乙一「箱庭図書館」第3話「青春絶縁体」のネタバレ解説

高校に入学した主人公の「僕」(2話の「僕」とは別人)は、
それまで部員が2年生の小山雨季子しかいなかった、文学部に入部します。

雨季子は入部当初から「僕」に突っかかってくるのですが、
その状態がずっと続いていました。

「僕」と雨季子は、お互いに相手を主人公にした小説を書き、
その小説の中で相手に酷い目に遭わせる、という遊びを楽しんでいました。

友達と呼べる人間が1人もいなかった「僕」でしたが、
やがて、誰とでも分け隔てなく明るく話しかける、
クラスメートの鈴木さんと時々会話をするようになります。

「僕」が文学部で小説を書いている、という話題になり、
鈴木さんは「今度、読ませてよ」と言いました。

まあ、しまうましたは性格がひねくれてるので、どうせ社交辞令だろ、
と思ってしまいますが、「僕」はまだ純粋なので結構本気にします。

翌日、いつもの内輪ネタのふざけた内容ではなく、本気モードの小説を書き、
雨季子に見せます。
すると雨季子は「クソつまらなかったよ」と、いつもとは違う反応を返しました。

「僕」と雨季子は、部室の外では2人ともコミュ障な「ぼっち」なのですが、
部室の中では傲岸不遜で快活な性格になることができました。

7月の下旬、「僕」は鈴木さんが自分よりも仲が良さそうに
クラスの男子と話しているのを見て、嫉妬してしまいます。

そんな気持ちを引き摺ったまま部室へ行った「僕」は、
「試験期間だっていうのに今日も来たね。
かわいそうに、よっぽど居場所がないんだね」
と雨季子に言われても、いつものような冗談っぽい返答をすることができません。

「ま、まあ私も似たようなものだけど……」
という雨季子のフォローにも、
「あなたみたいな人と、いっしょにしないでください!」
と最悪の返答をしてしまいます。

すると雨季子は泣きながら部室を出ていってしまいます。
そのまま夏休みに突入し、夏休みが終わっても、
雨季子は部室には戻ってきませんでした。

やがて「僕」は、「青春絶縁体」というタイトルの小説を書き始めます。
そこからしばらく、作中作の「青春絶縁体」の文章が続きます。

実体験を元にしつつも、雨季子が泣きながら部室から出て行った後の展開が違います。
「僕」は雨季子を追いかけていき、野球部の山田(架空の存在)が坂道を転がっていき、
それに驚いた雨季子が足を止めたおかげで「僕」は雨季子に追いつきます。
そしてそのまま勢いで「僕」は、『す、好きです!!』と告白してしまいました。

ここで作中作の部分は終わります。
「僕」は雨季子の部屋へ行こうとして、でも尻込みしていたところ、
鈴木さんに声をかけられました。

このタイミングで、「実は『僕』が1話に登場した山里秀太であることが明らかになります。

2話目の主人公の一人称も『僕』にして、なおかつそれを1話と3話の間に挟むことにより、
意外性を生み出したわけです。

『僕』は鈴木さんに付き添われて雨季子の教室へ行き、そこで例の小説を見せます。

雨季子は、『僕』が入部したときに1人きりの心地よい部室をとられたくないと思い、
『僕』を追い返そうと酷いことを言ってしまいました。

しかし、『僕』が入部してしまったせいで、
雨季子はそのまま傲岸不遜なキャラを崩せなくなってしまったのでした。

その雨季子の気持ちが、痛いほど分かります。

しまうましたは、この本に収録されている短編の中でこの話が一番好きです。
                 スポンサードリンク

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

新世界より(上) (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

雪煙チェイス (実業之日本社文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年6月9日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。