米澤穂信「遠まわりする雛」7話「遠まわりする雛」のネタバレ解説

1年生から2年生に進級する春休みのことです。

奉太郎は千反田さんに頼まれ、
人間が雛人形の格好をして町を歩く『生き雛』に
傘を差しかける役目をやることになりました。
お雛様は千反田さんがやります。

『生き雛』が出発する水梨神社に行く途中、
奉太郎は千反田さんから教えられた道順の途中にある長久橋が
工事中であることに気付き、作業員に声をかけてから橋を渡りました。

修羅場っぽい雰囲気の水梨神社の社務所の中で待っていると、
長久橋の工事の話が出たため、奉太郎が何気なく、
「長久橋なら、工事を始めていましたよ」
と言ったところ、雰囲気が一変しました。

本来、『生き雛』祭りが終わるまで工事は止めてもらうはずだったのですが、
何者かが工務店に電話して工事をしていいと言ったのだそうです。

『生き雛』の行列が通るルートに長久橋が含まれていたため、
みんなは頭を悩ませます。
やがて、遠路橋を通ってはどうかという案が出たのですが、
気まずい雰囲気になり、みんなが黙り込んでしまいました。

そんなとき、奉太郎は千反田さんに呼ばれ、女性用の控え室へ行きます。
そこで帷(とばり)越しに千反田さんに事情を説明すると、
「先方の宮司には、わたしから話をします。
氏子総代には、父から連絡するよう頼んでみます」
と伝言するようにと言われました。

その伝言を伝えると、みんなはほっとした表情になりました。

やがて、奉太郎も茶髪の男に着付けしてもらいましたが、
あまり似合いませんでした。

祭りが始まり、『生き雛』たちが揃います。
そのとき、お内裏様が、男装した入須冬実であることに気付きました。

十二単を着た千反田さんもやってきましたが、
「これはよくない」と奉太郎は思いました。

よくないというのは、そういう衣装を着ていると、
お雛様に傘を差しかけている奉太郎からは、千反田さんの顔が見えない、
という意味でした。

長久橋を過ぎ、桜の下を通り過ぎたあたりで、里志や伊原を発見しますが、
もちろん話をするわけにはいかないのでそのまま歩きます。

ルートの変更があったため予定よりも終了時刻が遅れたものの、
何とか『生き雛』祭りは終了しました。

アニメではこのタイミングで、
奉太郎と2人きりになった摩耶花からバレンタインの件でお礼を言われたり、
入須冬実から話しかけられたりしましたが、
これはアニメオリジナルであり、原作にはないシーンでした。
アニメ版はこの話が最終回なので、大団円にしたかったのでしょうね。

化粧を落とし、普通の服に着替えた千反田さんから、
誰が、何のために工務店に長久橋の工事をするよう電話したのか、
という謎を解いてもらうよう頼まれます。

奉太郎は、「奉太郎の着付けをした茶髪の男が、
『滅多に見られん行列だから、わざわざ帰省してきたんだ』
と言っていたことから、茶髪の男が犯人だと推理しました。
茶髪の男の目的は、あの桜の下を『生き雛』が通るように、
ルートを変更することだったのです。

ちなみに、今回は千反田さんも、
色んな人のメンツを潰して平気な顔ができる気楽な人が、
小成さんの息子である茶髪の男しか思いつかなかった、
という理由で犯人に目星をつけていました。

また、長久橋の向こうに『生き雛』の行列を通すことをみんなが躊躇っていたのは、
昔、この辺では水争いや土地争いがあり、南北に分かれていたためでした。
その問題を、千反田さんとそのお父さんが解決したのでした。

その後、千反田さんは、理系を選択したことを奉太郎に告げます。
千反田家の娘として、この町を豊かにするために、
『より商品価値の高い作物を他に先駆けて作る』という方法と、
『経営的戦略眼を持つことで生産を効率化する』という方法を考えていたのですが、
前者を選択したのです。

奉太郎は、自分が後者の経営的戦略眼を務めたい、
と言いたかったのですが、言えませんでした。


そして、物語は「ふたりの距離の概算」に続きます。

というあらすじなのですが、
奉太郎が千反田さんに好意を持っているのが明確になるのは、
実は原作ではこの話が初めてなのです。

それまでにも、何となく惚れているっぽい描写はあったのですが、
何しろ物語は基本的に奉太郎の視点で進みますから、
どうとでも解釈できるような表現だったんですよね。

そのため、割と初期の段階から両想いっぽく見えたアニメとは、
また違った味わいのある話でした。                  スポンサードリンク

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