星新一「夜の道で」のネタバレ解説

主人公の「私」の友人が、体調を悪くして入院しました。

面会する前、担当の医者に病状を聞いてみると、
思わしくありませんな、と言われました。

あと、どれくらい持ちこたえるでしょう、と主人公が聞くと、
冷房はあっても、暑い季節は、いろいろ問題があります、
と具体的な余命は教えてくれませんでした。

朗らかな話でもして、元気づけてやるのが、一番でしょうね、
と医者に言われた主人公は、友人である彼の手相を見て、
ここ一年以内には、絶対に何も起こらないことが、
あらわれているよ、と言いました。

しかし、それからまもなく、友人は息をひきとってしまいました。

それから一年が過ぎた夏の夜ふけ、
終電を降りて畑の多い道を歩いて自宅に向かっていると、
『やい、うそつき』という友人の声が聞こえました。
思わずふりむいてみましたが、声のしたあたりにあるのは、
よどんだ濃い闇ばかりでした。


というあらすじなのですが、
今は末期の場合も患者に告知するようになりましたが、
この作品が書かれた当時は患者に知らせないことが多かったのです。

助かると思っていたのに死んでしまった患者からすれば、
この友人のように恨み言の一つも言いたくなったかもしれませんね。

星新一「凝視」のネタバレ解説

主人公の正男は、
おとなしくて優しい春子という女性と付き合っていましたが、
すぐに飽きて別れを告げました。

春子は踏切りで飛込み自殺をとげました。

その後、正男は新しい恋人のユリエと付き合い始め、
ユリエとのはじめてのデイトに向かうためタクシーに乗りました。

タクシーは春子が自殺した踏切りの上を通過します。
その時、背中の上を冷たさが走り抜け、
だれかの視線を感じるようになりました。

それ以来、正男はずっと背中に視線を感じ、
ユリエとのデイトにも集中できませんでした。

マンションに戻っても背中に残る視線は残り、
これは、正男が最後に「別れよう」と告げた時の、
目の下に泣きボクロがある春子の視線にちがいない、
と正男は考えました。

その時、春子は伏し目がちに、
内気ななかにうらみを含んだ視線で正男を見上げていました。

正男は追いつづける視線と戦いながらすごし、週末を迎え、
ユリエと海に行きました。
海水着に着がえた正男を見たユリエは、「正男の背中にアザがある、
と言いました。

アザの形は人間の目そっくりで、泣きボクロもありました。


というあらすじなのですが、ゾッとするオチですね。

星新一「処方」のネタバレ解説

ある日、精神分析の専門の医者であるエル博士の家に、
男とその妻の女が訪ねてきました。

男は、この妻が、さっきから死んでいるのだと言いました。

エル博士が、どうなさいました、と女に聞くと、
あたしは死んでいるのです、と女は答えました。

男によると、妻は大変な読書好きで、
作中人物になりきってしまう性質があるのだそうです。
本を読み終り、裏表紙を閉じると、
そのとたんに、ふたたびわれにかえります。

女がさっき読んでいた本は、主人公が途中で死んでしまいました。
その本は、このあいだ家に遊びに来た子供のいたずらで、
裏表紙を含めて、本の後半がなくなっていて、
女はわれにかえることができず、
死んだと思い込んでいるままでした。

エル博士は、その本の署名を聞き、その本なら、
まだ読んではいませんが、わたしも買って持っています、
それを、さしあげましょう、と男に言い、本を渡しました。

男と女が帰り、エル博士が寝てしばらくすると、
電話が鳴りました。

さっきの男からの電話で、妻が本に閉じこめられ、
出られなくなってしまいました、と言われました。

男の家に往診に行き、女が本を読んでいるのをそっとのぞきこみ、
やがて、その原因を見つけ出すことができました。

本の終りのところに「乱丁があり、
そこに、はじめのほうのページがまぎれこんでいたのでした。
女はそこまで読んでくると、また、本のはじめに戻り、
いつまでたっても裏表紙を閉じようとしないのでした。


というあらすじなのですが、この女は、
もう本を読んじゃいけない人のような気がします……。
男と同居してたからいいようなものの、
一人暮らしだったら餓死していたんじゃないでしょうか。

でも、ここまで本に没頭できるのは、
それはそれで羨ましい気もします。

星新一「雪の夜」のネタバレ解説

雪のふる静かな夜に、老人とその妻は、
二階で勉強しているひとり息子の心配をしていました。

そこへ、強盗の男がやってきて、刃物を出し、
金をいただきにきたと言いました。

なんでも欲しい物をお持ちになって、帰って下さい、
だけど、二階にだけは行かないでください、
と老人と妻は言いましたが、強盗の男は、
二階になにか大切なものでも置いてあるのだろうと、
逆に興味を示します。

息子が勉強していると老人が言うと、強盗の男は、
そいつを縛ってから、仕事にかかろう、と言って、
二階への階段をあがっていきました。

しかし、悲鳴と、
それにつづいて階段をころげ落ちる音が聞こえました。

あの子が、やっつけてくれたよ、と老人は言い、
警察に通報しました。
パトカーがやってきて、警官たちが強盗の男を連れ去ります。

強盗の男は、とんでもない息子がいたものだ、
まっくらな部屋のなかから、だしぬけに、
おれを突きとばしやがった、とつぶやいていましたが、
警官たちにはそれは聞こえませんでした。

警官たちは、「十数年まえに、学生だったひとり息子が、
冬山で死んだことを老人とその妻は認めたがらない、
と話していました。
老人とその妻に言わせると、息子は二階の部屋で、
いつもおとなしく勉強を続けているそうなのです。


というあらすじなのですが、結局、
息子の正体は不明なまま話が終わってしまいます。

しかし、これはホラーなので、やっぱり息子は死んでいて、
二階には息子の幽霊的なものが住んでいて、
自分が死んだことにも気付かずに勉強をしている、

というオチなのだと思います。

乙一「ZOO2」2話「冷たい森の白い家」のネタバレ解説

両親を亡くした幼い主人公は、伯母の家の馬小屋で暮らしていました。
伯父に命令され、両手にいっぱいの馬糞を抱えて肥料の山に運びます。

叔母の家には2人の男の子と、ひとりの女の子が住んでいました。

兄弟は主人公を馬に縄でくくりつけ、馬は暴れて、
主人公を踏みつけました。
顔がへこみ、顔が少しとれました。
伯母に助けを求めますが、伯母は何もせずに主人公を追い返します。

痛みは半年続き、拾っていた顔のとれた部分は腐りました。
石でできた馬小屋の壁の石のひとつに、顔のとれたものを貼り付け、
想像を膨らませました。

顔はへこんだまま固まりました。

伯母の家に住む赤毛の女の子だけは主人公に優しくしてくれ、
主人公に文字や数学を教えてくれました。
主人公はすぐに本を暗記し、女の子は褒めてくれましたが、
伯母はそのことが気に入らず、主人公を馬糞の中に突き飛ばしました。

成長すると兄弟は馬小屋に近寄らなくなり、
赤毛の女の子は遠くの寄宿舎学校へ入り、
伯母も残飯を運んでこなくなり、
伯父は畑を他人に売り飛ばしました。

何年も藁の中で隠れるように生きていましたが、伯母に見つかり、
伯母は少しのお金を地面に捨て、
それを拾って出て行くようにと命令されました。

顔がへこんでいるため、町へ行くと人々は驚き、
夜、大人の男たちにひどいことをされ、お金を盗まれました。

主人公は町から離れて何年間も歩きつづけ、
やがて森へ入って生活するようになりました。

石の家を作ろうとしましたが、石はめったに見つかりませんでした。
石を探している時、山道を歩く青年に出会い、
主人公は青年を殺してしまいました。
青年の顔は馬小屋の壁にはまっていた石のひとつに似ていて、
主人公はその青年の死体で家を作ることにしました。

死体を集めるために森を出て、女や男や旅人や村人を殺し、
死体の家を作ります。

伯母の家にいたときのことや、両親が事故で死ぬ前に、
両親と住んでいた家のことを思い出していると、
人間の死体でできている小屋に少女が訪ねてきました。

少女はその死体の中に弟がいると言いました。
少女の弟は小屋の内側奥の壁にはめ込まれていました。

お父さんは私よりも弟が好きなの、と少女は言い、
仕事で外国に行っている母親が帰ってくるまでに、
弟をおうちに連れ帰ってあげたい、という意味のことを言いました。

弟が抜けると、死体の家は崩れ落ちるに違いないので、
弟を壁の中から取り出すとき支え、
その間に少女がすばやく入りました。

弟を家まで連れて帰ってあげて、と少女に頼まれますが、
主人公は弟の死体を小屋から少し離れた場所に放置しました。

一日待って小屋に戻ると、
おしゃべりな女の子は弟を家に帰してくれたと信じ、
死ぬまで主人公とおしゃべりをしました。

少女が死ぬと、少女と弟を家まで運んであげようと思い、
少女を壁から抜き取りました。
死体を積み上げて作った白い家は崩れ、
ただひとつの巨大な塊になりました。

陽の当たる場所にいたため腐っていた弟の死体と、
少女の死体を果物の木箱に入れ、箱を抱えて歩きます。

少女の家に行くと、少女の母親が外国から帰ってきて、
主人公を見て、生きていたのね、
うちからいなくなったと聞いて、心配していたのよ、
うちでまた働くといい、と言いました。
少女の母親は、馬小屋で暮らしていたとき主人公に優しくしてくれた、
赤毛の女の子だったのでした。

少女の母親は果物の木箱を開けようとして、
臭うわね、腐ってるみたいだから肥料の山の中に捨てておいてくれない?
と言いました。
子どものときに見たまま肥料の山はあり、
主人公は少女と少年を馬糞の中に埋めました。


というあらすじなのですが、理不尽な展開の連続で、
非常に気分が悪くなる話でした。

淡々とした文体で、主人公は感情が死んでいるように見えます。

でも、面白くないのかというとそんなことはなくて、
独創的で先の展開が読めず、面白かったです。

乙一「ZOO2」1話「血液を探せ!」のネタバレ解説

ZOO〈2〉 (集英社文庫)


64歳の主人公の「ワシ」は朝の5時に別荘のベッドで目を覚まし、
全身が血まみれであることに気づきました。

悲鳴を上げると、27歳の次男のツグヲが主人公の部屋の扉を叩き、
鍵を開けてくださいと言いました。

鍵を開けると、ツグヲが主人公の身体を調べ、
右の脇腹に包丁が刺さっていて、怪我していると言いました。

主人公は10年前に交通事故を起こし、頭を強く打ちつけたせいで、
痛みを感じる機能がすっぽりと消えてしまっていたのでした。

痛みを感じないせいで気付けばいつのまにか血が流れていて、
身の危険を感じた主人公は主治医の95歳のオモジ先生に、
毎日、寝る前に診察してもらうようになりました。

事故を起こし、最初の妻を失ってからというもの、
主人子はできの悪い息子たちに囲まれて働き
会社を大きくするだけの人生となりました。

主人公の2度目の妻である25歳のツマ子、
34歳の長男のナガヲもやってきました。
ナガヲは救急車を呼びましたが、
麓からこの別荘まで早くても30分かかると言われました。

主人公の遺産目当てで結婚したツマ子は主人公がようやく死ぬかと思い、
笑いを隠すために口に手を当てていました。

偽善者のナガヲは、遺産も会社もおれにまかせていいから大往生してくれ、
と主人公に言いました。

テレビ番組を見ていたオモジはナガヲに呼ばれてやってきて、
救急車が到着するまで輸血用の血液を輸血していれば、
なんとか生き延びられると言いました。

しかし、部屋に戻ったオモジは、血液を入れた鞄をどこかに忘れてきちゃった、
と言いました。

主人公はO型なのですが、他の人間は皆、A型、B型、AB型なので、
誰かから直接血液をもらうこともできません。

オモジは何回も血液の入っていた黒い鞄を置き忘れていましたが、
ツグヲやツマ子がタクシーや別荘の中に持ち込んでいました。

ナガヲは、昨日の夜、カモノハシのモノマネをしたときに、
例の鞄をリビングの入り口で見たと言いました。

主人公が先に寝た後、ナガヲやツグヲやツマ子やオモジはケーキを食べたのですが、
その時はもうリビングの入り口にはなかったような気がする、
とナガヲは言いました。

この別荘には包丁が一本しかなく、主人公の脇腹に刺さっている包丁は、
ケーキを切り分けた包丁でした。

ツマ子は昨夜ケーキを運んでいる時、リビングの入り口あたりで何かをふみつぶし、
蹴っちゃったと言いました。
その時主人公はオモジから診察されていて、ベッドの下に鞄が滑り込んでいました。

主人公はナガヲに命令して鞄をとってこさせますが、鞄の中はからっぽでした。
O型の血液の他に点滴のチューブもなくなっていました。

それを聞いた主人公は、「包丁を刺した犯人がツグヲであることに気づきました。

手品が好きなツグヲは、数センチしか開かない窓を開けて、
点滴のチューブを使って輸血用の血液を主人公の上に振りまいたのでした。
5時になって主人公が目を覚まし、悲鳴を上げた後、
最初にやってきたツグヲは主人公の体を調べるふりをして
後ろから包丁を突き刺しました。

痛みを感じない主人公は、それに気付かなかったのでした。

ツグヲに親を殺すほどの度胸があることを知り、
主人公はツグヲに『ワシは気づいたぞ』とサインを送り、
安心に包まれながら瞼を下ろしました。


というあらすじなのですが、登場人物の会話はふざけてるけど、
トリックはしっかりしていて意外なオチでしたね。

キャラクターがやる気のない名前で憶えやすい名前でよかったです。

乙一「ZOO1」5話「ZOO」のネタバレ解説

主人公の「俺」の家の郵便受けに写真が入っていました。

その写真は、かつて主人公の恋人だった女性の死体が写っていました。
どこかの地面に掘られた穴へ寝かされていて、腐っていました。

主人公は写真を持って自分の部屋に戻り、
スキャナーでパソコンに取り込みました。

これまで投函されていた彼女の写真はすべてパソコン内に保存しています。
彼女が殺されていることを知っているのは主人公だけで、
世間では、行方不明として処理されていました。

主人公と彼女は、『ZOO』という、
野菜や動物の腐っていく映像が早回しで映し出されていく映画を
いっしょに見たことがありました。

映画館を出た後、『200メートル先を左折・動物園』
という看板を彼女が見つけました。
その看板には日本語の下に『ZOO』と英語でも案内が書かれていました。

主人公はそのことを思い出しながら、彼女の写真をムービー再生ソフトで、
毎秒12フレームで選択して動画にして、
彼女の腐敗していく様子を見ました。

犯人を探し出す……と主人公は言いましたが、それはすべて台詞であり、
演技でした。

彼女を殺したのは主人公なのですが、その現実のつらさに潰されないよう、
自分で自分のことを知らないふりをしているのでした。

主人公は恋人とドライブ中に山小屋を発見し、
その山小屋の中でポロライドカメラで写真を撮りました。
彼女はその写真を握り潰し、
主人公に対して今は愛情など抱いていないのだという意味の話をしました。
その後、主人公は彼女を殺しました。

自分一人だけの力で犯人を探し出してみせる、という考え方で、
警察には写真を届けていない、という設定で、
主人公は彼女を探しつづけます。

昼間のうちずっと町中で聞きこみをし、夕方になると、
助手席の下に落ちていた、丸められた写真を発見します。
その写真の日付は、彼女の消えた日でした。

また、ダッシュボードの中に、
彼女の消えた日のガソリンスタンドの領収書があるのを見つけます。

そのガソリンスタンドに行き、スタンドの主人に芝居に付き合ってもらい、
その日車を運転していたのは主人公で、西へ向かうと言っていた、
と主人に言ってもらいます。

主人公はその証言を頼りに山小屋へ行き、彼女の死体を発見し、
主人公が彼女を殺したのを思い出した、という演技をします。

しかし、警察に自首する勇気や覚悟はなく、
彼女の死体の写真を撮影して、自分の罪を思い出す仕掛けをすることにします。

毎日、毎晩、主人公は同じことを繰り返していたのですが、
家に帰る途中、『200メートル先を左折・動物園』の看板の、
『ZOO』を見た瞬間、彼女のことを思い出し、自首する決心を失い、
写真を郵便受けに入れて記憶を封印した演技をしていました。

しかし、この日は、「昨晩まであったはずの『ZOO』の看板が消えていました。
動物園が潰れ、看板が撤去されていたのでした。

主人公は静かに祈りを捧げ、警察へ罪の告白をしにいきました。


というあらすじです。
主人公は狂っている演技をしているつもりですが、
「狂.人の真似とて大路を走らば、即ち狂.人なり」という言葉があります。

狂っている演技をしている時点で、本当に狂っているのと大差ありませんね。

乙一「ZOO1」4話「陽だまりの詩(シ)」のネタバレ解説

今回の主人公は、女性型アンドロイドの「私」です。

ベッドの上で目覚めた主人公は、そばにいた男性から、
きみを作った人間だ、誕生おめでとう、と言われました。

服を着て外に出ると、丘の下のほうにある家に案内されました。
その途中、白い十字架を見つけ、男性から墓だと言われました。

家に着くと、コーヒーをいれてもらいたいと言われますが、
作り方がわかりませんでした。
男性が作るのを見て、作り方は覚えました、
次からは私が作ります、と主人公は言いました。

ブラックのコーヒーの味がきらいだと伝えると、
砂糖を入れるといいと言われました。

男性は、ほとんどの人間がすでに息絶えていることを話しました。

突然、病原菌が空を覆いそれに感染した人間は例外なく
2ヶ月で命をうしなったのだそうです。

食器棚の中の写真に写っていた男性の伯父とこの別荘に引っ越してきましたが、
伯父はすぐに死んで、それ以来、1人きりで生活していたのだそうです。

一昨日、検査をしたら、男性も感染していることが判明したのだそうです。
男性の外見は20歳前後に見えましたが、
そういう処理をしているだけで50歳に近いのだそうです。

私に名前をつけてください、と主人公は頼みましたが、
必要ないだろう、と男性は言いました。
男性が死んだら丘の十字架の隣に穴を掘って男性に土をかぶせてもらうために、
男性は主人公を作ったのだそうです。

主人公が家の掃除をしていると、鳥の屍骸を見つけ、
主人公は鳥の屍骸を森の中に投げました。
分解して肥料になるからです、と主人公が言うと、
僕を正しく埋葬するために、きみには『死』を学んでほしい、と言われました。

主人公と男性の生活が始まりました。
庭の隅にある井戸で水を汲み、庭でとれた野菜で調理をします。

ある日の朝食のとき、野菜の葉に兎がかじった歯形がついていました。

庭の野菜ばかりを狙って歯形をつける兎を捕まえようと、
主人公はくさむらに潜めて見張り、飛び出して兎を捕まえようとしましたが、
無理でした。
兎を追いかける最中、躓いて転ぶと、男性は主人公を見て笑っていました。

その日の昼食のときに、兎のかじった跡がある野菜ばかりを、
男性に食べさせました。

2階には空き部屋があり、帆船の形に組みあがった小さなブロックがありました。
しかし船の先端が崩れて細かく分解して散らばっていました。

主人公はブロックで遊ぼうとしましたが、
ロボットは設計図のあるものやあらかじめ手順の決まっているものしか作れず、
何もできませんでした。
男性が帆船を作るのを、主人公はただ見ていました。

主人公がこの家で暮らし始めてひと月が経過し、
最初にきたときには規則性のない高い音だと思った風鈴の音を、
好きだと感じるようになっていました。

主人公はこの世界のいろいろなことを愛おしく感じるようになっていました。

ある日の朝、あと一週間で僕は死ぬ、と男性は言いました。

男性は伯父の話をした後、きみは人間になりたいと思ったことはあるかい、
と質問しました。
主人公は頷いて、ある、と答えました。

それから2日後、主人公が崖の先端に目を留めると、少し崩れた箇所があり、
首の上だけを突き出して崖下を覗くと、
岸壁の出っ張った箇所に白い兎がいました。
雨が降ってきて、主人公が兎を助けようとすると、崖が崩れ、
主人公は身体の半分が破損していましたが致命的な損害はありませんでした。

家まで兎を両手に抱いて戻ると、男性は主人公は直せると言いましたが、
兎はもう死んでいるので治せないと言いました。

私は……この子が、意外と好きだったんです、と主人公が言うと、
それが死だ、と男性は言いました。
死とは、喪失感であることを主人公は知りました。

応急処置をしてもらいながら、私は、あなたが好きです、
それなのにあなたの遺体を埋葬しなければならないのは、辛いです、
と主人公は男性に言いました。

兎を埋葬し、男性が死ぬ日の前日になりました。
主人公が2階のブロックの部屋に行くと、
主人公でもひとつだけブロックで作り出せるものがあることに気づきました。
ひとつずつ「男性がかつて目の前で行なった手順を繰り返すことで、
主人公にも帆船を製作することができました。

翌日、残り何時間ですか? と主人公が聞くと、
男性は命の残り時間を秒単位で答えました。
男性は、本当は主人公と同じくロボットで、
あらかじめ生きていられる時間が設定してあったのでした。

本当は、男性は病原菌には感染していなくて、
以前に他の人間がブロックから帆船を作り出すところを見ていたので、
男性にも帆船を作ることができたのでした。

人間のふりをしたのは、自分と同じ存在に作られたというより、
主人公の苦しみが少ないと考えたからなのだそうです。
伯父が死んで二百年が経ち、伯父の隣に埋葬してもらうために、
主人公を作り出してしまったのだそうです。

主人公は、感謝と恨みを同時に抱いていると男性に伝えました。
正午近い時刻になり、男性の体内のモーター音が小さくなり、
やがて聞こえなくなりました。


というあらすじなのですが、
これまで数えきれない数の動植物が絶滅してきたのと同じように、
人類もいつか必ず滅亡する日がきます。

人類が滅亡してロボットが生き残った世界と聞くと、
ディストピアっぽいですが、
この話のように穏やかな世界もあり得るのだと考えると、
少し救われるような気もします。

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと呪いの子」のネタバレ解説・後編

この記事は後編です。前編はこちらです。

スコーピウスが湖でアンブリッジに見つかってから3日後、
スコーピウスは校長室に呼び出されました。

この世界では、純潔でドラコ・マルフォイの息子であるスコーピウスは、
全校の首席扱いをされていて、アンブリッジに気に入られていました。
生まれながらのリーダーで、スポーツ万能で、
クィディッチでスコーピウスに取れないスニッチはない、
とアンブリッジに褒められます。

ただし、スコーピウスは「穢れた血」を地下牢で拷問する仕事をしていました。

ヴォルデモートに栄光あれ、とアンブリッジが言い、
片手を心臓の上に乗せ、両方の手首を重ねてねじるポーズをとりました。

スコーピウスが校庭に行くと、スコーピウスは「サソリ王」と呼ばれ、
元の世界ではスコーピウスをバカにしていた生徒からも人気でした。

ポリー・チャップマンという人気のある女子から、
「血の舞踏会」に誘ってほしいと言われます。

魔法省の魔法法執行部の部長室には、
権力の匂いを発散させたドラコがいて、
最近のスコーピウスのホグワーツでの態度について説教されました。
ドラコは「オーグリー様」の命令で仕事をしていました。

スコーピウスが図書室でこの世界の歴史について調べていると、
クレイグ・バウカーJRという生徒がやってきて、
まだスコーピウスの宿題ができていないと謝られました。
クレイグから、魔法薬にスネイプがいることを教えられ、
スコーピウスは魔法薬学の教室に行きました。

スネイプに逆転時計で歴史を変えてしまったことを話します。
セドリック・ディゴリーに三校対抗試合で屈辱を与えたせいで、
セドリックが死喰い人になってしまった、とスコーピウスは言いました。

すると、セドリックは「ホグワーツの戦い」でネビル・ロングボトムを殺した、
とスネイプは言いました。

ネビルがヴォルデモートの蛇のナギニを殺せなかったので、
ハリー達はヴォルデモートに負けてしまったのでした。

スコーピウスはスネイプが愛していたリリー・ポッターや、
ダンブルドアのことを話し、
リリーのために、世界のために、僕を助けてください、とスネイプに頼みました。

スネイプはスコーピウスと「暴れ柳」の根元に隠された部屋に案内します。

そこに、戦士となったハーマイオニーとロンが隠れ住んでいました。

この世界ではスコーピウスはハーマイオニー達の敵なので、警戒されますが、
何とか信じてもらえました。
元の世界ではロンとハーマイオニーが結婚していて2人も子どもがいることを話すと、
2人は驚いていました。

元の世界では、スネイプはヴォルデモートに殺されていましたが、
それを知ってもスネイプは歴史を戻すことにしました。

スコーピウス、ハーマイオニー、ロン、スネイプは逆転時計で、
三校対抗試合の第一の課題の場面に行きます。
ダームストラング生の制服を着たアルバスが、
セドリックの杖を武装解除しようとしますが、
大人のハーマイオニーがその呪文をブロックします。

しかし、逆転時計が急回転し始め、現代の禁じられた森に移動させられます。
最初に過去に行った時、アルバスが逆転時計に何かされて骨折したように、
ロンが何かされ、激しい痛みに襲われていました。

吸魂鬼(ディメンター)に囲まれますが、
ロンとハーマイオニーが囮になってアルバスとスネイプを逃がし、
キスをしました。
その次の瞬間、2人は吸魂鬼に魂を吸い取られてしまいました。

スコーピウスは吸魂鬼が作り出す絶望に支配されますが、
スネイプはスコーピウスに、アルバスのことを考えろ、と言い、
吸魂鬼から離れることができました。

しかし、そこにアンブリッジが現れ、スネイプと敵対します。
スネイプはアンブリッジを倒し、
「エクスペクトパトローナム!」と叫んで雌鹿の守護霊を出し、
スコーピウスを逃がした後、魂を吸い取られて死にました。

スコーピウスは再び第二の課題の場面の湖に行き、
アルバスがセドリックに肥らせ呪文をかけるのを邪魔しました。

再び現代に戻ってくると、アルバスが湖の水面に上がってきました。

スコーピウスは歴史を元に戻すことができたのでした。
しかし、逆転時計をどこかに失くしてしまった、とスコーピウスは言いました。

そこへ、マートルからアルバス達が時間旅行していることを
知らされたハリー達がやってきて、
校長室で洗いざらい白状させられてしまいました。

マクゴナガル校長は、今年度いっぱい外出禁止で、
クリスマス休暇もなしで、ホグズミード行きも2度とないと思いなさい、
と言いました。

ハリーはスリザリン寮に行き、
スコーピウスの件で強硬な態度をとってしまったことをアルバスに謝ります。

別の世界でアルバスがグリフィンドールの寮生になっていた時も、
アルバスとハリーのあいだはよくならなかったので、
アルバスがスリザリン生だということだけが問題の原因ではない、
とアルバスは言いました。

場面が変わり、ハリーは小さい頃にペチュニアおばさんとゴドリックの谷に行き、
両親のお墓参りに行った夢を見ました。

しかし、実際にはハリーはペチュニアとゴドリックの谷に行ったことはありませんし、
夢の最後にヴォルデモートの声が聞こえ、私たち全員が危険だ、とハリーは言いました。

その頃、スコーピウスはスリザリン寮で逆転時計をアルバスに見せ、
これを壊すのを手伝って欲しいと言いました。
逆転時計を失くしたと言ったのは嘘だったのです。

ハリーとジニーがホグワーツのスリザリン寮に駆けつけ、アルバスに会おうとしますが、
クレイグ・バウカー・JRに止められます。
しかし、そこにマクゴナガルがやってきて、アルバスの部屋を調べ、
アルバスとスコーピウスが消えているのを知りました。

その頃、アルバスとスコーピウスはふくろう小屋で、
逆転時計を壊す方法について話しあっていましたが、
いつのまにかデルフィーがいました。

過去改変された世界についてデルフィーに話し、逆転時計を渡した時、
アルバスは「デルフィーの首の後ろに
オーグリーという黒い鳥の入れ墨があるのを発見しました。

スコーピウスは、ヴォルデモートに支配された世界で、
みんなが『オーグリー様』と呼んでいた人物がいたのを思い出し、
デルフィーに逆転時計を返してくれと言います。

しかしデルフィーは正体を現しました。

その頃、ハリーやドラコは聖オズワルド魔法老人ホームのエイモスの部屋に行き、
デルフィーについて聞きますが、エイモスは、
『わしに姪はいない』と言いました。

その頃、デルフィーは呪文で拘束したアルバスとスコーピウスを連れ、
クィディッチ・ピッチに行きました。

そこへクレイグ・バウカー・JRがやってきますが、
デルフィーは「アバダ ケダブラ!」と叫んで緑色の光を飛ばし、
クレイグを殺してしまいました。

デルフィーは逆転時計を使って三校対抗試合の第三の課題の迷路に行きます。

デルフィーは箒なしで飛び、アルバスとスコーピウスに、
予言を成就させるため、セドリックに恥をかかせろと言います。

しかし、アルバスは、予言は破ることができると言い、
デルフィーは『クルーシオ!』と叫んでアルバスとスコーピウスを苦しませようとしました。

しかし、そこへセドリックがやってきて、デルフィーを武装解除させ、
アルバスとスコーピウスの拘束を解いて助けてくれました。

アルバスはセドリックに、あなたのお父さんは、あなたをとても愛している、と言いました。

その時、デルフィーが逆転時計を操作し始めたので、
アルバスとスコーピウスも逆転時計に触れて一緒に時間移動しました。

そしてデルフィーは逆転時計を砕いて壊してしまい、
アルバスとスコーピウスはこの時間に取り残されてしまいました。


一方、ハリー、ハーマイオニー、ロン、ジニー、ドラコは、
聖オズワルド魔法老人ホームの「デルフィーの部屋を調べ、
『よけい者がよけい者でなくなり、時間が逆戻りし、
見えない子どもがその父親たちを殺すとき、闇の帝王が戻るであろう』
という予言があるのを見つけました。
デルフィーはヴォルデモートの娘だったのでした。

ドラコはハリーに、魔法省が押収した逆転時計は5分しか過去にいられない試作品であり、
本物の逆転時計はドラコの父親が作らせ、現在はドラコが持っていることを教えました。

スコーピウスの父親がヴォルデモートだという噂に信憑性を持たせないよう、
ドラコはそれを隠し持っていたのでした。

一方、アルバスとスコーピウスは駅の時刻表を調べ、
今日が39年前の10月30日で、
赤ん坊のハリーがヴォルデモートに襲われた日の前日なのを知りました。

ゴドリックの谷に行き、アルバスとスコーピウスは39年後のハリーに、
この時間にいることを知らせる方法を考えます。

ハリーの母親のリリーが殺された時、ハリーがくるまれていた毛布に、
『愛の妙薬』の材料の真珠の粉と反応して燃える、
デミガイズのチンク液で『父さん、たすけて。ゴドリックの谷。81年10月31日』
とメッセージを書きました。

ハリーはそのメッセージに気付き、ロン、ハーマイオニー、ジニー、ドラコと、
1981年のゴドリックの谷に行き、アルバス、スコーピウスと再会しました。

デルフィーはヴォルデモートがハリーを殺そうとするのを止めるはずなので、
聖ジェローム教会でデルフィーが来るのを見張ることにしました。

この中で唯一蛇語を話すことができるハリーが、
他の大人の呪文でヴォルデモートに変身させてもらい、
デルフィーを騙すことにしました。

やってきたデルフィーは、最初はハリーを本物のヴォルデモートだと思い、
『ホグワーツの戦い』の前に、ベラトリックス・レストレンジがマルフォイの館で、
ヴォルデモートの子を産み、それがデルフィーなのだと言いました。

しかし、ハリーにかかっていた変身呪文が消えかけ、
デルフィーは騙されていたのに気付きました。
デルフィーは、ハリーの仲間が隠れている部屋のドアを呪文で塞ぎますが、
アルバスが床の格子から抜け、呪文でドアを開けました。

デルフィーも全員には敵わず、縛り上げられました。
デルフィーは元の時間に戻り、アズカバンに送られることになりました。


リリーがハリーを守ろうとしてヴォルデモートに殺されるのを遠巻きに見た後、
ハリー達は元の時間に戻りました。

それから時間が経ち、スコーピウスはローズをダンス・パーティに誘い、
断られたという話をアルバスにしました。

スコーピウスは、アルバスがデルフィーのことが好きだったのを知っていて、
年上の新しい魔法薬の先生を誘惑してはどうか、とアルバスをからかいました。

その後、ハリーとアルバスは美しい丘の上で話し合い、仲直りをしました。


というあらすじなのですが、少しタイムトラベルのルールが不明確というか、
ご都合主義っぽく見える部分がありますね。
たとえば、最初の過去改変でハーマイオニーとロンが結婚せず、
ローズが生まれなかったのは納得できますが、
アルバスがスリザリン寮ではなくグリフィンドール寮になった理由が不明です。

ハリーがスコーピウスの件でアルバスに強硬な態度をとったのは、
別世界の話だったはずなのに、
元の世界に戻った後でそのことを謝っているのもおかしいです。

また、最後の時間旅行では、デルフィーやアルバスやスコーピウスが、
ハリーの生まれた年に行った時点で過去改変が行われ、
ヴォルデモート達が勝利してしまうので、
ハリー達が別の逆転時計で過去に行くことはできないんじゃないか?
と思いました。

でも、それを差し引いても面白かったと思います。

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと呪いの子」のネタバレ解説・前編

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)


原作小説はJ.K.ローリングさんが1人で書いていましたが、
今回は舞台劇の脚本ということで、脚本家のジョン・ティファニーさんや
演出家のジャック・ソーンさんとの3人での共著になっています。

この「前編」では第一部を、「後編」では第二部のネタバレ解説をします。

第一部は「ハリー・ポッターと死の秘宝」の最終章の続きから始まります。

ハリーがヴォルデモートに勝利してから19年後。

ハリーはロンの妹のジニー・ウィーズリーと結婚し、二男一女をもうけました。
上から順に、男、男、女、です。

その次男のアルバス・セブルス・ポッターが今作の主人公です。

「アルバス」はダンブルドアから、
「セブルス」はスネイプからとった名前なのですが、
アルバスはそのことを重荷に感じています。

アルバスがホグワーツに入学する日、
9と3/4番線のホームで、アルバスの兄のジェームスは、
アルバスがスリザリンに行くかもしれないとからかいます。

ハリーは、おまえはホグワーツの2人の校長の名前をもらった、
1人はスリザリン出身だが、ハリーが知っている中で、
おそらく一番勇敢な人だった、とアルバスに言いました。

アルバスには、同学年の従姉妹のローズ・グレンジャー‐ウィーズリーがいます。
ローズはロンとハーマイオニーの娘で、
子供の頃のハーマイオニーにそっくりです。

アルバスとローズは両親に見送られ、ホグワーツ特急の汽車に乗り、
コンパートメントの扉を開けました。

そこにいたのは、さびしげなブロンドの少年、スコーピウスでした。

お菓子を勧められたアルバスはスコーピウスの近くに座りますが、
ローズはスコーピウスと友達になりたくないので、
アルバスを叩きました。

スコーピウスの両親はアストリアとドラコ・マルフォイで、
ハリーとは不仲でした。

それだけではなく、子どもができなかった両親は、
「逆転時計(タイムターナー)」を使ってアストリアを過去に送り、
ヴォルデモートと子供を作り、それがスコーピウスだ、
という噂が流れていました。

ローズはコンパートメントから出て行きましたが、
アルバスはスコーピウスと友達になれそうだと思い、
コンパートメントに残りました。

ホグワーツに着くと、組み分け帽子を被らせられ、
ローズはグリフィンドール寮に、スコーピウスはスリザリン寮になりました。

そこまでは大勢の予想どおりでしたが、
アルバスはスリザリン寮になってしまいました。

ハリー・ポッターの子がスリザリンに入ったということで、注目の的となります。

場面が変わり、マダム・フーチの飛行訓練に切り替わります。
他の生徒たちは「上がれ!」と言えば箒が浮き上がったのに、
アルバスだけは箒が浮き上がりませんでした。

1年が経過し、また9と3/4番線で、
2年生になったアルバスがハリーに見送られるシーンがあります。

しかし、偉大な父親であるハリーにできた、
できの悪いスリザリン寮の息子という目で見られるのが嫌で、
アルバスは人目を気にし、ハリーを遠ざけました。

一方、ドラコ・マルフォイはハリーに、
スコーピウスがヴォルデモートの息子だという噂について否定するため、
逆転時計は「神秘部の戦い」ですべて破棄されたと、
魔法省が確認の声明を出してほしい、と頼みました。

しかし、魔法省に勤めているハリーは、ドラコの頼みを断ります。

ローズはクィディッチのチェイサーに選ばれ、他の生徒は拍手をしましたが、
クィディッチができないアルバスは拍手をしませんでした。

魔法薬の授業でも、アルバスは失敗ばかりです。

さらに1年が過ぎ、3年生になったアルバスは9と3/4番線で、
ハリーにホグズミード行き許可証を渡されます。

しかし、ホグワーツの生徒がいっぱいいるからホグズミードなんて嫌いだ、
とアルバスは言い、許可証に杖を向けて「インセンディオ!」と唱えました。
普段のアルバスは、この呪文がまったくダメで、
本人も効くとは思っていなかったのですが、許可証は燃えてしまいました。

アルバスはハリーから離れ、
母親が容態が悪いスコーピウスのことを心配しました。
スコーピウスはアルバスに、お葬式に来て、僕のいい友だちでいて、
と頼みました。

また、この年にはアルバスの2歳年下の妹、
リリー・ポッターもホグワーツに入学しましたが、
リリーはジェームスと同じくグリフィンドール寮に入りました。

ポッター家でスリザリンに属しているのは、アルバスだけでした。

場面が変わり、魔法省のハリーのオフィスには、
魔法大臣になったハーマイオニーがいました。

ハーマイオニーは、セオドール・ノットから押収した非合法な逆転時計を、
ハリーに見せました。

また場面が変わり、アルバスが長期休暇でハリーの家に帰省していた時に、
車椅子に乗った老人、エイモス・ディゴリーがやってきました。

エイモス・ディゴリーは、「不死鳥の騎士団」で死亡した、
セドリック・ディゴリーの父親です。

エイモスは、逆転時計を使って、
セドリックが死んだ過去を変えたいと言いましたが、ハリーはエイモスに、
セオドール・ノットの逆転時計に関することは作り話だと嘘をつきました。

そのことを階段の上で盗み聞きしていたアルバスに、
デルフィーという20歳を少し過ぎたくらいの女性が話しかけました。

デルフィーはエイモスの姪で、セドリックのいとこで、
エイモスの面倒を見ています。

デルフィーは聖オズワルド魔法使い老人ホームで働いていて、
そのうち会いに来てね、とアルバスに言いました。

また場面が変わり、ジェームスはハリーから透明マントをプレゼントされ、
リリーは妖精の羽根をプレゼントされました。

ハリーがアルバスの部屋にやってきて、
新学期のプレゼントを持ってきたと言いました。

ロンからのプレゼントとして「愛の妙薬」をベッドに置き、
ハリーからのプレゼントとして、小さな古い毛布をアルバスにあげました。

その毛布はハリーが母親からもらった最後の品で、
ハリーはこの毛布にくるまれて、ダーズリー家に預けられました。

しかし、そう説明されても、14歳のアルバスは苛立ち、ハリーを挑発します。

ハリーは、おまえの不幸の責任をとらされるのは、もう御免だ、
おまえには少なくとも父親がいる、私にはいなかったんだ! と叫びました。

それが不幸なことだと思うの? 僕はそう思わない、
父さんが僕の父さんじゃなかったらいいのに、とアルバスは言いました。

ハリーは怒りで我を忘れ、私も、
おまえが息子じゃなかったらいいのにと思うことがある、と口にしてしまいました。

アルバスは一人にしてくれと言い、毛布を放り投げました。
毛布は「愛の妙薬」の瓶に当たり、薬がこぼれて、ぽっと小さな煙を上げました。

その夜、ハリーは、初めてハグリッドと出会い、
魔法使いだと教えられた時の夢を見ました。
しかし、途中でハリーの名前を呼ぶヴォルデモートの声が聞こえ、
ハリーは目を覚ましました。
22年ぶりに、額の傷痕が痛んでいました。

また場面が変わります。
ホグワーツ特急の汽車の中で、4年生になったアルバスはローズから、
セオドール・ノットが規則破りの逆転時計を持っていた、
という話を教えられました。

アルバスはスコーピウスのところに行きます。
スコーピウスは昔からローズのことが好きなのですが、
変な褒め方ばかりしているせいで、ローズに嫌われています。
この時も、君の香りはフレッシュなパンだ、
とスコーピウスはローズに言ってしまい、ローズは離れていきました。

アルバスはスコーピウスと逆転時計を使い、セドリックを取り戻す、
と言いました。
エイモスが逆転時計を欲しがったとき、ハリーは嘘をつきました。
ハリーは勇敢なことをしましたが、間違いも犯した、とアルバスは考えていて、
その間違いを正したいと言いました。

アルバスとスコーピウスは汽車の上によじ登ります。

しかし、車内販売魔女が追いかけて汽車の上にやってきました。
車内販売魔女はホグワーツ特急ができたときから190年以上もこの仕事をつづけていて、
目的地に着く前に誰かが汽車を降りようとすると阻止してきました。

アルバスとスコーピウスは、汽車が鉄橋の上を通るときに、
クッション呪文を唱えながら汽車から飛び降りました。

場面が変わり、アルバスとスコーピウスは聖オズワルド魔法老人ホームに行き、
エイモスとデルフィーに会い、自分たちが過去を変えると言いました。

エイモスは、いらいらしてアルバス達を拒絶しましたが、
デルフィーは、この2人だけが、助けようと名乗り出たと言い、
エイモスを説得しました。

その頃、ハリーとハーマイオニーは、ヴォルデモートについて会議で注意しましたが、
スコーピウスの出生の噂のことでハリーを恨んでいたドラコ・マルフォイに
邪魔されてしまいました。
その後、ふくろう便が届き、アルバスとスコーピウスが行方不明だと知らされました。

一方、アルバス達はポリジュース薬を飲み、
アルバスはロンに、スコーピウスはハリーに、
デルフィーはハーマイオニーに変身し、魔法省に潜入しました。

デルフィーは、訪問にきた魔法省の役人の飲み物に「真実薬」を垂らし、
魔法大臣のオフィスに逆転時計が保管されていると聞き出しました。

魔法大臣のオフィスに入ろうとしたところで、
本物のハーマイオニーとハリーが近づいてきました。

アルバスとデルフィーはオフィスの中に隠れ、
ロンに変身しているスコーピウスが、
ハーマイオニーにキスしたり「愛してるよ」と言ったりしてごまかしました。

ハーマイオニーがいなくなった後、本棚を調べます。

本棚は武装されていましたが、本が喋った暗号を順番に解いていき、
逆転時計を手に入れました。

その夜、またしてもハリーはヴォルデモートの夢を見て、
アルバスがダームストラング校の赤いローブを着て禁じられた森にいる夢を見ました。

ハリー、ジニー、ハーマイオニー、ロン、マクゴナガル校長、ドラコ達は、
禁じられた森に行きます。

ハリーはケンタロスのべインと再会し、アルバスの周りに危険な黒雲がある、
と言われました。

その頃、禁じられた森の端では、アルバスとスコーピウスが、
ディゴリーの用意したダームストラング校のローブに着替えて変装していました。

ディゴリーには残ってもらい、アルバスとスコーピウスはホグワーツ城に入り、
逆転時計を使いました。

25年前の三校対抗試合で、
選手たちがドラゴンから卵を奪う課題を始める場面になります。

アルバス達は学生のハーマイオニーから話しかけられますが、
スコーピウスはハーマイオニーをローズと勘違いしてしまい、
妙な会話をしてしまいます。

セドリックがドラゴンと戦っている時に、アルバスは「エクスペリアームス!」と叫び、
セドリックの杖を奪って武装解除しました。

その時、逆転時計の時間の制約で、アルバスとスコーピウスは現在に戻らされます。
しかし、アルバスは怪我をしてしまい、ハリーにも見つかってしまいました。

ホグワーツの医務室で、ハリーはダンブルドアの肖像画と久しぶりに話をします。
ハリーは肖像画に、アルバスとの親子関係がうまくいっていないことを相談しました。

たぶんこの子は、君が自分をはっきりと見てくれるのを待っておる、
とダンブルドアの肖像画は言いましたが、
ハリーにはその意味がよく分かりませんでした。

医務室のベッドで目を覚ましたアルバスに、
スコーピウス・マルフォイから離れてほしい、とハリーは言いました。

ハリーはアルバスに忍びの地図を見せ、
マクゴナガル校長が、おまえたちの行動を全部見張る、
アルバスとスコーピウスが一緒にいるところを見つけたら、おまえに呪文をかける、
とハリーに言いました。

アルバスが僕はスリザリン生だというと、ハリーは否定しました。

また、ロンは悪戯専門店で働いているはずだったのに、
お見舞いに来たロンにそう言うと、なんのことか、と言われてしまいます。
ロンはハーマイオニーではなく、パドマ・パチルと結婚していると言い、
アルバスはグリフィンドール生だと言いました。
ローズは生まれてもいませんでした。

スコーピウスがお見舞いに来てくれますが、ハリーの目があるため、
アルバスはスコーピウスに背を向けて立ち去るしかありませんでした。

校長室では、ハリーがマクゴナガル校長に、
ケンタウルスのべインやダンブルドアの肖像画と話したことを話し、
忍びの地図でアルバスを見張って欲しいと頼みました。
マクゴナガル校長は、べインは極端な怒れるケンタロスだから、
自分の都合のいいように、星の位置を捻じ曲げて読むのはたやすい、とか、
肖像画は、モデルの人物の半分も代弁できない、
肖像画と本人とをとりちがえるべきでない、とハリーに忠告しました。

しかし、ハリーは魔法省の圧力をかけると脅し、
マクゴナガル校長にアルバスを見張らせました。

一方、アルバスが闇の魔術に対する防衛術の教室に行くと、
独身のハーマイオニー・グレンジャーがその授業の教師になっていました。

ハーマイオニーは、
シリーズ初期のころのスネイプと同じくらい意地が悪い性格になっていました。

場面が変わり、ハリーとジニーの家にドラコが訪ねてきて、
仲の良い友人を切り離したことを責めると、
ハリーは、スコーピウスが自分の息子だという確信があるのか?
と失礼なことを言い、2人は決闘をしました。

ジニーがやってきて冷静になったドラコは、
君には友情の力がわかっているはずだ、
べインが見た暗黒は、アルバスの孤独だったのかもしれない、と言い、
ハリーは考えを改めました。
ハリー、ジニー、ドラコはマクゴナガル校長に会いにホグワーツへ行きます。

また場面が変わり、スコーピウスは、
ホグワーツに忍び込んだデルフィーと話をしていました。
デルフィーは子どものときに病気だったので、
ホグワーツに来るのは初めてだと言いました。

図書室で、アルバスとスコーピウスは現状について相談します。
正しい歴史では、三校対抗試合のときのダンスパーティで、
ビクトール・クラムがハーマイオニーを連れて行き、
ロンがやきもちを焼いて、バカな行動をとり、
異性として意識するようになりました。

しかし、アルバスとスコーピウスが過去の世界でハーマイオニーと会い、
歴史が変わってしまいました。
ハーマイオニーは、ビクトールの指示で、2人の変なダームストラング生が、
セドリックの杖を奪って第一の課題をしくじらせたと考え、
ビクトール・クラムの誘いを断りました。

ハーマイオニーはロンに誘われて友だちとしてダンスパーティに行き、
友だちとして踊りました。
その後、ロンはパドマ・パチルと踊ってデートをはじめ、2人は結婚しました。
一方ハーマイオニーは意地の悪い性格になってしまいました。

アルバスはもう一度逆転時計を使うと言い、スコーピウスは反対しました。
2人はもみあいになりましたが、僕の身にもなってみろ!
とスコーピウスは叫びました。
アルバスの父親はどこまで行ってもハリーですが、
スコーピウスの母親は相変わらず死んでいて、
ヴォルデモートの子だと疑われていました。

そこへ、マクゴナガル校長が忍びの地図を見てやってきますが、
アルバスはジェームスから盗んだ透明マントにスコーピウスと隠れました。
マクゴナガル校長は見なかったふりをして、退場しました。

アルバスは、スコーピウスはやさしいから、ヴォルデモートの子ではないと言い、
仲直りしました。

三校対抗試合の第二の課題で、セドリックに屈辱を与えて失敗させることにし、
アルバスとスコーピウスは2階の女子トイレに行きました。
嘆きのマートルに頼み、湖に行くパイプを教えてもらいます。
アルバスとスコーピウスは鰓昆布(えらこんぶ)を食べ、パイプに入りました。

そこへ、忍びの地図を見たハリー、ジニー、ドラコ、
マクゴナガルが駆け付けますが、2人は消えてしまっていました。
マートルから話を聞き、ハリーは初めて、
アルバス達が逆転時計を使って時間の旅をしていることを知りました。

一方、アルバスとスコーピウスは、泡頭の呪文を使って湖に入ったセドリックに、
肥らせ呪文をかけました。
セドリックの体が膨らみ、セドリックはリタイアとなりました。
また、「ロンはハーマイオニーが好きだ」という花火を炸裂させ、
2人が恋人になるように仕向けました。

逆転時計の制限時間が終わり、スコーピウスは現代に戻りましたが、
アルバスは消えていました。

ホグワーツの校長のドローレス・アンブリッジに命令され、
スコーピウスは湖から出て、アルバス・ポッターを探していると言いました。

しかし、アンブリッジは、アルバス・ポッターという生徒はいないと言い、
ハリー・ポッターも20年以上前に「ホグワーツの戦い」で死んだと言いました。

また、今日は「ヴォルデモートの日」だと、アンブリッジは言いました。

第一部はここで終わります。

この話は、第二部の「後編」に続きます。
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