三上延「ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち」第4話「太宰治『晩年』(砂子屋書房)』&エピローグのネタバレ解説

ビブリア古書堂シリーズの1巻4話とエピローグのネタバレ解説です。

3話で、栞子さんが入院する原因となった怪我は、
何者かに石段から突き落とされたことだと判明しましたが、その詳細が語られます。

栞子さんに言われて、大輔が病室の金庫を開けると、
中から太宰治の『晩年』が出てきました。
たったの500部しか刷られなかった初版本です。
数ページずつ袋綴じのような状態になっている、アンカット本と呼ばれるものでした。
ちなみにしまうましたは、アンカット本というものの存在を初めて知りましたが、
ページが袋綴じになっているまま現存しているというのが奇跡的であることは、
ちょっと考えただけでも分かりますよね。

ページがアンカットのままで、太宰治の署名入りの美本は、
栞子さんの所有するものしか残っていないかもしれないという、非常に貴重な本です。

ある日、栞子さんのところへ、大庭葉蔵と名乗る人物から、
その『晩年』を購入したいというメールが届きました。
ちなみに大庭葉蔵という名前は、
『晩年』に収録されている『道化の華』という短編の主人公の名前でした。
つまり、偽名です。

『晩年』は栞子さんにとって思い入れの強い本なので、
売るつもりはないと断っても、何度もメールが届きます。

そして、2ヶ月前、サングラスとマスクで顔を隠した大庭葉蔵本人が現れ、
400万円で買いたいと言いました。
が、やはり栞子さんは『晩年』を手放すつもりはないと答えます。

栞子さんが大庭葉蔵に石段から突き落とされたのは、その日の夕方でした。
『晩年』は安全なところに隠してあると栞子さんが嘘をつくと、
大庭は、このことを警察に話したら店に火をつけると脅迫し、去っていきました。

そして、現在。
栞子さんは、大庭をおびき寄せて対決するために、
『晩年』のレプリカを店のガラスケースの中に飾り、
お店のホームページでも350万円で売ると告知を出すことにしました。

ちなみに、栞子さんの怪我は想像以上に深刻で、
退院後も長く後遺症が残り、一生不自由なままかもしれないのだそうです……。
この時点で、しまうましたは栞子さんのことが好きになっていたので、
これはショックでした……。

大輔が『晩年』のレプリカを飾ると、2話に登場した小菅奈緒がやってきて、
西野(金髪の少年)に関する悪い噂(と言うか事実)が学校で広まっていて、
西野が孤立しているという話をしました。
また、奈緒はレインコートの怪しい人影を目撃します。

翌日には、3話に登場した坂口夫妻もやってきます。
坂口しのぶがレインコートの怪しい男を目撃し、大輔が追いかけますが逃げられてしまいます。

そのことを電話で栞子さんに報告していると、お店の看板に火がつけられました。
レインコートの男は逃げ出しますが、ちょうど、せどり屋の志田と笠井が現れたため、
大輔はレインコートの男を捕まえることができました。

その男の正体は、「西野でした。
西野は、学校で孤立したことで大輔のことを逆恨みしており、こんなことをしたのだそうです。

西野を警察に引き渡した後、志田は、お店に飾られているのがレプリカであることを見抜きました。
その際、大輔は、本物の『晩年』は栞子さんの病室の金庫にあると、口を滑らせてしまいます。

その後、笠井に電話がかかってきて席を外しているときに、志田は、
笠井菊哉というのは梶山季之の『せどり男爵数奇譚』の主人公の名前だと大輔に教えます。
また、志田が笠井と知り合ったのは、たったの2ヶ月前だったのだそうです。

大輔は笠井に『大庭さん』と話しかけますが、笠井はとぼけます。
しかし、反応したこと自体がおかしいと大輔が指摘すると、
笠井(=大庭)は、自転車で病院へ駆け出します。

大輔は志田に店番を頼み、栞子さんにメールで警告しながらスクーターで大庭を追いかけました。

栞子さんは屋上へ逃げていたのですが、大輔が駆けつけたときには、
『晩年』を抱えた栞子さんの顔に大庭が鋏をつきつけているところでした。

栞子さんは『晩年』に火をつけ、フェンスの向こうへ投げてしまいました。
大庭はそれを追いかけて屋上から飛び降りようとしますが、大輔が止めます。

そのとき、大庭のポケットから免許証が飛び出し、
大庭の本名が田中敏雄であることが明らかになりました。
1話で出てきた『田中嘉雄』と名前が酷似しています。
田中敏雄(=大庭)は、田中嘉雄は自分の祖父だと認めました。

つまり、大輔と田中敏雄は、はとこの関係にあることになります。

それから数日後、大輔は留置場へ行き、田中敏雄の口から、
田中嘉雄は既に亡くなっていることを教えられました。

そして、栞子さんのところへ行った大輔は、
病院の屋上で燃やした『晩年』もレプリカだったのだろうと指摘しました。
栞子さんの目的は、『晩年』を燃やすところを大庭に見せることだったのですが、
大輔までも騙していたのです。
傷ついた大輔は、ビブリア古書堂を退職すると言い、病室を出ました。


4話はここで終わりです。
話は直接エピローグに続きます。

2週間後。文香から、栞子さんが退院することを聞いた大輔は、病院へ行きます。
そこで栞子さんから信頼の証として『晩年』を渡されようとしますが、
大輔は断りました。
その代わりに、『晩年』の話をしてもらう、というところで1巻は終わります。


というあらすじなのですが、この4話は物語の密度が非常に濃いです。
連作短編の最後に持ってくるのに相応しい話だったと思います。

栞子さんと大輔の距離もぐっと縮まりましたし、大満足です。

ふたつだけ文句をつけるとしたら、
栞子さんが燃やした『晩年』がレプリカである可能性を、
田中敏雄は本当に思いつかなかったのだろうか、という疑問が残ります。
あまり言いたくありませんが、ミステリーではよくある話ですからね。
でも、田中敏雄が好きなのは古い本だから、
比較的新しいジャンルであるミステリーはあまり読んだことがなかったのだろうと、
脳内補完しておきます。

また、例えレプリカとはいえ本を燃やしちゃうなんて、栞子さんらしくない気もします。
だって、レプリカとはいえ『本』であることに変わりはありませんからね。
                 スポンサードリンク

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

新世界より(上) (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

結物語 (講談社BOX)

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

雪煙チェイス (実業之日本社文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年4月10日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。