東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」第五章「空の上から祈りを」のネタバレ解説

この第五章は、これまでの話の総決算のような話です。

魚屋ミュージシャンへアドバイスを送っていた敦也、翔太、幸平の3人は、
彼が「再生」をハーモニカで演奏していたのを聞き、
人気女性アーティスト水原セリの恩人が、魚屋ミュージシャンであることに気付きます。

実は敦也、翔太、幸平の3人は児童養護施設「丸光園」の出身であり、
先輩である水原セリのことは知っていました。

敦也、翔太、幸平の3人が丸光園の出身だということを踏まえて
第一章第二章を読み返すと、
相談者に対して「贅沢な悩みだ」と考えていた理由が分かりますね。

魚屋ミュージシャンに、音楽を続けるようにとアドバイスをした後、
ネット上に浪矢雄治の33周忌の日に一夜限りで相談窓口が復活する、
と書かれているのを見つけます。

そして、今日この日が、33周忌の9月13日当日だったのです。

と、そこへ次の相談の手紙がやってきます。

「迷える子犬」と名乗る相談者は、第二章に登場した武藤晴美であり、
OLとして働いてはいるが、水商売もやっており、
会社を辞めようと思っている、という内容でした。

敦也は、水商売をやっていた母親の恋人から、暴行を受けていた過去があり、
丸光園へ預けられたのでした。

そのため、敦也は「迷える子犬」に、
ホステスとして自分の店を持つという夢は諦めるように、
と遠回しに書きました。
すると、武藤晴美は、自分は丸光園出身であり、
お客から愛人にならないかと誘われているという話もしました。

ここで現代の敦也たちから昔の武藤晴美に視点が飛びます。
第一章に登場した月のウサギこと北沢静子が、
晴美の幼馴染として登場します。
フェンシング選手としてオリンピックを目指していた静子が、
そのときナミヤ雑貨店に悩み相談をしていた、という話を晴美は聞きます。

そこで、晴美がナミヤ雑貨店と手紙のやりとりをしたところ、
バブルに関する情報が書かれており、それを利用すれば莫大な富が得られる、
という予言がありました。

晴美は会社を経営し、予言通りにバブルを乗り切り富を築きました。

と、そこへ例の火事で丸光園の園長の皆月と再会した晴美は、
皆月の姉の暁子に関する話を聞きます。
丸光園を作ったのは暁子なのですが、
暁子のかつての恋人が浪矢雄治であり、
2人は皆月の両親によってその仲を引き裂かれた過去がありました。

このへんは、ナミヤ雑貨店と丸光園の繋がりを示す説明のようなエピソードですね。
タイトルの「空の上から祈りを」は、暁子が空の上から祈ってくれている、
という意味です。

そして、2012年。
51歳になった晴美は相変わらず敏腕社長として働いていましたが、
その一方で人気の衰えた饅頭屋を自分のショッピングモールからテナントを外すなど、
弱者を切り捨てるような経営をしていました。

そして、皆月園長が亡くなり、現在の丸光園が何らかの不正の温床となっている、
と感じた晴美は、ナミヤ雑貨店の一夜限りの復活の日にお礼の手紙を書くついでに、
地元に戻ってきました。

が、空き家になっていた実家へ帰ったところで、「3人組の泥棒に拘束されてしまいます。
その泥棒から、晴美が丸光園を潰してラブホテルにするつもりだと考えているんだろう、
と言われます。
晴美は、丸光園を買い取って再建するつもりだ、私は弱い人たちの味方なの、
と言いますが、泥棒たちには信じてもらえませんでした。

『何が弱い人の味方だ。金にならないと分かったら、さっさと切り捨てるくせに』
と泥棒から言われるのですが、晴美を拘束したまま泥棒が去った後、
晴美はその言葉を思い出し、饅頭屋を救ってやることにしたのでした。

もうお分かりでしょうが、この3人組の泥棒というのが敦也たちだったわけです。
失業中の3人は、晴美が悪徳社長だという嘘を信じ込み、
悪い奴からならお金をもらってもいいだろうと盗みに入っていたのでした。
そして、盗んだ車が動かなくなってしまい、第一章の冒頭に話が繋がるわけです。

夜明けが近くなった頃、敦也は試しに、白紙の便箋を郵便受けに入れました。
この白紙の便箋が、第三章で雄治が受け取った白紙の便箋だったのです。

その後、盗んできた晴美のバッグの中から、ナミヤ雑貨店へのお礼の手紙を発見します。
敦也たちは、自分たちがアドバイスを授けた『迷える子犬』こそが
武藤晴美だったという衝撃の事実を知り、3人は自首することにしました。

そしてそこへ、浪矢雄治から、白紙の便箋への返事がきます。

悩み相談をする人は多くの場合地図は持っているが見ようとしない、
あるいは自分の位置が分からないという状況なのだが、
敦也たちの場合は地図が白紙なのだろうと書いてありました。
しかし、地図が白紙ならどんな地図だって描ける、
何もかもが自由で、可能性は無限に広がっている、
と敦也たちを励ます内容が書かれていました。


というあらすじなのですけど、「あの話とこの話がこう繋がるのか、というふうに、
パズルを解いているような心地よさのある物語でした。

特に最後、偽物のアドバイザーである敦也たちが、
本物から相談をもらえたのがよかったです。
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