚人の弟の知基に訊いても、尚人の自殺の原因は不明でした。

梨乃は葬儀のときに祖父の秋山周治と会話をします。

秋山周治は、梨乃と尚人と知基にとって共通の祖父です。

梨乃は1年前までオリンピック選手を目指して水泳に打ち込んでいたのですが、
今は水泳をやめており、そのことを心配した周治は、
梨乃に家へ遊びに来るようにと言いました。

尚人は生前、バンドのメンバーと『福万軒』という高級な洋食屋へ行きたがっており、
それを知っていた秋山周治は『福万軒』の食事券を持ってきて、
尚人の柩の中へ入れました。

やがて、尚人のバンドでボーカルとギターを担当していた大杉雅哉、
ベースのテツ、ドラムのカズといった、バンドのメンバー3人が葬儀に訪れます。
ちなみに尚人の生前の担当はキーボードでした。

それから4日後、梨乃は祖父の秋山周治の家を訪れました。

秋山周治は一戸建ての木造住宅で一人暮らしをしており、
その庭には様々な花が植えられていました。

梨乃は親切心から、専用のブログを作り、
周治が育てている花の写真をアップロードすることにしました。

それから2ヶ月後。
いつものように周治の家を訪れた梨乃は、
周治が謎の黄色い花を育てていることを知りました。
残念ながらそのとき既に花は萎れてしまっていたのですが、
梨乃は周治が撮っていた謎の黄色い花の写真をUSBメモリーにコピーしました。

その謎の黄色い花はとても貴重なものであり、
ブログにも載せないでくれと周治は梨乃に頼みました。

それから3週間後の、7月9日。
大学3年生の梨乃は大学の講義を受ける前に、
今日周治の家へ行くと周治に電話しました。

講義が終わり、お土産のワッフルを買って周治の家へ行くと、
家の中の様子が変でした。
居間へ入ると、卓袱台には湯呑み茶碗とペットボトルが並んでいました。
座布団を踏むと、その座布団が濡れていることに気付きました。

卓袱台の向こうに寝ている周治に声をかけ、
梨乃は周治が既に亡くなっていることに気付きました。

梨乃は警察に通報し、3人目の主人公の最後の1人である早瀬亮介刑事がやってきました。

所轄の刑事である早瀬は、通報を受ける前から秋山周治のことを知っていました。

早瀬は自身の不倫が原因で、4年前から妻と息子と別居していました。
それ以来2年以上も息子の裕太とは没交渉になっていた早瀬でしたが、
ある日、裕太が万引きの疑いで家電量販店の店員に捕まったという知らせがありました。

店へ駆けつけてみると、裕太への疑いを晴らすのは難しそうで、
早瀬は困り果てました。
しかし、そこへ警察から電話がかかってきます。

高校生2人組が裕太のバッグへ商品を入れるところを目撃した老人がいて、
それを注意した老人が高校生2人組に殴られるという傷害事件が発生していたのです。

こうして、裕太への万引きの疑いは晴れました。
そして、その老人というのが秋山周治でした。

――家の中が荒らされていたことから強盗殺人の線も考慮して捜査が始まりますが、
捜査はたちまち暗礁に乗り上げてしまいます。

秋山周治が6年前まで籍を置いていた「久遠食品研究開発センター」へ行き、
「分子生物学研究室」の福澤から周治の話を聞きましたが、
福澤は周治とは親しくなく、思わしい反応はありませんでした。
そこで、周治が在籍していた頃、共同で研究をしていたという日野和郎を紹介してもらい、
彼から話を聞きました。

日野和郎によると、周治と最後に会ったのは5年前で、
それ以降は数回、電話でのやり取りをしただけだったのだそうです。
一応事件があった7月9日の正午から午後3時までのアリバイを訊いておくと、
その時間は会議があり、アリバイは成立しました。

早瀬は、周治が在籍していた頃に書いていたというレポートや論文の束を貸してもらいました。

その後、裕太から電話がありました。
裕太は周治が殺されたことをネットのニュースで知り、
早瀬がその捜査をしているのではないかと考え電話してきたのでした。

裕太にとって周治は恩人なので、裕太は早瀬に、犯人を絶対に捕まえてほしいと頼みました。

周治の葬儀の日、梨乃は日野和郎に話しかけられました。
周治は生前、梨乃のプレッシャーにならないようにと、
梨乃がオリンピック選手を目指して水泳をしていたことには殆ど触れませんでしたが、
実は周治も梨乃の水泳について日野和郎と話をしていたのだそうです。

梨乃が周治の仕事の内容について尋ねると、
バイオテクノロジーで新種の花、特に青い薔薇を作る研究をしていたのだそうです。
残念ながらその研究は酒造メーカーに先を越されてしまったのだそうですが。

その後、梨乃は自殺した尚人の弟の知基に話しかけられます。
尚人は死ぬ直前にコーラを飲んでいたのだそうです。
また、尚人の代わりのキーボード担当が見つかり、
バンド『ペンデュラム』の活動が再開するのだそうです。

知基に誘われ、梨乃も『ペンデュラム』のライブに行くことにしました。

その後、周治の家へ行った梨乃は、
例の謎の黄色い花の鉢植えがなくなっていることに気付きました。

それを警察に通報したのですが、やってきた警官は煮え切らない対応で、
強盗殺人とは無関係だろうと言われてしまいます。

しかし梨乃は無関係だとは思えず、
思い切って謎の黄色い花の画像をブログにアップロードし、祖父が亡くなったことを告げ、
黄色い花について知っている人がいたら教えて欲しいと頼みました。

すると思いがけないことに翌日の昼には「蒲生要介」と名乗る人物からメールが届きました。
蒲生要介は梨乃と実際に会いたいと言い、さらに黄色い花の画像は削除し、
ブログも閉鎖した方がいいとメールに書いていました。

気持ち悪くなった梨乃はブログを閉鎖し、
翌日、人通りの多い表参道のオープンカフェで要介と会うことにしました。

翌日の午後、蒲生要介は「ボタニカ・エンタープライズ」という会社の代表だと名乗り、
偽名ではないことを証明するために免許証を梨乃に見せました。
免許証によると、要介は37歳でした。

要介は、「MM事件」について周治が何か言っていなかったか、
と尋ねますが、梨乃には全く心当たりがありませんでした。

周治が殺されたことを話すと、要介の顔色が変わります。

要介によると、例の黄色い花は自然界には存在しない植物であり、
バイオテクノロジーによって生み出された花なのだそうです。

鉢植えが盗まれたことも話し、梨乃は自分の名前も明かしました。

が、要介は梨乃に、あの花に関わるな、全部自分に任せろ、
という感じのことを言い、納得できない梨乃はオープン・カフェを後にしました。

場面がガラリと変わり、大学院生になった蒲生蒼太が登場します。

蒲生は実家の東京を離れ、大阪の大学で原子力の勉強をしていたのですが、
東日本大震災の原発事故の影響から原子力の研究に未来を感じられなくなっており、
進路を決めかねていました。

父の真嗣は2年前に癌で亡くなっており、その3周忌に帰ってこい、
と母の志摩子から催促の電話がありました。

蒼太には要介という兄がいるのですが、
蒼太はずっと前から、真嗣と要介に対して壁のようなものを感じていました。

要介は真嗣の最初の妻の子供であり、蒼太は後妻である志摩子の子供でした。

つまり、蒼太と要介は異母兄弟です。
長男の要介が跡継ぎということになっているのも影響しているのか、
蒼太は昔から父や兄との折り合いが悪く、
わざわざ大阪の大学へ進学したのも父や兄と離れるためでした。

志摩子に説得され、渋々実家に帰った蒼太でしたが、
兄の要介は当分泊まりで仕事があり、3周忌にも欠席するのだそうです。

納得がいかない蒼太でしたが、父の妹である叔母から、
跡継ぎではない兄弟が跡継ぎとなる兄弟に隠し事をされているように感じるのは当然だが、
そこに触れてはいけないと忠告されました。

三周忌が終わり、家に帰った蒼太は、家の前にいた若い女性に声をかけました。

女性は「ボタニカ・エンタープライズ」の要介に会いに来たのだそうですが、
蒼太はそんな名前の会社は初耳でした。

女性が水泳選手の秋山梨乃であることに蒼太が気付くと、
梨乃は逃げ出そうとしますが蒼太は止めます。

兄の要介は会社員ではなく、警察庁に勤務している役人だということを話し、
コーヒーショップに移動しました。

蒼太は有名人である梨乃に水泳の話を振りましたが、
梨乃は水泳の話は嫌がっていました。

要介と梨乃のやりとりを聞いた蒼太は謎の黄色い花の画像を見せてもらい、
それがアサガオであることに気付きました。

実は黄色いアサガオは江戸時代の頃までは存在していたのですが、
現在は絶滅しており、自然界には存在しないはずの花だったのです。

一方、早瀬亮介のいる警察署へ、警察庁の生活安全局の、
「犯罪抑止対策室 室長」の要介がやってきました。
要介は周治が殺された事件について早瀬に質問しましたが、妙な雰囲気でした。

梨乃は、要介が「MM事件」について知っているか、
と訊ねていたことを思い出し、もう一度蒼太と会ってそのことを伝えました。

蒼太は蒼太で、黄色いアサガオについて調べたり、
要介に電話したりしたのですが、あまり収穫はありませんでした。

蒼太は梨乃に誘われ、『ペンデュラム』のライブへ行きました。
すると、新しいキーボード担当として登場したのが、
物語冒頭に出てきた伊庭孝美でした。

10年ぶりの再会だったのですが、蒼太が孝美に話しかけても孝美は人違いだと言い、
さっさと帰ってしまいました。
梨乃の従弟の知基に訊いても、キーボードの女性の名前は白石景子だという返事が返ってきます。

一方、借りていた資料を返しに「久遠食品研究開発センター」へ行った早瀬は、
そこで要介の姿を発見しました。
「分子生物学研究室」の福澤に要介を見かけたことを話すと、
要介は周治の研究内容について質問したのですが、
ここへ来たことは捜査員には伏せるように頼んでいたのだ、と福澤は言いました。

早瀬は梨乃に会いに行き、黄色い鉢植えが盗まれた件について話を聞きました。
早瀬は、警察庁の人間が会いに来ただろうとカマをかけますが、
梨乃はそれに感づき、要介との会話の内容は早瀬には秘密にしました。

梨乃が自宅へ帰ると、知基から電話があり、白石景子が姿を消したことを伝えられました。

一旦大阪へ戻っていた蒼太でしたが、黄色いアサガオの件が気にかかり、
再び東京へトンボ返りすることにしました。

蒼太は梨乃と会い、白石景子が失踪した件について相談しました。
白石景子の正体はやはり伊庭孝美ではないかと蒼太は考えており、
梨乃は伊庭孝美について知り合いにあたって調べてあげると言いました。

翌日、蒼太と梨乃は、黄色いアサガオについて尋ねに、
日野和郎のところへ行きました。
その途中、蒼太の初恋の相手が伊庭孝美であることについて、梨乃はからかいました。

日野和郎に黄色いアサガオの写真を見せましたが、
日野は黄色いアサガオの存在には懐疑的でした。

日野から田原というアサガオの育種家を紹介してもらいますが、
田原はバイオテクノロジーで黄色いアサガオを生み出すことについて否定的で、
黄色いアサガオの写真も光の加減で黄色く見えるだけではないかと言いました。

しかし、田原の叔父が田原に、
「黄色いアサガオだけは追いかけるな」「あれは夢幻花だから」
と言っていたことだけは有益な情報でした。

また、田原のコレクションの写真を見せた貰うと、
物語冒頭に出てきた「朝顔市」の写真の中に伊庭孝美が映り込んでいるのを発見しました。

一方、要介と会った早瀬は、要介に取引を持ちかけますが、
要介は取引がしたいならそれなりのカードを用意してもらいたい、
と軽くあしらいました。

――蒼太と梨乃は、知基を誘い、『KUDO’s land』というお店へ行き、
そこで『ペンデュラム』の雅哉、カズ、テツと会いました。

このお店のオーナーは工藤アキラという往年の有名歌手なのですが、
白石景子はこの店の常連で、
雅哉たちは工藤アキラを通して白石景子を紹介してもらっていたのでした。

しかし、工藤アキラも白石景子の素性については何も知りませんでした。

テツやカズによると、白石景子はバンドの練習の合間に、
尚人の自殺について色々と質問していたのだそうです。
カズは、尚人がバンドのみんなと『福万軒』へ行きたがっていたことも
白石景子に話していたのだそうです。

蒼太は、白石景子は、尚人の祖父の周治に近づくのが目的で、
『ペンデュラム』に入ったのではないかと推理しました。

その後、1人になった梨乃は早瀬からの電話を受け、周治の家へ行きました。

早瀬によると、座布団に染み込んでいた液体はただの水だったのだそうです。
早瀬は、周治がペットボトルからお茶を飲んでいたのなら、
どうしてガラスのコップではなく湯呑み茶碗を使っていたのだろう、
と疑問に感じていました。

やがて、伊庭孝美が10年前に住んでいた場所が分かりました。
伊庭孝美は、伊庭医院の院長の孫だったのですが、
既に伊庭医院は閉鎖されていました。

が、伊庭孝美は慶明大学薬学部生理学研究所にいることが判明し、
蒼太と梨乃はその大学の学生に成りすまして潜入しました。

研究所へ行くと、今度はテレビ局のスタッフに成りすまし、
伊庭孝美を探しているのだと説明しました。

伊庭孝美の机を探ると、去年の10月のカレンダーに勝浦と書かれているのを発見しました。
勝浦は、工藤アキラの別荘がある場所でした。

一方、早瀬は後輩刑事から、周治が一ヶ月半ほど前に母校の帝都大学へ行き、
謎の種のDNA鑑定を頼んでいたという話を聞きました。
鑑定の結果、それはアサガオの一種だったのだと判明したのだそうです。

そこへ裕太から電話がかかってきて、捜査の進展状況を聞かれました。
裕太が周治へ礼状を書いていたことを知った早瀬は、
周治から届いた手紙を見せて欲しいと頼みました。

裕太は父親が別居していることについて周治に相談していたのですが、
周治は手紙の中で早瀬のことを庇っていました。

さらに、周治の妻が生前、周治の研究が上手くいくようにと茶断ちをしており、
妻が亡くなった後は周治も茶断ちをしていたと書いてありました。

しかし、現場にあった湯呑み茶碗にはお茶が入っていました。

その頃、蒼太と梨乃は勝浦へ来ていました。
工藤アキラの別荘を捜します。

その途中、梨乃は水泳を辞めた理由について蒼太に話しました。
梨乃は水泳をしていると心因性の眩暈に襲われるようになり、夢を諦めたのでした。

その後、苦労して工藤アキラの別荘を見つけた蒼太と梨乃は、
近くの家に住んでいた老婆から話を聞くことにしました。

工藤アキラがその家を買う前はどんな人が住んでいたのかと尋ねると、
田中という夫婦が住んでいたのだと言われました。
50年くらい前にその夫婦の息子が外国の女優に夢中だったのですが、
その女優が死んだのをきっかけに東京で事件を起こし、
夫婦は逃げるようにここへ引っ越してきたのだそうです。

昼食をとる間、蒼太と梨乃はその事件について調べ、
マリリン・モンローが1962年に死んでいることを知りました。
マリリン・モンローのイニシャルはMMであり、
それが要介の言っていた「MM事件」と繋がっていそうでした。

一方、その頃早瀬は、カラオケボックスで「日野和郎と話をしていました。

事件の起こった7月9日の午後三時以降のアリバイについて、
早瀬は日野に訊きましたが、日野にはアリバイがありませんでした。

周治は茶断ちをしていたため、事件当日、お茶ではなく白湯を飲んでいたのでした。
ペットボトルのお茶は来客用のものでした。

周治は来客にペットボトルのお茶とガラスのコップを出し、
自分は湯呑み茶碗で白湯を飲んでいたのです。

来客は犯行後にガラスのコップを片付けましたが、
ペットボトルのお茶と湯呑み茶碗はそのまま残して行きました。

その後、日野が周治の家を訪れ、湯呑み茶碗を倒してしまいました。
そのとき、座布団に水が染み込んでしまったのです。

しかし、湯呑み茶碗の中身が白湯(というか水)だったことを知らない日野は、
湯呑み茶碗にお茶を注いでおいたのでした。

周治の家の近くのコインパーキングの防犯カメラの映像から、
日野が周治の家へ行ったことを早瀬は突き止め、
こうして日野を問い詰めているのでした。

早瀬は、日野が黄色いアサガオの鉢植えを盗んだのだろうと言いましたが、
日野は盗んだのではなく預かったのだと言いました。


一方、梨乃と蒼太は東京へ戻り、図書館で新聞の縮小記事を閲覧することにしました。

マリリン・モンローが死んだ日以降の新聞を調べ、
1962年の9月5日に、東京で路上殺人が発生していたという記事を見つけました。

それが物語冒頭の通り魔事件だったわけです。

犯人の名前は田中和道で、老婆の話とも内容が一致していました。
また、その事件はMM事件と呼ばれるようになったのだそうです。

その被害者の名前を見ていた蒼太は、「被害者である真一と和子の娘の名前が、
志摩子であることに気付きました。

蒼太の母親の名前も志摩子です。

蒼太が志摩子に電話し、母方の祖父母の名前を確認すると、やはり真一と和子でした。

蒼太は家に帰りますが、志摩子は書き置きを残して失踪してしまっていました。

その頃、早瀬は要介と喫茶店で会い、日野和郎の自供を聞かせました。

日野は黄色いアサガオの鉢植え以外に、卓袱台の上の封筒も持ち去っていたのですが、
その封筒には黄色いアサガオの写真と、『福万軒』の食事券が3枚入っていました。

場面が変わり、『ペンデュラム』のライブを見に来ていた梨乃は、
ライブ直後に大杉雅哉が早瀬達警察に連行されるのを見て愕然とします。

要介の計らいで、早瀬は大杉雅哉の取り調べに参加することができました。

食事券は周治が雅哉に渡そうと用意していたものであり、
それがきっかけで雅哉が疑われることになりました。
食器棚に戻してあったガラスのコップは洗われていましたが、
コップを拭いた布巾から雅哉の皮脂が発見され、それが決め手となりました。

雅哉はプロを目指して尚人とバンドを結成して活動を続けていましたが、
壁を感じていました。

それについて工藤アキラに相談すると、
工藤アキラは謎の種を尚人と雅哉に渡しました。
その種には幻覚作用があり、
トリップしている間に尚人と雅哉は素晴らしい曲を作ることができました。

しかし、種が残り少なくなり、尚人は植物の研究をしていた周治に種を渡し、
種を増やしてもらうよう頼みました。

ところがその後、コーラで種を飲んだ尚人は、
トリップ中にマンションの窓から飛び降りて死んでしまいます。

そして事件当日、雅哉は周治の家を訪れ、種はできたかと尋ねました。
が、周治は尚人と雅哉が種を幻覚剤代わりに使用していることに感づいており、
警察に通報しようとした周治を、雅哉は衝動的に殺してしまったのでした。

――蒼太は、要介が泊まっていたホテルへ招待されました

蒼太と要介の祖父がMM事件の捜査の指揮をとっていたのですが、
彼は犯人の田中和道の自宅から黄色いアサガオを発見します。
それについて調べていたところ、
植物については関与するなと上層部から圧力がかかりました。

元々黄色いアサガオは幻覚剤として江戸時代の頃に普及し始めていたのですが、
幕府はそれが広まらないように秘密裏に取り締まっていました。

その一方で黄色いアサガオの研究は続けられており、
幕府が倒れた後の新政府も研究を引き継いでいました。

が、厳重に保管されていたはずの黄色いアサガオの種が外部に流出し、
MM事件が発生したのでした。

蒼太と要介の祖父はそれについて悔やんでおり、
黄色いアサガオを見つけて処分することは真嗣へ、
真嗣が死んだ後は要介へ引き継がれていました。

蒼太が除け者にされていたのは、母親の志摩子がMM事件の被害者だったからでした。

志摩子もMM事件の真相は知っていたのですが、
真嗣と相談し、蒼太はこのことに巻き込まないことにしていたのです。

要介には伊庭孝美という協力者がいて、今回も伊庭孝美は裏で活躍していました。

伊庭孝美がホテルの最上階のバーにいると聞き、
蒼太は彼女に会いに行きます。

10年前、孝美は両親から黄色いアサガオやMM事件のことを知らされ、
蒼太とは会わないことにしたのでした。

孝美は、田中和道の両親が住んでいた民家を別荘として購入した工藤アキラに目をつけ、
黄色いアサガオを追って調べていたのでした。

孝美は『負の遺産』として黄色いアサガオを監視する役を担っていたのです。

一方、梨乃と知基は雅哉と面会し、謝罪されました。

尚人は水泳の才能がある梨乃のことを羨ましがっており、
少しでも梨乃みたいな天才に近づこうと黄色いアサガオの種に手を出していた、
という話を雅哉はしました。

それを聞いた梨乃は、もう一度水泳を始める決意を固めました。

一方、『負の遺産』の話を聞いた蒼太も、
原発と向き合っていく覚悟を固めました。

ちなみに、蒼太と梨乃はデートをするような仲になっており、
蒼太は孝美ではなく梨乃の方を選んだのでした。


というあらすじなのですが、伏線の張り方が巧妙で面白い話でした。

ただ、難癖をつけるとすれば、「MM事件の直後は仕方がないにしろ、
しばらく時間を置いてから田中和道の両親の家に
黄色いアサガオの種がないか調べておくべきだったんじゃないか、
と突っ込みたくなりましたね。

半世紀も黄色いアサガオを追っていると言う割には、
肝心のことをしてないじゃないか、と思いました。

例えば、田中和道の両親が2人とも亡くなった段階で、
要介が誰も住んでいない勝浦の民家を調べておけば、
民家を別荘として購入した工藤アキラが黄色いアサガオの種を発見し、
工藤アキラを通じて尚人や雅哉や周治の手に渡ることもなく、
尚人が自殺したり周治が雅哉に殺されたりすることもなかったのに……、
と思ってしまいます。

まあ、もちろんそれは結果論なんですけど、
田中和道が黄色いアサガオを所有していたのなら、
その両親が遺品として種を引き継いでいることは簡単に想像できますし、
やっぱりちょっと納得がいかないですね。
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