東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」第三章「シビックで朝まで」のネタバレ解説

第3章は、ナミヤ雑貨店の店主、浪矢雄治の息子である、浪矢貴之が主人公です。

東京で妻子と暮らしている40歳の貴之は、久しぶりに実家に帰省します。

最初は冗談のような相談内容の手紙ばかりが届いていたナミヤ雑貨店ですが、
この頃には真剣な相談内容ばかりが届くようになっていました。
しかし、それは雑貨店の売り上げには影響がなく、
1人暮らしをしている雄治の生活は厳しいものがありました。

この日の相談は、妻子のいる男性の子供を妊娠してしまった
「グリーンリバー」と名乗る女性からのもので、
不妊症であるこの女性にとっては最後のチャンスである妊娠でした。

どんな回答をするか悩んでいる雄治に、貴之は、
店を畳んで自分と東京で暮らさないかと持ちかけました。
しかし、雄治はお前たちの世話にはならんと言いました。

その後、貴之は東京に戻ってしまったのですが、1年と数ヶ月して姉の頼子から電話があり、
一週間くらい店が閉まっていると言われました。

心配になった貴之が帰省すると、雄治は潮時だと言い、
貴之と一緒に東京で暮らすことになりました。

しかし、同居生活が始まってからしばらくして雄治が倒れてしまい、
肝臓癌の末期だと診断されてしまいました。

入院生活が1ヶ月ほど続いたある日、雄治は1晩だけナミヤ雑貨店に帰りたいと言いました。

雄治は、川辺ミドリという女性が生後1年程度の赤ん坊と車で海に落下し、
赤ん坊は助かったが川辺ミドリは亡くなったという新聞記事を貴之に見せました。
警察は無理心中の可能性が高いと見て捜査をしていました。

この川辺ミドリがおそらく「グリーンリバー」であり、
自分の回答がこのような事件を引き起こしたのではないかと雄治は悩み、
店を畳むことにしたのでした。

その後、入院した雄治は毎晩、何十年も先に、
誰かが店のシャッターの郵便口に手紙を入れるところを夢に見るようになりました。
自分が店に戻れば手紙を受け取れると思い、雄治は店に帰りたいと貴之に頼んだのでした。

貴之は悩みつつも雄治をナミヤ雑貨店へ送り、自分は店の前で、
シビックという車の中で過ごすことにしました。
その中で、雄治から渡された手紙を読むと、そこには、雄治の33回忌が近づいたら、
雄治の命日の午前零時零分から夜明けまでの間、
ナミヤ雑貨店の相談窓口が復活すると世間に告知してほしいという内容が書かれていました。

朝になり、貴之が雄治を迎えに行くと、そこには十数通の手紙がありました。
どれも33年後の未来から届いた手紙であり、雄治に感謝していると伝えていました。

その中の1通に、「川辺ミドリの娘からの手紙がありました。

児童養護施設で育った彼女は、ある日、
自分の母親が自分を道連れにして無理心中を図ったという昔の新聞記事を読み、
ショックで自殺未遂をしました。

やがて、病院へ入院していた彼女のところへ、第2章に登場したセリがお見舞いにやってきます。

セリは彼女に、雄治が川辺ミドリに書いた手紙を渡しました。
雄治は川辺ミドリに、両親が揃っているかどうかが大事なのではなく、
生まれてくる子供が幸せにする覚悟があるかどうかが大事なのだという
趣旨のアドバイスをしていました。

セリは川辺ミドリの娘に、
あなたのお母さんはあなたを幸せにするための覚悟があったから産んだのだと言いました。

無理心中ではなく、栄養失調による貧血を起こした川辺ミドリが誤って川へ転落し、
赤ん坊だけでも助けようと車の外へ出していたのです。

それを知っても母親を責める彼女に、セリが平手打ちをしました。
第2章の火事で松岡克郎はセリの弟を助ける代わりに命を落としましたが、
セリと弟は克郎に死ぬまで感謝し、償い続けるつもりなのだとセリは泣きながら言いました。

それを聞いた彼女は立ち直り、今では(33年後の未来には)、
アーティストになったセリのマネージャーをしているのだそうです。

貴之がその手紙を読み終えると、また便箋が届いたのですが、
その便箋には何も書かれていませんでした。
雄治は、その何も書かれていない便箋にも返事を出し、東京の病院に戻りました。

それから1年後、雄治が亡くなり、貴之がナミヤ雑貨店を訪れると、
そこである女性から話しかけられました。
第1章に登場した月のウサギで、彼女は『アドバイスをくれた人』に、本当に感謝していました。
実際には、アドバイスをしたのは雄治ではなく、敦也と翔太と幸平の3人だったのですが。

そして、長い年月が過ぎます。
貴之は、孫の駿吾に、
インターネット上にナミヤ雑貨店が一晩だけ復活すると告知をしてくれるように頼みました。
その後、貴之は胃癌で亡くなってしまうのですが、瞬吾が祖父との約束を守るために、
2012年の9月に、パソコンを起動するところで第3章は終わります。


というあらすじなのですが、いい話ですね。
半世紀以上に亘って物語が展開するため、時々どの時系列の話なのか混乱する場面もありますが、
随所に伏線が張り巡らされており、それが少しずつ回収されていくのが心地よく、
東野さんはまだこんな話が書けるのか、と新作を読む度に驚かされます。 見やすい記事一覧はこちらです。
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