湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」4話「優しい人」のネタバレ解説

樋口明日実という女性が、バーベキュー広場で、
奥山友彦という男を包丁で刺し殺すという事件が発生しました。

奥山友彦の母親や、小学生時代の担任教師、職場の同僚は口を揃えて、
奥山はとても優しい人だった、と証言しました。

一方、樋口明日実は、奥山を殺害した動機について、子供の頃からのエピソードを刑事に話します。

明日実が幼稚園の頃、集団登校をしており、その中に鼻水を垂らしている幸直という子がいました。
集団登校のときには手を繋がないといけないことになっており、幸直は他の子から嫌がられていました。
しかし、明日実は母親の言いつけで強制的に幸直と手を繋げさせられました。

ある日、明日実の体調が悪い日に登校するとき、母親と手を繋ぎたいと思い、
幸直と手を繋ぐのが「嫌だ!」と叫ぶと、
幸直はそれ以来集団登校をしなくなりました。

また、小学4年生のときには、クラスメートに虚弱体質の修造という男の子がいました。
修造は、しょっちゅう教室でゲロを吐いてしまい、
たまたま近くの席にいた明日実や、優しい子たちがその後始末をしてあげていました。

しかし、ある日、修造の周囲の机に落書きがされる事件があり、
他の子の机には「バカ」とか「ブス」と書かれていたのに、
明日実だけ「好き」と書かれていました。
その落書き事件の犯人は、修造でした。
……気持ち悪い告白の方法ですね。

明日実は、修造なんか好きじゃないと叫び、翌日から修造は不登校になりました。

そんな明日実も大人になり、彼氏ができました。

しかし、「職場で嫌われている奥山に対して、明日実だけ優しく接してあげたところ、
奥山は自分が好かれているのだと勘違いしてしまいます。
明日実は、彼氏がいるから、と奥山を拒絶しますが、奥山はストーカー化してしまいます。
彼氏の職場に誹謗中傷のメールが届くようになり、明日実は奥山に何が望みなのかと訊きます。

すると、奥山は一緒にバーベキューをしたいと言いました。
それだけかと思ったら、バーベキュー広場で奥山は、
明日実の彼氏の犯行に見せかけて職場で事件を起こす、それが嫌なら結婚しろと迫り、
明日実の手を握りました。

そこで明日実は、奥山を殺害したのです。


最後に明日実が、この社会は1パーセントの優しい人の我慢と犠牲で成り立っているのだと言い、
この話は終わります。

というあらすじなのですが、昔は子供に「知らない人にも挨拶をしなさい」と言っていたのに、
変質者に狙われるからと、「知らない人には挨拶するな。話しかけられても無視しろ」
と教えるようになった、という話を思い出しました。

女がどうでもいい男に優しくすると、男は自分が好かれていると勘違いしてしまうから、
結果的に女は男に冷たくなる、みたいな話でしょうか。

湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」3話「罪深き女」のネタバレ解説

黒田正幸という20歳の青年が、ミライ電機という家電ストアで刃物を振り回し、
死傷者15人(そのうち3人が死亡)を出すという事件を起こしました。

その黒田正幸の幼少期の頃を知る、天野幸奈という女性が警察署を訪れ、
彼の悲惨な過去を語ります。

幸奈の家は母子家庭で、小さい頃はアパートに住んでいました。
正幸が小学一年生、幸奈が少額六年生のときに、アパートの上の階に正幸が越してきました。
正幸の家も母子家庭でした。

ところが、正幸の母親が部屋に男を連れ込み、その間正幸は外に放置されているようでした。

正幸の母親が男とやっている行為の音は、階下の幸奈の家でもよく聞こえます。

それをきっかけに、幸奈の母親は、男女関係について厳しく幸奈を束縛するようになりました。

幸奈の母親が正幸の母親を嫌っているため、幸奈はネグレクトされている様子の正幸に、
こっそりとメロンパンやお菓子を渡しました。

しばらくして、正幸の母親が再婚することになり、幸奈の家に挨拶に来ました。

ところが、正幸の母親が何者かに顔を切りつけられる事件が発生し、破談になってしまいます。
さらに、正幸の母親は正幸に暴力を振るうようになってしまいました。

一方、幸奈は男の子と交際していたことが母親にバレてしまい、
幸奈の母親は相手の男の子の家に電話して、激しく罵倒しました。

溜まらず部屋を抜け出した幸奈は、アパートの階段下で、正幸と出会います。
正幸に、助けて、と言った後、幸奈は部屋に戻りました。

その日の夜、火事が発生しました。
正幸が自室に放火し、正幸の母親と、睡眠薬を飲んでいた幸奈の母親が逃げ遅れ、
二人は亡くなってしまいました。

幸奈は児童養護施設に入り、その後色々とあったものの平穏な暮らしを手に入れました。

それから何年も経過し、ミライ電機で偶然正幸と再会したときに、
幸奈は現在幸せで、彼氏もいるという話をしました。

正幸が冒頭の事件を起こしたのは、その一週間後でした。

幸奈の話を刑事から聞いた正幸は、「幸奈の話を否定しました。

正幸が母親から放置されていたことはなく、幸奈の母親が執拗に嫌がらせの電話をしたことから、
物音を立てずに生活するようになったたため、幸奈には放置されているように見えただけでした。
正幸の母親の顔が傷つけられた犯人も、幸奈の母親ではないか、と正幸は疑っていました。

放火をしたのは正幸だが、それには幸奈を助ける意図はありませんでした。
ミライ電機で幸奈と再会したときは、幸奈が昔の知り合いだとは気付かず、
頭のおかしい女だと思っていました。
犯行の動機は、運の悪い人生に嫌気がさしたから、らしいです。

というあらすじです。

タイトルの「罪深き女」は、「最初は正幸の母親のように見えるのに、
最後まで読むと幸奈とその母親のように見える、という仕掛けがありますね。


作中でははっきりとは書かれていませんが、
幸奈が男の子とデートしているのを告げ口したのが正幸じゃないとすれば、
幸奈の友達の理恵や華子じゃないかなあ、と思います。
幸奈の母親と、幸奈の共通の知り合いは彼女たちくらいですし。

もしくは、何気なく正幸が自分の母親に、幸奈のことを話し、
それを正幸の母親が嫌がらせのつもりで告げ口したのかな、と思います。

湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」2話「ベストフレンド」のネタバレ解説

主人公の漣涼香は、脚本家を目指しながら宅配便会社でアルバイトをしています。
ある日、脚本コンクールで優秀賞に入選したという知らせが入りました。
もう一人の優秀賞は直下未来という男性でした。

しかし、最優秀賞は大豆生田薫子という別の女性に取られてしまいます。
映像化され、テレビ放映されるのは最優秀賞だけなので、涼香は落胆しました。

授賞式に出ると、薫子は垢抜けない田舎っぽい女性でした。
涼香、薫子、直下の三人は全員30歳でした。

選考委員の多数決だと涼香が最優秀賞を受賞できるはずであり、
プロデューサーの郷賢も涼香の作品を推していたのに、
最年長の野上浩二がゴリ押しして薫子の作品を受賞させたことが判明します。

その後、居酒屋の打ち上げで涼香と薫子と直下はメールアドレスを交換し、
全員がプロの脚本家を目指そうと誓い合いました。

しかし、直下が最初に脱落してしまいます。
薫子もデビュー作以外に映像化されないまま時間が過ぎていきます。

涼香は郷の口利きで、野上浩二のゴーストライターをやりました。
しかし、その連続ドラマは低視聴率で、さらに盗作疑惑が持ち上がり、
途中で打ち切りになってしまいます。
さらに、郷も異動になってしまい、涼香の脚本家になる夢は絶たれてしまいました。
別の賞に応募しても、うまくいきません。

一方、薫子が書いた脚本は連続ドラマ化されました。
それから三年後、薫子の書いた脚本が映画化され、海外でも高い評価を受け、
脚本の賞を受賞しました。

宅配便の仕事で嫌なことがあった涼香は、海外での授賞式から帰国する薫子を、
空港で待ち伏せします。

そして薫子に近づいたところで、「別の人物が涼香を狙っていることに気が付き、
薫子の代わりに刺されて死んでしまいました。

場面が変わり、薫子が事情を語ります。

直下が、薫子に対する逆恨みから、ブログで殺害予告を出していました。
しかし、薫子はそのブログの管理人を涼香と誤認してしまっていました。

涼香の本物のブログでは、悔しいけれど、薫子のことを親友だと思うと書かれていました。


というあらすじなのですが、港かなえさんは脚本家の賞を受賞したこともあるので、
多少は実体験が入っているのかもしれないな、と思いました。

意図的なのか、それとも結果的にそうなったのかは分かりませんが、
この「ポイズンドーター・ホーリーマザー」には母子関係の問題を扱った話が多いです。
しかし、「ベストフレンド」は珍しく母親が空気な話でした。
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