三上延「ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち」第1話「夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」のネタバレ解説

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂シリーズの1巻1話目のネタバレ解説です。

いやあ、それにしてもタイトル長いですねえw
記事のタイトルもブログを初めて以来、過去最長になってしまいましたwwww

さて。
語り部の「俺」こと五浦大輔は、背が高く力持ちな、無職の23歳です。

大輔は幼いころに祖母の部屋へ行き、祖母の本を漁っていたところを祖母に見つかり、
2度も殴られた上に激しく怒られました。
それがトラウマとなり、大輔は本を読めない体質となってしまいます。

その祖母が死んでから1年が過ぎたころ、大輔は母親から、
祖母の遺品である夏目漱石全集について相談を持ちかけられました。
前週の8巻『それから』には夏目漱石が書いたと思われるサインがあるのですが、
もしサインが本物だったら値打ちものかもしれないから、
そういうのに詳しい人はいないか、と母親に訊かれました。

『それから』にはビブリア古書堂の値札がありました。
そこで大輔は、昔、北鎌倉駅で見かけた、ビブリア古書堂の美人店員と話すチャンスだと考え、
ビブリア古書堂を訪れました。
そこにいた女子高生の店員、篠川文香(あやか)から、店主は現在足を怪我して入院中だから、
直接店主のところへ持って行ってほしいと言われます。

店主というのが、文香の姉である店主の篠川栞子(しおりこ)です。
黒髪ロングストレートで胸が大きめの、眼鏡をかけた内気な美人でした。

やがて、栞子さんは、本の話ならベラベラと喋ることができるのですが、
それ以外だとコミュ障になってしまうという、残念な美人であることが判明します。

問題の本を見た栞子さんは、まず、
『それから』に書いてある「夏目漱石 田中嘉雄様へ」というサインは偽物だと言いました。

しかし、値札に「書き込みあり」と書かれていないことから、
本を購入した後で誰かがサインをしたと思われるのですが、
祖母はもちろん、家族の誰もそんなことをしそうにありませんでした。

また、全集の中で『それから』にだけ蔵書印がないことから、
大輔の祖母は古書店でこの本を買ったと思わせるために偽装工作をしたのだろう、
と栞子さんは推理しました。

田中嘉雄から署名入りの本をプレゼントされた祖母は、それを夏目漱石のサインに見せかけたのです。
栞子さんは、大輔に命名したのは祖母であることを確認した後、祖母が結婚した年を尋ねました。
この本が出た次の年だと答えると、栞子さんは一瞬、顔をこわばらせました。

大輔が家に帰り、結果を報告すると、母親は店主に迷惑なことをしたと怒りました。
翌日、お詫びのお菓子を買いに行くと、大輔はそこで伯母と出会いました。

伯母は、祖父母の話をした後、『それから』は、
主人公の男がよその奥さんを取っちゃう話だとネタバレしました。

ネタバレの内容と、『それから』の主人公『代助』の名前も、五浦大輔の名前も『だいすけ』であること、
祖母がビブリア古書堂で全集の他の巻を買ったのが結婚から10年後であること、
大輔とその母親だけが一族の中で背が高いことなどを考えると……
祖母は田中嘉雄と不倫をし、その結果生まれたのが大輔の母親ということになりそうでした。

たった1冊の本の書き込みから、こんなに後味の悪い結論に辿り着くとは、驚きです。


その後、大輔は栞子に誘われ、ビブリア古書堂で働くことになりました。

こうして、本に興味があるけど本を読むことができない大輔と、
本の話がしたいけど聞いてくれる人がいなくて困っていた栞子さんの、
奇妙な共存関係が始まったのでした。

というあらすじなのですが、個人的には、「ちょっと祖母の行動には疑問を覚えます。

不倫に関してではなく、家族にも本に触らせなかった、という部分についてです。

あの有名な『盗まれた手紙』という短編小説ではありませんが、
家族にも本に触らせないようにしたら、むしろ、
ここに何か秘密が隠されていますよ、と宣伝しているようなものじゃないですか。

逆に、堂々と家族にも、本を自由に読んでいい、
と言っておいた方が疑いを持たれなかったように思います。


(ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ 1話 2話 3話 4話
ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ 1話 2話 3話 4話
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと見えない絆~ 1話 2話 3話 エピローグ
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと2つの顔~
ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~ プロローグ 1話 断章Ⅰ 2話 断章Ⅱ 3話 断章Ⅲ エピローグ                  スポンサードリンク

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五巻までとおして 一番の謎

何故 、智恵子は、晩年を 置いていったのか… 未だに謎です。 本が本当に好きな奴なら 手元に置いておきたい… ならば 全編通じて 栞子と双璧を成す 智恵子が 晩年を置いていった 訳が分からないんですよね~
しかも 父親のほうから 譲り受けたあたり更になぞです
本当は 晩年の方こそ 栞子に残したかった本だとした方が よっぽど 納得がいきます
まず 捨てられる心配が有りませんし自身待て生きよ辺りも 残したかった言葉としては いいと思うんですよね~
妹には絵だけの絵本…これも 字は後からという伏線のようにも見えますし
晩年を置いていった…手元に置いておきたい…なら …晩年の元に必ず帰る そういう事を伝えたかったのかなと思うのは少し美化し過ぎでしょうか…智恵子はある 本を手に入れる為出ていった…その本は晩年を指していたら…智恵子は自分を栞子が嫌う事を悟っていた…だからこそ 晩年を置いていった 唯一心を許した人の元に それは暗に 自分に出来る 最大限の謝罪…感謝の印 …そして何より 再び戻って来る為の目印であり…信頼の証…だったのではないでしょうか…
自分の自分に良く似た娘が ある人に
自分の最大限の謝罪として
自分の最大限の感謝として
そして何より
その人が本より大切だと口では言い表せない想いを乗せて
仲直りの証として
晩年を預けようとしたように…


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