西尾維新「終物語 中 第四話 しのぶメイル」のネタバレ解説

終物語 中 (講談社BOX)


あとがきによると、この「終物語 中 しのぶメイル」は、
本来ならば傾物語で語られる予定だった話です。
まよいキョンシー」「しのぶタイム」「しのぶメイル」で三部作というか、
一塊の話になっています。

そう言われてみると確かに、全部ちょろっと扇が登場していて、
それなりに一貫性はあるようにも見えます。
が、こうやって三分割されて製本されたのを読むと、
全部「まよいキョンシー」で語るのは分量的に無理だっただろう、とも思ってしまいます。

時系列としては鬼物語の直後の話であり、
猫物語(白)の裏側の話ということになるんですけど、
本当にもう、刊行順に読むと時系列ぐちゃぐちゃですねwww

タイトルの「メイル」は郵便という意味ではなく、
鎧という意味のメイルです。

さて、前置きはこれくらいにして、いつものようにあらすじです。

冒頭の阿良々木くんの独白で、阿良々木くんは「忍野扇さえいなければ」と考えますが、
扇はその独白にすら浸食してきます。
前話「そだちロスト」では阿良々木くんは扇に対して警戒心を抱いていなかったので、
結構話が飛んでいますね。

独白も終わり、本編開始です。

8月23日の夜。
阿良々木くんは町に帰ったものの家には帰らず、例の学習塾跡の2階にいました。

そこへ、神原が阿良々木くんに跳び膝蹴りを食らわせつつ登場します。
このときの阿良々木くんは忍とのペアリングが切れているので、
普通の男子高校生レベルの能力しかなく、
歯が欠けてしまいます。

八九寺が成仏」した直後だというのに、
阿良々木くんは神原とのふざけた会話を楽しみます。
いや、「八九寺が成仏」した直後だからこそ、なのかもしれませんが。

と、そこへノックの音が聞こえます。
神原が入室を許可すると、入ってきたのは何と、鎧武者でした。

神原は咄嗟の判断で鎧を攻撃し、鎧はバラバラになりました。
が、すぐに元に戻ってしまいます。

神原はさらに鎧を攻撃し続けるのですが、
鎧は殆ど何もしていないのに神原は倒れてしまいました。
吸血鬼や障り猫のスキルとしてお馴染みのエナジードレインでした。

神原は阿良々木くんに逃げろと言いますが、
性格的に神原を見捨てることなどできるはずもなく、
阿良々木くんは鎧に立ち向かい、片手で首を絞められてしまいます。

絶体絶命かと思いきや、床から炎の柱が吹き出し、阿良々木くんは床に落ちました。

それからさらに炎が物凄い勢いで学習塾跡を包んでいきます。

神原は「羽川先輩」と呟いていたことからも分かる通り、
これは猫物語(白)の羽川さんの苛虎の仕業なのでした。
羽川さんは神原さんには苛虎のことを話している描写はなかったような気がしますが、
おそらく戦場ヶ原さん経由で神原は猫白の事情を聞いていたのでしょうね。

鎧は時代がかった口調で、忍から「心渡」を返してもらう、
という感じのことを言い、消えていきました。

謎の鎧に殺される危機は去りましたが、このままだと火事で焼け死んでしまいそうです。
阿良々木くんと神原は意を決して飛び降りようとしますが、
その前に余接が助けに来てくれました。

鬼物語から引き続き、余接大活躍ですね。
っていうか、余接って何気に出番多いですよね。
偽物語(下)で登場したときは1度限りのゲストキャラにしか見えなかったのに……w

神原が火事のショックで気絶している間に、阿良々木くんと余接は情報を共有します。
というか、余接に正面から顔を踏まれながらお説教されます。
このとき、阿良々木くんの顔面には余接の足跡がスタンプされてしまいました。

あの鎧が、鬼物語から余接の追っていた怪異だったので、
余接は鎧を探して去っていきます。

阿良々木くんは神原をおんぶして、臥煙さんとの待ち合わせ場所である浪白公園へ向かいます。
途中で神原が目を醒ましますが、浪白公園へ行くのなら反対だろうと言います。

阿良々木くんは方向転換して進みますが、いつまで経っても迷子のままです。

これはどうやら怪異の仕業らしいと阿良々木くんは臥煙さんに電話しますが、
臥煙さんは神原の助けを借りろとアドバイスしました。
そこで、神原に相談すると、神原は電信柱に登って、
昔の戦場ヶ原さんの家があった方角(浪白公園がある方角)の見当をつけます。

さらに、塀の上を通るなど、道以外の場所を通れば「道に迷う」ことはないと神原は言い、
阿良々木くんもその通りにしました。
ここで思い出すのは、影縫さんの「地面の上を通らない」主義のことですが、
阿良々木くんはそれに気付きません。

3時間もかかって浪白公園に到着しましたが、臥煙さんはいませんでした。
その代わり、神原はブランコの下で忍が寝ているのを発見します。

忍を起こして話を聞いていると、忍はここに来るまでに猫や猿の怪異に襲われたのだそうです。
阿良々木くんとのペアリングが切れているせいで忍も本来の力を発揮できず、
余接に助けてもらいつつ生き延びたのだそうです。

と、そこへ、右半身は重し蟹で左半身は猿(というかレイニーデビル)という、
キメラのような怪異(忍は「よくないもの」と言っていましたが)が出現します。
阿良々木くんと神原はそれに立ち向かいますが、忍は協力してくれず、苦戦します。

しかし、忍は「心渡」のを出してくれ、
阿良々木くんはそれを使って蟹と猿のキメラの怪異を真っ二つにしました。

安心するのも束の間、尻尾の部分には2匹の蛇の怪異が潜んでいたのですが、
それは忍が倒してくれました。
忍は吸血鬼として、その怪異の残骸を食べてしまいます。

その後、忍のアドバイスに従ってブランコの下に潜り込むと、
臥煙さんのプリクラが貼ってあり、
待ち合わせ場所が北白蛇神社に変更になったことが書いてありました。

――何でそんな分かりにくい場所にプリクラを貼っておくんだよ!

というツッコミはさておき、阿良々木くん、神原、忍の3人は北白蛇神社へ移動します。

そこには今度こそ臥煙さんがいました。
しかし臥煙さんは神原と忍に対し、「忍野伊豆湖」という偽名を使い、
忍野メメの妹なのだと堂々と嘘を吐きました。

仕方なく阿良々木くんも話を合わせ、今夜の出来事を報告します。

すると臥煙さんは、鎧の怪異の正体は、忍の一人目の眷属である、
初代怪異殺しなのだと言いました。

忍は、初代怪異殺しは太陽の下に身を投げて自殺したのだと否定しますが、
臥煙さんによると、初代怪異殺しは不老不死なので、
400年かけて灰から蘇ったのだそうです。

特に、15年ほど前からこの神社を拠点として身体を再生していたのですが、
その影響でこの町には怪異が集まりやすくなっていたのでした。

そして、傾物語で初めて忍がこの北白蛇神社にやってきて、
初代怪異殺しは主であるキスショットの姿を「目撃」します。

それにより、初代怪異殺しの身体の再生速度は勢いを増し、
この本の冒頭では学習塾跡に鎧として出現したのでした。

初代怪異殺しには忍の眷属として吸血鬼の特性であるエナジードレインが残っており、
阿良々木くんと神原からドレインすることで一気に力を回復しました。

……と、臥煙さんは説明しました。
臥煙さんは、初代怪異殺しが吸血鬼として人を殺す前に解決したいと言います。

夜が明け、日中は初代怪異殺しは活動しないだろうということで、
臥煙さんは阿良々木くんに5000円お小遣いをあげ、
助っ人を呼びにどこかへ行きました。

阿良々木くんは神原に頼まれたBLの新刊とブラ〇ャー
(実は神原は物語冒頭からずっとノー〇ラだったのです……)と、
食事を買いに行きます。

まずはいつもの大型書店へ行くのですが、
阿良々木くんはそこで、神原から頼まれていたBL本と、
臥煙さんに似たファッションの熟女が出ているエ○本を購入しようとします。

……シリーズの中で阿良々木くんがエ○本を買うイベント多すぎですw
いったい何回目なんでしょうかw

と、そこへ紅顔の少年が阿良々木くんに話しかけてきました。

実は、この少年こそが初代怪異殺しだったのです。
その少年の姿が本来の姿というわけではなくて、幼女化した忍みたいな感じです。

初代怪異殺しは阿良々木くんを書店の外に連れ出し、話をします。
昼間の初代怪異殺しは、
どちらかと言えば人間だったときの怪異の専門家としての側面が強く出ていて、
それなりに理性的に話をすることができました。

阿良々木くんの顔には余接の足跡のスタンプが残っていたのですが、
それは怪異の専門家にとっては「俺の獲物だから手を出すな」的な意味合いがあるので、
直接攻撃はせず話し合いをすることにした、という理由もあったのですが。

昨夜の怪異の出来損ないのようなものはやはり、
初代怪異殺しによる嫌がらせのようなものでした。

初代怪異殺しは阿良々木くんに、忍と別れろ的なことを言います。
もう完全に忍の元カレが今カレに忍は俺のものだ、って言っているような感じです。

初代怪異殺しは忍と和解し、たった一人の忍の眷属に返り咲こうとしていたのでした。

阿良々木くんは怪異殺しから受け取ったお茶のペットボトルを口にしかけますが、
突如として現れたエピソードの十字架がペットボトルを吹っ飛ばしました。
エピソードは猫白以来の登場ですね。
エピソードの後ろには臥煙さんもいました。

阿良々木くんが飲みかけていたお茶のペットボトルには聖水が仕込んであり、
それを飲んでいたらタダでは済まないところだったのでした。

初代怪異殺しは忍を懸けて阿良々木くんと決闘がしたいと言い、凄く高く飛んで逃げました。
臥煙さんとエピソードは初代怪異殺しを追いかけようとしますが、
阿良々木くんが書店で購入した臥煙さんに似た熟女もののエ○本と、
BL本に目を奪われてしまい、取り逃がしてしまいます。

阿良々木くんが北白蛇神社に戻ると、忍が神原のマウントポジションをとり、
言い争いをしているところでした。

先に忍と神原の言い争いを盗み聞きしていた余接に拘束され、
阿良々木くんも二人の言い争いを盗み聞きすることになります。

神原は、忍は初代怪異殺しに会うべきだ、と主張し、
忍はそれを拒否していたでした。

神原は、初代怪異殺しに自分を、忍に戦場ヶ原さんを重ね、
忍に会いたがっている初代怪異殺しの気持ちを理解していたのでした
(16冊も前の話なので忘れている人もいるかもしれませんが、
神原は同性愛的な意味で戦場ヶ原さんのことが本気で好きでした)。

忍は神原を殺しかけるところでしたが、それでも神原は譲らず、
忍は言い負かされてしまいました。
が、言い負かされたからと言って忍は初代怪異殺しには会おうとせず、
北白蛇神社の建物の中に閉じこもってしまいました。

その後、阿良々木くんは夜中に直江津高校のグラウンドで初代怪異殺しと決闘することになり、
戦場ヶ原さんに電話して英気を養いました。

決闘の仲介役の臥煙さんは阿良々木君の顔面の余接の足跡を取り除き、ルール説明をします。
霊気を帯びた竹刀を背に十歩歩き、そこからダッシュして竹刀を手に取り、
相手を一太刀した方の勝ち、というルールです。
これは阿良々木くんを死なせないようにするためのルールでもありました。
本当に決闘をしたら、忍とのペアリングが切れている阿良々木くんは死んじゃいますからね。

阿良々木くんは短距離走のテクニックについて神原からレクチャーを受け、
走りやすいように神原と靴を交換しました。

と、そこへ羽川さんからメールが届きます。
猫白で送った、阿良々木くんの部屋で、阿良々木くんの服を着ている羽川さんの写メです。

阿良々木くんは神原と臥煙さんから、羽川さんの現在の状況について教えてもらいます。
羽川さんの家が火事になったことすら、阿良々木くんはこのとき初めて知りました。

羽川さん、そして戦場ヶ原さんがかなり切羽詰まった状況にいることを知った阿良々木くんは、
忍と羽川さんと戦場ヶ原さんの3人のうち誰を選ぶのか――と、
鬼物語では受け流した選択を迫られます。

すると阿良々木くんは「神原に携帯を託し、羽川さんの件を任せました。
恋人と恩人は後回しにし、阿良々木君は忍のために決闘をします。

決闘開始直前、空から心渡を落ちてきて、
臥煙さんが用意した竹刀は使い物にならなくなりました。
心渡を使って勝負することになります。

臥煙さんが十数え、阿良々木くんは振り返って心渡を取りに行こうとします。
が、十数える間に初代怪異殺しは重い鎧を脱いでいました。
400年前の鍛えられた怪異の専門家と、
現代の男子高校生の阿良々木くんでは勝負になりません。

初代怪異殺しは心渡を手にし、阿良々木くんを斬ります。
が、それにカウンターパンチを喰らわせるような形で、
阿良々木くんは初代怪異殺しにお札を貼り付けました。

このお札は、『なでこスネイク』で阿良々木くんと神原が北白蛇神社に貼っていたお札です。
阿良々木くんはそのお札を剥がして再利用したのでした。

お札を貼られた初代怪異殺しは人間としての形を保っていることができなくなり、
彼が今まで関わってきたであろう様々な怪異の固まりのような異形の姿になります。

そこへ忍が登場します。
もう阿良々木くんには初代怪異殺しが何を言っているのかも理解できなかったのですが、
忍はちゃんと理解し、
『謝らんでもよい。許した』『わしの方こそすまなかった――生死郎(せいしろう)』
と言い、初代怪異殺しを食べました。

こうして、初代怪異殺しは400年かけてようやく死ぬことができたのでした。

ちなみにその頃、余接は北白蛇神社へご神体を取りに行っていました。
そのご神体が囮物語で重要なキーワードとなったあれです。

――という長い長い話を、阿良々木くんは忍野扇に話していました。
それも、志望校の受験当日である3月13日の早朝というタイミングで、です。

扇は、初代怪異殺しの名前は死屍累生死郎(ししるい・せいしろう)だと言いました。

扇は、忍は鎧を食べたのか、と疑問を呈します。
初代怪異殺しは早く走るために臥煙さんが十数える間に鎧を脱ぎ捨てていましたが、
その鎧はエピソードが回収していたのでないか、
その鎧を再構成して心渡を蘇らせることもできるのではないか、
という感じのことを言うだけ言って、帰っていきました。

取り残された阿良々木くんは、北白蛇神社へ行くことにし、
この話は『暦物語 12話 こよみデッド』に続くのでした。

渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」2巻④「いろいろあって川崎沙希は拗ねている。」のネタバレ解説

小町の勉強に付き合って寝坊してしまった比企谷は、
平塚先生に怒られます。
と、そこへ、プロローグに登場した川崎沙希も重役出勤してきて、
ちょうど平塚先生に殴られて床に倒れていた比企谷は、
またしても黒のレースの下着を目撃しました。

放課後、勉強しようとカフェに寄ったら、
そこには由比ヶ浜さんと雪ノ下と戸塚がいました。
もちろん、比企谷は誘われていませんでした……。

その後、お金がないことに気付いて戸塚にコーヒーを奢ってもらい、
席に座ると、隣の席には小町がいました。
小町と一緒にいるのは川崎大志で、沙希の弟でした。

大志によると沙希は高2になってから不良化し、
朝帰りするようになったのだそうです。
奉仕部としての依頼を受け、
雪ノ下はアニマルセラピーをしようと言い出しました。

比企谷の家のカマクラという猫を学校まで連れてきたのですが、
大志によると沙希は猫アレルギーなのでその計画は中止になりました。
ちなみに、この話で雪ノ下が猫好きであることが明らかになります。

その後、平塚先生が沙希に注意をしようとして、返り討ちに遭います。

沙希はエンジェルなんとかという店で
アルバイトをしているらしいという情報から、材木座や戸塚を連れて、
「メイドカフェ・えんじぇるている」という千葉市内のメイドカフェへ行きますが、
結局沙希はそこでは働いていませんでした。

由比ヶ浜さんのアイデアで、葉山に沙希をナンパしてもらい、
改心させようとしますが、葉山はあっさりと振られてしまいます。
影からそれを見ていた比企谷と材木座はここぞとばかりに大笑いしたのでした……。
やっぱり性格悪いですね、こいつら。

改めて、夜8時20分に、海浜幕張駅前の近くのホテル・ロイヤルオークラの
最上階に位置する「エンジェル・ラダー」というバーへ行くことになり、
比企谷たちは待ち合わせをしました。

が、最後にやってきたサマー・ドレス姿の雪ノ下は、
ラーメン屋みたいな恰好の材木座や、
スポーティーな格好の戸塚、
可愛いけど大人っぽくは見えない格好の由比ヶ浜さんたちを見て、
バーには入店できないだろうと判断します。

比企谷は小町に見立ててもらい父親の服を拝借していたのでセーフでした。
雪ノ下はこの近くで一人暮らしをしているので、
由比ヶ浜さんに服を貸すことにしました。

由比ヶ浜さんが着替えている間、比企谷、材木座、戸塚の3人はラーメンを食べ、
材木座と戸塚は帰りました。

ドレスに着替えた由比ヶ浜さんと雪ノ下と一緒に、
比企谷は改めて「エンジェル・ラダー」へ行きます。

そして、ようやくバーテンダーをしていた川崎沙希と会うことができました。
が、沙希は相変わらず拗ねています。
そんな沙希に、大志のことについて話がしたいと、
明日の五時半にマックで待ち合わせをしました。

そして翌朝、由比ヶ浜さんと雪ノ下さん以外に、小町と大志もマックに呼び出し、
話し合いが始まります。

沙希は「大志が塾に通い始めたから、沙希の分の学費がなくなり、
それでアルバイトをしていたのでした。
沙希は大学に行くことで親にも大志にも迷惑をかけたくないと言いますが、
小町は、それと同じように大志も沙希に迷惑をかけたくないのだと反論します。

……まあ、大人になった視点から物事を見ると、
予備校へ通う学費を捻出するために深夜アルバイトをして、
そのせいで高校に遅刻するとか、本末転倒もいいところなんですけどね。
高校生の沙希にはその辺はまだ分からないのでしょう。

比企谷は、自分が受けるつもりだったスカラシップの話を沙希にします。

スカラシップの定員が1人ということはないにしろ、
ライバルが増えると受かる確率が減るのに、比企谷太っ腹ですね。

その後、比企谷と小町は自転車に二人乗りで家に帰ることにしたのですが、
雪ノ下は
『また事故に遭ったりしないようにね』
と失言しました。

さらに小町も帰り道、由比ヶ浜さんこそが、
比企谷が入学式の日に助けた犬の飼い主であり『お菓子の人』なのだと、
比企谷に教えたのでした。

渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」2巻③「いつでも葉山隼人は整えている。」のネタバレ解説

ホームルームで3日後に職場見学のグループ分けがある、
と担任が言った日の翌日の朝。

戸塚彩加に挨拶をされた比企谷は、
「……毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ」
と戸塚にプロポーズしてしまいます。

いや、比企谷は専業主夫志望なんだから、
そこは「毎朝、お前の味噌汁を作りたい」とプロポーズするべきだと思うんですが、
それはさておき、職場見学に誰と行くのか決めたかと戸塚は訊きます。

当然、比企谷は決めていませんでしたが、戸塚は決めているのだそうです。

いつものようにクラスで目立っている葉山グループの真似をして、
戸塚のことを「彩加」と呼んでみたところ、
戸塚は比企谷のことを「八幡」と呼ぶようになりました。
ヤバいです。戸塚可愛いです。

放課後。材木座が部室に来て、出版社へ職場見学に行くのだという話をしました。

そろそろ帰ろうかという時間になって、葉山がやってきます。
葉山は2年F組のクラス内で回っているチェーンメールについて相談しに来たのです。

それは戸部、大和、大岡といった、
葉山グループの男子たちを中傷する内容のメールでした。

葉山はその犯人探しがしたいのではなく、丸く収める方法が知りたいのだと言います。

メールが送られ始めたのは先週末なのですが、
おそらく職場見学のグループ分けのせいだろうという話になりました。

葉山グループの男子は、葉山、戸部、大和、大岡の3人なのですが、
グループは3人ずつ作ることになっており、1人仲間外れにされてしまうのです。

葉山は3人のことを全員「いい奴」だと言い、詳しく紹介するのですが、
戸部のことは「騒ぐだけしか能がないお調子者」
大和のことは「反応が鈍い上に優柔不断」
大岡のことは「人の顔色を窺う風見鶏」
と、雪ノ下は切って捨てます。

雪ノ下の毒舌は比企谷だけに発揮されるわけではなく、平等に発揮されるんですよね。

グループ分けまでまだ1日の猶予があるので、
翌日由比ヶ浜さんと比企谷は葉山グループの様子を探ることにしました。

翌日の昼休み、由比ヶ浜さんは、
「てかさー、とべっちとか大岡くんとか大和くんとか最近微妙だよねー。
なんかこうアレな感じ? っていうか」
と、直球を投げてしまい、あの三浦優美子にすらたしなめられてしまいます。
お前が言うな! という感じですが。

さらに、ようやく名前が判明した葉山グループのラスト1名である、腐女子の海老名さんが、
妄想を炸裂させたため、あまり有益な情報は得られませんでした。
……というか、腐女子だということを隠してないのにリア充グループに属しているとか、
海老名さん何気に凄いですよね。

一方、比企谷は遠くから葉山グループの男子4人の様子を観察していました。
それに気付いた葉山が比企谷に話を聞きに来ると、
それまでは盛り上がっていた戸部、大岡、大和の3人はだるそうにしていました。

放課後、比企谷は部室で葉山に、
あの3人にとって葉山のことは友達だけど、
それ以外の奴は友達の友達だという微妙な真実を告げます。

そして比企谷は犯人探しをせずに丸く収める方法を葉山に教えます。
葉山は、自分は他の3人とは組まないと提案し、
戸部、大和、大岡は3人で組むことになりました。

その代わりに比企谷が葉山に誘われ、
一方、戸塚は最初から比企谷と一緒に行くつもりだったので、
これで3人グループが成立です。

そして葉山の人気は凄まじく、葉山が黒板に名前を書くと、
そこに皆が群がり、いつの間にか比企谷の名前は消えていたのでした……。

西尾維新「うつくし姫」のネタバレ解説

アニメ<物語>シリーズヒロイン本 其ノ參 忍野忍


「アニメ<物語>シリーズヒロイン本 其ノ參 忍野忍」に収録されている「うつくし姫」のネタバレ解説です。

この話は「続・終物語」でもチラッと触れられていましたね。

これは600年ほど前の忍の話です。
うつくし姫のあまりの美しさに、人々はたくさんの贈り物を送り続けました。

しかし、うつくし姫は彼らが自分の外見ばかりを褒め続け、
誰も内面を見てくれないことを嘆いていました。

すると、魔女のおばあさんがうつくし姫の外見を透明にし、
内面だけで判断されるようにしました。

ところが、うつくし姫の内面のあまりの美しさに、
人々は次々と「自分の命を贈り物としてうつくし姫に捧げました。
うつくし姫はそんなこと、望んでいなかったんですけどね。

理由は微妙に違えど、両親も姫の内面の美しさが原因で死んでしまいます。
城の前はあっという間に死体の山となってしまい、うつくし姫は悲しみました。

魔女のおばあさんも、
真っ先に自分の知恵が詰まった頭(生首)を姫に捧げていたため、
うつくし姫を元に戻すことはできませんでした。

しかしうつくし姫の涙で一瞬だけ生き返った魔女のおばあさんの首は、
姫に旅に出るようにとアドバイスをしました。

姫が吸血鬼になるのはその少し先の出来事であり、
自分に捧げられた命を初めて救うことができたのは、
阿良々木くんと出会った600年後の話なのでした。


というあらすじなんですけど、「ひどい展開の話ですね……。

うつくし姫は何も悪いことをしていないのに、
結果として悲劇の元凶となってしまうという……。
まあ、600年も前の話なら、どうせうつくし姫に命を捧げなくても、
全員死んでしまっているのが救い(?)と言えば救いでしょうか。

でも、吸血鬼になる前にこんなことを経験していたんなら、
そりゃあ人命を軽んじるようになるよなあ、としまうましたは思いました。


ところでこの本、3冊目のヒロイン本なのにアニメとは順番が違っていて、
撫子じゃなくて忍の本になってるんですよね。

また、撫子本には、撫子が描いたという設定の漫画が載るらしいので、
このままだと1冊目の羽川さんだけ何もない、という状況になりそうです……。

(追記)この話は、業物語第零話(1)「あせろらボナペティ」に続きます。

西尾維新「まいごのかたつむり」のネタバレ解説

アニメ<物語>シリーズヒロイン本 其ノ貮 八九寺真宵


「アニメ〈物語〉シリーズヒロイン本 其ノ貮 八九寺真宵」に収録されている、
「まいごのかたつむり」のネタバレ解説です。

家を探しているかたつむりの話で、
アニメの予告編と同じ絵柄の挿絵がついており、
絵本のようになっています。

かたつむりは、羽川さんや戦場ヶ原さんの家などがモデルの、
色んな家を見て回りますが、自分の家は見つかりません。

阿良々木くんがかたつむりに、
背負っているのが家なんじゃないかと尋ねますが、
かたつむりは否定します。

自分が探しているのは帰りたい場所、ほっとする場所、
安心する場所、しあわせな場所なのだそうです。

それを聞いた阿良々木くんは、「今日から僕がお前の家だ、
とプロポーズのようなことを言います。
こうして、家は見つからなかったけど家族ができました――。


というあらすじなんですけど、今回は1分もあれば読めるような分量なので、
いつもとは逆の意味であらすじを書くのが大変でしたね。

心が温まるような感動的な内容なので、
まだ穢れを知らない子供に見せても問題なさそうです。
しかし、子供に「このアニメ何?」とか訊かれると、
子供には見せられないシーンも多いので、やっぱり見せられませんね。

赤川次郎「天使にかける橋 天使と悪魔」第3話「天使は労働する」のネタバレ解説

森の中をさ迷い、行き倒れていたマリは、
偶然車で通りかかった緑川という男と、
その子分の光太の2人組に助けられます。

喫茶店で定食をご馳走になり、緑川がトイレに立つと、
そこへ浅倉という男が通りがかりました。
すると浅倉は光太に、緑川を裏切って自分のところへ来い
と勧誘しました。

浅倉が去ると、緑川はマリに泊まるところはあるのかと尋ねます。
ないと答えると、緑川は自分のボロ家へ案内してくれました。
40歳くらいの佐知子という、事実上の緑川の妻が出迎えてくれます。

マリが窓の外に浅倉の子分を発見し、それを緑川に伝えると、
緑川は光太に外を見てくるように言いました。
マリも、ポチに頼んで様子を見てもらってきます。

すると光太は浅倉に、新しいスーパーを「やる」ことを密告しており、
さらに家に戻り、外に怪しいのはいなかったと緑川に報告しました。
ポチもマリには何もなかったと嘘をつきます。
……いつものことですが、ポチはやっぱりポチですね。

マリはそれから3日間緑川の家に泊めてもらい、
公園で落ち葉拾いのアルバイトをしていました。
すると、アルバイトの休憩中に、
公園の前のスーパーの出入り口を緑川が見張っていることに気付きました。

家に帰り、マリがアルバイト代をそのまま佐知子に渡すと、
佐知子は、以前佐知子が浅倉の愛人として苦しんでいたところを、
緑川が救ってくれたのだと話してくれました。
緑川が危ない仕事をしているのは知っているが、
それでも黙って緑川についていくのが佐知子の幸せなのだそうです。

その夜、マリが納戸で寝ていると、光太に襲われそうになりました。
が、ポチが椅子を倒してくれたおかげで、
その音に気付いた緑川が駆けつけてきてくれ、マリは助かりました。
緑川が光太の顔を平手で殴ると、光太は家を出て行きました。

ところが翌日、家に誰もいないときに再び光太が現れます。
緑川は例のスーパーに盗みに入るつもりなのですが、
浅倉も同じことを考えているので、それを自分と一緒に伝えに行ってほしい、
と光太はマリに頼みました。

普通なら疑うところですが、マリは天使なので光太のことを信じ、
一緒にスーパーへ行きます。

スーパーの事務室へ行くと、
緑川と佐知子が「ボストンバッグに現金を詰めているところでした。
スーパーの女性の事務員は目隠しと猿ぐつわをされ、転がされていました。

浅倉が現れると、光太はマリの咽喉にナイフを突きつけます。
そして別の子分が現金を奪っていくと、浅倉は光太を拳銃で撃ちました。

……まあ、誰かを簡単に裏切るような奴を部下にすると、
また別の誰かのために裏切られそうで嫌ですからね。

浅倉はさらに、女性の事務員まで撃ちます。
浅倉は殺人の罪を緑川になすりつける予定だったのですが、
マリが抵抗し、緑川は浅倉から奪った拳銃を浅倉のこめかみに押し当てました。

浅倉の部下はポチがやっつけ、緑川は浅倉を巻き添えにして自首することにしました。
佐知子も一緒に逮捕されました。

女性の事務員は助かりましたが、光太は死んでしまいました。
マリは拾った新聞でそのことを知りました。

そんなことがあってもマリは、逞しく住み込みで働ける場所を探しに行くのでした……。

赤川次郎「天使にかける橋 天使と悪魔」第2話「天使は見守る」のネタバレ解説

今回、マリはメッセンジャーのアルバイトをすることになりました。

大手新聞社へ行くと、大谷まつ子という名前のおばさんに、
住所と名前のメモを渡され、ここへ行くようにと言われます。

最寄駅で降り、交番でその場所への道を尋ねたのですが、
警官が教えてくれた道は崖っぷちの場所であり、
マリは危うく転落死しそうになります。

それを助けてくれたのが、会いに行く人物だった、
細川作治という50歳くらいの男性でした。

マリは細川から封筒を渡されますが、帰りに交番の前を通りがかると、
例の警官から封筒を奪い取られてしまいます。

しかし、それは細川も予想しており、マリは予め囮の封筒を目立つように持ち、
本命の封筒は隠し持っていたのでした。

その夜、新聞社の空き室に泊めてもらっていたマリは、
大谷まつ子からファイルを渡されます。
その直後、大谷まつ子は車に撥ねられ重体になってしまいました。

病院へ駆けつけた細川は、こうなった事情をマリに説明します。

半年ほど前、水上寛という34歳の白バイの警官が、
スピード違反の車を追いかけて事故死しました。
ということになっていたのですが、事実はそうではありませんでした。

そこまで話したところで、林田という刑事が現れ、
細川のことを「署長」と呼びました。
林田という男は、大谷まつ子を轢いた車は見つからないだろうと言外に匂わせ、
さらにマリを脅して行きました。

ここから回想です。
半年ほど前、当時警察署の署長だった細川は、
ガソリンスタンドでトラックの運転手と話しているときに、
白バイが猛スピードで走り去っていくのを目撃します。
水上寛は時々、こうやって無意味にバイクを飛ばして遊んでいたのでした。

ガソリンスタンドからトラックがゆっくりと出たところで、
白バイがトラックにぶつかり、水上は亡くなりました。

が、死んだ水上には洋子という妻と、秀一という4歳の息子がいて、
その2人の生活を守るために細川は、
水上はスピード違反の車を追いかけて事故死したと嘘を吐いたのでした。

ところが、何も悪くなかった例のトラックの運転手、寺門が、
無実の罪で逮捕されてしまったのです。

無実の罪でトラックの運転手を刑務所へ送るわけにはいかず、
細川は本当の証言をしようとしたのですが、それはできませんでした。
あのとき事故を目撃した人たちも誰も証言させてもらえず、
細川は大谷まつ子を通じて新聞で真実を訴えようとしたのですが、
その記事は握りつぶされ、お偉方から真相を言うなと迫られました。

失望した細川は辞表を提出し、
寺門は1年間の刑務所暮らしとなりました。

回想終わりです。
病院へやってきた水上洋子は細川に、
自分は息子との生活を守ると宣言しました。

大谷まつ子は命の危機は脱出しましたが、
完全に治るまでには時間がかかります。

マリは大谷まつ子から渡されたファイルを持って、
寺門の妻に会いにいきました。

寺門の妻は細川から真相を知らされていましたが、
もう諦めかけていました。

寺門の家を出ると、警察の男たちから無実の罪をでっちあげられ、
ファイルを奪われそうになります。
が、それを止めたのは水上洋子でした。
洋子も気が咎めて、ときどき寺門の妻の様子を見に行っていたのですが、
しかし自分と息子の秀一との生活の方が大事なのでした。

マリは自分は天使なのだと本当のことを言いましたが、
もちろん洋子には信じてもらえませんでした。

マリが大谷まつ子の見舞いに行くと、「そこへ秀一が運び込まれてきました。
付添いの洋子によると、
秀一は信号無視をしたオートバイに撥ねられたのだそうです。

洋子は、これは天罰なのかとマリに訊ねますが、マリは否定します。

その直後、マリの大天使が現れました。
大天使は、秀一の事故は偶然だと言い、
『人間界のことは、人間が解決しなければならん』『人を裁くな』
とマリに言い、消えました。
タイトルのとおり、天使は見守ることしかできないのです。

秀一が助かったのかどうかは分からないまま、物語は終わります。


というあらすじなのですが、「何とも消化不良な感じの話ですね。

長編小説の冒頭シーンなら違和感はないんですけど、
このまま話が終わってしまうと尻切れトンボな感じが否めません。

結局、寺門が無実の罪から逃れられるのか、
秀一が助かるのかどうかも分からないままです。

何となくですけど、最初からこんな終わり方にするつもりじゃなかったけど、
規定枚数に達したから無理矢理終わらせてしまった、という印象を受けました。

ただ、もしもこの話に続きがあるとしたら、
秀一は助かり、それをきっかけに洋子は改心して、
真相を世間に公表するのではないか、としまうましたは思います。
……書いてみて思いましたが、ちょっとご都合主義な話になるので、
あえて赤川さんはその部分を書かなかったのかもしれませんね。


ところで、真相を世間に訴えたいなら、
新聞社に頼るよりもネットで公表する方が効果的だと思うんですけどね。
現実世界でもテレビや新聞といったマスコミは、
今回の話のように検閲されていますし、
真実を訴える動画を顔つきで動画サイトに流した方がいいと思います。

今だと、ミス・ユニバースの吉松育美さんが被害者となった事件が、
マスコミや警察に隠蔽されているんですけど、
インターネットのおかげで少しずつ情報が拡散されている最中です。
興味があったら検索してみてください。

赤川次郎「天使にかける橋 天使と悪魔」第1話「天使が森に迷うとき」のネタバレ解説

天使にかける橋 天使と悪魔 (カドカワ・エンタテインメント)


「天使と悪魔シリーズ」第8弾(で合ってますよね……?)、
「天使にかける橋 天使と悪魔」1話「天使が森に迷うとき」のネタバレ解説です。

Nランドという遊園地のレストランで働いていた天使のマリでしたが、
初日から目が回るくらい忙しく、
ジュースが椅子にこぼれていたのを拭く前に、
別のお客が座ってしまうという失敗をやらかします。

それを助けてくれたのが、遊園地Nランドの社長の牧村三也子でした。

マリは休憩中に三也子に話しかけられ、
明日はアイドルの麻田さおりに一日中ついていてほしいと頼まれます。

マリが寝泊まりしている小屋に帰り、
黒い犬(本当は悪魔)のポチにカレーライスをあげていると、
マリを見かけて後をつけていた三也子が、
マリをしばらく自分の家に泊めてくれることになりました。

その頃、麻田さおりは滝の夢を見て目を覚ましました。
そこへ、さおりの兄の哲郎が刑務所から脱獄したことを、
さおりのマネージャーの真田浩子がさおりに教えます。

さおりの所属する事務所の社長の久保山努に連絡すると、
明日のNランドでの仕事には久保山も行くと言われました。

一方その頃、ポチは三也子が誰かと電話しているのを盗み聞きしていました。

翌朝、さおりを紹介してもらったマリは、
さおりの兄の哲郎がNランドへやってくるかもしれないという話を聞きました。

その後、偶然マリは、浩子が哲郎と電話で話しているのを立ち聞きしてしまいます。
マリが浩子へ話しかけると、
哲郎は母親を刺した罪で刑務所に服役していたのだ、
という話を浩子はしました。

そしてポチの回想があり、昨夜盗み聞きしていた内容を思い出します。
実は三也子が「哲郎の母親であり、Nランドの倉庫に隠れているように、
と三也子は哲郎に電話していました。
さらに、その電話を切った後、
三也子はNランドの駐車場の特例を認めてもらう代わりに、
哲郎がNランドに現れることを誰かに密告したのでした。

回想終わりです。

マリはキョロキョロしている浩子に話しかけ、
哲郎のことを知っているのかと聞きました。
すると浩子は、哲郎は自分の恋人だったのだと言いました。

そのとき、ステージの上で歌っていたさおりが途中で歌うのをやめてしまいます。
本人は歌詞を間違えたと言っていましたが、実際には観客の中に哲郎が紛れ込んでおり、
それを見つけたショックでさおりは一時的に歌えなくなっていたのでした。

何とか歌い直したさおりは楽屋へ行き、哲郎と再会します。
そしてそこで、三也子が哲郎とさおりの本当の母親であると、
さおりは教えられました。
三也子が哲郎とさおりを産んだのは二十歳前後のときであり、
育てられないため夫に哲郎とさおりを渡して別れたのでした。

さらに三也子は、自分が哲郎を警察に打ったと言い、
さおりはひどい人だとショックを受けますが、
そこへマリが割って入りました。

さおりが滝の夢を見るのは、子どもの頃夜になると父親がベッドに入ってきたせいであり、
その現実に目をつぶるために見ていた夢だったのでした。
哲郎は三也子に相談し、三也子は元夫を事故に見せかけて殺害しました。

2人目の母親は夫がさおりにしていることを知っていながら放置していました。
哲郎は、2人目の母親が開き直ったのを聞いて、カッとして刺してしまったのでした。

浩子が、ステージが終わるまで哲郎と2人きりにさせてほしいと頼んだため、
さおりはずっと歌い続けており、
それを聞いていた警官たちまでステージに夢中になっていたのでした。


というあらすじなのですが、「結局、哲郎は何のために脱獄したんでしょうね?
さおりの父親は既に亡くなっており、2人目の母親も車椅子生活なので、
脱獄してまでやらないといけないことは何もないと思うんですけど……。
脱獄したら罪が重くなりますし、
娑婆に戻ってくるのが遅くなるだけですよね……。

また、三也子が哲郎を警察に売るような真似をした理由もよく分かりません。
哲郎が自分から警察に出頭した方が罪が軽くなるので、
出頭を勧めるべきだったと思うのですが……。

さらに突っ込むと、タイトルの『天使が森に迷うとき』というのも、
意味がよく分かりません。

何かいい話っぽい終わり方をしていますが、納得できないことだらけの話でした。


(天使と悪魔 天使にかける橋 1話 2話 3話 4話 5話 6話

東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」第五章「空の上から祈りを」のネタバレ解説

この第五章は、これまでの話の総決算のような話です。

魚屋ミュージシャンへアドバイスを送っていた敦也、翔太、幸平の3人は、
彼が「再生」をハーモニカで演奏していたのを聞き、
人気女性アーティスト水原セリの恩人が、魚屋ミュージシャンであることに気付きます。

実は敦也、翔太、幸平の3人は児童養護施設「丸光園」の出身であり、
先輩である水原セリのことは知っていました。

敦也、翔太、幸平の3人が丸光園の出身だということを踏まえて
第一章第二章を読み返すと、
相談者に対して「贅沢な悩みだ」と考えていた理由が分かりますね。

魚屋ミュージシャンに、音楽を続けるようにとアドバイスをした後、
ネット上に浪矢雄治の33周忌の日に一夜限りで相談窓口が復活する、
と書かれているのを見つけます。

そして、今日この日が、33周忌の9月13日当日だったのです。

と、そこへ次の相談の手紙がやってきます。

「迷える子犬」と名乗る相談者は、第二章に登場した武藤晴美であり、
OLとして働いてはいるが、水商売もやっており、
会社を辞めようと思っている、という内容でした。

敦也は、水商売をやっていた母親の恋人から、暴行を受けていた過去があり、
丸光園へ預けられたのでした。

そのため、敦也は「迷える子犬」に、
ホステスとして自分の店を持つという夢は諦めるように、
と遠回しに書きました。
すると、武藤晴美は、自分は丸光園出身であり、
お客から愛人にならないかと誘われているという話もしました。

ここで現代の敦也たちから昔の武藤晴美に視点が飛びます。
第一章に登場した月のウサギこと北沢静子が、
晴美の幼馴染として登場します。
フェンシング選手としてオリンピックを目指していた静子が、
そのときナミヤ雑貨店に悩み相談をしていた、という話を晴美は聞きます。

そこで、晴美がナミヤ雑貨店と手紙のやりとりをしたところ、
バブルに関する情報が書かれており、それを利用すれば莫大な富が得られる、
という予言がありました。

晴美は会社を経営し、予言通りにバブルを乗り切り富を築きました。

と、そこへ例の火事で丸光園の園長の皆月と再会した晴美は、
皆月の姉の暁子に関する話を聞きます。
丸光園を作ったのは暁子なのですが、
暁子のかつての恋人が浪矢雄治であり、
2人は皆月の両親によってその仲を引き裂かれた過去がありました。

このへんは、ナミヤ雑貨店と丸光園の繋がりを示す説明のようなエピソードですね。
タイトルの「空の上から祈りを」は、暁子が空の上から祈ってくれている、
という意味です。

そして、2012年。
51歳になった晴美は相変わらず敏腕社長として働いていましたが、
その一方で人気の衰えた饅頭屋を自分のショッピングモールからテナントを外すなど、
弱者を切り捨てるような経営をしていました。

そして、皆月園長が亡くなり、現在の丸光園が何らかの不正の温床となっている、
と感じた晴美は、ナミヤ雑貨店の一夜限りの復活の日にお礼の手紙を書くついでに、
地元に戻ってきました。

が、空き家になっていた実家へ帰ったところで、「3人組の泥棒に拘束されてしまいます。
その泥棒から、晴美が丸光園を潰してラブホテルにするつもりだと考えているんだろう、
と言われます。
晴美は、丸光園を買い取って再建するつもりだ、私は弱い人たちの味方なの、
と言いますが、泥棒たちには信じてもらえませんでした。

『何が弱い人の味方だ。金にならないと分かったら、さっさと切り捨てるくせに』
と泥棒から言われるのですが、晴美を拘束したまま泥棒が去った後、
晴美はその言葉を思い出し、饅頭屋を救ってやることにしたのでした。

もうお分かりでしょうが、この3人組の泥棒というのが敦也たちだったわけです。
失業中の3人は、晴美が悪徳社長だという嘘を信じ込み、
悪い奴からならお金をもらってもいいだろうと盗みに入っていたのでした。
そして、盗んだ車が動かなくなってしまい、第一章の冒頭に話が繋がるわけです。

夜明けが近くなった頃、敦也は試しに、白紙の便箋を郵便受けに入れました。
この白紙の便箋が、第三章で雄治が受け取った白紙の便箋だったのです。

その後、盗んできた晴美のバッグの中から、ナミヤ雑貨店へのお礼の手紙を発見します。
敦也たちは、自分たちがアドバイスを授けた『迷える子犬』こそが
武藤晴美だったという衝撃の事実を知り、3人は自首することにしました。

そしてそこへ、浪矢雄治から、白紙の便箋への返事がきます。

悩み相談をする人は多くの場合地図は持っているが見ようとしない、
あるいは自分の位置が分からないという状況なのだが、
敦也たちの場合は地図が白紙なのだろうと書いてありました。
しかし、地図が白紙ならどんな地図だって描ける、
何もかもが自由で、可能性は無限に広がっている、
と敦也たちを励ます内容が書かれていました。


というあらすじなのですけど、「あの話とこの話がこう繋がるのか、というふうに、
パズルを解いているような心地よさのある物語でした。

特に最後、偽物のアドバイザーである敦也たちが、
本物から相談をもらえたのがよかったです。

東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」第四章「黙禱はビートルズで」のネタバレ解説

ビートルズの全盛期の頃。

中学生の和久浩介の父親の貞幸は会社の社長をやっており、
浩介は非常に恵まれた環境にありました。

ところが万博があった頃から貞幸の会社経営の雲行きが怪しくなってきます。
そんな中、大好きなビートルズが解散したという話を聞き、
浩介はショックを受けます。

さらにある日、とうとう貞幸の会社が傾き、
夜逃げをすることになったという話を聞かされ、
浩介は混乱していました。

そんなとき、浩介はナミヤ雑貨店の前を通りがかり、
夜逃げについて手紙を出し相談しました。
この頃はまだ返事が牛乳箱に返されるというシステムはなかったのですが、
浩介のためにそのシステムが作られました。

すると、両親のことが好きか嫌いかを訊ねる返事が返ってきます。
今の両親は嫌いだと答えると、夜逃げは中止すべきだが、
それができないのなら両親についていくべきだと書かれていました。

やがて、友人からビートルズ解散の理由を描いた映画「レット・イット・ビー」
を見たという話を聞かされました。

翌日の8月31日の深夜に夜逃げを決行すると貞幸から言われます。
貞幸は、俺にとって一番大切なのは家族だ、そのために夜逃げをするのだ、
と言いました。

翌日、浩介は有楽町へ行き映画を観ましたが、
期待していたものとは違うと感じました。

この「ビートルズの解散」にまつわるエピソードが、
和久家の崩壊と対比されているわけですね。

夜逃げ先に持っていくことはできないので、浩介は友人に、
大切なビートルズのレコードのコレクションを1万円で全て売りました。

ところが、その話を聞いた貞幸は、1万円は安すぎるだろうと文句を言いました。

夜逃げの途中、高速の富士川サービスエリアでも、貞幸はその話を持ち出し、
1万円あるんだから当分小遣いはなしだからなと言いました。

それまで恵まれた生活をしていた浩介はその発言に切れてしまい、
サービスエリアに停めてあった見知らぬトラックの荷台に隠れました。

朝になると、浩介はトラックを降り東京駅へ行きました。
そこで万博へ行こうと新幹線のチケットを購入する途中、
警視庁少年課の刑事に補導されてしまいます。

浩介はしばらくだんまりを続けていましたが、やがて、
藤川博という偽名を名乗りました。
藤川は富士川サービスエリアから、博は万博からとったものでした。
生年月日は、一学年下の1957年生まれで、
誕生日はビートルズが来日した6月29日生まれということにしました。

その後、浩介は藤川博という名前で、児童養護施設「丸光園」で暮らすようになると、
そのへんに落ちている木で彫刻を作るようになります。
そのうち、それが話題になり、
浩介は木彫刻の職人の家に引き取られ、定時制の高校に通うようになりました。
そして無事に木工職員として生活できるようになりました。

丸光園を出てから8年後、丸光園が火災に遭ったという話を聞き丸光園へ行くと、
そこで武藤晴美という女性から声をかけられました。

彼女も丸光園の出身で、ナミヤ雑貨店からアドバイスを受けて、
会社の経営を始めたのだそうです。

その話を聞いて再びナミヤ雑貨店へ行くと、店主の浪矢雄治は既に亡くなっていました。
店主の息子は、夜逃げした中学生から令状が届いたと言っていたのですが、
浩介はそんなものを出した記憶はありませんでした。

そして――2012年9月。
すっかり年をとった浩介は、ナミヤ雑貨店の相談窓口が一日だけ復活するという話を聞き、
その近くのバーで、浪矢雄治への令状を書いていました。

そのとき、バーでかけられていたレコードが、
かつて自分が友人に売ったものだと気付きました。
バーのママの兄が、浩介の友人だったのです。
友人は2年前に亡くなっていましたが。

そして浩介は、ママから、「自分が一家心中したことになっているという話を教えられました。

あの夜逃げから2日後、貞幸は、妻の遺体を海に沈め、
妻と息子の遺体を海に流したという遺書を遺し、自分は陸で首を吊りました。

両親は、浩介が和久浩介という名前を捨てるかもしれないと考え、
和久浩介は死んだのだということにするために、そんな死に方を選んだのでした。

軽蔑していた両親の死の真相を知った浩介は、
浪矢雄治を安心させるために、両親は最近まで生きていたという嘘をつき、
浪矢雄治へのお礼の手紙を書いたのでした。


というあらすじなのですが、「浩介は両親からの愛情を信じていなかったのに、
両親からの、文字通り命を懸けた最後の愛情によって、
浩介はヤクザや借金取りに追われることなく、
何とか生き延びてこられたわけです。
しかもそのことに数十年経ってから気付くというあたりが、
もう何とも言えませんね。
プロフィール

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個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
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