米澤穂信「遠まわりする雛」6話「手作りチョコレート事件」のネタバレ解説

この「手作りチョコレート事件」というタイトルは、
海外ミステリーの「毒入りチョコレート事件」から取ったものですね。

2000年の2月14日。
まだ奉太郎たちが中学生だったころ、
摩耶花は里志に手作りチョコレートを渡そうとしますが、
市販のチョコレートを溶かして固めただけのチョコレートなんか
チョコレートじゃないから――と、そういう言い訳をして、
里志はチョコレートを受け取ろうとしませんでした。

摩耶花は里志に、来年こそは傑作の手作りチョコレートを作る、
という意味のことを宣言しました。

そして、2001年2月。
里志を追いかけて古典部に入部した摩耶花は、
本気でチョコレートについて勉強した成果を千反田さんに話します。
千反田さん自身はチョコレートを配る予定はないのですが、
やっぱり女の子なので摩耶花に全面協力します。

一方、奉太郎は里志とゲームセンターで対戦型ゲームをしていました。

さて、問題の2月14日。
漫画研究会の方で問題が発生しているため、
摩耶花は里志に直接チョコレートを渡すことができず、
古典部の部室にチョコレートを置いておき、放課後、
里志に持って行かせることにしたのだそうです。

千反田さんは部室で里志が来るのを待っていましたが、現れず、
図書室にいた奉太郎のところに里志を見ていないか聞きに来ました。
その間に、部室からチョコレートが盗まれてしまいました。

千反田さんは奉太郎に助けを求めます。
古典部の部室に行く途中の階段でポスターを貼っていた工作部員の証言により、
天文部に疑いがかけられました。
しかし、天文部の沢木口先輩は、
チョコレートを盗んだ部員などいないと断言します。

やがて、摩耶花がやってきて、チョコレートが盗まれたことを知ると、
別にチョコレートの番を頼んでいたわけではないから、
千反田さんの責任ではないと慰め、帰っていきました。

自責の念に駆られ暴走しようとする千反田さんを、奉太郎が止めました。
奉太郎の推理によると、犯人は「天文部の中山という女子生徒が、
スカートの下にチョコレートを隠して部室に持ち帰ったのだそうです。

千反田さんがいると中山からチョコレートを取り戻すことができないから、
と奉太郎は千反田さんを説得し、先に帰らせます。

その後、「奉太郎と里志は普通に帰り支度をして学校を出ました。

チョコレートを盗んだのは里志であり、
里志がいつも持ち歩いている巾着袋の中にチョコレートを砕いて入れていたのでした。

数日前に奉太郎は里志とゲームをした際、
里志が勝ちにこだわらなかったことに違和感を覚えていました。
しかし、里志本人は今の自分の方が気に入っており、
以前のように何かにこだわる自分には戻りたくないと考えていました。

摩耶花の好意を受け止めてしまうと、摩耶花にこだわることになってしまうから、
チョコレートを受け取らずに済むように画策していたのですが……。

正直、何言ってんだこいつ、という感じですねw
でも、ある意味、凄く高校1年生っぽいです。

里志の態度もどうかと思いますが、摩耶花だって、
千反田さんがチョコレートの受け渡しを見届けたがることを見越して、
あえて千反田さんを巻き込んだ――利用したのですから、
個人的にはお似合いのカップルじゃないかと思います。


ちなみに、この「手作りチョコレート事件」は、この短編集の中で最長の話です。
そのため、アニメでは尺に納めるために大幅にカットした上で、
なおかつハッピーエンドっぽくなるように改変していました。

まあ、原作通りにやってしまうと、
最終回の1話前なのに煮え切らない話になってしまいますから、
しょうがないですけど。

ちなみに、原作でも、「ふたりの距離の概算」の中で、
この日の後日談が少しだけ語られています。                  スポンサードリンク

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「こだわる」というのは、人の関係においては「束縛」という言葉の連想につながります。これを踏まえて、里志の悩みの主体も、自分がそうしてしまうかもしれない(結果、摩耶花を傷つける)という可能性への恐れであり、自分の信条を如何に守るかということではないと私は解釈しました。

好きという気持ちをストレートに押し出す摩耶花と、好きだからこそ慎重になってしまう里志、そしてそれを取り巻く人間模様は、まさにチョコレートの味のように「強烈に甘く、そしてやはり苦い」物語であったのだと私は思います。
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