湊かなえ「山女日記」第4話「利尻山」のネタバレ解説

宮川希美は、大学卒業後、実家のタマネギ畑を手伝いながら、
アルバイトのような形で翻訳の仕事もしていました。

希美本人はそれで何とか生活できるし、
結婚したり勤めに出たりする必要はないと思っていたのですが、
希美の父親や、希美と違って優等生タイプの姉や、姉の夫からは、
ことあるごとに結婚しろとか自立しろとか言われ、
不満を抱いていました。

特に、姉の夫は医者であることを鼻にかけ、
希美のことを見下すような態度をとっており、
そのこともあって希美は姉夫婦とは疎遠になっていました。

しかし、ある日、希美は姉から、
北海道にある利尻山に登ろうと誘われました。

実を言うと、宮川家では、家族で揃って旅行すると
必ず雨に見舞われるというジンクスがあったのですが、
予想通り、今回も雨でした。

それでも、僅かな晴れ間を縫うようにして、
希美はユヅキというブランドの帽子を被りました。
その帽子は、友人の柚月の手作りの帽子なのですが、
「山女日記」で話題になっていることもあり、
姉もそのブランドを知っていて驚きました。

タダで貰った希美は知りませんでしたが、
何とその帽子には、五万円もするのだそうです。

ちなみに、しまうましたは、五万円の服なんて一枚も持っていません(キリッ
……はい、どうでもいいですね。

希美は、姉は登山にかこつけて
自分に説教をするつもりなのだと思い込んでいましたが、
実際には「姉は夫から離婚を切り出されており、
そのことを希美に相談したかったのだと判明しました。

希美は、せっかく山に登ったのに花とか風景を見ていないだろうと指摘し、
最悪でも、娘の七花を連れて実家に帰ってくればいいとか、
色んなものが貸し切り状態になるので、雨降りも悪いことではないとか、
必死に姉を励ましたのでした。

湊かなえ「山女日記」第3話「槍ヶ岳」のネタバレ解説

今回の主人公、牧野しのぶは、子供の頃から父親に登山に付き合わされ、
山が大好きでした。

しのぶは大学で山岳部に入り、槍ヶ岳に登ることになりました。
ところが、先輩の一人が膝を痛め、
山岳部の全員が登山を諦めなければならないという事態になり、
しのぶは集団で山に登るという行為に疑問を抱くようになりました。

それ以来、しのぶは山岳部を辞め、一人で山に登るようになりました。

その後、父親と槍ヶ岳に再挑戦したしのぶでしたが、
父親が膝を痛めたことから、またしても登頂を諦めることになりました。

そして、三度目の正直と言わんばかりに、
しのぶは一人で槍ヶ岳に登頂することにしました。

ところがその途中、本郷さんというおじさんと、
木村さんというおばさんという二人組と知り合いました。

本郷さんの方はベテランですが、木村さんは全くの初心者で、
偶然山で知り合った本郷さんが、木村さんを気遣い、
一緒に登ってあげているという構図のようでした。

しのぶは一人で登るのが好きにもかかわらず、
登るペースが同じため本郷さんや木村さんと一緒に
ロッヂで食事することになりました。

ロッヂに到着した時点で木村さんには限界が見えており、
しのぶと本郷さんは、ロッヂに泊まるようにと忠告しますが、
木村さんは聞く耳を持ちませんでした。

木村さんは、登山が好きな夫から、
お前に登山は無理だと三十年も馬鹿にされ続け、
夫を見返すために槍ヶ岳の山頂を目指しているのだそうです。

実は、「しのぶの両親も同じような感じで夫婦に亀裂が入っており、
木村さんのことを他人事だとは思えなくなりました。

そこで、しのぶは本郷さんと木村さんという他人と一緒に、
槍ヶ岳山荘前の槍の肩を目指すことになってしまいました。

しのぶは、ストックやアミノ酸のサプリメントを2人に勧めたり、
見栄を張って休憩したいと言い出せない2人を気遣ったりし、
何とか槍の肩に到着しました。

しのぶは、いつかは両親や妹と一緒に登山をしたいと考えつつ、
本郷さんや木村さんとの登山はここで終了し、
頂上は一人で目指したいと考えたのでした。


というあらすじなのですが、この木村さんみたいな人って、
実際にいますよねー。
こういう人いる、と思わせるようなリアリティのある描写が上手かったです。

ところで、湊かなえさんの著作の「花の鎖」にも、
槍ヶ岳に登るというエピソードがあるので、興味があれば読んでみてください。

湊かなえ「山女日記」第2話「火打山」のネタバレ解説

今回の「火打山」は、1話の「妙高山」と時系列的には地続きになっています。

バブルの影を引き摺る四十代の女、美津子は、
恋人の神崎に誘われて火打山へ縦走にやってきました。

美津子は神崎からお高い女扱いされており、
そのことに居心地の悪さを感じつつも、何も言えずにいました。

やがて、美津子は山小屋で、1話に登場した律子と由美の2人組と同室になりました。
山小屋は男女別に分かれているので、美津子は神崎とは別の部屋です。

律子と由美は1話のぎこちない感じが消え、和気藹々としており、
律子は美津子にクレンジングシートを分けようとしました。
しかし、律子は、同じクレンジングシートを持っていたので断りました。

律子によれば、そのクレンジングシートは、
山ガールが集う「山女日記」というサイトでお勧めされていたのだそうです。
ここで本のタイトルを回収してきました。

化粧をふきとり、眠りかけたところで回想があります。

それまで高望みしすぎて婚期を逃していた美津子は、
後輩が持っていた雑誌に、自分の星座のかに座のラッキーカラーはグリーン、
ラッキーアイテムはとんぼ玉と書いてあるのを見つけました。

ちなみに、とんぼ玉というのはこういうやつ↓です。

最高芸術に! アクセサリー 用 とんぼ玉 ガラス細工 12mm 8色×10個セット


それから2日後、朝刊の折り込みチラシに
自治体主催のお見合いパーティーの案内が入っていました。

募集人数は男女二十名ずつで、ガラス工芸館でとんぼ玉を作る、
という珍しい内容のお見合いパーティーでした。

それに運命的なものを感じた美津子は、思い切ってパーティーに参加します。

そこで、神崎が器用に緑、白、黄の組み合わせのとんぼ玉を作ったことや、
魅力的な笑顔に惹かれ、神崎と付き合いたいと思いました。

神崎の方も美津子を選び、二人は晴れてカップルとなりました。

その後も健全なお付き合いを続けていた美津子と神崎でしたが、
登山が趣味の神崎は、美津子にいいところを見せようと登山靴をプレゼントし、
一緒に妙高山と火打山を縦走することになったのでした。

回想終わりです。
その後も、神崎は登山初心者の美津子を気遣う素振りを見せていましたが、
美津子は思い切って、「大学時代に山岳部に入っていたことを告白しました。

バブルの頃、上京し、
山岳部時代のエピソードのおかげで一流企業に就職できた美津子でしたが、
職場では先輩のOLからあれこれと駄目出しされ、
登山が趣味だということも隠すようにと強く注意されました。

そうしてバブルに呑み込まれてしまった美津子でしたが、
やがてバブルが崩壊し、会社が倒産しました。

美津子は仕方なく地元に帰って職安に通い、月に手取り十二万円の、
老人ホームの事務の仕事を始めました。

そういったことを、美津子は一気に告白しました。
すると神崎の方も、バブルに浮かれている人たちに憧れており、
だから美津子とカップルになれてよかったと言いました。

そこへ、律子と由美の、同居は嫌だとか部長の馬鹿だとかいう叫び声が聞こえ、
吹っ切れた美津子は、自分も叫ぶことにしました。

結局、美津子が何と叫んだのかは書かれないまま終わるのですが、
おそらくプロポーズの言葉でも叫んだのではないかと思います。

湊かなえ「山女日記」第1話「妙高山」のネタバレ解説

山女日記


この「山女日記」は、
毎回主人公が変わる連作短編という形式になっています。

第1話「妙高山」の主人公である、丸福デパートの店員の江藤律子には、
同じデパートに勤める野村堅太郎という婚約者がいました。

ところが堅太郎は、律子には無断で、
律子はいずれ退社して堅太郎の実家で同居するという話を、
堅太郎の家族に話していました。

律子には退社するつもりも同居するつもりもなく、寝耳に水で、
婚約者に対して不信感を抱きました。

そこで律子は、丸福デパートのアウトドアフェアで一目惚れした
ダナーの登山靴を購入したこともきっかけとなり、
山に登って結婚について見つめ直すことにしました。

同じフロアで同期の、芝田由美と舞子の3人で妙高山に登る予定だったのですが、
舞子は風邪で休むことになりました。

実は律子は、律子と堅太郎の結婚の仲人の元原部長と、
由美が不倫しているのを目撃したことがあり、
由美のことを嫌っていました。

他に、由美は時間にルーズで、他力本願なところもあり、
誰にでも優しい舞子が律子と由美の仲を取り持っているような状況でした。

そんなふうにして、仲の良くない同僚と一緒に
妙高山に登ることになってしまった律子は、
登山中、当然のように由美と喧嘩をし、
不倫のことを知っていると口を滑らせてしまいます。

ところが、「元原部長とその奥さんの代わりに、
由美が元原部長の母親を見舞に老人ホームへ行っていることが判明すると、
少し由美に対して同情心が沸いてきました。

律子は由美に、どこを目指しているのかと訊ね、
逆に『りっちゃんのゴールは何?』と訊かれます。

また、自由そうに見えた、見知らぬおばさんグループたちからコーヒーを貰い、
おばさんたちも若い頃は苦労していたという話を聞き、
結婚はゴールではないと律子は思ったのでした。


というあらすじなんですけど、この短編だけだとちょっと消化不良な終わり方ですね。

一応、主人公は替わるものの、2話の「火打山」にも由美と律子は登場します。

(山女日記 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話

川原礫「ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト」第3話「はじまりの日」のネタバレ解説

この「はじまりの日」は、
1巻の序盤で茅場晶彦からデスゲームの開始を告げられ、
クラインと別行動をすることになった後のキリトの話です。

キリトははじまりの街を出た後、「ホルンカ」という村へ行きました。

その「ホルンカ」は、
元ベータテスターでないと初日に行くことはできないような場所にある村なので、
キリトの他には誰もいませんでした。

キリトは武器屋へ行き、茶革のハーフコートを購入します。

さらに村の奥へ行き、NPCのクエストを受諾しました。
ある村人の娘が重病になってしまい、
それを治すには西の森の捕食植物型モンスターを倒して得られる
「リトルペネントの胚珠」が材料の薬を与えるしかなく、
それを持ってきてくれたら先祖伝来の長剣をくれる、
という内容のクエストです。

RPGにありがちなクエストですね。

森へ行ったキリトは、リトルペネントというモンスターをひたすら倒します。
1パーセント以下の確率で現れる、
口の上に大きな花を咲かせたリトルペネントを求め続けます。

ところが稀に、丸い実をつけたリトルペネントが現れる場合があり、
その実を攻撃すると広範囲から仲間を引き寄せるという特性があります。

やがて――キリトと同じく、元ベータテスターのコペルが現れ、
一緒に「森の秘薬」クエストをやろうと誘いました。

花を咲かせたリトルペネントは、
ノーマルのリトルペネントを倒し続けると確率ブーストが上がるので、
2人で協力プレイをした方が効率が良いのです。

ところが、一時間で150匹以上倒しても、
花つきのリトルペネントは現れませんでした。

しかし、花つきのリトルペネントと、
実つきのリトルペネントが同時に現れました。

コペルの提案で、キリトが花つきのリトルペネントを倒し、
コペルが実つきのリトルペネントを倒すことにしました。

ところが、花つきのリトルペネントを倒してコペルのところへ行ったところ、
コペルはわざと「実」を攻撃しました。

同時にコペルは、「 『隠蔽(ハインディング)』のスキルを発動させます。

わざと『実』を爆発させてリトルペネントの仲間を引き寄せ、
彼らにキリトを殺させ、キリトが落とした『リトルペネントの胚珠』を拾う、
というのがコペルの作戦だったのです。

しかし、隠蔽スキルは、視覚以外の感覚を持っているモンスターには効果が薄く、
コペルのところにもリトルペネントが集まってしまいます。

キリトは何とかリトルペネントの群れを倒しましたが、
コペルは5体倒したところで死んでしまいました。
コペルのいたところには、スモールソードと円盾が落ちていました。

キリトはその剣を突き立て、数時間で消える墓標代わりにすると、
群れを倒してもう1つ手に入れた『リトルペネントの胚珠』をそこに置きました。

ホルンカの村へ戻ったキリトは、村人に『リトルペネントの胚珠』を渡し、
アニールブレードを手に入れました。

村人が娘に薬を与えるのを見ていたところ、
その娘はキリトにお礼を言いました。

そこからキリトは、妹の直葉のことを連想し、家族に会いたいと強く願ったのでした。


というあらすじなのですが、キリトの深い絶望が垣間見える貴重なエピソードだったと思います。

直接手をかけることはなくても、
ゲーム開始から2時間ほどでいきなりキリトを殺そうとするプレイヤーが現れるなんて……、
という感じです。

この「はじまりの日」の続きは、
シリーズ本編ではなく、「ソードアート・オンライン プログレッシブ」の方に続きます。

次の9巻からは、新しくアリシゼーション編が始まります。
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