西尾維新「終物語 中 第四話 しのぶメイル」のネタバレ解説

終物語 中 (講談社BOX)


あとがきによると、この「終物語 中 しのぶメイル」は、
本来ならば傾物語で語られる予定だった話です。
まよいキョンシー」「しのぶタイム」「しのぶメイル」で三部作というか、
一塊の話になっています。

そう言われてみると確かに、全部ちょろっと扇が登場していて、
それなりに一貫性はあるようにも見えます。
が、こうやって三分割されて製本されたのを読むと、
全部「まよいキョンシー」で語るのは分量的に無理だっただろう、とも思ってしまいます。

時系列としては鬼物語の直後の話であり、
猫物語(白)の裏側の話ということになるんですけど、
本当にもう、刊行順に読むと時系列ぐちゃぐちゃですねwww

タイトルの「メイル」は郵便という意味ではなく、
鎧という意味のメイルです。

さて、前置きはこれくらいにして、いつものようにあらすじです。

冒頭の阿良々木くんの独白で、阿良々木くんは「忍野扇さえいなければ」と考えますが、
扇はその独白にすら浸食してきます。
前話「そだちロスト」では阿良々木くんは扇に対して警戒心を抱いていなかったので、
結構話が飛んでいますね。

独白も終わり、本編開始です。

8月23日の夜。
阿良々木くんは町に帰ったものの家には帰らず、例の学習塾跡の2階にいました。

そこへ、神原が阿良々木くんに跳び膝蹴りを食らわせつつ登場します。
このときの阿良々木くんは忍とのペアリングが切れているので、
普通の男子高校生レベルの能力しかなく、
歯が欠けてしまいます。

八九寺が成仏」した直後だというのに、
阿良々木くんは神原とのふざけた会話を楽しみます。
いや、「八九寺が成仏」した直後だからこそ、なのかもしれませんが。

と、そこへノックの音が聞こえます。
神原が入室を許可すると、入ってきたのは何と、鎧武者でした。

神原は咄嗟の判断で鎧を攻撃し、鎧はバラバラになりました。
が、すぐに元に戻ってしまいます。

神原はさらに鎧を攻撃し続けるのですが、
鎧は殆ど何もしていないのに神原は倒れてしまいました。
吸血鬼や障り猫のスキルとしてお馴染みのエナジードレインでした。

神原は阿良々木くんに逃げろと言いますが、
性格的に神原を見捨てることなどできるはずもなく、
阿良々木くんは鎧に立ち向かい、片手で首を絞められてしまいます。

絶体絶命かと思いきや、床から炎の柱が吹き出し、阿良々木くんは床に落ちました。

それからさらに炎が物凄い勢いで学習塾跡を包んでいきます。

神原は「羽川先輩」と呟いていたことからも分かる通り、
これは猫物語(白)の羽川さんの苛虎の仕業なのでした。
羽川さんは神原さんには苛虎のことを話している描写はなかったような気がしますが、
おそらく戦場ヶ原さん経由で神原は猫白の事情を聞いていたのでしょうね。

鎧は時代がかった口調で、忍から「心渡」を返してもらう、
という感じのことを言い、消えていきました。

謎の鎧に殺される危機は去りましたが、このままだと火事で焼け死んでしまいそうです。
阿良々木くんと神原は意を決して飛び降りようとしますが、
その前に余接が助けに来てくれました。

鬼物語から引き続き、余接大活躍ですね。
っていうか、余接って何気に出番多いですよね。
偽物語(下)で登場したときは1度限りのゲストキャラにしか見えなかったのに……w

神原が火事のショックで気絶している間に、阿良々木くんと余接は情報を共有します。
というか、余接に正面から顔を踏まれながらお説教されます。
このとき、阿良々木くんの顔面には余接の足跡がスタンプされてしまいました。

あの鎧が、鬼物語から余接の追っていた怪異だったので、
余接は鎧を探して去っていきます。

阿良々木くんは神原をおんぶして、臥煙さんとの待ち合わせ場所である浪白公園へ向かいます。
途中で神原が目を醒ましますが、浪白公園へ行くのなら反対だろうと言います。

阿良々木くんは方向転換して進みますが、いつまで経っても迷子のままです。

これはどうやら怪異の仕業らしいと阿良々木くんは臥煙さんに電話しますが、
臥煙さんは神原の助けを借りろとアドバイスしました。
そこで、神原に相談すると、神原は電信柱に登って、
昔の戦場ヶ原さんの家があった方角(浪白公園がある方角)の見当をつけます。

さらに、塀の上を通るなど、道以外の場所を通れば「道に迷う」ことはないと神原は言い、
阿良々木くんもその通りにしました。
ここで思い出すのは、影縫さんの「地面の上を通らない」主義のことですが、
阿良々木くんはそれに気付きません。

3時間もかかって浪白公園に到着しましたが、臥煙さんはいませんでした。
その代わり、神原はブランコの下で忍が寝ているのを発見します。

忍を起こして話を聞いていると、忍はここに来るまでに猫や猿の怪異に襲われたのだそうです。
阿良々木くんとのペアリングが切れているせいで忍も本来の力を発揮できず、
余接に助けてもらいつつ生き延びたのだそうです。

と、そこへ、右半身は重し蟹で左半身は猿(というかレイニーデビル)という、
キメラのような怪異(忍は「よくないもの」と言っていましたが)が出現します。
阿良々木くんと神原はそれに立ち向かいますが、忍は協力してくれず、苦戦します。

しかし、忍は「心渡」のを出してくれ、
阿良々木くんはそれを使って蟹と猿のキメラの怪異を真っ二つにしました。

安心するのも束の間、尻尾の部分には2匹の蛇の怪異が潜んでいたのですが、
それは忍が倒してくれました。
忍は吸血鬼として、その怪異の残骸を食べてしまいます。

その後、忍のアドバイスに従ってブランコの下に潜り込むと、
臥煙さんのプリクラが貼ってあり、
待ち合わせ場所が北白蛇神社に変更になったことが書いてありました。

――何でそんな分かりにくい場所にプリクラを貼っておくんだよ!

というツッコミはさておき、阿良々木くん、神原、忍の3人は北白蛇神社へ移動します。

そこには今度こそ臥煙さんがいました。
しかし臥煙さんは神原と忍に対し、「忍野伊豆湖」という偽名を使い、
忍野メメの妹なのだと堂々と嘘を吐きました。

仕方なく阿良々木くんも話を合わせ、今夜の出来事を報告します。

すると臥煙さんは、鎧の怪異の正体は、忍の一人目の眷属である、
初代怪異殺しなのだと言いました。

忍は、初代怪異殺しは太陽の下に身を投げて自殺したのだと否定しますが、
臥煙さんによると、初代怪異殺しは不老不死なので、
400年かけて灰から蘇ったのだそうです。

特に、15年ほど前からこの神社を拠点として身体を再生していたのですが、
その影響でこの町には怪異が集まりやすくなっていたのでした。

そして、傾物語で初めて忍がこの北白蛇神社にやってきて、
初代怪異殺しは主であるキスショットの姿を「目撃」します。

それにより、初代怪異殺しの身体の再生速度は勢いを増し、
この本の冒頭では学習塾跡に鎧として出現したのでした。

初代怪異殺しには忍の眷属として吸血鬼の特性であるエナジードレインが残っており、
阿良々木くんと神原からドレインすることで一気に力を回復しました。

……と、臥煙さんは説明しました。
臥煙さんは、初代怪異殺しが吸血鬼として人を殺す前に解決したいと言います。

夜が明け、日中は初代怪異殺しは活動しないだろうということで、
臥煙さんは阿良々木くんに5000円お小遣いをあげ、
助っ人を呼びにどこかへ行きました。

阿良々木くんは神原に頼まれたBLの新刊とブラ〇ャー
(実は神原は物語冒頭からずっとノー〇ラだったのです……)と、
食事を買いに行きます。

まずはいつもの大型書店へ行くのですが、
阿良々木くんはそこで、神原から頼まれていたBL本と、
臥煙さんに似たファッションの熟女が出ているエ○本を購入しようとします。

……シリーズの中で阿良々木くんがエ○本を買うイベント多すぎですw
いったい何回目なんでしょうかw

と、そこへ紅顔の少年が阿良々木くんに話しかけてきました。

実は、この少年こそが初代怪異殺しだったのです。
その少年の姿が本来の姿というわけではなくて、幼女化した忍みたいな感じです。

初代怪異殺しは阿良々木くんを書店の外に連れ出し、話をします。
昼間の初代怪異殺しは、
どちらかと言えば人間だったときの怪異の専門家としての側面が強く出ていて、
それなりに理性的に話をすることができました。

阿良々木くんの顔には余接の足跡のスタンプが残っていたのですが、
それは怪異の専門家にとっては「俺の獲物だから手を出すな」的な意味合いがあるので、
直接攻撃はせず話し合いをすることにした、という理由もあったのですが。

昨夜の怪異の出来損ないのようなものはやはり、
初代怪異殺しによる嫌がらせのようなものでした。

初代怪異殺しは阿良々木くんに、忍と別れろ的なことを言います。
もう完全に忍の元カレが今カレに忍は俺のものだ、って言っているような感じです。

初代怪異殺しは忍と和解し、たった一人の忍の眷属に返り咲こうとしていたのでした。

阿良々木くんは怪異殺しから受け取ったお茶のペットボトルを口にしかけますが、
突如として現れたエピソードの十字架がペットボトルを吹っ飛ばしました。
エピソードは猫白以来の登場ですね。
エピソードの後ろには臥煙さんもいました。

阿良々木くんが飲みかけていたお茶のペットボトルには聖水が仕込んであり、
それを飲んでいたらタダでは済まないところだったのでした。

初代怪異殺しは忍を懸けて阿良々木くんと決闘がしたいと言い、凄く高く飛んで逃げました。
臥煙さんとエピソードは初代怪異殺しを追いかけようとしますが、
阿良々木くんが書店で購入した臥煙さんに似た熟女もののエ○本と、
BL本に目を奪われてしまい、取り逃がしてしまいます。

阿良々木くんが北白蛇神社に戻ると、忍が神原のマウントポジションをとり、
言い争いをしているところでした。

先に忍と神原の言い争いを盗み聞きしていた余接に拘束され、
阿良々木くんも二人の言い争いを盗み聞きすることになります。

神原は、忍は初代怪異殺しに会うべきだ、と主張し、
忍はそれを拒否していたでした。

神原は、初代怪異殺しに自分を、忍に戦場ヶ原さんを重ね、
忍に会いたがっている初代怪異殺しの気持ちを理解していたのでした
(16冊も前の話なので忘れている人もいるかもしれませんが、
神原は同性愛的な意味で戦場ヶ原さんのことが本気で好きでした)。

忍は神原を殺しかけるところでしたが、それでも神原は譲らず、
忍は言い負かされてしまいました。
が、言い負かされたからと言って忍は初代怪異殺しには会おうとせず、
北白蛇神社の建物の中に閉じこもってしまいました。

その後、阿良々木くんは夜中に直江津高校のグラウンドで初代怪異殺しと決闘することになり、
戦場ヶ原さんに電話して英気を養いました。

決闘の仲介役の臥煙さんは阿良々木君の顔面の余接の足跡を取り除き、ルール説明をします。
霊気を帯びた竹刀を背に十歩歩き、そこからダッシュして竹刀を手に取り、
相手を一太刀した方の勝ち、というルールです。
これは阿良々木くんを死なせないようにするためのルールでもありました。
本当に決闘をしたら、忍とのペアリングが切れている阿良々木くんは死んじゃいますからね。

阿良々木くんは短距離走のテクニックについて神原からレクチャーを受け、
走りやすいように神原と靴を交換しました。

と、そこへ羽川さんからメールが届きます。
猫白で送った、阿良々木くんの部屋で、阿良々木くんの服を着ている羽川さんの写メです。

阿良々木くんは神原と臥煙さんから、羽川さんの現在の状況について教えてもらいます。
羽川さんの家が火事になったことすら、阿良々木くんはこのとき初めて知りました。

羽川さん、そして戦場ヶ原さんがかなり切羽詰まった状況にいることを知った阿良々木くんは、
忍と羽川さんと戦場ヶ原さんの3人のうち誰を選ぶのか――と、
鬼物語では受け流した選択を迫られます。

すると阿良々木くんは「神原に携帯を託し、羽川さんの件を任せました。
恋人と恩人は後回しにし、阿良々木君は忍のために決闘をします。

決闘開始直前、空から心渡を落ちてきて、
臥煙さんが用意した竹刀は使い物にならなくなりました。
心渡を使って勝負することになります。

臥煙さんが十数え、阿良々木くんは振り返って心渡を取りに行こうとします。
が、十数える間に初代怪異殺しは重い鎧を脱いでいました。
400年前の鍛えられた怪異の専門家と、
現代の男子高校生の阿良々木くんでは勝負になりません。

初代怪異殺しは心渡を手にし、阿良々木くんを斬ります。
が、それにカウンターパンチを喰らわせるような形で、
阿良々木くんは初代怪異殺しにお札を貼り付けました。

このお札は、『なでこスネイク』で阿良々木くんと神原が北白蛇神社に貼っていたお札です。
阿良々木くんはそのお札を剥がして再利用したのでした。

お札を貼られた初代怪異殺しは人間としての形を保っていることができなくなり、
彼が今まで関わってきたであろう様々な怪異の固まりのような異形の姿になります。

そこへ忍が登場します。
もう阿良々木くんには初代怪異殺しが何を言っているのかも理解できなかったのですが、
忍はちゃんと理解し、
『謝らんでもよい。許した』『わしの方こそすまなかった――生死郎(せいしろう)』
と言い、初代怪異殺しを食べました。

こうして、初代怪異殺しは400年かけてようやく死ぬことができたのでした。

ちなみにその頃、余接は北白蛇神社へご神体を取りに行っていました。
そのご神体が囮物語で重要なキーワードとなったあれです。

――という長い長い話を、阿良々木くんは忍野扇に話していました。
それも、志望校の受験当日である3月13日の早朝というタイミングで、です。

扇は、初代怪異殺しの名前は死屍累生死郎(ししるい・せいしろう)だと言いました。

扇は、忍は鎧を食べたのか、と疑問を呈します。
初代怪異殺しは早く走るために臥煙さんが十数える間に鎧を脱ぎ捨てていましたが、
その鎧はエピソードが回収していたのでないか、
その鎧を再構成して心渡を蘇らせることもできるのではないか、
という感じのことを言うだけ言って、帰っていきました。

取り残された阿良々木くんは、北白蛇神社へ行くことにし、
この話は『暦物語 12話 こよみデッド』に続くのでした。
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神原駿河

はじめまして
今回の物語では、神原が大活躍で嬉しかったファンの一人です

>神原は「羽川先輩」と呟いていたことからも分かる通り、
これは猫物語(白)の羽川さんの苛虎の仕業なのでした。
羽川さんは神原さんには苛虎のことを話している描写はなかったような気がしますが、
おそらく戦場ヶ原さん経由で神原は猫白の事情を聞いていたのでしょうね。

自分は神原に猫白の情報は伝わっていなかったと思います。
理由は神原と忍の討論です
「それは。正しくない」「物語にならないだろうが!」
神原の発言ですが、どこか扇と似ているように思います。
この物語シリーズを通してのテーマというか裏が見え隠れしているという感じでしょうか。
やはり、伊豆湖や扇と同じように神原も専門家よりの人間なのかなと思ったり。
専門家としての直感で虎について何かを感じたのかもしれません。
ただ、普通に話を聞いていたって方が現実的ですけれど。

臥煙の謎については妄想は膨らむばかりです。
次回作も楽しみですね。

Re: 神原駿河

神原ファンクラブ会員さんへ

> 自分は神原に猫白の情報は伝わっていなかったと思います。

うーん……どうでしょうね。
阿良々木くんと戦場ヶ原さんとの電話の内容とか、
終盤羽川さんのことを教えるときの臥煙さんのセリフから察するに、
神原は羽川さんの事情について割と詳しく知っていて、
それでもあえて阿良々木くんには伏せていたような気もするのですが。

単に言い忘れていただけという可能性もありますけどw

その辺の謎めいた感じが神原の魅力ですよね。

花物語の神原は神原であって神原じゃないという感じがして少し不満だったのですが、
今回は「なでこスネイク」の頃の神原が堪能できたので、
しまうましたも大満足でした。
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