貴志祐介「新世界より」のネタバレ解説・中編

新世界より(中) (講談社文庫)


貴志祐介さんの「新世界より」のネタバレ解説・中編です。
このパートでは「Ⅲ深秋」と「Ⅳ冬の遠雷」のあらすじを書いていきます。

前編はこちら、後編はこちらです。

「Ⅲ深秋」
一晩キャンプをした早季たち5人は、
カヌーで川を下り神栖66町に戻ります。
すると、そこには太陽王がいて、児童館へ行くように言われます。

児童館には朝食が用意されていましたが、
その中の1つに自白剤のようなものが混ぜられていました。

そのとき、守が窓の外を見て、妙な声を上げます。
結局、このとき守が何を見たのかは明らかにされていませんが、
おそらくネコダマシを見たのでしょう。

太陽王と、教育委員会の中年の男女がやってきます。
その後、早季たちは1人ずつ面接をされるのですが、
そのときの記憶は消されてしまいました。

それから早季、真理亜、守の3人は高熱を出して寝込んでしまいます。
そして頃合いを見計らって、隠していた真言を手に入れ、
早季は呪力を取り戻しました。

ここから2年が過ぎ、早季たちは14歳になります。
早季は瞬に思いを寄せるのですが、瞬は覚と仲良くなっていました。
この場合の「仲が良い」というのは、
〇ッ〇〇をするほど、という意味です。

ある日、早季は、瞬と覚が手を繋いで野原の方へ行き、
キスをしたり愛〇をしたりしているところを目撃します。
ちなみに、このときは瞬が受けでした。
2人は14歳ですからね。
〇欲が一番強いリアル中二ですから、
きっとその後も激しいことをしたんでしょうね。

さらに、別の班の男の子たちがやっていたのを目撃したこともあり、
おそらくこの後、瞬と覚も〇ェ〇〇〇し合うのだろうと早季は考え、
その場を離れました。

……というか、早季って物凄い覗き魔ですよね。

そして早季は、真理亜に慰めてもらいに行きます。
そこには守がいて、絵を描いたり、常に傍にいるようにしたりして、
真理亜に献身的に尽くしているのですが、
早季はそんな守を無視して、真理亜と「散歩」をしに行きます。

早季と真理亜が向かったのは、海岸の砂浜を見下ろす小高い丘の上でした。

……っていうかこいつら、何で野外プレイばっかりしてるの?
普通にどっちかの家の中でやればいいじゃん!
と思いますが、この世界では外でやるのはデフォなんでしょう、たぶん。

「早季。おっ〇〇、大きくなったわね」
「何言ってるのよ。こうして欲しかったんでしょう?
だから、早季ちゃんは私に会いに来たのよね?」
「さあ。しばらく見てなかったから、早季の身体を調べてあげるね。
あれから、どうなったのかな。ちゃんと、発育してる?」
「うん。すごく綺麗な身体ですね。よぶんなお肉なんか、
全然ついてないし、どこもすべすべだし」
「すごーい。早季って、こんなふうにいじめられたり、
いやらしいことをされたりするのが、ほんとうに大好きなのね。
身体全体が喜んで、反応してるもの」

といった、真理亜の言葉責めが続き、キスとか〇撫とかをして、
すべてを忘れるくらい2人は愛し合いました。


ところが――そんな幸せな時間は長くは続きませんでした。

その年の夏くらいに、瞬が覚に突然別れを告げます。
瞬は、言葉の上では覚を冷たく拒絶していましたが、
なぜか瞬本人も覚と別れるのが辛そうでした。

その頃、瞬は鶏卵を二時間あまりで孵化させたり、
覚は空中に鏡を作り出したり、
真理亜は空中浮遊をしたり、
早季は割れたガラス瓶を補修したりと、
それぞれの適正にあった個別の課題に取り組んでいました。

そこへ何と、最強の呪力の持ち主である鏑木肆星がやってきます。
鏑木肆星は生徒たちの課題を見て回っていましたが、
瞬の前で足を止め、さっさと部屋を出て行ってしまいました。

さらに、鏑木肆星を追いかけ戻ってきた太陽王は、
今日の実技は中止にすると言い出します。
瞬は課題の卵を取り落とし、割ってしまいます。
その中から出てきたのは、ヒヨコとは程遠い奇怪な化物でした。

その鶏の卵が割れてしまった日から2週間後。
瞬は1人で丘を歩いていました。
いつもはペットのブルドッグの「すばる」を連れているのに……
と早季は不思議に思いつつ、瞬に声をかけます。

ところが、瞬は早季に、これ以上近づくなと叫び、
ハチ玉という玩具を飛ばしながら、
「しばらく、会えなくなると思う」
「当分、学校へは行けない。僕は、療養しなきゃならないんだ」
「(療養する場所は)言ってはいけないことになっている」
と瞬は言います。

早季は、瞬の力になりたいと言い、告白しようとしますが、
その前に瞬は、2年前の夏季キャンプのことは全部バレていた、
僕らは、単に処分を保留されてただけなんだよ、
と言い出します。
さらに瞬は、ネコダマシに気をつけろと警告し、
早季にお手製の首輪をプレゼントします。

そこへ「すばる」がやってきたため、瞬は逃げ出します。
そのすばるは右の後ろ脚に何らかの傷害を負っており、
何かおかしいという違和感がありました。

その4日後。早季と覚と真理亜と守は、
それぞれ2人1組で瞬を捜すことにしました。

早季と覚のペアは、瞬が住んでいる松風の郷へ向かいますが、
水路には見張りの舟がいて、
しかも通行禁止を意味する綱が張ってありました。

早季と覚は離れた場所に舟を停め、歩いて松風の郷へ入ることにしました。
ところが、その森の中にも通行禁止の綱が張られています。

それを超えて進むと、町の中であるにも関わらず、
神栖66町と外界を隔てているはずの八丁標がありました。

そこから先の森の植物はみな奇妙な形に変形していたり、
秋なのに雪が降っていたりと、異様な風景が広がっていました。
そして、巨大なすり鉢状の穴の中に、
かつての瞬の家の一部があるのを発見しました。

家に帰った早季は、両親の様子が不自然だと感じ、
瞬のことを知らないかと尋ねますが、よけいなことを詮索するなと言われます。
早季の母親は、
「私は、二度と……いえ、あなただけは失いたくないの。言うとおりにして」
と言いました。
早季はその言葉を聞き、自分には姉がいたのではないか、
という疑念について考えます。

そこへ、真理亜がやってきて、
中庭を調べているときに、不浄猫(ネコダマシ)という巨大な猫を目撃し、
太陽王が、不浄猫を青沼瞬に送らなければならない
――と言っていたという話をします。

早季は身支度を整え、瞬にもらった首輪をつけて、
水路の船を呪力で動かして松風の郷へ向かいます。
やがて、早季は不浄猫に襲われ、上下の牙で首を絞めつけられます。
が、瞬にもらった首輪のおかげで頸動脈が締まらず、
早季は呪力で抵抗し、不浄猫を殺しました。

実は不浄猫というのは、生徒を暗殺するために作られた生物兵器だったのです。

さらに早季は1時間ちょっと歩き、
瞬の家が埋まっていた穴のところまで来ました。
周囲のものは奇妙な形に変形しています。

そして瞬を呼ぶと、瞬が出てきましたが、彼は『無垢の面』をつけていました。
バンガローに入りますが、その中も色んなものが歪んでいます。
瞬は大量のハチ玉を操作しながら、早季に話し始めます。

まず、人間は無意識のうちに呪力を漏出しています。
八丁標とは、漏れ出した無意識の呪力を外に放出しするための心理的装置であり、
その呪力のせいで八丁標の外では物凄いスピードで生物に突然変異が起こり、
進化しているのだそうです。

その話をしているとき、堅い甲羅と棘状の突起に覆われ、
アルマジロの化物のようになってしまった「すばる」が現れます。
実はこれは、瞬の呪力の漏出のせいなのでした。
はっきりとした言及はありませんが、おそらく瞬が仮面をつけているのも、
瞬の顔が変形しているからなのだと思います。

瞬は、呪力の漏出が止まらなくなってしまっていました。
この現象を、業魔になる、業魔化する、と言います。
業魔とは、呪力を操る者が一定の確率で罹患する病気の患者のことなのでした。
治療法はなく、死ぬしかありません。

瞬は大量のハチ玉を操ることで一時的に呪力の異常漏出を防いでいましたが、
それも限界でした。
そこへ、もう1匹の不浄猫がやってきますが、すばるが不浄猫に噛みつきます。

不浄猫は瞬に消されましたが、すばるは助かりませんでした。

瞬は、ここへ来る前に大人たちから毒を受け取っており、その毒を飲んだのですが、
毒の成分すら漏出した呪力のせいで無効になってしまっていました。

「早季」「ずっと好きだった」「さようなら」
そう別れを告げた瞬は、早季を吹き飛ばし、助けました。
一方、瞬はバンガローごと土砂に呑み込まれ、消えてしまいました。


「Ⅳ冬の遠雷」

全人学級には2人1組の当番委員という制度がありました。
当番委員は男女お互いの指名が一致したペアから順に成立していくため、
生徒たちは、これは愛を告白する行事だと認識していました。

早季は、同じ班の良から、僕は早季を指名する、と言われます。

良は、夏季キャンプに行ってから早季のことが気になったと言われますが、
その思い出は早季と食い違っていました。
ナイトカヌーをしていたことも憶えていないと言います。

「良と」一時期恋愛関係にあったはずの覚は、
理解できないという表情で良を見ていました。

その翌日の朝、早季は蔵を調べて魔鏡を見つけました。
その魔鏡には、いびつな文字で「吉美」と彫られていました。

そして早季は、自分が好きだったのは良ではないと確信し、
当番委員に良の名前は書かないと宣言します。
そして覚に、自分たちが2人とも好きになった相手は良じゃなかったと言うと、
覚もそのことを確信しました。

早季は覚と当番委員のペアになり、真理亜は守とペアになりました。
そして早速、顔も名前も忘れてしまったXについて話し合い、
Xの家があったと思われる場所へ行ってみることにしました。
が、そこにあったのは大きな湖でした。

また、うちの班にはもう一人いたのではないかと真理亜が言い出します。
麗子のことなのですが、守は、そんな話はやめようと叫びます。
守は話の恐ろしさに耐えられなくなった守を家に帰し、
早季は覚と真理亜に、例の魔鏡を見せます。

早季には吉美という姉がいたのですが、
目が悪いため呪力を上手く使いこなせず、
教育委員会に「処分」されてしまったのではないか――と早季は推測しました。

真理亜は、早季は強い(精神的に安定している)人間だから、
こういう辛い話や恐ろしい経験にも耐えることができるが、
守はそうではないと言います。
そして、守にはもうこんな話は聞かせないようにすると約束したところで、
倫理委員会の中年の男女から声をかけられました。

倫理委員会の議長の朝比奈富子は覚の祖母だということなのですが、
覚はよく分かっていない様子でした。

倫理委員会へ招待された3人のうち、まず早季が、富子と話をしました。

すると富子は、早季は人格指数が高い(人格が安定している)のが素晴らしいと褒め、
指導者としての素質があると言いました。
そして、夏季キャンプでミノシロモドキから血塗られた人類史を聞いていたのが
バレていたことも明らかになります。

また、富子は本物の悪鬼や業魔を見たことがあり、その話を始めます。
その悪鬼――Kという少年には、「人間に対する攻撃抑制を持たない」
「生まれつき愧死機構に欠陥があり、機能していない」という2つの欠陥がありました。

改めて確認しておくと、愧死機構というのは、
まず、他人を攻撃しようとすると抑制機能が働き、
本当に他人を殺してしまうと、殺した自分も死んでしまう、
というふうに遺伝子に組み込まれている機能のことです。

業魔と同じく、悪鬼というのも病気の一種だったわけです。

ある日Kは、担任教師をやクラスメートを初めとした町の人々を次々に襲い始めました。

町の人々は愧死機構のせいで、Kを攻撃することができませんが、
Kの方はいくらでも殺すことができるわけです。
さらに、建物を破壊し、すべての水路を塞ぎ、火災を発生させて非難の方向を限定し、
森に逃げ込んだ人たちを焼き殺しました。
その後もさらに殺戮を続けた結果、1000人を超える人命が失われました。

Kは霧状になった大量に血を吸いこんだせいか風邪のような症状を訴え、
病院へ行きました。
富子は当時、その病院で看護師として働いていました。

その病院の医師は富子を別の部屋へ行かせた後、風邪の薬だと偽って、
致死量の数倍の塩化カリウムをKに静脈注射して殺害しました。
その直後に医師は頭を吹き飛ばされましたが、こうしてKは倒されたわけです。

Kには「攻撃抑制の欠如」と「愧死機構が無効」という
2つの重大な遺伝的欠陥があったので、5代まで遡ってKの血統を絶やしました。

そして倫理規定の一部を変え、
生後17歳までは教育委員会の権限で中絶が可能ということにしました。

つまり、17歳になるまでは未熟な胎児と同じように扱われ、
人権がない状態のままなのです。
何らかの欠陥が見つかった場合は、教育委員会に処分されるわけです。

さらに富子は、20年ほど前に業魔化した少女の話もしました。
そに少女も瞬と同じような状態になったのですが、
彼女の場合は隔離された直後に毒薬を飲んで自殺してしまいました。

富子は、自分の跡を早季に継いで欲しいと言い、
2度と悪鬼や業魔を出さないために何をしなければならないのか思い出して欲しい、
と早季に告げました。

それからさらに時間が経過し、2月の中旬のことです。
守が「捜さないでください」という書置きを残し、失踪してしまいました。

早季、覚、真理亜の3人は、当然のように守を捜すことにします。
3限目の班ごとの自由研究の際に、覚が悪魔的な嘘で良を騙し、
3人は全人学級を抜け出します。

守はどうやら橇(そり)に荷物を載せ、引っ張って移動したらしく、
その跡が残っていました。
3人は雪の中、その跡を追いかけ、人里離れた山奥へ向かいます。

その途中、守が斜面から崖の下へ落ちたような痕跡が見つかり、
雪に埋もれた荷物や橇を発見しました。

覚は、バケネズミが気絶した守を救助するために連れ帰ったのではないかと推理し、
獣道を辿っていき、かまくらを発見しました。

そのかまくらの中に『木蠹蛾』コロニーのバケネズミのスクォンクと守がいました。

実はこのスクォンクは、全人学級に進学して間もない頃に早季が助けた、
あのバケネズミでした。

どうして家出なんかしたのかと尋ねると、守は、
「だって……しょうがないじゃないか。僕は、死にたくなかったんだ!」
と泣きながら言いました。

守は、麗子や吉美のように、自分がもう処分されるリストに入っているのではないか、
と怯えており、おまけにネコダマシを見ていたため逃げ出したのです。
昨日の放課後、太陽王に、
中庭に行く途中にある備品保管庫へ1人でプリントを持っていくよう頼まれ、
そこでネコダマシに襲われたのです。
確かに、守が逃げ出すのも無理はありません。

とりあえず、早季と真理亜が風邪を引いたと言い訳しに、
覚だけ先に帰ってもらいました。
守の荷物を持ってきて、別のかまくらを作り、夕食をとります。

そして、守は町には帰らず1人で生きていくと言い、
真理亜はそんな守と一緒に暮らすと言い出します。

真理亜がそこまで守のことを愛していたというのは意外な展開でしたが、
彼女の意志は変わりそうにありませんでした。

その晩、早季と真理亜はかまくらの中で、最後の愛を交わしました。

翌朝、1人で町に戻った早季は、待っていた両親と会い、
教育委員会から呼び出しがかかっていると言われます。

教育委員会へ行くと、ここから先は早季1人で行くように言われ、
両親と別れさせられてしまいます。

教育委員会の小松崎晶代や宏美に、言い訳のような事情を説明しますが、
分かってもらえず、とうとう早季は、
守が死にたくなかったから逃げ出したのだという話をしてしまいました。

すると、晶代は、やめなさい、黙りなさいとヒステリックに叫びます。
宏美も、こんなことになって残念だと言います。

本当のことを口にしただけなのにこの反応は、あまりにも理不尽です。
が、要するに彼女たちは、自分たちの保身を考えていただけなのでしょうね。
守の失踪が自分たちの責任であると認めたくなく、
2人は早季を処分しようとしますが、そこへ富子が現れました。

そしてあっと言う間に、富子は話をつけてしまい、
早季が通される予定だった、巨大な不浄猫が3匹もいる部屋で話を始めます。

富子は、指導者を育成するために、
わざと1班には変わり者を集めたのだと言いました。
そして、日本には9つの町があり、
全部ひっくるめた人口は5万人から6万人くらいだと言います。

現代の感覚からすると信じられないくらい少ない人口ですが、
逆に、早季はそんなにいるんですかと驚きます。

そして、たった1人の悪鬼によって、容易に1つの町が消滅してしまう以上、
真理亜と守が行方不明になっているのは、2つの核兵器が行方不明なのと等しい、
と言います。

さらに、2人の命は自分が保証するから2人を連れ戻しなさい、
と富子は言います。
そして、周辺の町やバケネズミのコロニーにも、
既に2人を処分するように依頼してあるという事実を突きつけられ、
3日間の猶予をあげるから2人を連れ戻せ――と、早季は焚き付けられます。

そして富子は、自分が既に267歳であり、
自分の細胞のテロメアを修復できるという特技のおかげで
それほど長生きしているのだと告白しました。
実は覚も孫ではなく、9代目の子孫だったわけです。
ちなみに、割れた壺を直すという、他のメンバーに比べて地味な早季の課題も、
テロメアの修復の練習のようなものだったらしいです。

そして早季は、本当に真理亜と守を連れ戻しに出かけました。

……え?

と思った人もいるのではないでしょうか。
しまうましたは、この展開を読んだときそう思いました。

何やってんだこの主人公!

という気分でした。
周辺の町やバケネズミのコロニーには近づくな、警戒しろ、
と真理亜や守に警告するために出かけるんなら、まだ話は分かるんですよ。

でも、「2人を連れ戻すために」出かけるとか……。

この主人公、もしかして馬鹿なんじゃないか?
と本気で疑いました。
早季は本当に、今までの話をちゃんと聞いていたんでしょうか。

まず、早季はこれまでに何度も記憶を操作されています。
現に、この時点ではまだ瞬の名前や顔すら思い出すことができません。

次に、これまでに早季の姉の吉美や麗子、
最後まで和貴園に残っていた生徒が処分されていたことを考えると、
真理亜は処分されない可能性が僅かに残っていますが、
守が処分されるのは確実でしょう。
実際、2人は重大な倫理規定違反を犯していますしね。

富子は2人の命は保障すると言っていますが、
そんなの信じる方がどうかしています。

どう考えても、早季が真理亜と守を連れ戻したら、
今度こそ守は(おそらく真理亜も)殺され、
早季はその記憶を改竄されてしまうことでしょう。
そんなの読者には分かりきっていることなのですが、
早季は「2人を救うために」出かけます。

……気を取り直して話を続けます。

覚が早季を追いかけてきて、2人で捜すことになりました。

覚は早季とは違うのではないか、と一瞬期待しますが、
覚も、真理亜と守を連れ帰らなきゃ、と言います。

……まあ、2人を擁護するとすれば、
このとき思考をコントロールされていたのかもしれませんし、
もしかすると本当に富子が約束を守るかもしれないという
一縷の望みに賭けたとか、そういうことなのでしょうね。

真理亜が足跡を消したり、
空中浮遊で移動するなどの偽装工作を施したりしていたため、
追跡はなかなか上手くいきませんでした。

そんなときにバケネズミの姿を見つけ、
追いかけようとしたところで早季は崖から落ちてしまい、
目が覚めたときには『塩屋虻』のコロニーの貴賓室にいました。

あのスクィーラもいましたが、
このときには人間から「野狐丸(やこまる)」という名前を与えられていました。

『塩屋虻』のコロニーは近代的なのですが、
女王にロボトミー手術を施して生殖活動をするだけの道具として利用しており、
覚は気に入りませんでした。

翌朝。野狐丸の助けを借りて、早季と覚は『木蠹蛾』のコロニーへ行きました。

が、真理亜や守に関する情報を集めに来ただけだという認識の早季に対し、
野狐丸はこの機会を利用して『木蠹蛾』を支配下に置こうと画策していました。

早季もそれを薄々感づいてはいたものの、結局野狐丸に利用されてしまいます。

『木蠹蛾』は『塩屋虻』に降伏し、ようやくスクォンクが連れてこられました。
早季はスクォンクから、真理亜からの別れの手紙を渡されます。

真理亜の意志は固く、本気で守と一緒に暮らしていくつもりでした。

その手紙を読み終えた早季は泣き、しばらくして瞬の夢(幻覚)を見ました。
そして、瞬の幻覚に言われたことにショックを受けます。

その晩、野狐丸と別れ、もう1度捜索をした後、
早季と覚は「かまくらの中で結ばれました。
ちなみに早季は男性のものを受け入れるのは初めてであり、
このとき2人は14歳でした。


この章の最後に、瞬の幻覚が言った言葉が書かれています。
瞬の幻覚は、「真理亜の逃走を手助けしてはいけない」
「彼女は、死ななくてはならない」と言っていたのでした。

そして、この記事は、後編に続きます。                  スポンサードリンク

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No title

>この主人公、もしかして馬鹿なんじゃないか?
下巻はまだ読んでないけどここまで安定して馬鹿ですよw
たまに閃いたりすごい記憶力があるけど想像力がなくて考えるより感情で動いてるだけって感じスクィーラにもカモネギだし

もし、秋月真理亜がこの世に生まれてこなかったとしたら、
結果的にあれほど大勢の人が命を落とすこともなかったはずだから
っていうのにもお前が言うなって

まあ早季と覚は生き残って新しい世界に生きてるっぽいし下巻読んでないのでいまいち悲壮感がないんですけどね

原作は読んでいたのですが、アニメを見て話のおさらいをしたいと思い拝見しました。
分かりやすくまとめられた上に、ご自身の解釈を散りばめられていて楽しく読むことができました。
一部違う解釈もあるのではと思いましたので意見させてください。
早季が富子の言葉を信じて守と真理亜を連れ戻そうという決断をし たところです。
200年以上も生き続けてきた富子が後継者として期待している早季に対しては誠実な対応をするのではないか。
むしろ二人を救う代わりに自分の職を継ぐことを迫りたいのではないかと思いました。
もちろん記憶操作の可能性は十分にあるのですが、操作された痕跡は一部残るようですから富子が自分の信用を失いかねないことをするかなと。
まぁあくまで第三者の目線からの考えですので、本人がこのように考えて助けに行ったとは思えないですが。
放っておけば二人はいずれ死んでしまう。これ以上友達を失いたくなかったのでしょう、二人を助けると言われれば、それが神か悪魔か分からずとも縋りたくなるのかなぁと。
周りに話を出来る友人がおらず、意見を交換してみたいと思いコメントさせて頂きました。
映画「悪の教典」も公開されてますね、連休で見に行きたいと思っています。

DJさんへ

ああ、なるほど。
富子は、真理亜と守を取引の材料に使おうとしたという解釈ですね。

この時点ではその解釈でも問題ないと思うのですが、
早季が就職先を決める際、そしてこれから12年間、
富子や倫理委員会が早季のことを無視していたのを考えると……。

いや、でも、富子には無限の時間がありましたから、
別に急ぐ必要はなかったのでしょうか。
結局、早季が真理亜と守を連れ戻せなかったため、
心変わりしたのかもしれませんし……。

真相は闇の中ですが、DJさんの解釈でも問題なさそうです。

No title

今更ながら、新世界よりを見て気になったのですが。。。

少年Kに対して医者はなぜ注射を打って○すことが可能だったのでしょうか?

Re: No title

> 今更ながら、新世界よりを見て気になったのですが。。。
>
> 少年Kに対して医者はなぜ注射を打って○すことが可能だったのでしょうか?

早季の母親が遺した手紙によると、例え少年Kが医者を倒さなくても、
医者は愧死機構の発動により亡くなっていた可能性が高いのだそうです。

しかし、相討ちとはいえ、愧死機構や攻撃抑制が発動することなく悪鬼に注射を打つことができたのは、
呪力を使わなかったからです。

呪力を使わずに何かを媒介にすれば、早季たちにも殺人は可能なのだそうです。

と言っても、弓矢や銃といった、相手に殺意を抱かないと使えない武器は、
やはり愧死機構や攻撃抑制が発動してしまうため使えません。

医師にとっての注射や、後編に登場するサイコ・バスターなど、殺傷能力が低く、
武器の形をしていない、人を殺したという実感に乏しいものが例外なのだそうです。

主人公がおバカなのは同感ですが、
2人を連れ戻す判断は正しいと思いました。あのまま逃走させておいても、ヤコマルたちに始末されてしまいますから。少しでも生存できる可能性がある富子案に賭けたのでしょう。

Re: タイトルなし

> 主人公がおバカなのは同感ですが、
> 2人を連れ戻す判断は正しいと思いました。あのまま逃走させておいても、ヤコマルたちに始末されてしまいますから。少しでも生存できる可能性がある富子案に賭けたのでしょう。

そうですね。
2人を連れ戻すべきだったかどうかについては異論が多いですね。

正解はないのでしょうが、結果論から言えば、
真理亜が守の子供を産み、その子が乳離れするまでは育てられた、
つまり2年くらいは生きながらえることができたのを考えれば逃走させるべきだったとも言えます。
例えば日本国外まで逃げれば富子の力も及ばなくなるので、
そのまま真理亜と守が外国で幸せに暮らせる可能性もあったでしょう。

しかし、その後、子どもがスクィーラにいいように利用されたことを考えれば、
やっぱり逃走させるべきではなかったとも言えると思います。
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