赤川次郎「杉原爽香40歳の冬 新緑色のスクールバス」のネタバレ解説

新緑色のスクールバス: 杉原爽香<40歳の冬> (光文社文庫)


前巻のラストで明男を巻き込んだ交通事故の運転手は亡くなってしまいました。
その運転手の妻、輝代と、娘の敦子は貧しい暮らしを余儀なくされます。

まだ17歳の敦子はせめて弟を高校へ進学させようとキャバクラで働き始めるのですが、
客に酔わされホテルへ連れ込まれそうになったところを荻原里美が助けました。

敦子は爽香の口利きで、後述の清原宏の会社で働くことになりました。

一方、事故で右足を負傷した明男は長年勤めていた運送会社を辞め、
事務の仕事をしていましたが、やはり車を運転する仕事がしたいということで、
爽香の会社のコネでスクールバスの運転手として働き始めることになりました。
その新緑色に塗られたバスが今回のタイトルです。

長年明男に付きまとっていた三宅舞は妊娠し、リン・山崎と結婚したのですが、
そのこともあり、明男は「スクールバスを利用している大宅栄子、
みさきという母子家庭と仲良くなっていきます。
栄子は積極的に明男を誘いますが、明男はかろうじて一線は超えません。

……いや、何かもう、栄子とみさきに呼ばれて家に遊びに行った時点で、
『明男、お前ええ加減にせえや!』
と文句の一つも言いたくなりますけどね。


また、前巻に登場した堀口は、
久保坂あやめと年齢差を超えた良好な友人関係を築くことに成功していました。

爽香は現在、企画担当としてモールに出向し働いています。
しかし、モールの2代目社長の清原宏が爽香に頼っているのを見て、
先代社長と仲の良く、清原よりずっと年上の永松圭介は面白くありません。

永松は爽香に嫉妬し、わざと爽香に逆らったり、
明男の前科を言いふらしたりと、様々な嫌がらせを繰り返します。

その結果、永松は「とうとうクビになり、
逆恨みして爽香をナイフで刺そうとします。
しかし、その直前に清原から永松のことを聞かされていたおかげで爽香は機転をきかし、
永松の足をひっかけて階段から落とし、何とか助かりました。


そしていよいよ、今回のメインのミステリーを担当する有本哲也の紹介です。
有本は冒頭から登場していたのですが、出番が多いのでまとめて書きます。

ある会社に勤める有本哲也は、自分が誰かにつけ回され、
命を狙われているという妄想に囚われていました。
しかし、滝井緑という別の部署の女性に軽井沢のテニス合宿に誘われたのをきっかけに、
緑に心を開いていきます。

が、以前から緑に言い寄っては断られていたエリート意識の高い赤垣は、
もとから有本のことを見下していたこともあり、有本に嫌がらせを繰り返し始めます。

その赤垣の嫌がらせが逆に有本と緑の距離を縮めることになりました。
有本は緑の上司の平田に気に入られ、緑の部署へ異動になります。

衣子と河村の娘の爽子がヴァイオリンの大きなコンクールで優勝したのを見て、
有本は爽子に出演してもらう企画を思いつきます。

有本と縁の交際も始まり、2人は温泉旅館へ行くのですが、
そこで女将が男に無理心中されそうになっている事件に巻き込まれてしまいます。
有本は男に、女将ではなく自分を殺せと言って近づいていき、
脇腹を刺されて入院してしまいますが、そのおかげで女将は助かりました。

緑は有本の代わりに爽子の企画を進めていきます。
爽香も乗り気で、大きな手術が成功したばかりの栗崎英子に、
爽子のお目付け役を頼んだのですが、爽子はイベントに出るのを断りました。

それは爽子の師匠が反対したせいだったのですが、
爽香が間を取り持つことで爽子はイベントに参加することになりました。

しかし、温泉旅館の事件で有本が英雄扱いされているのが気に食わなかった赤垣は、
とうとう「入院中の有本を殺そうとします。
が、有本の思いがけない説得と、緑がガードマンを呼んで病室に戻ってきたこともあり、
赤垣は追い詰められます。

赤垣はガードマンを椅子で殴って逃亡してしまいました。

それを知った爽香は、『消息屋』の松下に頼み、赤垣の居所を捜してもらいます。

すると、赤垣は明男が運転するスクールバスを狙っていました。
明男は久松という高齢の男と入れ替わりでスクールバスの運転手になったのですが、
その久松は緑の伯父であり、
赤垣は久松を殺すことで間接的に緑を苦しめようとしていたのでした。

赤垣は現在の運転手が明男だと知ると、生徒を人質にとってスクールバスに立て籠もり、
久松を呼べと騒ぎます。

そこへ、爽香が駆けつけ、赤垣が爽香に気を取られているうちに明男が赤垣を倒しました。

しかし、大宅みさきが悪気なく明男に『また遊びに来てね!』と言ったのを聞き、
爽香は三宅舞の件が終わり大丈夫だと思っていた明男の不倫について心配し始めます。


というあらすじなのですが、「やっぱり明男がどうしようもないですね。

もう犯罪に手を染めることはないと思いたいですけど、
不倫したら同じくらい爽香を傷つけることになるというのに……。

次巻でどうなっているかは分かりませんが、せめて一線を越えることだけはないよう願っています。

それと、有本の活躍が大きいのもありますが、前巻に引き続き、殺人事件が起こりませんでしたね。
でも、永松や赤垣など犯人の視点から見た描写が多いので、緊迫感はありました。
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No title

三宅舞に関しては多分そんなトコだろうと思ってました。
オレ的にはプライド高く「自分を愛してくれる事」にあれだけこだわる現田端社長夫人が「彼女持ち」で「優柔不断」な「学生時代」の明男に惚れてた方が余程謎です。

No title

三宅舞の元亭主が不憫だ・・・。
しかし河村といい明男といい仕事にそこまで入れ込める人も珍しいような・・・。

しまうました的には、きっと明男は爽香がいると輝くタイプなのだと思います。

たまに妻帯者やマザコンの男ばかり好きになってしまう女の人がいますよね。
それはその男が妻や母親に自分の健康管理や家事を丸投げしているおかげで、自分の時間を1人暮らしの男より多く持つことができ、余裕があるように見えるからなんですよね。
で、実際に付き合ってみると「こんなはずじゃなかったのに」と思うという……。

三宅舞も裕子も、明男は爽香に支えられているからいい男に見えている、ということに気付いてなかったような気がしました。
あるいは、舞や裕子は他人が持っているものを欲しがるタイプだったと言うこともできますが。

No title

初めまして、コメントさせて頂きます。
しまうました様のコメントにすっきりしました!!

「爽香がいてこそ輝く」

全くです。
舞に云ってやりたいです(笑)
が!こんどはシングルマザー。
もし離婚しても拍手喝采になりそうな気がします(笑)
なんで~赤川先生・・・。

No title

たまには爽香と明男の仲睦まじいところを見せ付けられて、
1年間安心していたいですよねえ……。
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