ヤマシタトモコ「花井沢町公民館便り」のネタバレ解説(時系列など)

花井沢町公民館便り(1) (アフタヌーンKC)


この「花井沢町公民館便り」は、
生命反応のある有機体を通さない膜によって覆われた、
小さな町が舞台の話です。

各話は、時系列や登場人物がバラバラです。

一応、トビラの公民館が荒れ果てていく様子から、
ある程度の年代は把握できるようになっているのですが、
各話の繋がりとかをもっと詳しく年表みたいにできないかなあ
……と思って、この記事を作成しました。

基本的には推測なので、はっきりとしたことは言えませんが、
参考までにどうぞ。

2055年5月14日の夜
     【第19号】花井沢町に住むリホが、友達のサワとサナと、弟の清にビデオレターを撮る。

2055年5月15日午前5時42分
     【第2号】「事故」が発生し、花井沢町が孤立する。
     【第19号】リホが花井沢町に帰ろうとするが、帰れない。

2055年
     【第2号】エマ、あいかなどが誕生。

2055年5月16日~9月ごろまでの出来事
     【第15号】「助けるおじさん」が壁に激突。
     年代は「育休明ける頃になったらまた相談しましょう」
     「おれもいーかげん会社行きたいなー」という会話や服装から推測。

2058年5月
     【第3号】泥棒をおびき寄せるために第1回カレーまつりが開催され、
     主人公の少年達が泥棒を捕まえる。
     (年代は「3年前事故に遭った」「あしたで3年」というセリフから確定)

2070年
     【第2号】「外」にいた吉田の母親が自殺。
     アイドルグループ「ミスアン」が、花井沢町を慰問し、
     主人公のエマやあいか達がコンサートに行く。
     (エマやあいかが生まれたのが2055年で、
     【第2号】ではエマ達は中学3年なのでこの年の出来事)
     1巻末に収録の「エマとあいか」や、
     1巻の初版限定小冊子【第2号その後】もこの年?

2055~2080年ごろ?
     【第17号】医師の森澤と看護師(?)の白河が、町民を診療する。
     医者に憧れる大貴が森澤の助手をやりたがる。
     年代は町並みが綺麗なことや、町の雰囲気、
     「ただ手をこまないているわけにはいかんだろう 誰かが犠牲にならないと」
     という台詞から森澤が森澤医院を開院した後で事故が発生した思われること等から推測。

2088年
     【第5号】「タカ」が花井沢町民であることを
     ネット上で隠していたのが発覚し、炎上する。
     ちなみに、タカの父親は、
     【第3号】の主人公の少年である可能性が極めて高い。

     まず2人の顔がよく似ているし、
     タカが引っ越した家が【第3号】の泥棒の家であり、
     そのことに対してタカの父親が苦言を呈している。
     (年代は「33年前事故に遭った」と書いてあり確定。)
     1巻初版限定小冊子【第5号その後】も同年から数年後?

2100年ごろ?
     【第11号】
     間宮夏帆(かんみや・かほ)がパン屋アサイベーカリーを出店。
     (年代は境界の外の近くに住む人の
     「うちは代々この近くなので祖父母の代からお参りは必ず」という台詞から推測。)

2110~2130年ごろ?
     【第12号】
     作家の宮内鈴が小説の賞を受賞する。
     宮内鈴は【第2号】に登場したエマの孫であると思われる。
     根拠は、【センセーとエマ】で、エマのポスターや日記を
     「こんなの隠してたのか おばあちゃん」と言って宮内鈴が読んでいることから。
     年代もそこから推測。
     エマがポスターなどを隠すエピソードは【エマとあいか】に収録されている。

     【第13号】
     リョータとシンペイが勘違いして小さな映画館に行く。
     年代はトビラの背景が【第12号】と同一であることから【第12号】と同時期だと推測。
     2巻の巻末漫画【リョータとシンペイ】はその後日談。

     【第16号】
     主人公の男がカラスにぱんつを盗まれ、それがきっかけで境界の外の隣人と交流が始まる。
     年代はトビラの背景が【第12号】と同一であることから推測。

2140年?
     【第6号】18歳になった春樹が一人暮らしを始める。
     コバシという女性が春樹をストーカーし、殺される。
     (年代は1巻123ページに出てくるポスターに、
     うっすらと「第82回花井町カレーまつり」と書かれているように見えることから推測。)

2160年ごろ?
     【第4号】「さお」とエーコが廃墟でキスしているところを
     男子小学生3人組に目撃される。
     (年代はモノローグ「人の住んでない家とかいっぱいあって」や、
     【第9号】の「わたしたちの町は死につつある」というモノローグ、
     「事故当時に算出された予想よりも速く人口は減少しています」
     というニュースから推測。さおやエーコが登場する話は全体の中でも末期の方。)
     1巻初版限定小冊子【第4号その後】も同年?

2170年ごろ?
     【第9号】上記から10年後くらい(?)に、さおが子供を欲しがる。この時、エーコは25歳。
     男子小学生3人組のうちの1人だったたける(この時19歳)が協力し、さおが子供を作る。
     おそらく、その子供が希の母親の勇希(ゆうき)だと思われる。
     根拠は、勇希の母親の顔や服装がさおと似ていることや、勇希もさおと似ていることや、
     【第10号】の「こんな町でどうして産んだの なんで!?」という勇希の台詞から。
     その質問の答えが【第9号】の「こんな町でばかだと思うだろうけど あたし子供が産みたい
     生きがいがほしい……」である。
     さおとエーコは勇希を育てるが、
     エーコは何らかの事情で勇希が大きくなる前に死んだものと思われる。

2190年ごろ?
     (年代は【第2号】の「あと200年くらいで滅びることが約束された」
     というモノローグから推測。
     【第2号】は2070年の話で、そこから200年くらいだと、
     当時町が滅びると推測されていたのは2270年くらい。
     最後の1人である希が80歳くらいまで生きるとすると、
     希は2190年ごろに生まれたことになる。
     また、【最終号】で森宮総一郎のひいひいおじいさん(?)がアイドルだと判明するが、
     【第2号】に登場したアイドルグループ「ミスアン」のことだと思われる。
     根拠は、わざわざこのタイミングでそのことに言及したから。
     仮に、2070年の時点で10代に見える「ミスアン」のメンバーが、
     50歳くらいで子供を作り、その子供が45歳くらいで子供を作り、
     その子供が45歳くらいで作った子供が総一郎だとすると、
     総一郎は2190年ごろに生まれたことになり、
     【第2号】の「あと200年くらいで滅びることが約束された」
     というモノローグとギリギリ矛盾はしない。)

     【第10号】9月25日、希の母親の勇希が広睦(ひろむ)にレ○〇される。
     ↑【第9号】の20数年後くらいの出来事(?)

     【第7号】上記の翌年の6月下旬、市川希(いちかわ・のぞみ)が生まれる。
     その後、勇希は自殺。希は父親が広睦であることは隠され、
     祖母(さお)に育てられたものと思われる。

2205年ごろ?
     【第7号】上記の15年後の6月22日、14歳の希と森宮総一郎が散歩する。
     携帯の連絡先を交換する。

2210年ごろ?
     【第14号】総一郎が境界のベンチで希と待ち合わせをする。
     携帯の連絡先を交換していて、総一郎が大学生になっていることから、
     【第7号】よりも後の出来事と推測できる。

     【第10号】希が母親の勇希の日記を読む。

     【第8号】希20歳の誕生日。
      誕生日前日の「……あ で 電話鳴ってるぞ」
      という台詞の主が希の父親の広睦と思われる。

2215年ごろ?
     【第18号】および【希とセンセー】上記の数日~数年後、広睦が自殺。
     希が勇希の日記を燃やす。
     日記を燃やした場所は、【第12号】に登場した図書館の前。

     【第1号】希の祖母(さお)が死亡。希が最後の一人になる。

     【最終号】 上記の数日後~数ヶ月後?
     厚労省の中井と補償について話し合い。
     希と総一郎の家が境界に建てられ、一緒に住み始める。
     同じ家に住んでも総一郎にさわれない寂しさから希が泣き、家を出ていく。

     3巻の巻末【おわりとはじまり】
     希を仮死状態にして中から外へ出す計画が立案される。
     他の会議のメンバーはお役所的な責任問題で回避しようとするが、
     中井がその計画を推進したと思われる。

     3巻の表紙
     実験が成功し、希が花井沢町の境界の外に出られる。↓

花井沢町公民館便り(3) (アフタヌーンコミックス)


貴志祐介「狐火の家」1話「狐火の家」のネタバレ解説

狐火の家 (角川文庫)


防犯探偵・榎本径シリーズ第2弾です。

今回の舞台となるのは、長野県の山間の荒神村です。

西野真之(まさゆき)が自宅に帰ったところ、
奥の部屋で長女の愛美(まなみ)が死んでいるのを発見しました。

そのまま時間が経過し、
やがて西野真之の幼馴染の遠藤晴彦が勝手に家に入ってきたところ、
茫然自失になっている西野真之を発見しました。

そして、警察がやってきて調べたところ、
この家全体が密室だったことが判明しました。

玄関の鍵は特殊なもので、西野真之が帰宅時には施錠されており、
そこから侵入することはできません。

北側の窓は開いていたのですが、家の周囲はぬかるみで、
足跡がありませんでした。

さらに、100メートルほど離れたリンゴ園で、
辻登美子という女性が、花摘みの作業をしながら玄関を見ており、
11時15分に西野真之が、13時に遠藤晴彦が玄関から入った以外、
誰も玄関には入らなかったと証言していました。

そして、軽井沢にレジャーに来ていた青砥純子が、
密室に詳しい弁護士ということで荒神村まで呼び出されました。

西野真之の妻の麻美の話によると、1キロの金のインゴットが30本と、
古い洗濯ネットとナイロンのロープがなくなっていたのだそうです。

純子は、こういう事件に詳しいということで、榎本径を呼び出します。

純子と榎本が遠藤晴彦から話を聞いたところ、
西野真之には、4年前に家出した、
猛という出来の悪い息子がいることが判明しました。

他にも色々と調べ、犯人は前夜に梯子を使って屋根に上り、
ネジ締まり錠が利かなくなっている窓から侵入したのだろう、
と榎本は推測しました。

さらに榎本は皆の前で、「開いていた北側の窓から二階の屋根まで上がり、
30キロ分のインゴットを、洗濯用のネットとロープと使って持ち上げます。

そして、インゴットを放り投げた後、屋根からぬかるみの奥の草地へ飛び、

密室から脱出して見せました。

ネジ締まり錠が利かなくなっていたのを知っていた人物ということで、
西野真之の息子の猛が犯人ではないかと疑われます。

しかし、それから数日後。

山崎里香が、猛の住むアパートへ行ったまま、帰らなくなりました。
車の中で山崎里香を待っていた杉内航太は、
彼女がなかなか戻らないのを不審に思い、猛の部屋へ行き、
そこで山崎里香の死体を発見しました。

荒神村の事件に関わったということで、純子が警察に呼び出されます。
窓にはクレセント錠がかかっており、現場は密室でした。

と、そこへ榎本径がやってきます。
アパートの裏の空き地から凶器が発見されたのですが、
榎本はその凶器を見る前に、当ててみせました。

榎本は、純子と再び荒神村へ向かいながら、事件の真相を説明しました。

まず、猛のアパートの殺人は、「第一発見者の杉内航太が凶器を裏の空き地に投げ、
窓の鍵を閉めていただけでした。

いやいや、なぜそんなことをしたんだ、という感じですが、
凶器が金のインゴットだったから、
杉内航太は後でネコババしようとしていたのです。

荒神村の事件の方は、猛が愛美を殺害したところへ、西野真之が帰宅し、
猛を殺害していたため密室になってしまっていたのでした。
猛の死体は、金のインゴットと一緒に汲み取り式の便所に捨てたのでした……。

そのままだと完全な密室になってしまうので、
密室に見えないように、西野真之は北側の窓を開けました。
ところが、窓の外はぬかるみだったため、結局密室になってしまった、
というのが事件の真相でした。 


というあらすじなのですが、面白かったです。

事件の真相は、伏線がちゃんと張ってあったのに、
それが明かされるまで全く気付けませんでした。

短編なのに、密室殺人が二件も発生するのも贅沢な感じでいいです。

個人的には、シリーズ第一作目の「硝子のハンマー」よりも面白く、
榎本径と青砥純子のコンビは長編より短編向きなんじゃないかと思います。

(狐火の家 1話 2話 3話 4話
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