西尾維新「終物語 上 第三話 そだちロスト」のネタバレ解説

この「そだちロスト」も、2話の「そだちリドル」から直接話が繋がっています。

冒頭から「そだちリドル」のネタバレ全開なのでご注意ください。

老倉が阿良々木くんの「両親の職業が警察官であることを知っていた理由は、
小学生の頃、老倉が阿良々木くんの家に保護されていたからなのでした。
しかし、ある日老倉は自分から、虐待されている両親のところに戻ってしまい、
何も言わずに阿良々木くんの前から姿を消してしまいましたが。

――つまり、短期間とはいえ同じ家で生活していたのですから、
阿良々木くんと老倉は幼馴染と言ってもいい間柄だったわけです。

そんなこと忘れるか……?
と思いますが、子どもの頃の記憶っていうのは結構あてになりませんからね。

とはいえ、中学一年生の夏休みの時点でも、老倉のことを忘れていて、
高校一年生になり同じクラスになったときにも、また老倉のことを忘れていて……
と2回も老倉のことを忘れてしまっているのは、さすがに怖いです。

本文中に『信頼できない語り手』という言葉が出てきたような気がしますが、
阿良々木くんがあまりにも色々と忘れすぎているので、
何らかの記憶障害があるのではないかと不安になります。

でも、そりゃあ老倉が怒るのも無理はないですよね。
しかも、中学一年生のときにはSOSのサインを出していたのに、
阿良々木くんにスルーされてしまったわけですから。

ちなみに、あんなに回りくどい方法をとったのは、
せっかく、既に一度阿良々木くんの両親に保護されていたのに、
自分から劣悪な環境の生家に戻ってしまったという負い目があったので、
阿良々木くんが自発的に両親に老倉のことを伝えて欲しかったからなのでした。


さて、老倉と戦場ヶ原さんが殴り合い、2日が経過しました。
2人とも不登校になってしまったのですが、戦場ヶ原さんは出席日数がヤバく、
推薦を取り消されるかもしれない、と羽川さんは言いました。
そこで放課後、阿良々木くんが老倉の家に、
羽川さんが戦場ヶ原さんの家にお見舞いに行き、登校を促すことにしました。

しかし放課後、阿良々木くんが学校を出ようとすると、忍野扇が待っていました。
老倉は現在1人暮らしをしているので、1人暮らしの女子の家に、
男子である阿良々木くんが1人で行くのはまずい、
と扇は主張し、自分も一緒に行くと言い張りました。

が、そこへ羽川さんが全力で割り込んできて、
扇ではなく自分が阿良々木くんと一緒に行くと主張します。
羽川さんと扇はお互いに挑発し合い、一触即発の雰囲気です。
最終的にどちらと行くかという判断は阿良々木くんに委ねられたのですが、
先に誘ったのは扇の方だからと、阿良々木くんの気持ちは扇に傾きます。

が、そこで羽川さんは、自分の胸を触ってもいいというとんでもない条件を出して、
阿良々木くんと一緒に老倉の家に行く権利を勝ち取りました。

まあ、阿良々木くんはチキンなので、傷物語のときと同じく、
実際には触れることなんてできないのですが。
八九寺とかにはセクハラしまくりの阿良々木くんですが、
羽川さんに対しては口だけ番長の紳士なんですよね。

老倉が一人暮らしをしている444号室へ行くと、老倉はパジャマで出迎えました。
羽川さんにフォローされつつ、阿良々木くんは老倉と話をします。
途中で隙をついて、戦場ヶ原さんがグーで殴った老倉の頬に、
阿良々木くんは自分の吸血鬼体質の血をつけて、治療します。

その後、老倉が熱い紅茶を投げつけようとして、
それを羽川さんが空中でキャッチするというハプニングなどがありながら、
老倉は自分の絶望的な人生について語ります。

老倉は、子どもの頃から日常的に、父親(老倉は「男親」という言葉を使いましたが)は
家庭内暴力をふるっていました。
それだけではなく、父親から殴られた母親からも、老倉は殴られていました。
一度は阿良々木くんの両親に保護されたものの、自分から生家に舞い戻ってしまいます。

それをきっかけに父親が改心するということもなく、虐待は続きます。
そして中学一年生のときに両親は離婚し、老倉は母親と引っ越します。
おそらくこのときに苗字が「老倉」に変わったのでしょう。

離婚した母親は、自室に引きこもるようになってしまいました。
部屋には鍵をかけ、窓には板を打ちつけるほどの重度の引きこもりっぷりです。

ゴミ屋敷状態の家の中で、老倉は母親の面倒を看ることになってしまいます。
それが2年も続いたのですが、ある日、老倉が帰宅すると母親の姿が消えていました。
それ以来、老倉は母親とは会っていません。

そんな状態の中で、老倉は私立の直江津高校に進学するのですが、
そこであの「おうぎフォーミュラ」の事件があり、不登校になってしまいます。

タイトルの「終物語」の「終」ってそういう意味だったのか、
と思ってしまうほど悲惨な人生です。

しばらく黙って老倉の話を聞いていた羽川さんでしたが、
窓には板が打ち付けてあり、ドアには鍵がかかっていたのに、
老倉の母親はどうやって家を出たのか――と疑問を呈しました。

最初は普通に母親がドアから外に出て鍵をかけたのだろうと思いましたが、
母親の精神状態を考えるとわざわざ鍵をかけて外出するのは確かに不自然でした。

個人的にはそんなことより、同じく家庭環境がヤバい者同士として、
羽川さんが老倉のことをどう思っているのか、の方が知りたかったんですけどね……。

失踪した母親を見つけてくれたら、また登校してもいい、と老倉は交換条件を出します。

老倉が役所の人と話をしている間、阿良々木くんと羽川さんは外で作戦会議をします。

そこへ、扇が登場します。
羽川さんの胸に負けたことを根に持っていた扇は、
その程度の真相も見抜けないのかと、これでもかというくらい羽川さんを挑発します。
羽川さんが10秒待ってほしいと言うと、扇はさっそくカウントし始めます。
その間に、羽川さんは公園の水飲み場の水を頭から浴びて頭を冷やし、
真相に辿り着きました。

阿良々木くんも、扇と羽川さんから交互に50もヒントをもらい、
引きこもっていた老倉の母親は、食事をしなくなり餓死してしまった。
それから2年間老倉は、母親の死体の面倒を看てきた。
が、2年が過ぎ死体が融けてしまうと、老倉はそれを母親がいなくなった、と認識した。
死体が発見されなかったのはゴミ屋敷がカモフラージュになっていたから

という絶望的なまでに終わっている真相に気付きました。

阿良々木くんはそのことを老倉に伝えに行くのですが、
これは珍しく扇の想定外だったようで、扇は驚いていました。

老倉はその真相を意外と冷静に受け止めた後、実は1人暮らしの補助が少なくなったため、
また転校と引っ越しをすることになったのだと阿良々木くんに打ち明けました。

翌日、戦場ヶ原さんからは老倉を殴ったときに本当に指を骨折していたので病院へ行く、
という暗号っぽいメールが届き、
羽川さんからは、高校を休学して世界旅行のロケハンをしに行くことを教えられました。

羽川さんがロケハンをしようと決意したきっかけの1つには、
忍野メメを捜して扇のことを問い質そうという動機もあるのでしょうが、
阿良々木くんは気付いていない様子でした。

そして、自分の教室の机に行った阿良々木くんは、
そこに老倉からの手紙があることに気付きます。

手紙に何と書かれていたのかは読者には明かされないままなのですが、
阿良々木くんのリアクションを見た限りでは、
それなりのところで和解できたのではないかと思います。


というあらすじなんですけど、やっぱり扇の前だと阿良々木くんの様子が変ですね。
特に、崇拝している羽川さんよりも扇の味方をしそうになる場面が何ヶ所かあり、
扇が何らかの能力(催眠術みたいなの?)を使っているのではないでしょうか。

後、水飲み場で髪を濡らした羽川さんが放置されているのも気になりました。
10月の下旬の夕方って言ったら結構寒いですし、
そのまま帰ると風邪引いちゃうんじゃないかと思うのですが……。

それと、暦物語から2巻続けてミステリー的な内容になっていますが、
戯言使いシリーズがミステリーから人外バトルものへシフトしたのとは対照的ですね。

老倉がその後どうなったかは、「そだちフィアスコ」で語られています。 見やすい記事一覧はこちらです。
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