時雨沢恵一「キノの旅」4巻3話「二人の国」のネタバレ解説

ある国を訪れたキノは、異常なほどの量の質問に答えさせられ、
写真を撮られた後、ようやく入国を許可されました。

翌日。
キノは喧嘩している男女を仲裁しようとしますが、
それを警官に止められました。

昼食をとった後、キノは30代くらいの男性に誘われ、
男性の家でお茶をすることにしました。

男性は妻である女性と2人暮らしをしていました。
女性が男性にお酒を出すと、男性は豹変し、
女性に対して酷いDV(家庭内暴力)をしました。

やがて男性はボロボロになった女性を残して寝てしまいました。

女性はキノとエルメスに、この国では配偶者に対しては、
殺人以外は一切罪にならないことを説明します。
配偶者を殺した場合は死刑です。

さらに、この国では結婚をしていない大人は、
一人前ではないという扱いを受けます。
そのため、女性はお見合いをして、男性と結婚したのですが、
やがてDVが始まったのでした。

ちなみに離婚は認められていません。

そこで女性はキノに、「夫を殺すように依頼しました。
この国では国外から来た人が犯罪を起こしても、
一日以内に出国すれば罪に問われないことになっているのだそうです。

キノは女性から、夫を殺して欲しいと懇願されますが、
キノは、神様にはなりたくないからと断りました。

……まあ、今までに何回もお節介なことをやったり、
依頼されて誰かを殺したことが何回もあるキノですけど、
今回は、女性が昼間から強いお酒を出したことや、
わざと料理の皿を落として男性を怒らせたのに気付いていたこともあり、
断ったのですね。


家を出たキノは、途中でさっきの警官と会い、
女性の言っていた、この国の変な法律が事実であることを確かめます。

……しまうましたは絶対にこんな国には住みたくないです。

その夜。
女性は、自分の努力なしで、
物事がすべて上手くいくと思っていたことを反省していました。
いつか優しい魔法使いのお婆さんが私の願いを叶えてくれると思っていた、
というのは、いわゆるシンデレラコンプレックスですね。

シンデレラコンプレックスとは、
女性の潜在意識にある依存的願望のことです。
白馬に乗った王子様とか、魔法使いのお婆さんを待ち続けるだけで、
努力らしい努力は何もしないことが、
女性の自立を拒む要因の1つだと言われています。

まあ、正直、しまうましたも、
シンデレラ・ストーリーはあまり好きではありません。
あまりにもシンデレラにとって物語が都合よく進みすぎますからね。

その点、同じ不幸な少女を題材にした童話であっても、
「マッチ売りの少女」はシビアなので好きですが。
また、「ヘンゼルとグレーテル」なども、
自分たちの努力で魔女を焼き殺しているので、
ハッピーエンドには納得できます。

……脱線しすぎましたね。話を戻します。

さらに翌日。
出国間際のキノは、見送りに来てくれた昨日の女性と再会しました。
女性は夫との立場が逆転し、
今度は女性が男性にDVを振るうようになっていました。

女性は神様を待つのをやめ、
自分の努力で問題を解決することにしたのです。

男性はキノに、昨日の女性のように妻を殺してくれと依頼されますが、
キノはお断りしました。

出国する直前、キノは番兵から結婚紹介相手のリストを見せられます。
入国時の大量の質問や写真はこのためだったのです。
が、キノが脅すと番兵は引き下がりました。


というあらすじなのですが、
DVを受けていた女性がシンデレラコンプレックスから抜け出し、
ハッピーエンドになってよかったですね(遠い目)。

ところで現実世界でも家庭内暴力は起こっていますが、
家庭内暴力とかDV(ドメスティック・バイオレンス)という言葉を聞くと、
無意識のうちに加害者が夫で、
被害者が妻である情景をイメージしてしまいませんか?

まあ、そういう組み合わせが多いのは確かなのですが、
妻が加害者で夫が被害者という組み合わせも、実際には珍しくないのです。

一般的には女性より男性の方が腕力が強いですが、
本気で格闘技を習っており身体を鍛えている女性には、
何もしていない男性が勝つのは難しいというのも事実です。

また、腕力に関係のない、精神的な虐待というものも数多く存在します。

ところが、女性が被害者である場合に比べ、
男性が被害者の場合は救済の手が差し伸べられることが少ないのが現状です。
妻からの家庭内暴力に悩む夫が、DV対策団体に相談したところ、
男が悪い、自業自得だと説教された、などという酷い話もあります。

また、日本の離婚の調停員は異常なほど女性に甘いので、
妻からのDVが原因で離婚するのは難しく、
子どもがいる場合も妻の方が悪いのに妻に親権をとられてしまう場合があります。

ちなみに国際結婚をした日本人女性が離婚する際は、まだ裁判もしていないのに、
外国人の夫との間にできた子どもを日本に連れ帰ってしまい、
誘拐の罪で逮捕される……なんてこともあります。

また、海外では離婚する際も「妻が無職である」ということを理由に、
夫に親権が渡ることも珍しくありません。

海外をマンセーするつもりはありませんが、この件に関しては、
日本の女性の甘えが見え隠れする部分もあるように思います。                  スポンサードリンク

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妹は元旦那にDVされていました。いざ離婚しそうになったときに、元旦那が、こどもを実家に連れ去り、妹が警察に訴えても何もしてくれない。親権争いになったときは、経済やこどもも旦那の実家で落ち着いてるからこのままでいいのではとなって、こどもを奪われました。
男だから、女だからとかでなく、被害者側が不利なんです。

みゆさんへ

それはどのような種類のDVだったのでしょうか?
精神的なものならば録音・録画するとか、
肉体的なものなら医師の診断書をとるなど、
ちゃんとDVされているという証拠を集めてから、離婚を切り出したのでしょうか?
また、離婚に強い弁護士を雇いましたか?

しまうましたは、こういうのを「努力」だと考えています。
みゆさんにとっては肉親だから妹の言葉をすべて信じることができますが、
第三者には証言だけではどちらの言い分が正しいのか判断できませんから、
相手に非があるという証拠を集めるのは大事なことです。

また、経済的な問題というのは、
妹さんが子どもを養うことができるだけの収入を得ていなかったという意味なのでしょうか?
非常に厳しいことを言いますが、妻が無職であり、
夫にDVされていたという証拠を提出できなかったのだとしたら、
親権を夫にとられてしまうのも仕方がないと思います。

もちろん、上の文の「妻」と「夫」を入れ替えた場合も同意見です。
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