西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い」のネタバレ解説

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)


この「クビキリサイクル 戯言使いと青色サヴァン」は、
戯言シリーズの記念すべき1冊目です。

まず、初めに説明しておくと、
このシリーズの物語の主人公であり、語り部である「ぼく」は、
本名が登場していません。

「戯言使い」とか「いーちゃん」とか「いの字」とか、
色んな愛称で呼ばれていますが、
この記事では、いーちゃんと呼ぶことにします。

いーちゃんはアメリカのER3システムを中退し、
京都の鹿鳴館大学に籍を置いている19歳の少年です。

そして、一人称が「僕様ちゃん」であり、
青い瞳と青い髪を持つ、サヴァン症候群の、
工学分野の天才にして、財閥「玖渚機関」直系の令嬢であり、
ハッカー集団「チーム」の元リーダーであるという、
設定だけでお腹がいっぱいになりそうな19歳の美少女、
玖渚友(くなぎさ・とも)。

この2人は、天才ばかりが集められるという島、
鴉の濡れ羽島を訪れていました。
ちなみに、天才扱いされているのはあくまでも玖渚友であり、
いーちゃんはその付添いに過ぎません。

ところで全然関係ないですが、しまうましたは「玖渚」を最初、
「くさなぎ」だと思って読んでいました。
「くなぎさ」が正解なのですが、目が滑ってしまったようです。
シリーズの全体の中盤くらいまで勘違いに気付きませんでした……。

さて。
物語が始まった時点で、既に島に到着してから3日目です。

いーちゃんは、ワークステーションをいじっていた玖渚と会話をした後、
外を散歩中に逆木深夜(さかき・しんや)と出会います。
深夜は、車椅子に乗っている天才画家・伊吹(いぶき)かなみの介添人です。

深夜はいーちゃんの意向を無視し、かなみの絵のモデルになるように、
かなみに頼みます。
いーちゃんはかなみから、午後にアトリエに来るようにと言われました。

いーちゃんは一度玖渚に声をかけた後、朝食を食べに食堂へ行きます。
そこで、メイドの千賀(ちが)ひかりと会います。

ひかりは3つ子の中の1人であり、あかり、てる子という姉妹がいます。
3人ともこの島でメイドをやっています。

朝食が運ばれてくるのを待つ間、
いーちゃんは「七愚人」の中の1人である園山赤音(そのやま・あかね)と話をします。
七愚人というのは、いーちゃんが中退したER3システムという研究室の、
七人の天才のことです。

ひかりが佐代野弥生(さしろの・やよい)という天才料理人が作った料理を運んできて、
赤音と会話をしながら朝食を食べ終えます。
そこへ、姫菜真姫(ひめな・まき)が現れました。

真姫は次々といーちゃんの言動を当てて、
それに対して駄目出しをしていきます。
真姫は予知能力者なのですが、本人は占い師を自称しています。
天才占術師です。

天才技術屋の玖渚友、天才占術師の姫菜真姫、七愚人の園山赤音、
天才画家の伊吹かなみ、天才料理人の佐代野弥生。

この5人の天才の女性たちは、
この島の主人である赤神(あかがみ)イリアによって集められていたのでした。

玖渚やひかりと話をしているうちに、昼になります。
昼食を食べてから、弥生と少しだけ話をします。
その際、弥生はいーちゃんの手の甲を舐めただけで、
血液型がAB型のRhマイナスであることを見抜きました。

弥生は絶対味覚(絶対音感のようなもの)の持ち主であり、
汗を舐めただけで血液型が分かるくらい優れた味覚の持ち主なのだそうです。

その後、いーちゃんはかなみのアトリエに行きました。
かなみが描いた桜の絵に対して感想を求められ「綺麗な絵」と言ったところ、
かなみは2000万ドルほどの価値になるであろう、
その桜の絵を破ってしまいました……。

いーちゃんはかなみの薀蓄を聞きながら絵を描いてもらい、
完成後には絵をもらう約束をします。

夕食の時間になり、全員が食堂に集まりました。
イリアは、哀川潤(あいかわ・じゅん)という一週間後に島を訪れる予定の人物について話をします。

その後、かなみと赤音が言い争いをします。
この2人は仲が悪く、口喧嘩ばかりしているのでした。
それを玖渚が止めます。

しかし今度は、真姫がいーちゃんに突っかかってきました。
いーちゃんは真姫に怒ろうとしますが、またしても玖渚に止められました。

夜10時過ぎ。
いーちゃんと玖渚がリビングに行くと、そこにはひかりと真姫と深夜がいました。

やがて、地震が起きます。
深夜は内線でかなみの部屋に電話します。
深夜の話によると、かなみはアトリエにいて、
ペンキの缶が倒れたけど本人は無事なのだそうです。

そして滞在4日目。
朝食のときにかなみが現れず、深夜が様子を見に行きました。
そして戻ってきた深夜は、かなみが死んでいる、と告げました。

いーちゃん達はかなみのアトリエで、首なし死体を発見します。
ペンキが倒れて「川」ができており、
その向こうにかなみの首なし死体があったのです。

イリアが警察を呼びたがっていないため、魔女裁判が始まります。

イリアが犯行予想時刻の皆のアリバイを確認しましたが、
赤音にだけアリバイがありませんでした。

かなみは地震でペンキが倒れる前に殺されたはずだ、
とイリアは考えたのですが、実際にはその後で深夜が電話をし、
かなみの無事を確認していました。

しかしそれをイリアは「幻聴」だと片づけます。
いーちゃんの提案もあり、赤音を倉庫に保護(監禁)することにしました。
6日後にやってくる予定の哀川潤ならば解決できるから、それまでの間、という条件付きで。

その後、いーちゃんと玖渚は探偵まがいの活動を始めます。
いーちゃんは、かなみが描いた自分がモデルの絵を見て、違和感を覚え、
玖渚にデジカメで写真を撮ってもらいます。

そして、深夜に頼まれ、
いーちゃんは深夜と一緒に、寝袋に入ったかなみの遺体を埋葬しました。

昼食後、いーちゃんはイリアの部屋に行きました。
そこにはイリアと、メイド長の班田玲(はんだ・れい)がいました。

……紹介が遅れました。
現在鴉の濡れ羽島にいる人物で紹介していなかったのは、班田玲で最後です。

この島に住んでいるのは、赤神イリア、班田玲、千賀あかり、千賀ひかり、
千賀てる子の5人。

招待客は、伊吹かなみ、佐代野弥生、園山赤音、姫菜真姫、玖渚友の5人。

招待客の付添いは、いーちゃんと逆木深夜の2人。

これから島を訪れる予定の人物は、哀川潤。

登場人物は全部で13人です。

さて、話を戻しますが、
いーちゃんは警察を呼ばない理由についてイリアに尋ねます。
玲の話によると、どうやらイリアは単純に警察嫌いなだけではなく、
請負人(探偵)である哀川潤に、
この殺人事件を「プレゼント」するつもりのようでした。

夕食が終わり、午後9時過ぎ。
玖渚の部屋にいたいーちゃんは自分がモデルの絵の違和感の正体に気付きますが、
その内容は読者にはまだ明かされません。

そこへひかりがやってきたので、いーちゃんは玖渚のことをひかりに任せ、
監禁されている赤音に会いに行きます。
赤音は、いーちゃんに対し、玖渚のことが好きなのかと尋ねますが、
そんなことはないと答えます。

玖渚の部屋に戻ったいーちゃんは、ひかりから、
本当は密室トリックはもう分かっているのだろうと尋ねられます。
ペンキが倒れて川ができたのは地震のせいではなく、
犯行があったのが地震前だと思わせるための犯人の偽装工作である、
という可能性について、玖渚といーちゃんは説明します。

……まあ、正直、ミステリーを読み慣れている大部分の人は気付いていた
可能性なんですけどね。

翌日、滞在5日目。
いーちゃんはあかりに激しい勢いで起こされました。
赤音が監禁されていた物置の中で、赤音の首なし死体が発見されたのです。
換気用の、内側からしか開けられない窓は、開いていましたが、
位置が高いため手が届きそうにありません。

イリアは、アリバイがなく鍵を持っていたひかりを犯人扱いしますが、
いーちゃんは同じ過ちを繰り返さないためにイリアを説得し、
グループに分けて行動することにしました。

いーちゃんと玖渚とひかりがAチーム、
イリアと玲とあかりとてる子がBチーム、
真姫と深夜と弥生がCチームです。

いーちゃん達Aチームの人間が玖渚の部屋に戻ると、
玖渚のコンピューター3台、パソコン2台、ワークステーション1台が、
物理的に破壊されていました。

玖渚は昨日、かなみの遺体をデジカメで撮影していたため、
狙われたのでしょう。
そして、容疑者たちは先ほどまでずっと一緒にいたので、
こんなことをする時間はなかったはずだということに、ひかりが気付きます。

いーちゃんたちは赤音の死体を埋葬しました後、
島の外側から問題の物置小屋の密室の窓を覗きます。
赤音を殺すためには内側にいる赤音自身に鍵を開けてもらう必要があり、
おまけに梯子を入れるほどの隙間はなく、
ロープを引っかけることができそうな木もありませんでした。

何か都合のいい展開だなあと思いますが、ミステリーというのはこんなものです。

いーちゃんは1人で再度、イリアに、本当に警察を呼ばないのか確認しに行き、
てる子に部屋まで送ってもらいます。
その際、てる子はいーちゃんに「あなたは一度死んだ方がいい」と言いました。

さらにてる子は、イリアの左腕には無数の自傷の跡があるという話をします。
しかし、てる子と別れた後で、昨日イリアの着替えを見たときには手首には
傷などなかったということを思い出しました。

部屋に戻ったいーちゃんは、例の絵に覚えていた違和感の正体は、
時計であると玖渚に告げました。
実は絵のモデル時には、腕時計を玖渚に修理してもらっていたのですが、
キャンバスの中のいーちゃんの腕には時計が巻かれていたのです。

その後、3人は2つの殺人事件について話し合います。
そこへ、弥生さんがやってきて重要なことを話しました。

2日前、かなみの事件でアリバイの検証をした際、
弥生とイリアは話をしていたのですが、
本当はその場にいなかった玲がいたことにしていたのです。

さらに弥生は、自分は天才たちの脳みそを使った料理を作らされるのではないか、
という恐怖について語ります。
その会話の中でいーちゃんは事件の真相に関するヒントを得たのでした。

その日の夕食会で、いーちゃんは「弥生に頼んで演技をしてもらい、
夕食を抜け出しました。
弥生の部屋のドアを開けると、そこには犯人がいました。

いーちゃんは犯人に殺されそうになりますが、
そこをてる子に助けられました。
てる子は3つ子のメイドの中でボディーガードの役割を担っていたため、
格闘の心得があったのです。

しかし、助かったと思った瞬間、てる子が背後から犯人に撃たれました。
万事休すと思いきや、そこに玖渚が現れます。

いーちゃんは、玖渚のことが好きだからやめてくれ、と犯人に頼み、
犯人――園山赤音は降参しました。
ちなみに、深夜も共犯でした。

そして食堂に戻ったいーちゃんはイリア達に説明します。
実は、4日目に発見した、赤音だと思われていた遺体は、
赤音の服を着たかなみの遺体だったのです。

首を切ったのは、入れ替わるためと、肩のところを平らにして、
踏み台として利用し、窓から脱出するためでした。

タイトルの『クビキリサイクル』は、
首を切るサイクル(周期)と、首を切ってリサイクル(再利用)する、
というダブル・ミーニングになっているのでしょう。

そして島を離れる際、真姫は、自分は2年後に死ぬ運命であると話します。

また、実はイリアと玲が入れ替わっていたことをいーちゃんが指摘します。
ちなみに、玲(本物のイリア)の左腕にも傷はありませんでした。


それから1週間後。
大学を早退したいーちゃんは、赤色がトレードマークの、
人類最強の請負人の哀川潤という高身長の女性と遭遇し、
オープンカーに乗せられます。

そして哀川は、いーちゃんが見抜けなかった事件の真相について説明します。
まず、「いーちゃんがモデルの絵に腕時計が嵌められていた理由は、
かなみではなく赤音が描いたものだったからでした。

実は、島を訪れる前に、かなみと赤音は入れ替わっていたのです。
髪を染めたりカラーコンタクトを嵌めたりして、
外見的特徴を変えていました。
かなみの車椅子は、足が何ともないのに乗っていただけでした。


以上であらすじは終わりなのですが、
入れ替わりについて少し説明(言い訳)させてください。
この本は、地の文がいーちゃんの一人称で書かれています。

地の文が一人称で書かれている場合は、
主人公の視点を通して物語を見ることになります。
そのため、ミステリーの世界では、一人称の小説の場合、
その時点で人物Aを人物Bと誤認していたら、
地の文でも「人物Bが〇〇した」と書くことが許されます。

でも、ブログの記事の場合は、
『いーちゃんは』と三人称で書くしかないので、
ちょっと問題が生じてしまいます……。

何とかして誤魔化せないか考えたのですが、
やっぱり4人も入れ替わってると無理なので、
本文の表記のままにしておきました。悪しからず。
 」

それにしても、真姫の予知能力とか、厨二病っぽいキャラとか、
色々と突っ込みどころは多いものの、
1巻は普通のミステリーっぽい内容でしたね。
後々、人外バトルものへとシフトしていくとは思えません……。

この話は2巻の「クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識」に続きます。

(戯言遣いシリーズ
クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い
クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識
クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子
サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し
サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄
ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹
ネコソギラジカル(上) 十三階段
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs. 橙なる種
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