時雨沢恵一「キノの旅」17巻13話「神のいない国」のネタバレ解説

今回は、キノの旅恒例の、大量虐殺のシーンがある話です。

ある国を訪れたキノは、エルメスを修理に出し、1晩預けることにしました。

翌朝、キノは何気なく宿のテレビを見ていました。
すると、「新しいあなたになりませんか?」をひたすら連呼する
奇妙なCMが流れました。
最後に、画面に映っていた男女が「なります!」と答え、連絡先が映されました。

昼近くになり、キノはエルメスを預けていた整備士のところへ行きました。

すると、そこには50歳くらいの警察署の副署長と、警官がいました。

副署長の説明によると、宗教団体「人生の真実を見つけるホウデンの会」の
信者の男たち10人くらいが、
トラックでエルメスを持ち去ってしまったのだそうです。

ところが、多宗教のこの国は「宗教団体を保護している国」であり、
宗教団体というだけで軽微な犯罪は不問に付されるのだそうです。

警察は何もしてくれないので、キノは自力でエルメスを取り戻すことにします。
パトカーで「ホウデン会」の本部の場所まで案内してもらう間に、
キノはホウデン会に関する説明を聞きます。

ホウデン会は1年ほど前にこの国にやってきた、ボブとメイと名乗るホウデン夫妻と、
ジーンという11歳の息子、という三人家族が布教した宗教団体なのだそうです。
廃村にあった学校の校舎を買い取り、周囲にあった畑を耕し、
若い信者たちと自給自足の集団生活をしているのだそうです。

見学という形でその校舎を訪れると、100人以上が畑で働いていました。

ボブとメイ、ジーン、エルメスと会うこともできたのですが、
ボブは、エルメスのことは知らない人達から買い取ったものだと説明し、
盗品であることを知らずに買った、
善意の第三者である自分達にはエルメスを返却する義務はないと主張します。

一旦引き下がったキノと副署長でしたが、副署長は、
警察署の裏には廃棄予定の小型農耕車が停まっており、
また警察署の近くには火薬屋があるという話をしました。
それを聞いたキノは、緑色のシャツを売っているお店の場所を尋ねたのでした。

そして夜。
緑色のシャツを着たキノは、300メートルほど離れた場所から、
屋外でパーティーをしていた信者たちを『フルート』で狙撃していきました。

信者たちは畑で栽培していた「お茶」という名のクスリでラリっていたため、
どんどん殺されていってもなかなか大騒ぎにはなりませんでした。

圧力鍋で作った時限爆弾をセットし、校舎の100メートル手前に隠れます。
爆弾が爆発すると、校舎に電気が点り、中が見やすくなります。
キノは校舎の中にいた信者たちをどんどん狙撃していきました。

やがて、校舎から5人の男女が飛び出してきました。
全員、爆弾を身につけており、キノと心中するつもりのようでしたが、
キノは近づかれる前に容赦なく撃っていきました。

2つめ3つめの圧力鍋爆弾が爆発すると、一斉に数十人の信者たちが校舎から飛び出し、
森の中に逃げていきました。
今度は、むやみには殺さず、キノは見逃します。

人の気配がなくなると、キノは校舎の中に侵入しました。
校舎の中を一通り見て回り、エルメスがいないことを確認した後、
外の放置車両が集められている場所へ近づきました。

すると、エルメスのエンジンをかける音が聞こえ、エルメスに乗ったボブが飛び出してきて、
キノを殺そうとしました。
が、キノはボブを撃ち、エルメスは横倒しになります。

すると、今度は片刃の斧を持ったメイがキノに襲い掛かりましたが、
キノはその斧を狙って撃ちました。
斧の柄はメイの後頭部に当たり、動かなくなりました。

しかし倒れたままのエルメスの抗議を無視して警戒を続けていると、
ジーンが現れました。

ジーンはボブとメイと一緒にいたときとは異なり、尊大な態度をとっています。
キノは予想していたのですが、ジーンこそが『本当の教祖様』だったのです。

ジーンはもう93歳なのですが、成長が止まっており、体は12歳のままでした。
ちなみに、こんなふうに身体の成長が止まる病気というのは実在し、
中には20年以上生きているけど赤ん坊の姿のまま、という例もあるのだそうです。

いつまでも成長しないジーンは周囲の好奇の目にさらされることになり、
ジーンの両親はジーンを連れて旅に出たのですが、すぐに死んでしまったのだそうです。

この宗教団体の稼いだお金の一部はあの警察署に賄賂として流れており、
エルメスを修理した男も分厚い現金と引き換えにエルメスを信者に渡していた、
とジーンは話します。
それが真実なのかキノを惑わすためのハッタリなのかは分かりませんが、
キノの旅ワールドはシビアですから、おそらく真実なのでしょうね。

キノの目的はあくまでもエルメスの奪還だけなので、
恐ろしいことをしたジーンをそのまま放置し、
さっさとその国を出て行ったのでした。


というあらすじなのですが……、
キノの旅シリーズにはこれまでも奇妙な宗教団体が多数登場していましたけど、
その中でも最悪の宗教団体でしたね。
その割には、キノが被った被害がエルメスを盗まれたことだけですし、
キノに喧嘩を売るとか相手を見る目がないなあ、と思いますが。

ところで、4巻3話の「二人の国」で、「夫からDVを受けている妻が、
キノに夫を殺してほしいと頼んだとき、キノが
『残念ながらボクは、神様にはなりたくないんです』
と断ったのを憶えているでしょうか。

今回も、副署長はキノにホウデン夫妻とジーンを殺してほしいと
言外に仄めかしていましたが、
キノは結局ジーンたちを放置してしまいましたね。

これはキノが『神様にはなりたくなかったから』だと思います。

タイトルの『神のいない国』は、
そういう意味も含めたダブル・ミーニングになっているのだと思います。


さて、日本人の多くは神とか宗教を信じていない、と言われていますが、
実は日本も結構、手厚く宗教団体を保護している国だと思うんですよね。

主に税金面で。
宗教法人に対して、普通の法人と同じレベルの税金をかければ
消費税率を上げる必要なんかないと思うんですけど、
テレビやラジオは宗教団体からお金を貰ってCMを流しているから大手の宗教団体の批判はしません。

新聞も、S学会の発行している新聞は全国の新聞社の印刷所で印刷されているので、
新聞も大手の宗教団体の批判はしません。
政教分離と言いながら政治の世界にも宗教団体が根深く入り込んでいるから……日本オワタ\(^o^)/

何かもう、神頼みでもしたいくらいですが、やっぱり神様なんていないので、
日本人が自分たちの力で解決しないといけないのでしょうね。                  スポンサードリンク

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