西尾維新「掟上今日子の旅行記」のネタバレ解説

掟上今日子の旅行記


掟上今日子シリーズ、第8弾です。

今回はフランス、パリが舞台です。

隠館厄介は、就職していた旅行会社で起きた事件で濡れ衣を着せられ、
探偵を呼んで無実を証明しました。
その退職金として、顧客がキャンセルしたパリ行きのチケットをもらいました。

せっかくなので、厄介はフランスへ行きました。

すると、そこで今日子さんらしき人物を発見し、尾行してバスに乗り込みます。

しかし、今日子さんは尾行に気付いており、
パリについたところで話しかけられました。

当然、今日子さんは厄介のことを覚えていないので、自己紹介します。

すると今日子さんは、日本人同士助け合おうと言い、カフェに誘いました。

そこで、右腕に書かれた「怪盗淑女」の予告状の写しを見せられます。

近日中にエッフェル塔をいただきに参上致します、と書かれていました。

依頼人は複数の代理人を通して今日子さんに依頼し、
怪盗淑女の犯行を阻止するように依頼しました。

依頼料が破格の金額だったので、
今日子さんはパリまでの飛行機で一睡もせず、ここまでやってきたのでした。

今日子さんはパスポートを持っていないので、超法規的な措置がとられており、
それだけで依頼人が大物であることが分かります。

今日子さんは、この事件を解決するのに、厄介を助手として雇うことにしました。

厄介は、今日子さんのお腹の部分に、助手としての宣誓を書きました。

ホテルにチェックインし、厄介がロビーで待っている間に、
今日子さんは部屋で着替えます。

しかし、今日子さんが戻ってくるのが遅く、心配になって見に行くと、
既に今日子さんは寝てしまっていました。

いっそのこと、一度ちゃんと寝かせておこう、と厄介は思い、
ロビーで今日子さんが起きるのを待ちました。

ところが、ロビーにやってきた今日子さんは、
エッフェル塔を盗みましょう、と言い出しました。

何と、今日子さんは眠らされている間に、
左手の備忘録「私は掟上今日子」の後の「探偵」が「怪盗」に
書き換えられてしまっていました。

今日子マニアと言ってもいい厄介は、
その文字の筆跡が今日子さんのものではないことに気付きましたが、
本当にそっくりでした。

自分が怪盗だと信じ込んでしまった今日子さんは、
右手に書いた怪盗淑女の予告状も、自分の備忘録だと思い込み、
最速でエッフェル塔を盗もうとしていました。

今日子さんは怪盗ではなく探偵だと厄介が言っても、
信じてもらえません。

しかし、厄介のことも「怪盗の助手」だと思い込んでいるので、
それが希望でした。

最速の怪盗となった今日子さんは、
1日以内にエッフェル塔を盗むと言い、まずは現地に下見に行きます。

ちなみに、エッフェル塔は建てられた当初は、
パリの景観を壊すと言い、反対していた人も多かったのだそうです。

ライトアップされた夜のエッフェル塔を見上げながら、
今日子さんは、どうして私は、エッフェル塔を盗もうとしているのか、
と動機を解明しようとしていました。

夜も遅いので、一旦ホテルに戻り、今日子さんはシャワーを浴びます。

その間に、厄介は唯一の友人である紺藤に連絡を取りますが、
忘却探偵という性質上、
今日子さんが探偵であることを示す客観的な証拠はないので、
このまま怪盗助手として振る舞った方がいい、と紺藤は言います。

しかし、今日子さんを積極的に眠らせるという手段もある、
と助言してくれました。

ところが、お風呂から上がった今日子さんの身体に書かれた文字は、
シャワーの後なのに滲んでさえいませんでした。

海外旅行用ということで、
ただの油性ではない強力なインクが使われているようでした。
これでは今日子さんを眠らせる意味がありません。

厄介もシャワーを浴びて浴室から出ると、今日子さんは、
私を眠らせないことが厄介の仕事なんでしょう?
と、いつもとは違う大人のニュアンスで言いました。

しかし結局、厄介と今日子さんが結ばれたのかどうかは分からないまま、
翌日になります。

再びシャン・ドゥ・マルス公園を訪れた厄介と今日子さんは、
行列に並び、エッフェル塔の内部に入りました。

エッフェル氏の胸像もあり、
1832‐1923と生没年が書かれていました。

今日子さんによると、
エッフェル氏はエキセントリックな変人だったのだそうです。

最上階まで上ると、その理由が明らかになりました。
エッフェル塔の最上階には多角形の部屋があり、
地上300メートルの場所に、エッフェル氏の私室があったのです。

どうして自分がエッフェル塔を盗もうとしているのか、
という疑問に対しては、
今日子さんは下見を終えても分かりませんでした。
が、それは盗んでから考えることにします。

オープンカフェに入り、ランチをとりながら、
今日子さんはエッフェル塔を盗むアイデアは3つある、と言いました。

第一案は、「バラバラ殺人大作戦」です。

エッフェル塔をバラバラに分解して、限界まで細かく切り分けて、
ひとつずつ運搬するのです。
その際、盗んだパーツと同じパーツをその場に置き、
盗難が発覚しないように工夫します。

ただし、この第一案は、完了までに200年程度かかる見積もりです。

第二案は、「エッフェル塔消失トリック大作戦」です。

エッフェル塔を盗むのではなく、
手品というかイリュージョンのようにエッフェル塔を消す、
という方法です。

今日子さんにとっては推しの一案ではなかったようですが、
本当に盗むのに比べると平和的な案なので、
厄介は「最高じゃないですか!」と言い、推しまくります。

その後、カフェの店員が今日子さんの服に
グラスを取りこぼしてしまい、大きな染みができてしまいます。

今日子さんは笑顔で店員に応じてカフェを出て、
有名ブランドショップに入店しました。

服を手に取った今日子さんが試着室に入ろうとしたとき、
厄介は試着室の中が安全であることを確かめてから、
今日子さんを中に入れます。

それからしばらくして、
厄介は小柄な日本人の好々爺に話しかけられました。

好々爺は、エッフェル塔を見に行きたいが迷ってしまった、
と言い、厄介に道案内を頼みます。

今日子さんを試着室に残したまま、
道案内をするために厄介は店を出ます。

その途端、厄介は「意識を失いました。

目が覚めると、貸し切りにされた見知らぬレストランの中で、
先ほどの好々爺と2人きりになっていました。

この好々爺こそが、
怪盗、矍鑠伯爵(かくしゃくはくしゃく)だったのです。

怪盗淑女というのは、今日子さんのためにでっちあげたものでした。

食事が終われば、マジックインクの溶解液の土産付きで、
帰してくれる、と矍鑠伯爵は言います。

厄介がフランスに行くことになり、
今日子さんの助手になったのも、
カフェの店員にグラスを今日子さんの服にこぼさせ、
今日子さんと厄介を分断させたのも、老爺の計画通りでした。

今日子さんを怪盗淑女に仕立て上げ、
今日子さんにエッフェル塔を盗む方法を考えさせ、
助手の厄介を通してその方法を聞く、というのが矍鑠伯爵の計画でした。

事件の依頼人も、矍鑠伯爵でした。

今日子さんをフランスにおびき寄せるときには、
今日子さんの過去を知っている風に装ったのだそうです。

矍鑠伯爵はエッフェル氏を傑物と評し、
アメリカの自由の女神像を建築したのもエッフェル氏だ、
という意外な豆知識を披露します。

そんな偉大な建築家が正当な評価を受けていないことが我慢ならない、
と矍鑠伯爵は言います。


エッフェル塔は、当初は万博のために無目的に建てられたもので、
すぐに取り壊される予定でしたが、図らずもそののち、
電波塔としての役割を持ち、目的が後付けされた、
という史実があります。

しかし、「矍鑠伯爵は、電波塔が必要になるという未来を予測して
エッフェル塔を建てたのではないか、という自説を披露します。

矍鑠伯爵は、そんな設計思想を盗みたがっていたのでした。

そのタイミングで、
レストランのソムリエールに扮していた今日子さんが正体を現し、
第三案の『一人二役第三の大作戦』について話し始めました。

あのとき試着室に入った今日子さんは、
鏡に映った左手の『怪盗』という文字を見て、
自分の筆跡ではないと気付き、探偵であることを思い出したのでした。

鏡に映ると、筆跡の微妙な違いが顕著に浮き彫りになるのです。

眼鏡をかけたまま鏡の前で服を脱ぎ、
文字を認識するシチュエーションというのは、
試着室に入っているときくらいなので、
これは明らかに矍鑠伯爵のミスでした。

既にパリ警視庁には通報済みですが、忘却探偵である今日子さんに、
パスポートなしの海外旅行を斡旋できるほどの大物を、
法で捌くのは無理なので、逃亡の余地を残していました。

今日子さんは矍鑠伯爵の席を譲ってもらい、
第三案について説明します。

まず、エッフェル氏の作品である自由の女神像は、
その名の通り、自由をテーマに掲げた作品です。

エッフェル塔は、万博のために建てられた友愛の象徴であり、
当初は赤をベースに塗られ、
今も夜になればあかあかとライトアップされます。

フランスの国旗は、赤と白と青ですが、
赤が友愛で、青は自由を意味します。

友愛と自由を、ヨーロッパとアメリカ大陸という、
世界の両面に配置することで、地球を平等に包んでみせた、
その塔には平等ゆえに高さも低さもなく、誰にも盗めない塔でした。

という設計思想の説を今日子さんは矍鑠伯爵に教えました。

矍鑠伯爵が逃げた後、エッフェル塔を盗むのも無理難題ではない、
と今日子さんは言い、レストランの窓の外の風景を見せます。

すると、そこにはエッフェル塔は見えませんでした。

どんな手を使ったのかと驚く厄介に、今日子さんは、
このレストランはエッフェル塔の中にあるのだとネタバラシをしました。


本編はこれで終わりですが、後日談というか予告として、
この後、イギリス行きのチャーター便に乗せられ、
現代に蘇ったモリアーティ教授を名乗る魔術師と、
推理合戦をする、という旅行記の第二弾が語られます。

というあらすじなのですが、「エッフェル塔を盗む」という大風呂敷は、
ちゃんと畳めていたのでよかったと思います。

予告されたイギリス編に関しては、
本当に小説化されて出版されるのか不安ですが……。

歌野晶午「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」7話「人でなしの恋からはじまる物語」のネタバレ解説

この短編が最終話です。

今回の元ネタは「人でなしの恋」です。

主人公の女性の結莉愛は、四六時中スマホのゲームにハマっていました。
そのせいで家事がおろそかになり、夫と関係がギクシャクしてしまいます。

夫婦喧嘩をしているときもスマホを離さなかったため、
怒った夫がアイロンでスマホを叩き潰して壊してしまいます。

結莉愛はわめきながら夫に体当たりし、夫が落としたアイロンを拾うと、
そのアイロンで夫を殴り殺してしまいました。

傷害致死ということになり、3年の刑期を終えて結莉愛は出所しました。

しかし、娘は夫の実家に養子という形で引き取られ、刑期を終えても、
娘が成人になっても、会わないことを約束されました。

自分の実家に帰ることもできなくなります。

受刑者の支援団体を名乗るところから接触があり、
苗字を変えるために70歳の年金生活者、
砂村威夫(たけお)と結婚します。

が、出所当時27歳の結莉愛は、新婚初日から、再婚したことを後悔しました。

威夫と日がな一日顔をつきあわせているのに耐えられず、
スーパーのレジ打ちの仕事を始めます。

結婚生活が始まってから2ヶ月後、威夫は、
結莉愛が変な寝言を言っていたようだと言いました。

それは、刑務所にいるときに結莉愛が
「写経」のようにノートに書き写していたおまじないの文面でした。

刑務所で、そのおまじないがしあわせを呼び込むとして、
先輩から後輩に代々伝わっていたのです。

威夫はそのおまじないに興味を持ち、図書館で調べてきました。
どれも1990年に放送されていたテレビ番組だと突き止めました。

その番組が放送されていたチャンネルの番号を数字とし、その数字の1を「あ」、
2を「い」、という風に置き換えると、
埼玉県朝霞市の住所が現れました。

さらに、1990年に日ノ本証券の役員宅に強盗が押し入った、
という事件があり、その犯人の女性の中根伸江が結莉愛と同じ刑務所に入所し、
獄死していたことを突き止めました。

中根伸江は生きて出られないと覚悟し、
自分の後輩の受刑者に託すために暗号を作ったのです。

結莉愛は朝霞市の住所に行きますが、「そこには既にアパートが建っていました。

結莉愛は怒り狂い、威夫に当たり散らします。
しかし威夫は、そうやって感情を剥き出しにしてくれて嬉しかった、と言いました。

結莉愛はそんな威夫のことを、初めて『夫』と認識し、何か食べていきましょう、
と優しい言葉をかけました。

場面が変わり、問題のアパートを建てた建築業者に務める西川次郎が、
ジェラルミンケースに入っていた株券を見つけました。
しかし、家に帰って興奮して妻と話しているうちに、
その株券の会社、日ノ本証券が既に倒産していることを思い出したのでした。


というあらすじなのですが、暗号ものとしては完成度が高かったと思います。

歌野晶午「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」6話「陰獣幻戯」のネタバレ解説

この話の元ネタは、江戸川乱歩の「陰獣」です。

主人公の男は、子供の頃からずっと、
女性を異常なほど妄想のネタとして見ていました。

48歳になって高校の副校長になった現在でも、
それは変わりませんでした。

ある日、主人公は〈RAKKAUS〉という、
北欧の家庭用品のセレクトショップの店主、
芝原由貴に狙いを定めました。

芝原はそれから2ヶ月間、ラッカウスに通い、
由貴と親しく会話をするようになります。

ある日、ゴミ箱に江戸川乱歩の文庫本が入っているのを見つけました。

由貴は、「屋根裏の散歩者」や「人間椅子」はあり得る話だと思うか、
と主人公に訊きます。

店のツイッターのアカウントに、大江春泥と名乗る人物から、
ストーカー的な文章がダイレクトメッセージで送られていました。

さらに、先ほど主人公がゴミ箱で見つけた文庫本が郵送されてきて、
「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」の扉ページに
栞が挟んであったのだそうです。

そして、犯人が店内にいないと分からないような由貴の行為が
克明に書かれた文章が、再びツイッターで送られてきました。

犯人に心当たりはあるか、と主人公が訊ねると、
高校時代に付き合っていた女の子の、伽耶子かもしれない、
と由貴は言いました。

しかし、付き合い始めてから、由貴は伽耶子が好きではないことに気付き、
別れを告げました。
伽耶子は納得できず、別れ話がこじれましたが、
由貴は海外に転勤する父親についていき、伽耶子から逃げました。

主人公が由貴の相談に乗っていると、そこへ初老の男がやってきて、
尊大な態度をとります。
主人公は、その男が由貴の夫だと思い、店を出ました。

後日、再びラッカウスに行くと、あの男は田端と言って、
由貴の夫ではなく、この店の世話をしてくれている人なのだ、
と由貴は言いました。
しかし主人公は、由貴はあの男の愛人なのだと察しました。

主人公は、本当に天井裏にストーカーが潜んでいないか確かめようと言い、
住居の方へ移動します。
由貴には店番をしているようにと言い、主人公は天井板をずらしました。

が、天井裏には埃が積もっており、
誰かが潜んでいたような形跡はありませんでした。

その2日後、大江春泥からツイッターに新たな脅迫メッセージがあったと、
主人公は由貴に呼び出されました。

しかし由貴は、「主人公こそが大江春泥なのだろうと言います。

新たなメッセージの中に、
伽耶子や同級生なら絶対に書かないことが書かれており、
由貴は主人公がストーカーだと気付いたのでした。

主人公は、由貴の店の品物にカメラを仕掛けたり、
天井裏を調べると言ってエアコンのフラップと吹き出し口の間にも、
カメラを仕掛けたりしていました。

主人公が、好きだから由貴に意地悪をしたのだと言うと、
由貴は嬉しいと言ってキスをしてきました。

しかし、その後で、由貴の本名がユキではなくヨシタカであり、
伽耶子と付き合っていた頃は男性として生活していた、
と知ると、主人公は由貴を突き飛ばして殺害してしまいました。

由貴は身に着けていたペンダントに、ライフログカメラを仕込んでおり、
そのカメラの映像を見た警察は、主人公を逮捕しました。


というあらすじなのですが、
この短編集の中で一番クズな主人公はこいつだな、と思いました。

歌野晶午「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」5話「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」のネタバレ解説

主人公は、友人の三宅と一緒に、
江戸川乱歩の「赤い部屋」を下敷きにした舞台劇を見に行きます。
この回が最終公演でした。

役者たちが、玩具の拳銃を撃ち合う場面が繰り広げられ、
やがて役者Dが、誰か撃ってみたい人はいるか、
と観客に向かって訊ねました。

三宅が手を挙げると、三宅はステージにあげられました。
Dに向かって拳銃を撃つようにと言われます。

Dが倒れ、三宅は役者たちから「殺した」と責められます。

ところが、Dはいつの間にか立ち上がっており、
赤インクを入れた偽の弾丸が拳銃に入っていたのだと言いました。

そのまま劇が続行し、給仕女が役者Tを撃ち、Tが死ぬ、
という場面で劇は終わります。

ところが、劇が終わってもTが立ち上がらず、
役者たちは本当にTが死んでいると大騒ぎし始めました。

客の中に警察関係者がいて、主人公たち観客は足止めされます。

救急車のサイレンの音がし、救急隊員がやってきて、
Tを担架に乗せて運び出していきます。

30歳前後の、血色も髪の艶も悪い男が、
まだ帰ってはいけないのかと催促します。

そこへ、外から鑑識や刑事たちがやってきて、捜査を始めます。

例の客は、用事があり、急いでいると言いますが、
刑事たちは帰してくれません。

刑事たちは観客に、前回までと今回の劇で、
違った場面はなかったか、と訊きました。

やがて複数の客が、前回はあった場面が今回はなかった、
と証言しました。

そこへ、決定的な証拠が見つかりました、と言って、
殺されたはずのTがやってきました。

実は、ここまでが全部、劇の内容だったのです。
救急隊員や鑑識や刑事たちも、全員が役者でした。

最終日の最終公演限定の、サプライズだったわけです。

殆どの観客は拍手をし、スタンディングオベーションとなりました。

しかし、早く帰りたいと言っていた例の客が、
本当に急ぎの用事があったんだから芝居なら拘束するな、
と叫び、舞台監督の首筋をカッターナイフで切り付け、
さらにカッターナイフを振り回しました。

しかし、これも芝居だと思っている客席からは失笑が漏れました。


というあらすじなのですが、
最後の客が舞台監督をカッターナイフで切り付けたのは、
芝居ではなかったんじゃないかと思います。

狼少年になっていて、観客は誰も信じてくれませんでしたが。

歌野晶午「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」4話『「お勢登場」を読んだ男』のネタバレ解説

この話の元ネタは「お勢登場」です。

主人公の賀来太郎(かく・たろう)は、
東京の新宿で喫茶店をやっていました。
テレビ局の近くという立地条件のおかげで、それなりに繁盛しており、
客として来店した十五歳以上年下の新米ディレクターである瀬井裕子と、
結婚することができました。

しかし、若い嫁(と言ってもアラフォーですが)とは体力が違い、
太郎は夜の行為を満足にすることができませんでした。

やがて、裕子は出張と称して浮気を繰り返すようになります。
しかし、太郎は裕子と離婚したくなかったので、黙認しました。

追い打ちをかけるように、テレビ局が移転し、
著作権団体から店で流している音楽の使用料の支払いを求められ、
喫茶店も畳まなければならなくなりました。

太郎は主夫となりました。
そんなとき、裕子の父親の孝介が認知症になり、
引き取り同居することになりました。
裕子はテレビ局の仕事があるので、
孝介の介護は太郎が一手に引き受けることになりました。

しかし、介護疲れから、太郎は孝介に殺意を抱くようになります。

そんなとき、太郎は孝介の家から持ち帰った江戸川乱歩集の中の、
「お勢登場」を読みます。

「お勢登場」は、肺病もちで働くことができない格太郎が、
子供たちを相手に隠れん坊をして、長持ちの中に入ったたところ、
蓋の掛け金が自然にかかってしまい、出られなくなります。
格太郎は妻に助けを求めますが、若い男との逢瀬を重ねている妻は、
格太郎を見殺しにしてしまう、という話です。

それを読んだ太郎は、
孝介を事故に見せかけて殺害しようと思いつきました。

自力で入ることができるか確かめるために、
太郎は茶箱の中に入ってみました。

しかし、そこへ孝介がやってきて、
お片付けと称して茶箱の上に衣装ケースを置いてしまいます。

太郎は、孝介を茶箱の中に閉じ込めて殺すつもりが、
逆に自分が閉じ込められてしまったのです。

太郎が混乱していると、スマートフォンが鳴りました。
裕子から電話がかかってきたのです。
裕子に助けを求めると、最初はフランスにいるから無理だと言いますが、
消防や管理会社に裕子の方から連絡してくれることになりました。

太郎は一安心しますが、
その間に裕子はスマートフォンを遠隔操作でロックしてしまいました。
太郎のスマートフォンは、裕子のお下がりで、
契約者も裕子になっていたため、そんなことが可能だったのです。

助けも来ず、太郎は裕子を呪いながら死にました。


というあらすじなのですが、
もともとは太郎が孝介を殺そうとしなければこんな事態にはならなかったわけで、
ある意味自業自得かもしれませんね。

大樹連司・鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻7章「キリエ」のネタバレ解説

チズが「自分で自分の頭を撃った後、
キリエは庄司を病院へ運ぶよう、コエムシに頼みました。

コエムシが戻ってくると、次のパイロットは誰なのか、
と訊きました。しかし、誰も名乗り出ません。

さらに、≪人形≫が勝手に動き出し、
≪洋梨≫を内側からこじ開けようとしていました。

マーヤによると、操縦者はここで戦うのが決まりなので、
コックピット内にいるのは間違いありません。

やがてキリエが、チズの赤ん坊が契約者なのではないか、
と言い出しました。

≪人形≫が癇癪を起こすように大きく身をよじると、
≪洋梨≫の花弁がはじけとんで四散しました。

≪人形≫がめちゃくちゃに腕を振り回し、
その先端が敵の急所を叩き潰します。

信じられませんが、これで≪人形≫は勝ちました。

しかし、自分が戦い、勝利したことなど何も分からない赤ん坊は、
勝った後もじたばたと駄々をこねていました。

やがて、≪人形≫の顔にある光点が1つ消え、
残りは8つになりました。

顔にある光点の数が、残りのパイロットの数に一致している、
というのがキリエの推測でした。

しかし、生存している子供たちの人数は、マーヤを除くと9人なので、
数が1つ合いません。

誰か1人契約していないことになるわけですが、
誰も自分が未契約者だとは名乗り出ませんでした。

やがて、キリエが声を呼ばれ、自分が次のパイロットだと名乗り出ました。

しかしキリエは、もしも自分が、
≪洋梨≫の最初のパイロットの少女と同じことをしたら、
田中さんは、ぼくを殺しますか? と訊きました。

それから4日後、足りなくなったパイロットを補充するために、
田中と関が契約しました。
そのとき、マーヤが田中に突っかかると、
いま、この場で契約できないようなら、
この子たちの保護者だという言葉が嘘になってしまう、と田中は言いました。

その後、キリエ以外のメンバーで食事をとりながら、
ブリーフィングをします。

ワタシたちを全員殺して、
きちんと訓練を受けた軍人たちが代わりにパイロットになる、
ということも可能だ、とマリアは言います。

しかし、軍の上層部がそういう結論に達しないよう、
田中と関は、契約者が契約者以外の手によって殺された場合、
この地球は消滅する、と上層部に嘘の報告をしていました。
また、欠員が出た場合、
即座かつ無作為に近くにいた別の人間(この場合は田中と関)が
次の契約者となる、という嘘の報告もしていました。

コダマは、庄司が撃たれたのは俺のせいでもある、
と言いますが、田中は、あの場でのあなたの行動が、
完全に悪いことだとは思っていない、と言います。

キリエは、カコやツバサのとき、自分が相手の地球人を殺したようなものだ、
と考えていました。

のみならず、ワクやチズのことも、自分の責任だと感じていました。

キリエは、マーヤがネタバラシをする前から、
コズエが戦ったのは並行世界の地球ではないか、と思っており、
それをチズにも話していました。

チズは最初、原作の漫画と同じように、
≪人形≫を使って直接畑飼たちに復讐しようとしていました。
しかし、もしも自分の戦いがアウェイ戦になってしまったら、
その方法だと復讐が失敗してしまいます。

そこで、チズは保険として庄司に畑飼たちの殺害を依頼したり、
ホーム戦のときにパイロットを殺して、
自分がその戦いのパイロットに成り代わったりする、
という方法を考えていたのです。

また、チズが拳銃自殺したとき、
チズが自殺に失敗して延命してしまうと自動的に戦闘に負けてしまうので、
キリエは、庄司を病院に運べとは言っても、
チズを病院に運べとは言いませんでした。

それが、ワクやチズのことも自分の責任だと感じている、という意味です。

場面が代わり、キリエの視点になります。

キリエの家は、カコの戦闘のときに被災してしまっており、
現在は仮設住宅で暮らしていました。

キリエは母親に頼まれ、隣の仮設住宅に引っ越してきた、
母親の姉にあたる人物の家に行きます。

そこで、キリエの4歳年上の従姉妹である、和子の遺影に線香を上げました。

和子は高校生のときに、1人の友人の苦しみを一緒に背負って、
友人と一緒にマンションの上から飛ぶことにしました。
しかし、和子は飛べず、友人は死んで和子は生き残り、
生きることも死ぬこともできなくなっていました。

しかし、カコの戦闘で火災が発生しました。
和子は、炎に包まれた家から逃げず、亡くなったのでした。

キリエが廃校になった学校へ行くと、カコの姉に声をかけられました。

カコの姉は、カコの生存を信じてカコを探しており、
カコの情報を集めるポスターをキリエに渡しました。

その夜、キリエは田中のいる横田基地を訪れました。

キリエは、≪洋梨≫の最初のパイロットだった少女の気持ちは分かるが、
今は肯定できない、と言います。
彼女にとっての相手のパイロットは、自分の世界のためなら何でもする連中だった、
そう勝手に決めつけていました。
しかし、実際にはワクは、敵のはずの彼女をかばいました。
だから、キリエは、彼女がとても傲慢な気がしました。

キリエは田中に頼み、畑飼に会わせてもらいます。
そのとき、田中から一本のナイフを渡されました。
そのナイフは、チズのナイフでした。

畑飼のところに行きますが、畑飼は自分がチズに対してやった行為を、
全く反省しておらず、キリエを自分の側に引き込もうとしました。

しかし、キリエがナイフを見せると、さっさと殺せ、と畑飼は言います。

キリエは、「自分には畑飼を殺す理由も権利もない、と言います。
キリエがいま畑飼を殺しても、畑飼は後悔もしないし悔い改めもせず、
運が悪かったと思うだけです。
それだと、畑飼を肯定してしまうことになる、とキリエは考えました。

先生はその生き方を貫いて、行けるところまで行ってください、
そのためにぼくは戦います、とキリエは言いました。


それから1週間後、戦闘があります。
今回はアウェイ戦でした。

敵は、矢理のように細い胴体と二対の鋭い剣のような翅を持った、
≪蜻蛉≫でした。

≪蜻蛉≫は高速で空を飛び、≪人形≫を傷つけます。
≪蜻蛉≫はあまりにも速く動くため、≪人形≫の攻撃は当たらず、
劣勢に追い込まれます。

そのときコダマが、≪蜻蛉≫に乗っている敵のパイロットの気持ちになって考えろ、
とアドバイスをしました。

≪蜻蛉≫はもともと、≪人形≫の行動を先読みして攻撃してただけだったので、
≪人形≫が≪蜻蛉≫の攻撃を避けようとしないことで、
逆に攻撃を回避することができました。

さらにキリエは、「≪蜻蛉≫に背を向けて走り出します。

そのとき思い出していたのは、カコとの思い出でした。

カコはキリエのペースに合わせて長距離走を走り、
キリエが最下位にならないように自分が最後にゴールしたことがありました。

さらにカコは、足が遅いキリエに、
『よーい、ドン』の『ドン』で走るのではなく、
『よーい』で走るのだとアドバイスをし、
そのおかげでキリエは小学校の最後の運動会の短距離走で、
生まれて初めてビリ以外の順位をとりました。

≪蜻蛉≫のパイロットは、背中を見せて走る≪人形≫に、
一直線に攻撃を仕掛けます。
しかし、攻撃が当たる直前に、≪人形≫が振り返り、≪蜻蛉≫を攻撃しました。

攻撃は当たり、≪蜻蛉≫が地面に激突します。
≪人形≫はそのまま何度も≪蜻蛉≫を攻撃し、
半壊した白い球体、敵のコックピットが現れました。

キリエはコエムシに頼み、敵のコックピットに転送してもらいます。
そして、敵のパイロットである少女を、
チズのナイフで直接殺害しました。


というあらすじなのですが、キリエの敵との戦い方が、
とてもキリエらしくて良かったです。

キャラの特性を生かす、というのはこういう意味なのだと思います。

デブなキリエが意外と速い、
とかいう意味不明なことをやったアニメにも見習ってほしかったです。

2巻はここで終わり、3巻に続きます。

大樹連司・鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻6章「チズ」のネタバレ解説

みんなはチズを責めますが、チズは平然としていました。

ちなみにチズから見ると、≪洋梨≫の女の子は、
大してコズエに似てるとも思えませんでした。

コエムシに頼み、ワクを死体置き場に移動させます。

次のパイロットとして名前を呼ばれたのは、チズでした。

チズは、わたしはちゃんとこの世界のために戦う、
ただし、対価がほしいと言いました。

まず、チズは庄司に、拳銃を渡すようにと言います。
庄司が渋っていると、赤城の傍にレーザーを着弾させ、
脅してみせました。

庄司から拳銃を受け取りますが、セイフティがかかったままでした。
コダマがそのことを教えてくれ、チズはコダマにお礼を言いました。

チズは、前に庄司に探してほしいと頼んだ5人を、
いますぐ、殺してくださいと頼みました。

一方、≪洋梨≫と戦闘中だった国防軍は、
あっさりと≪洋梨≫にやられてしまい、
赤城が沈められるのも時間の問題でした。

田中はチズを説得しようとしますが、
自分が勝ったら百億人死ぬのだから、たった5人殺すのが駄目なら、
百億人殺すのは駄目でしょう、とチズにやりこめられてしまいます。

言うことを聞いてくれないのなら、
≪人形≫を使って自分で殺しに行く、とチズは言います。
そうなれば、カコのときのように街に被害が出て、
関係ない人もたくさん死んでしまいます。

誰もが黙り込んでしまいましたが、ただ1人、キリエだけが、
いまチズのやってることは、チズの先生と同じことだよ、
と言いました。

それを聞いたチズは苛立ち、キリエも殺すと言い始めます。

とうとう庄司はチズに屈し、チズの要求を呑むと言いました。

ここで回想があります。

チズは昔から男の子が嫌いでした。
しかし、大好きな姉にそんな話をすると、
姉は付き合っている人がいるとと言い、
今度紹介してもらうことになりました。

その後、中学に入学したチズは、
担任になった社会科の畑飼(はたがい)にひと目惚れしました。

チズは強引に畑飼との距離を縮め、畑飼の部屋に上り込み、
抱きついて告白しました。

畑飼は、付き合ってる人がいる、と言いましたが、
チズはそのまま初.体験をしました。

ものすごく痛かったけど、先生さえいれば、ほかに何もいらない、
とチズは思いました。

しかし、「はじめて」から2ヶ月がたったころ、
チズは畑飼に連れられて、ホテルのスイートルームに連れて行かれました。

そこには、畑飼の友達の男4人がいて、
チズと畑飼が行為をしているムービーを観ていました。

畑飼は、これからデートなんでと言い、
4人の男たちから後でお金をもらう約束をし、部屋から出て行きました。

次の日の朝、4人の男たちは、逃げ場はないよ、とチズを脅しました。
チズが警察に行けば、チズの情報つきでムービーが流布し、
いまの日本の法律だとせいぜい10年くらいで出所できるのだそうです。

チズは、考えて、考えて、考えて、畑飼を殺すことにしました。

しかし、畑飼にナイフを向けても、畑飼は余裕の態度を崩しませんでした。
そのとき、チズは「つわり」で嘔吐し、自分が妊娠していることを知りました。

チズは、大人たちに対抗し、畑飼に復讐する力を求めました。

自然学校で契約し、「ゲーム」が始まったとき、チズは勝ったと思いました。
しかし、それはチズとお腹の子と引き換えにしてのものでした。

国防軍がロボットのことを知り、チズの身体検査をしたとき、
妊娠していることを知られました。

そのとき、お腹の子だけでも救うことはできる、と言われましたが、
チズは信じませんでした。
大人たちは、子どものこともサンプルか何かとしか考えていないに違いない、
と思いました。

回想終わりです。

庄司は、依頼された人物の殺害は完了した、と言いましたが、
チズは「嘘」と即答し、小さめの船にレーザーを撃って撃沈させました。

パイロットになった今のチズには、
誰が生きていて、誰が死んだのかがわかるのです。

次は赤城を沈めると言うと、庄司は今度こそ殺害命令を出しました。

1人目。
≪洋梨≫と戦いながら、コックピットに「窓」が開き、
家族団らんの光景が映りました。
中年の男が、高級マンションの一室で、
小さな娘に何事か語りかけながら笑っています。
その男の後頭部が、突然、弾けました。

2人目。
警察署です。
1人の男が部屋の中で書類にハンコを押しています。
その部屋が、爆発、炎上しました。

3人目。
弁護士バッジをつけた男が、裏路地に引き込まれます。
背中にナイフが突き刺さりました。

4人目。
電車のホームに立っていた男が、線路に突き落とされます。
そこに電車がやってきて、血しぶきが上がりました。

5人目は、いよいよ畑飼です。
畑飼は現在自動車で移動中で、同乗者がいる、
このままでは、関係な人間まで巻き添えになる、と庄司は言います。

しかしチズは、かまわないと言い、庄司は狙撃の指示を出しました。

コックピットの「窓」には、畑飼の運転する自動車の助手席に乗る、
チズの姉の姿が映っていました。

チズは狙撃をやめてと叫びましたが、間に合いませんでした。

自動車の後輪がパンクし、車がスピンし、
助手席が電柱にぶつかり、チズの姉は死亡しました。

チズは庄司に向かって拳銃を撃ち、八つ当たりします。

≪人形≫の足が止まり、それを待っていた≪洋梨≫が接近し、
上昇しました。

≪洋梨≫の本体が花弁のように4つに大きく開き、
≪人形≫の上に落下し、花弁が閉じます。
≪洋梨≫は、さらに溶解液を出し、≪人形≫を溶かそうとしました。

コダマは、チズは責任をとって戦うべきだと言いますが、
チズはぼうっとしていました。

コダマは、チズが混乱して落とした拳銃を拾い、
チズの後頭部に押し当てます。

コダマは、戦わないなら殺すと言いましたが、
チズは逆に「殺して!」と叫びます。

ところが、コダマは「チズを撃つことができませんでした。

チズはコダマに、いくじなし、と言い、拳銃をもぎとると、
自分のこめかみに拳銃をあて、引き金を引いて自殺しました。

ここで走馬灯があります。

チズが中学校に進級する1年前、チズの姉が高校1年生になったときの、
家族旅行のエピソードです。

本当はタイガーカップという遊園地に行く予定だったのですが、
入場券を家に忘れてきてしまい、
近くのキャンプ場でキャンプをすることになりました。

チズがお肉が食べたいと言うと、父は生きた鶏を持ち帰り、
チズに鶏を絞めるようにと言いました。

チズが嫌がると、チズの姉が代わりに、ナイフで鶏の頸動脈を切り、
血抜きをし、殺しました。

さらに、鶏を解体し、網で焼きます。
チズは最初は嫌がりましたが、姉に諭されて鶏肉を食べました。

その翌日、父に謝られ、鶏をさばいたナイフを渡されました。
おそらくこのナイフが、チズが畑飼を殺そうとしたナイフだったのでしょう。

命を奪うということの重みを忘れないでほしい、と父は言いました。

その言葉を思い出し、チズは「お腹の子に謝りながら死にました。

大樹連司・鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻5章「ワク」のネタバレ解説

ぼくらの~alternative~2 (ガガガ文庫)


1巻4章「ツバサ」の続きです。

2巻は第5章の「ワク」編が長く、1冊のうち半分くらいを占めています。

交番勤務の村井巡査は、
被災地で他の少年と喧嘩をしていた少年を補導しました。

荷物から、補導した少年の名前は和久隆であることが判明しましたが、
和久隆は黙秘を貫いています。

そこへ、警察署長と、国防省軍令局の佐々見という男が現れ、
和久隆を連れて行ってしまいました。

その夜、村井巡査は、和久隆という少年が、
今日になって半壊したビルの下敷きになり死亡したことを知りました。

しかし、その時間、村井巡査は和久隆を補導していたはずなのです。
村井巡査は自分の勤務記録を調べますが、
和久隆を補導したという記録は一切残っていませんでした。

場面が変わり、ワクはヘリコプターの中で佐々見と話をします。
佐々見は既に、ワクやその仲間たちが、
ロボットのパイロットであることを知っていました。

ワクは国防軍の横田基地に連れて行かれました。

そこには、
カンジこと、吉川寛治。
マリアこと、一之瀬マリア。
キリエこと、切江洋介。
チズこと、本田千鶴。
マコこと、阿野摩子。
コダマこと、小高勝。
アンコこと、徃住愛子。
ウシロこと、宇白順と、妹のカナこと、宇白可奈。
と、9人の仲間が集まっていました。

背後から、コモこと、古茂田孝美に話しかけられます。
コモの隣には、海上国防軍に所属するコモの父親がいました。

コモは重圧に耐えかねて、父親に話してしまったのでした。

佐々見は、今後あのロボットを動かしてはいけないと言い、
ワクたちを怒鳴りつけました。

佐々見に命令され、ワクたちは身体検査を受けさせられました。

その後、庄司邦夫一等陸尉、関政光一等海尉、
田中美純一等空尉の3人を紹介され、個別に尋問されました。

その際、チズだけ途中で尋問を打ち切られ、
別室に連れて行かれました。

尋問が終わると、明日も親に内緒で時間を作るようにと言われます。

ただし、今回のパイロットのワクだけは家に帰ることはできませんでした。
ワクは公式には死亡扱いになってしまったのです。

翌日、マコはワクに謝ろうとして、謝ることができませんでした。
実は、コモを説得して大人たちを介入させたのはマコだったのです。
ツバサの戦闘のときに倒れたナギが、
現在マコの弟を妊娠中の母親と重なり、
母親を守るためには大人たちの力があった方がいいとマコは考えたのです。

海洋にある二段空母、赤城に移動した後、
佐々見はロボットを調査したいと言い出します。
しかし、マリアは、
他国に対する軍事的優位を手に入れるのが目的ではないか、
と痛いところをつきます。

庄司と佐々見はマリアに対して敵対的な態度をとり、
マリアの身柄も拘束すると言います。
しかしマリアは、コエムシが協力すればテレポートできるのだから、
拘束するのは無理だと言います。

マリアはコエムシを呼び出し、
マリアと庄司を父親の艦にテレポートさせてもらいました。

原作のコエムシに比べれば、小説版のコエムシはまだ穏やかな性格なので、
発艦作業中のカタパルトに転送される程度で済み、
怪我はしませんでした。

田中が説得し、ロボットを見せてもらうことにしました。
まるでお子さんでもいらっしゃるような口ぶりね、
と、いつの間にか現れたマーヤが言うと、
カナと同じ10歳の娘がいると田中は言いました。

マーヤが許可し、≪人形≫が出現します。

数日間、実りのない調査を続けた田中と関は、
カコの遺体を発見しました。

さらに、カコ以外にも何十、何百という夥しい数の死体があり、
全く腐敗した様子がありませんでした。
その中には、関とそっくりな遺体もありました。

ワクは自主的に空母に留まっていてくれますが、
子供たちの中にはコエムシの力を借りて
それを拒む者もいるかもしれないということで、
陸防の庄司は膨大な量の仕事をこなしていました。

そこへ、チズがテレポートしてきて、
5人の男たちを探してほしいと庄司に依頼しました。

たとえば、「モリタ 50代くらい 中肉中背、
ニックネーム・ショチョウ……署長か?」
という曖昧な特徴が書かれていました。

(余談ですが、アニメ版「ぼくらの」の監督の苗字も森田です。
しかし、よくある苗字ですし、これは偶然でしょうね。たぶん)

顔写真くらいは分からないとどうしようもない、
と言った庄司に、チズは記録媒体を渡しました。

そこに録画されていたのは、
チズが5人の男たちにレ○○されているシーンでした。

チズは、この5人に復讐したいと言いますが、
庄司は警察に届けるべきだと言います。

そんな綺麗事を振りかざす庄司の前で、
チズは自分のワンピースを引き裂きました。

庄司に乱暴されたことにしたり、
庄司を5人の仲間であると偽証したりしてもいい、
とチズは脅迫します。
庄司はチズの言いなりになるしかありませんでした。

チズが自分の部屋に戻ると、マーヤが現れ、
このままだと戦う理由がなくなったワクは負ける、
チズが女の子としてワクを元気づけてあげればいい、と言いました。

一方、ワクのところに、マコやマリアやキリエが遊びに来て、
ワクを励ましていました。
軍人たちもワクに優しくしてくれます。

軍人はワクたちに自分の部隊のTシャツを勧めており、
それを聞いたマコは、ユニフォームがあるといいと思うか、
とワクに訊きました。
ワクはすぐに「おう」と頷きました。

皆の前では明るく振る舞っていたワクでしたが、
艦内の自分の部屋に戻り、関が訪ねてくると、
自分のお通夜のことを思い出してしまいました。

お通夜のあった日、ワクはコエムシに転送してもらったのですが、
強がっているワクの級友がワクの悪口を言っているのを聞いてしまい、
両親の顔も見ずに艦に戻ってしまいました。

地球が滅亡の危機だっていうのに、大人たちはケンカばかりしている、
オレが守りたいって思った世界はどこにあるのか、
オレは何のために死ぬのか、とワクは後ろ向きなことを考えていました。

ワクの部屋を出て、関が田中と相談しているところに、
カナとコエムシが現れました。
コエムシは、カナがお願いがあるのだと言いました。

その夜、ワクの部屋に、何ひとつ身にまとっていないチズが現れました。
チズは、わたしを愛しなさい、愛するわたしのために戦いなさい、
と言い、ワクを押し倒しました。

しかし、ワクはこんなのは違うと思い、チズを拒絶しました。

次の日の夕刻、敵が襲来しました。

田中と関もマーヤの計らいでコックピットに転送してもらえました。
チズは庄司にも来てもらった方がいいと言い、
コエムシは庄司も転送しました。

関はワクに、予定通りロボットを動かさないように、と言います。

大人たちは、敵は国防軍が倒す、そうすればワクは死なずに済む、
と甘いことを考えていたのです。

しかしマーヤは、この≪人形≫を動かさずに勝った例など、
これまでに見たことがないと言います。

やがて、敵性トミコローツ≪洋梨≫が現れました。
くびれをもった丸くて背の低い瓶のような形をしています。

国防軍は、怪獣の総称を「トミコローツ」とし、
≪人形≫のことは「アムシペ」と呼んでいました。

国防軍は≪洋梨≫を攻撃しますが、効いていませんでした。

さらに、≪洋梨≫の腕の先に、
平凡な服を着た民間人の女の子が立っているのが見えました。

ワクは、その女の子をコズエだと思い、混乱します。

やがて、キリエが、あれが敵のパイロットなんだと言いました。
あの子は、地球人だけど、ぼくらの地球の人間じゃない、と言います。

マーヤは、枝状分岐宇端末点(えだじょうぶんきうたんまつてん)、
要するにパラレルワールドの地球と戦っていたのだ、と言います。
可能性同士を戦わせて、有意味な可能性だけを残そうとしているのです。

ワクたちは、これまでに世界3つと戦って勝ってきたので、
ざっと3百億人くらい殺してきたことになります。

≪洋梨≫のパイロットの女の子は、それに耐えられなくて、
あのような自殺行為をしているのでした。

ちなみに、本当の勝利条件は、敵の急所を潰すことではなく、
敵のパイロットをこちらの地球人が殺すことでした。

それを聞いた関は、≪洋梨≫の女の子を殺すように指示を出します。

しかし、ワクは、やめろと叫び、ミサイルをレーザーで撃ち落とします。
そんなワクに、庄司が拳銃をつきつけ、いいかげんにしろと怒鳴りました。

しかし、ワクは拳銃に怯まず、もう誰にも死んでほしくないと叫び、
新しいミサイルをレーザーで撃ち落としました。

しかし、「それはミサイルではなく、人の乗っている飛行機でした。
人を殺してしまったことに絶望したワクは、
誰も殺したくないんだ! 誰にも死んでほしくないんだ!
と叫びます。

しかし、≪洋梨≫の少女は、自分の仲間に殺されてしまいました。

さらに、チズが庄司の拳銃に手をかけ、
引き金を引かせてワクを射殺してしまいました。

ヒーローになろうとしたワクは、ヒーローになれないまま死んでしまいました。


というあらすじなのですが、原作にもあったエピソードを上手く組み合わせ、
ワクが混乱し、絶望していく様子を描いていたと思います。

衝撃的なラストで「ワク」編は終わり、第6章「チズ」編に続きます。

(原作 鬼頭莫宏「ぼくらの~alternative~」2巻 5章 6章 7章

星新一「ゆきとどいた生活」のネタバレ解説

80階建てのアパートの72階に、
宇宙旅行専門の保険会社に勤めるテール氏が住んでいました。

快適な気温に保たれた室内で、音楽と機械の声が、
テール氏に起きるよう呼びかけます。

やがて、天井からマジックハンドのような《手》がおりてきて、
毛布をどけ、テール氏を抱きおこしました。

《手》は、テール氏を浴室に運び、ひげを溶かす脱毛クリームを塗りました。

《手》は、テール氏のパジャマを脱がせ、シャワーをかけてくれます。
自動で感想し、服を着せてくれると、食堂へ案内してくれました。

テレビが点き、食事の時間が終わると、《手》はテール氏を立たせ、
透明プラスチックでできた繭のような形の乗り物に乗せました。

この繭形の乗り物は、圧縮空気の作用で、パイプの中を移動することができます。
パイプは都市のいたるところに行きわたっていました。

5分後、テール氏の乗った繭が会社に着くと、
テール氏の同僚は、「テール氏の異変に気付き、医者を呼びました。
繭に乗ってやってきた医者は、
テール氏が死後10時間は経過していることを告げました。


というあらすじなのですが、何もかもが自動化されているがゆえに、
機械はテール氏の死亡に気付かず、世話をし続けていたわけです。

自動で血圧や体温を測って健康状態をチェックし、
自動で病院に知らせる機能があればいいのに、と思いますけどね。

もし、人類が滅亡してしまっても、
機械は死体の世話をし続けるのかと思うと、ゾッとします。

星新一「人類愛」のネタバレ解説

主人公の「私」は、宇宙救助隊員で、SOSを受信すると、
ただちにそれに向かって急行し救助にあたっています。
これまでに50回も遭難を救助してきました。

ある日、隕石群にぶつかり、温度調節機能をやられて寒さがひどい、
というSOSがありました。

主人公はその場所に急行しながら、通信で話しかけます。

やがて、相手も主人公と同じく、
地球の日本のトウキョウ出身だということが判明します。

相手はA地区で、主人公はB地区と、すぐ近くでした。

主人公が相手の名前を訊くと、相手は名乗りました。
しかし、「その名前は主人公のワイフ(妻)の浮気相手でした。
それを知った主人公は、現場に急行するのをやめ、
相手が凍死するのを待つことにしました。


というあらすじなのですが、「人類愛を持っていても、
妻の浮気相手を赦すことはできなかったわけですね。

どんなに科学が発展して物語のスケールが大きくなっても、
そういう痴情のもつれは変わらないのでしょうね。
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個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
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