九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」4話「七夕伝説と、坂本先輩の推理」のネタバレ解説

7月1日、月曜日。
灯影院が夏風邪を引いて休んでしまったため、
綾高は1人で大学の図書館に行きレポートを書くことにしました。

すると、図書館前の広場で日本文化研究会の男から、
短冊に願い事を書いて笹に吊るすイベントに誘われました。

その日本文化研究会の男は、3年生の坂本のクラスメートで、
広瀬という苗字でした。

それから数時間後、再び図書館前の広場に行くと、
坂本と広瀬が、白紙の短冊が何枚も吊るされていた、
という日常の謎について話し合っていました。

綾高は七夕について広瀬から講釈を受け、推理しますが、
なかなかいいアイデアが思いつきませんでした。
炙り出しではないか、と綾高は思いましたが、違いました。

坂本は短冊の正体に気付いたと言い、
綾高と広瀬に推理を聞かせました。

坂本は、まず、「白紙の短冊についている6本の紐の色がバラバラで、
紐の断面が引きちぎられたようになっているのを指摘しました。

その紐は元々は1本の太いミサンガでしたが、
ミサンガの持ち主は自然と切れたミサンガの処分に困り、
ミサンガを解いて6本の紐にしてから短冊に通したのでした。

そのとき短冊に願い事を書かなかったのは、
既にミサンガに願掛けしていたからだったのでした。


というあらすじなのですが、探偵役の灯影院が不在でも、
ちゃんと短編として成立していましたね。

星新一「愛の通信」のネタバレ解説

どうして、こう女にもてないのだろう、
とため息ばかりついている男がいました。

その男は電波天文学と宇宙言語学の研究に熱中していて、
女のくどき方といった本など読んだことがないのだから、
全然もてないのも無理はありませんでした。

どなたか、交際してくださる女性のかたはいませんか、
と男は宇宙へ電文をばらまきました。

どこかの遠い星から、返事の電波が送られてきて、
愛の通信がはじまります。

テレビで画像を送ってもらうと、
通信の相手は地球の女性よりはるかに美しい女性でした。
彼女はピンク色の犬のような動物を抱いていました。

あなたはなんと美しいのでしょう、
それなのに、あなたの手にも触れられない、
と男が呼びかけると、
女性は宇宙船で地球に来てくれることになりました。

そして、約束の日。
男が朝早くから空港で待ちつづけると、
巨大な宇宙船が空港に着陸しました。

開ききったドアのかげに、
ピンク色の毛皮のオーバーが見えましたが、
それはオーバーではなく、彼女のペットの犬でした。

彼の何十倍もある麗しの君は、
地ひびきをたてて空港におり立ち、
あたしを待っていてくださったかたは、
という意味の声を、あたりにとどろかせました。


というあらすじなのですが、「知らない人と会う時は、
相手の身長や体重を聞いておかないといけない、
というのは地球でも宇宙でも同じみたいですねw

星新一「殺人者さま」のネタバレ解説

主人公の「私」は、ひとり夜の海にボートで出て、
殺人の告白をする手紙を書いていました。

主人公には高校生の時にいちばん仲の良かった
明子という友人がいましたが、
主人公より明子の方がもてたため、
明子に嫉妬して嫌がらせの電話をかけるようになります。

明子は神経が疲れて自殺してしまいました。

そうなってみると、
主人公も本当は殺すつもりじゃあなかったことに気がつきました。

主人公は精神的な罰を受け、あなたは人殺しよ、
という明子の声の幻聴を聞くようになりました。

主人公は悩んだあげく、
まったく知らない人に電話して告白しようとしました。

しかし、相手が電話に出るとしゃべることができず、
相手は間違い電話だと思って電話を切ってしまいました。

主人公はそれを、死.ねという命令だと感じ、
夜の海のボートの上で大量の睡眠薬を飲み、
海に飛び込んで自殺することにしました。

主人公は殺人の告白の瓶を詰め、海に流し、
それが警察に届けられて人目にふれることを望みました。

この手紙を読んだ人は、「ずっと前に自分が変な電話に出て、
忙しさにまぎれてぶあいそに切ってしまったことなど忘れて、
自分は人殺しなんかしたことはないし、これからだって、しやしない、
と、のんきな顔をしているにちがいない、

と書かれたところで、この話は終わります。

というあらすじなのですが、
誰だって、間違い電話を切ってしまったことはあるでしょうから、
この話の読者に向かって、お前は人殺しだ、
と糾弾する、
」というオチですね。

……正直、この話はちょっと微妙だなあ、と思いますが。

星新一「夢の未来へ」のネタバレ解説

博士と助手はタイムマシンを完成させました。

タイムマシンを作るのには、とてつもなく金がかかったので、
それを回収しようと、博士と助手は200後の未来に行きました。

未来のデパートにはルーペのような電子顕微鏡、
ボタンを押せばヨットになるカバン、
中毒しない合成麻.薬、
150歳まで精.力をおとろえさせぬホルモン、
効果完全なほれ薬などが売っていました。

しかし、金がなく、博士は助手に命令して万引きさせました。

そのとたん、レーダーのような装置が作用し、
博士と助手の体は電気でしびれ、警官がとんできました。

200年前からタイムマシンで来たんですが、もう帰ると言うと、
警官は万引きは重罪だから簡単には釈放できぬと言いました。

博士と助手が泣くように頼みこむと、警官は、
そのタイムマシンを貸してくれ、と言いました。
警官は200年ばかり未来に行って、
なにか品物をひとつ持ち帰り、警官から足を洗いたいのだそうです。

にっこり笑ってタイムマシンに乗りこんだ警官を、
博士と助手は不安げに見送りました。


というあらすじなのですが、
警官も200年後の未来で万引きしようとして捕まってしまう
未来が見えますwww


ところで、しまうましたは、万引きなんかしなくても、
200年前の宝くじの番号とか株価の動きとか、
情報を手に入れればよかったのに、と思いました。
もしくは、逆に過去に戻って、
将来プレミアが付く物を手に入れるべきでしたね。

星新一「こん」のネタバレ解説

神経科医の診察室に男女が入ってきました。

男は、妻がキツネツキになったのだと言いました。

昨夜、男が家に帰ると、妻がとつぜん、目をつりあげ、
こん、と一声高く叫んだきり、
ずっと口をきかなくなったのだそうです。

精密検査の結果によると、妻はその時、
なにか精神的に、大きなショックを受け、
一種のひきつけを起こして思考が停止してしまったのだ、
と医者は説明しました。

医者が男の妻に注射を打つと、
妻は、「……ど浮気したら、承知しないわよ、
と叫びました。
男の胸のワイシャツには、はっきりと口紅のあとがありました。


というあらすじなのですが、しまうましたは、
男は昨日の夜から着替えてないのか!
と言いたくなってしまいましたw

キツネツキに関しては、「ツキ計画」でも解説したので重複しますが、
念のためにもう一度書いておきます。
精神医学が発達していなかった昔の日本では、
精神疾患の症状が出た人のことを、
狐の霊に憑かれた「狐憑き」と呼んでいたのです。

時雨沢恵一「キノの旅」6巻5話「忘れない国」のネタバレ解説

山火事のあった森の道を走り、
キノとエルメスは盆地にある、城壁に囲まれた国に着きました。

その国では今日明日明後日と、ちょうど滞在中の3日間に
“大洪水追憶式典”が開かれるのだと、番兵に教えられました。

7年前に、1週間続いた大雨で国中が水浸しになって、
建物の被害が出て、犠牲者も出ました。
3日後に泥水が引いた後も汚染やら伝染病やらで、
本当に大変だったのだそうです。
その辛い記憶をなくさないために、
同じ日に式典を開いているのだそうです。

住人達は、城壁に書かれた目盛りや、大した幅もない川をキノに見せて、
普段はあんな小さな川なのに洪水の時は壮絶な量の水が流れていて、
人の背よりはるかに上にある位置まで水がきたのだと言いました。

ホテルの従業員から、式典で振る舞われる予定の食事は自由に食べられると聞き、
キノも式典に出席しました。
長々と式典は続き、歌も歌われました。
洪水記念のシャツや特別記念ポーチに入れられた研ぎ石が売っていましたが、
普通のものより割高なのでキノは買いませんでした。

ホテルに戻ると、激しい雨が降り始めました。
キノは何かを忘れているような気がして考え込んでいました。

次の日、従業員に、
配給の避難食が配られるのでそれを昼食として食べられることを聞いて、
キノはそれを受け取りました。
その時、従業員から、1ヶ月前に山火事があったことを聞いたキノは、
エルメスと一緒に「すぐに出国しました。

師匠のところで以前会った樵が、山火事の後の谷とその下流には、
決してとどまってはいけないよ、と言っていたのを思い出したのでした。

3日ルールを破り、キノは出国して、
盆地の終わりでテントを張って寝ました。

翌朝、雨は止んでいましたが、
以前の洪水の城門を取り替えていなくて、取水口もそのままで、
川の土手も低かったため、あの国の中は大洪水でした。

今頃あの国の人達は、昔の洪水を思い出しているのかも。
それとも、忘れているのかな。どっち? とエルメスは言いました。


というあらすじです。
こんな馬鹿な人達、現実にはおらんやろー、と思う人もいるかもしれませんが、
現実にいます。

日本人がそうです。

東日本大震災では、津波で多くの家が流されましたが、
それから数年が過ぎた現在、
その同じ場所に新しい家を建てて住んでいる人が大勢います……。

ここまで津波が来たから、これより下に家を建てるな、
とご先祖様が遺してくれた石碑があったのに、
それを忘れて家を建てて流されたのが、日本人なのです。

もちろん、先祖の教えを守ったおかげで助かった人達も大勢いましたし、
新しく堤防を造ったりして、津波を防ごうと努力もしていますが。

時雨沢恵一「キノの旅」6巻4話「長のいる国」のネタバレ解説

山岳地帯にある国には、宗教的な、
そして精神的な指導者となる人が昔からいて、
その人は“長(おさ)”と呼ばれていました。
長は普通の人の中から厳正なくじによって選ばれ、
教育を受けて、大役を任されます。

20年以上もその大役を任された、
50歳を少し過ぎた男性の長が、谷間の山賊に誘拐され、
山賊は長を解放しないで、次から次へと強請るようになりました。

国の人達が困り果てたところへ、師匠がやってきて、
山賊退治の仕事を頼まれました。

場面が変わり、山賊のアジトの大きな小屋が、
谷の向こう側の頂上から、師匠のパースエイダーで狙撃されました。

そのパースエイダーは人の背と同じくらいの長さで、
トラックとか装甲車とかを撃つための物でした。

山賊の1人が長にパースエイダーを突きつけて撃つ仕草をしましたが、
師匠は撃つのをやめません。

山賊たちは次々と殺され、小屋も破壊されました。

長以外動くものがなくなりましたが、
長が動こうとすると弾丸が飛んでくるので、
長も動かずにじっとしていました。

師匠がやってきて、長の後ろで死んだふりをしていた、
背が少し低くてハンサムな若い男に、起きなさい、
と師匠は言いました。

師匠が長に、みなさん、あなたのことをとても心配していました、
と言うと、長は、師匠にパースエイダーを向け、
くだらないと言いました。

長は、くじで勝手に選ばれて平穏な生活をぶち壊され、
自由に家族にも会えず、親の死に目にも会えず、
尊敬されるように振る舞えと強制されてタダ働きさせられた、
もうあんな“監獄”に戻るのはごめんだ、ということを言いました。

師匠が、長がどうやって“監獄”から外に出たのかと訊くと、
長は、昔の下水道が王の脱出路に使われていた事実を知り、
それを使わせてもらった、ということを話しました。
それから間抜けな山賊に出会って、
思い通りに動いてもらったのだそうです。

長は師匠を撃とうとしましたが、「まだ弾が装填されていないので、
撃てませんでした。
師匠は長を自分のパースエイダーで撃ち、殺しました。

師匠が受けた依頼は3つあり、1つ目は、山賊を壊滅させること。
2つ目は、抜け道のからくりを知ること。
3つ目は、国に戻って、長が既に殺されてしまっていた、
と報告することだった、と師匠は言いました。
長はあの国に戻らない限り自由だったのでした。


少し背の低いハンサムな男は、師匠が半年ほどに立ち寄った国で、
手配書を見たことがあり、もともと山賊ではありませんでした。

あの国から強請り取ったお宝は、すべて師匠がもらいました。

男は、どこかに行こうとする師匠をヒッチハイクし、
どこかまで乗せていってほしいと頼みました。
ガキの頃からの愛用品だという、二二口径の自動式で、
四角いバレルのついたハンド・パースエイダーを見せ、
腕には自信がある、荷物運びもできますよ、と言いました。

師匠は、相棒ならいりませんと言って断りましたが、
パースエイダーも直せると言うと、男を運転席に乗せました。

というあらすじなのですが、この話は、
師匠と荷物持ちさんが初めて出会った時のエピソードですね。

また、荷物持ちさんが持っていた、
二二口径の自動式で、四角いバレルがついたハンド・パースエイダーは、
キノが2巻8話の「優しい国」で老人のパースエイダー・スミスからもらった、
ハンド・パースエイダー『森の人』の特徴と全く同じです。

この話で、荷物持ちさんはパースエイダー・スミスでもあることが判明しましたし、
『森の人』は、老人が旅をしていた時、いつも腰に吊っていたものだ、
と「優しい国」に登場した老人は言っていました。

つまり、「優しい国」に登場した老人は、
師匠と別れて年をとった荷物持ちさんだったのでしょう。

老人になった荷物持ちさんは「優しい国」と心中するつもりだったから、
師匠の弟子であるキノに、『森の人』を託したのでしょうね。

時雨沢恵一「キノの旅」6巻3話「花火の国」のネタバレ解説

高温多湿な夏の森の中を走り、キノとエルメスは海沿いにある国に到着しました。

防御用のトラップがあるように見える四重になった城門をくぐり、入国します。
入国審査官から、明日の夜、南の砂浜で年に一度の納涼花火大会がある、
と教えてもらいました。

国の中で走っている車は、色以外同じ、無骨な四輪駆動車でした。
バスとして使われているのは大きな装甲車でした。

冷房の効いたホテルに泊まり、海を見物します。
夕方、キノは初めてかき氷を食べました。

夜になり、船が火を噴いて、花火大会が始まりました。
しかし、その花火は普通のとは違い、
何万発もの砲弾が二十ミリガトリング砲で発射されました。

水中花火は燃料を詰めた爆雷で、
創作花火はフレアディスペンサーをまとった地対地ミサイルでした。

ホテルに戻ったキノは、支配人に花火大会の感想を聞かれて、
とてもきれいだったと答えました。

あんなに兵器爆薬を使って、もったいなくない?
とエルメスが聞くと、支配人は、「あれはこの国で製造しているものではなく、
月に一度ほど、無人のコンテナが載った船が砂浜にやってきて、
いろいろな種類の軍事兵器がその中に入っているのだと言いました。

差出人も理由も分かりませんが、百年以上前から来ているのだそうです。

コンテナは分解して建物や城壁の材料になり、
車や船のおかげで国は発展しました。
ただ、送られてくる量が多すぎて余り、道は大渋滞し、
城壁は四重になってしまいました。

しばらくは国の外れの山にそのまま捨てていましたが、
落雷で大爆発を起こしてとんでもない騒ぎになりました。
海に撃って消費すると、今度は騒音の苦情が殺到しました。
考え方を変え、年に一度猛烈に消費して、それを見せることにしたのだそうです。

翌朝、キノが出国すると、迷彩服を着た男達に話しかけられました。
北方にある国の軍が、軍事演習を監視するために来ていたのだそうです。


というあらすじなのですが、
結局、この国に大量の兵器が届く理由は不明のままです。

キノの旅ワールドには、人間がいなくなった後も機械が動き続けている、
という国がいくつか存在していたので、
機械が勝手に大量生産して海に流しているのではないか、と想像してみました。

時雨沢恵一「キノの旅」6巻2話「彼女の旅―Love and Bullets―」のネタバレ解説

タイトルは1話と同じ「彼女の旅」ですが、
この2つの話に直接的な繋がりはありません。

どちらも女性が主導して旅に出て、男性がその付き添いですが、
とても対照的な男女の姿を対比しています。

キノは、砂地の岩の柱の影の中で、
20代後半ほどの女性の話を聞いていました。
女性の後ろには同年代の鍛えられた体格のいい男が微笑み、
黙ったまま座っていました。

女性はキノに、暴力の使用を止めてもらいたい、と言いました。

暴力ではなく、優しい気持ちと心の底からあふれる愛で、
争いごとを避けるべきだ、と女性は言いました。

お茶がすっかり冷めるまで、女性は熱烈な口調で、
人と人との間に争いはいけない、愛をもって解決に当たる、
という話について、大演説を語りました。

キノは、今の考えを訊かれ、すてきだと思います、と答えました。

やっと女性から解放され、キノは出発しようとします。

すると、男が女性から離れて、キノに近づき、
おもしろくない話を長々と聞いてくれてありがとう、と言いました。
男の腰ベルトにはハンド・パースエイダ―が2丁、
両手で撃つようにホルスターに納まっていました。

キノが一週間前に見た、岩場で死んでいた13人の男達を殺したのは、
女性と一緒にいた男でした。

13人の男達は話を聞いた後、なんとかして男を殺して女性を襲おうと、
いつまでも後をつけてきたから静かになってもらったのだそうです。

男が女性の護衛をしているのは、女性のことが好きだからでした。

男と女性は同じ国で幼い頃から仲良く育ちました。
女性は暴力反対を金科玉条にしていますが、
男はまったくその逆で、力のない者は何もできない、
弱い者を護れないと信じて、戦うために必要なものを習い、軍に入りました。

男は女性のことを好きになり、愛と非暴力を伝える旅をする女性に、
素晴らしい考えに感動した、と言って、同行を願い出ました。

主義思想関係なしに、彼女のそばにいる、
世界中を敵に回したって構わないよ、と男はキノに言いました。

君を殺そうとするヤツは遠慮なく殺しなよ、と男は言い、キノの手を握りました。


というあらすじなのですが、女性の思想は九条信者の考え方そのものですね。

キノは実の親を含めて、これまでに何百回、
何千回と殺されそうになっているので、
女性の思想を実践していたらすぐに死んじゃいますよね。

米澤穂信「いまさら翼といわれても」3話「連峰は晴れているか」のネタバレ解説

放課後、古典部部室の地学講義室にいると、ヘリコプターの音が聞こえました。

奉太郎は、中学の英語の小木が、ヘリが好きだったな、と言いましたが、
里志はそんなことは知りませんでした。

摩耶花もあまり憶えていませんでしたが、
奉太郎が詳しく話すと思い出しました。

入学したばかりの頃、鏑矢中学の上をヘリが飛んだとき、
小木は突然授業を止めて窓に駆け寄って、空を見上げたことがありました。
ヘリが遠ざかっていくまでずっと見ていて、
「ヘリが好きなんだ」と言って授業に戻りました。

しかし、別の時に自衛隊のヘリがスコードロンを組んで飛んできたときには、
小木先生は反応しなかった、と里志は言いました。

それよりも、小木がこれまでの生涯で3回、雷を食らっている、
ということの方がメジャーインパクトな伝説だ、と里志は言いました。

奉太郎が気になって、当時の新聞を調べようとすると、
里志も摩耶花も千反田さんも、奉太郎が自発的に行動したことに驚き、
失礼なことを言いました。

奉太郎は千反田さんと図書館に行きます。
自転車通学をしている千反田さんの方が先に図書館に着き、
「小木正清」という名前で新聞を調べておいてくれました。

去年の記事に、神山山岳会会長の小木正清が、
神垣内連峰(かみかきうちれんぽう)で登山道美化活動のボランティアをしている、
と書かれていたのを探してくれました。

奉太郎は、小木が3度も落雷にあったという話を聞き、
小木が山登りをしていたことを、すでに推理していました。

奉太郎が中学校に入学した年の、4月から5月までの記事のうち、
『遭難』で検索してもらうと、5月9日に、
神山山岳会員の男性2名が神垣内連峰で遭難したことが報道されていました。
天候悪化のため捜索は難航していましたが、
県警は天候の回復を待って、救難ヘリで捜索を行う予定だと書かれていました。

あの日だけ、小木がヘリを見ようとしたのは、
その日ヘリが飛ぶかどうか、どうしても気がかりだったからなのでした。

連邦が晴れていればヘリは飛びます。
ヘリが飛ぶなら、遭難者が助かる可能性も、高くなります。

新聞を何日分か後まで読むと、遭難した2人は遺体で発見されていました。
発見したのはヘリコプターでした。

帰り道で、どうして今日だけは自分の疑問を調べたのか、
と千反田さんが訊くと、実際はああいうことがあったのに、
小木はヘリ好きだったなあなんて、気楽には言えない、
それは無神経ってことだ、と奉太郎は答えました。


それを聞き、千反田さんは、「折木さん、それって、とっても……」
と何か言いかけましたが、うまく言えません、と続けました。

というあらすじなのですが、奉太郎の優しさが伝わってきて、
「うまく言えない」気持ちになった話でした。
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