西尾維新「サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し」のネタバレ解説

サイコロジカル 上 (講談社文庫 に 32-4 西尾維新文庫)


戯言遣いシリーズ第4巻です。

今回は玖渚友がメインの話です。
1巻のクビキリサイクルではメインキャラだった玖渚ですが、
クビシメロマンチストクビツリハイスクールでは空気と化していました。
そんな彼女にようやくスポットが当たります。

元々、機械工学において非凡な才能の持ち主で、
なおかつ日本有数の大金持ち、玖渚機関の直系だった玖渚は、
よくも悪くも無菌の温室育ちだったのですが、
13歳のいーちゃんと出会い、いーちゃんに惚れてしまいます。

いーちゃんも半年ほどは玖渚と友好的な関係を築くことができていたのですが、
(玖渚機関の策略により?)いーちゃんの妹の飛行機事故をきっかけにして、
その関係は破綻してしまいます。

そしていーちゃんは玖渚を「壊して」しまい、
単身で渡米しERプログラムという研究機関に入りました。

が、そこで想影真心(おもかげまごころ)という少女と何かがあり、
ERプログラムを中退して5年ぶりに日本に戻ってきて、
京都の大学に入り直したのでした。

第1巻のクビキリサイクルはその後の時系列の話となります。

一方、いーちゃんが渡米している間、玖渚は「チーム」というハッカー集団を作り、
インターネットの世界で暗躍というか破壊活動を繰り返していました。
「チーム」は全員に中二病っぽい二つ名がある9人で構成されていたのですが、
そのリーダーが玖渚だったわけです。
また、「チーム」の呼び方はメンバーによって異なっており、
「チーム」のことを「チーム」と呼んでいたのは玖渚だけでした。

……何を言っているのかよく分からないと思いますが、
最終巻まで読んでもこの辺の詳細は詳しくは語られていません。
シリーズを通して読むといくつかの断片が挿入されているので、
あとは脳内補完するしかありません。

「チーム」には兎吊木垓輔(うつりぎ・がいすけ)というメンバーがいました。

兎吊木垓輔には「害悪細菌(グリーングリーングリーン)」という二つ名があり、
その「細菌」からとって、玖渚は兎吊木のことを「さっちゃん」と呼んでいました。
ちなみに、兎吊木は「チーム」のことを「一群(クラスタ)」と呼んでいます。

ここまでが前提です。
最近になって玖渚は、
兎吊木が「堕落三昧(マッドデモン)」こと斜道卿一郎(しゃどうきょういちろう)という、
マッドサイエンティストの老人の研究機関に軟禁されているのではないかという情報を掴みました。

そこで、玖渚は兎吊木を助け出すために、いーちゃんと、
いーちゃんの隣人の浅野みいこの友人の鈴無音々(すずなし・ねおん)の3人で、
愛知県にある斜道の研究機関に乗り込むことになりました。

ちなみに、鈴無は身長189センチの、一見外国人のような風貌の25歳の女性で、
比叡山延暦寺でアルバイトをしているという濃いキャラです。

鈴無は物語が始まった時点で既にいーちゃんや玖渚と旧知の仲であり、
今回もあの頼れる仲間が一緒だぜ!
という雰囲気を出しているのですが、このサイコロジカルが初出のキャラです。
読者的には、お前誰やねん、という感じです。

いーちゃんと玖渚と鈴無を乗せた車は、人気のない山奥の道路を延々と走ります。
すると、2人の警備員に車を止められ、入所者名簿に名前を書かされました。

いーちゃんはその警備員から、一昨日侵入者騒ぎがあったという話を聞きます。
侵入者は零崎愛識(ぜろさき・いとしき)と名乗ったのだそうです。

それからさらにしばらく走り、ようやくサイコロのような建物がいくつも並んだ、
研究施設に到着しました。

16歳の大垣志人(おおがき・しと)という、生意気そうな喋り方をする少年が現れ、
まずは斜道のところまで案内してくれることになりました。

志人は、窓がないサイコロのような形の建物の1つの玄関へ行き、
カードキーをカードリーダに通し、数字キーに十数桁の番号を打ち込み、
さらに「大垣志人だ。IDはikwe9f2ma444」と言うと、
音声と網膜が認証されてようやく自動ドアが開きました。

厳重なセキュリティで、建物から出る時にもこの面倒な作業が必要なため、
いーちゃんや鈴無は付添いなしに建物に出入りするのは非常に困難です。

そして、ようやくいーちゃんたちは斜道と会うことができました。
斜道の傍には、斜道の秘書である宇瀬美幸(うぜ・みさち)という女性もいます。

実は斜道の研究施設のパトロンは玖渚機関だったのです。
既に絶縁されているとはいえ、玖渚も一応は玖渚機関の直系ですから、
玖渚はそれを理由に圧力をかけて、こうやって堂々と斜道と会うことができました。
しかし、もちろん、斜道にしてみれば面白いはずがありません。

いーちゃんは席を外すようにと斜道に言われ、
いーちゃんは部屋の外で待ちぼうけを食わされることになりました。

するとそこへ、肥満体の男性研究員、根尾古新(ねお・ふるあら)と、
異様なほど髪が長くて濃い髭を生やしている男性研究員、
神足雛善(こうたり・ひなよし)が現れ、いーちゃんに話しかけてきました。

神足は兎吊木のことを「変態だ」と断言しました。
何でも、兎吊木は第七棟から一歩も出てこないのだそうです。

しばらくして玖渚と鈴無と志人がやってきました。

次は兎吊木のいる第七棟へ案内してもらいます。
兎吊木はエレベーターを自力で解体してしまっていたので、
歩いて4階まで上がります。

オレンジ色のサングラスをかけた長身の男、兎吊木と再会した玖渚は、
「私」という一人称を使って兎吊木と会話をしました。
玖渚はこれまでずっと「僕様ちゃん」というあり得ない一人称を使っていたのですが、
ここにきて「私」です。
おいおい、普通の喋り方もできるのかよ、という感じです。

しばらく玖渚と兎吊木が2人きりで会話をしましたが、
兎吊木は自分の意志でここにいるのだと主張したのだそうです。
その後、いーちゃんは兎吊木に呼び出されて、2人きりで会話をすることになりました。

すると兎吊木は玖渚のことについて長々と話します。
玖渚の異常性、そしていーちゃんの異常性について。
そして最後に兎吊木は、
「きみは玖渚友のことが本当は嫌いなんじゃないのかな?」
と、尋ねました。
それからさらに畳み掛けるように、色んな比喩を使って、
同じ意味のことをいーちゃんに問いかけるのですが、いーちゃんは答えられませんでした。

兎吊木の部屋を出た後、斜道と再び話をします。

昔、斜道が30年かけた研究を、当時12歳の玖渚が、
「こいつは実にすごい研究だね。こんなの、真面目にやらなきゃ三時間はかかっちゃうよ」
と言ったのだそうです。
そしてさらに追い打ちをかけるように、玖渚の兄の玖渚直が自分の家柄をひけらかし、
斜道の研究を馬鹿にしました。

しかしそんな過去があっても、斜道はパトロンである玖渚機関に頼るしかなく、
鬱屈とした思いを抱えていたのでした。

玖渚はどうしても兎吊木をここから連れ出すという意味のことを言い、
斜道は絶対に兎吊木を渡さないという意味のことを言い、
交渉は翌日に持ち越されることになりました。

別行動をしていた鈴無が、
三好心視(みよし・ここみ)という女性研究員と意気投合していたようだ、
ということを斜道の秘書の宇瀬美幸に教えてもらい、その場所へ行きます。

すると、関西弁の三好心視を中心にして、鈴無、根尾、神足たちが
いーちゃんのERプログラム時代の話題で盛り上がっていました。
三好心視はかつて、ERプログラムでいーちゃんの担任をしていた人物だったのです。
いーちゃんの先生だけあって、かなり癖の強い性格です。

その夜。宿泊施設に案内してもらったいーちゃんと玖渚と鈴無は作戦会議を開きます。
鈴無は、兎吊木本人が自分の意志でここにいる以上、
余計な口出しをするべきじゃないと言います。
が、兎吊木は何かを隠している――斜道は兎吊木を脅迫し、
兎吊木本体を試験体とした特異性人間構造研究(ウルトラヒューマノイドドグマ)を
しているのではないか、と玖渚は推測しました。

要するに、非常に大雑把な言い方をすると、
斜道の研究内容というのは、天才である兎吊木の脳みそを調べて、
それをコピーして量産できないか、という研究みたいですね。

その後、眠れなかったいーちゃんは1人で夜の散歩に出かけます。
するとそこで、リードをつけていない巨大な黒い犬に地面に押し倒され、顔を舐められました。

春日井春日(かすがい・かすが)という女性研究員が実験動物として飼っている犬でした。
春日井はいーちゃんの頬を舐め、一緒に研究棟の寝室へ行こうといーちゃんを誘惑しますが、
いーちゃんは断ります。

その後、いーちゃんは、零崎愛識と名乗ってこの研究施設に入り込んだ、
石丸小唄(いしまる・こうた)という泥棒と出会います。
石丸は長身で眼鏡をかけて三つ編みで、「十全ですわ」というのが口癖の泥棒です。

はい、これで登場人物は全員揃いました。

兎吊木を助けに来たのがいーちゃん、玖渚友、鈴無音々の3人。

研究施設のメンバーが、斜道卿一郎、大垣志人、宇瀬美幸、神足雛善、
根尾古新、三好心視、春日井春日、兎吊木垓輔の8人。

そして、零崎愛識と名乗って施設に侵入したのが石丸小唄。

この話の主要キャラは合計12人です。

ここで少し話が飛んで、翌朝。
いーちゃんはこの研究施設に来る前に
哀川潤から胸部のホルスターに収納できるナイフをもらっていましたが、
何となくホルスターの位置を左胸に来るように変えました。

いーちゃんが玖渚を起こし、鈴無の部屋へ行くと、そこには鈴無以外に、
根尾と神足がいました。

しかし神足は、前日に兎吊木から「神足さんの長髪は眼が悪くなってしまうからな。
きみの方から注意してやってくれ」という伝言を頼まれていたいーちゃんが、
「髪、切った方がいいですよ」と注意したところ、
本当に切ってしまっていました。
それも、普通の髪型ではなく、長髪をばっさりと切りスキンヘッドにして
髭を剃りサングラスをかけているというイメチェンっぷりです。

ところで、根尾と神足が鈴無の部屋に来ていた理由というのは、
兎吊木が殺されたことを知らせるためでした。

実際に第7号棟へ行って死体を確認したところ、
両眼にはハサミの刃が刺さり身体じゅうを切り刻まれ両腕は持ち去られている
という凄惨な死体がありました。
壁には『You just watch,『DEAD BLUE』!!』という血文字があります。

死線の蒼(デッドブルー)というのが玖渚の二つ名なので、
この血文字は『余計なことをするな、玖渚友』という意味です。

そしてこの話は「サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄」に続きます。 見やすい記事一覧はこちらです。
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