星新一「現象」のネタバレ解説

ある日のことです。
牛の乳絞りをしようとした娘たちの中の1人が、
牛からにっこりと笑いかけられたような気がしました。
他の娘たちも、牛が体内で作り上げたお乳を
人間が横取りしてはいけないのではないか、
と考え始め、彼女たちは仕事をやめてしまいました。

都会でも、動物実験をしようとしていた男たちが、
動物に情が移ってしまい、実験を中止してしまいました。

豚を出荷するはずだった農家は豚を業者に引き渡すのを中止し、
羊の毛を狩ろうとしていた青年は羊が可哀相に思えてやめてしまい、
漁師たちも獲った魚を海に戻してしまいました。

そして「ある豪華な家の中では、ある人物が死んだということを
主婦が電話で知らされ、こう言いました。

『……こんなこと言っちゃあなんだけど、欲張りで、いじわるで、
いやなひとだったわね。
いいところなんか、ひとつもなかったわ。
でも、ついに一巻の終わりね……。
……だけど、ふしぎねえ。あたしも、ちょっとした義理があったので、
少し前に見舞いに行ったんだけど、別人のようだったわ。
にこやかで、やさしくて。
だれも、そんな感想だったわ。
人間、死期が近づくと、善良そのものになるそうね……』

そして、
『人類、種族としての寿命の終りの時期が迫ると……。』
という一文で話は終わります。


うーん、何となく分かったような分からないような……。
と、のどに小骨がひっかかったような気分になった人もいるでしょう。

誰でも、死ぬ間際は善人のようになると言いますよね。
それは、終わりよければすべてよしと言いますか、
最期だけでも善人らしく振る舞い、
残された人々の記憶の中だけでも美しくありたいという本能のせいでしょう。

この話では、その本能が世界中の人間に目覚めたのです。
世界中の人間たちが残された動植物に優しくしようとするのは、
要するに、人類の滅亡が近いということを示している――という話なのです。
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