加納朋子「モノレールねこ」第1話「モノレールねこ」のネタバレ解説

モノレールねこ (文春文庫)


今回の短編集は、連作短編ではなく、それぞれの短編に繋がりはありません。
強いて共通点を見出そうとすれば、
どれも短い話なのに時間の経過が早いことが挙げられるでしょうか。

さて。
小学5年生のサトルは、自宅の敷地を出入りする不細工でデブなノラ猫に、
首輪がついているのを発見します。

ふと思いつき、サトルはその首輪に「このねこのなまえはなんですか」
という手紙をつけました。
すると、「モノレールねこ」という返事が返ってきました。
塀の上に乗り垂れた脂肪で両脇から塀を掴んでいる様子がモノレールみたいなので、
そう名付けたのでしょう。

首輪をつけたのはコウキと名乗るサトルの同級生で、
コウキはモノレールねこが保健所に連れていかれないように首輪をつけたのでした。

文通を続けるうちにサトルとコウキは仲良くなり、
近いうちに会う約束をしました。

ところが、「モノレールねこが車に轢かれて死んでしまいました。
サトルはモノレールねこを埋葬し、首輪はとっておきました。

それから十数年後。
大人になったサトルは、キツい性格をしている同級生の先輩である高木瑤子が、
実はあのコウキであることに気付きました。
高木はコウキと読むのですが、サトルは下の名前だと勘違いし、
コウキのことを男の子だと思っていたので驚きました。

コウキは十数年前の約束を実行するべく、
『今度デートしてください』と手紙を送りますが、
返ってきたのは『バーカ』という返事でしたw
が、サトルが諦めずにアタックしようとするところで物語は終わります。

この話はとても短いのに、あっさりと十数年の月日が流れるのが大胆ですね。
モノレールねこは可哀相なことになってしまいましたが、

読みやすく、爽やかな読後感のある話でした。

(モノレールねこ 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話

道尾秀介「笑うハーレキン」のネタバレ解説

笑うハーレキン


主人公の東口太一は、「疫病神が自分の近くにいる」という幻覚を見ている、
40歳のホームレスの家具職人です。

ジジタキさん、チュウさん、トキコさん、モクさんという4人の仲間と、サンタという犬と一緒に、
スクラップ置き場で暮らしています。
4人はスクラップ置き場に自分で建てた小屋に住んでいて、
東口だけはトラックの荷台で寝泊まりしています。
そのスクラップ置き場は持ち主の橋本が住む場所として提供してくれている場所です。

東口を含めた5人のホームレスたちは共同でアパートを借りており、
そこを住民票置き場と、トイレ、お風呂、物置用の場所として使っています。
ですから、ちゃんとお風呂に入っているので、普通のホームレスに比べれば清潔です。

ある日、東口は、木下多恵という老婆から預かった箪笥の修理を請け負いました。
その翌日、東口はトラックの助手席に、西木奈々恵と名乗る若い女性がいるのを発見しました。

世界中を旅して回っていた奈々恵は祖母である西木多恵の家を訪れた際に、
以前から憧れていた東口を発見し、尾行していたのだそうです。
奈々恵は、東口の弟子にしてくれと頼みます。
東口は断りますが、奈々恵は無理やり仕事についてきます。

帰る場所がないというので、東口は奈々恵をスクラップ置き場へ連れて帰り、
泊めてあげることにしました。
他の住人には隠すつもりだったのですが、見つかってしまい、仕方なく紹介します。

翌日、東口と奈々恵は宮本家具という業者の手伝いをしに、赤羽警察署を訪れました。
そこで壁の補修作業をしていると、酔っ払った井澤という男が警察署に連行されてきました。
やがて、井澤の妻が井澤を迎えにやってきました。

――かつて、東口は家具会社の社長だったのですが、
ある日、幼い息子の笙太が川で溺れて死んでしまいます。

その後、笙太の死を忘れるために仕事にのめり込んでいた東口でしたが、
取引先の井澤の会社が倒産した煽りを受けて、
東口の会社も連鎖倒産してしまいました。
東口は妻の智恵と離婚し、会社も家も失い、こうしてホームレス家具職人となったのでした。

そして、元妻の智恵は、井澤の妻として警察署にやってきたのでした。
東口は井澤と智恵の後をつけ、自宅を突き止めます。

その夜、昔撮られた笙太のホームビデオを見ながら、東口は奈々恵に過去を語りました。
笙太は東口の言いつけを破り、川で遊んでいて溺れ真死んでしまったのだと。

翌日、東口と奈々恵は修理が終わった箪笥を木下多恵のところへ届けに行きました。
ただし、孫だと知られたくない奈々恵は変装していました。

その1週間後、ホームレス仲間のジジタキさんが消えました。
さらに1ヶ月ほど経過して、犬のサンタ(♀)が子どもを産みました。
そして数日後、ジジタキも何事もなかったかのように戻ってきました。

木下多恵が危篤だという知らせを受けて、奈々恵は病院へ駆けつけました。

その頃、モクさんはサンタが亡くなっているのを発見しました。
さらに、東口が仕事で使っていたシュウ酸という劇薬が減っていました。

東口の見ている幻覚の疫病神は、奈々恵がサンタを毒殺して逃げたことを仄めかします。
しかし、夜遅くに奈々恵はスクラップ置き場に戻ってきました。

翌朝、ジジタキさんが遺体となって川で発見されました。
一応警察が来ますが、死んだのがホームレスだということで、
おざなりな捜査の後、事故死として処理しました。

奈々恵が発見した遺書によると、ジジタキさんは失踪していた間、中国へ行っていたのだそうです。
ヤクザに利用され、クスリの運び屋をやらされていたのですが、
そのことやホームレスでいることに嫌気がさし、盗んだシュウ酸を飲んで自殺したのでした。

サンタを殺したのもジジタキさんで、薬の効果を確かめるためと、
誰かを道連れにしたくてサンタの餌に毒を盛ったようでした。

それから、奈々恵は東口につきまとうのをやめて実家に戻りました。
奈々恵は以前中国へ行ったときのことをジジタキさんに話しており、
そのこともあって責任を感じている奈々恵は、スクラップ置き場を去っていきました。

それから半月後。
かつてホームレス仲間だったガンさんという男が、スクラップ置き場へやってきます。
今はガンさんがアパート暮らしをしているという話を聞いた東口は、劣等感を覚えます。

それにつけこむように疫病神が、井澤に復讐するようにと東口を唆しました。
井澤は計画的に倒産したおかげで自分の財産を守りましたが、
東口の会社は連鎖倒産してしまい、妻を奪われてしまっていたのですから、
東口が井澤に対して恨みを抱かないわけがありません。

東口は井澤の行きつけの店へ行き、シュウ酸を盛ったグラスを飲ませようとします。
が、「実際にそのグラスを飲んだのは井澤ではなく東口でした。

東口は井澤の目の前で自殺しようとしたのですが、
そこへ現れた奈々恵が救急隊員に、この人はシュウ酸を飲んだと告げたおかげで適切な処置がされ、
東口は一命をとりとめました。
それと同時に、疫病神は姿を消しました。

東口の入院する病院へやってきた井澤は、百万ほどのお金を包んで東口に渡しました。
井澤なりに思うところがあったということなのでしょう。
東口はそのお金で、見るからに長期間具合が悪そうだったモクさんを入院させようとしますが、
モクさんは断りました。


東口が退院してひと月が経過しました。
仕事をせずにぶらぶらしていた東口の前に、再び奈々恵が現れ、
木下多恵が亡くなったことを告げました。

翌日、気晴らしに出かけた先で、奈々恵は道化師(ハーレキン)の話をします。
ピエロや道化師を怖がる人がいるのは、笑っている化粧をしているのに、
実際の表情はシリアスだからだという説を奈々恵は教え、
東口は自分の顔が道化師のようなのかと考えました。

大晦日になり、東口はホームレス仲間たちとお祭りに行きますが、
そこで再び東口は厄病神にとりつかれてしまいました。

奈々恵だけではなく、チュウさん、トキコさん、モクさんにもチラシ配りを手伝ってもらい、
仕事を再開することにした東口でしたが、その矢先に妙な仕事が舞い込んできます。

目隠しをした状態でヤクザっぽい人物の屋敷に連れていかれた東口は、
天井まである巨大な作り付けの棚を前方へズラし、
パッと見ただけでは分からないようにスペースを作るようにと命令されました。
その間、ずっと監禁されたままの状態です。

トラックへ戻った東口は、そこに奈々恵、チュウさん、トキコさん、モクさんがいるのを発見し、
悩みますが、すぐに見つかってしまいました。

4人は自分の部下だと説明し、東口は奈々恵たちにも棚の移動を手伝わせます。
何日もかけて棚を移設したのですが、「実は奈々恵の父親が警察の幹部であったことが災いし、
棚の移設が完了したら5人まとめて口封じされることになってしまったのです。

それを盗み聞きして知った東口は棚の移設がまだ終わっていないことにして時間を稼ぎます。
その夜、東口は元妻の智恵に暴力を振るっており、
笙太にも辛く当たっていたことを奈々恵に告白しました。
ホームビデオを撮影していたのも、東口ではなく智恵の方だったのです。

一方、奈々恵も色々と嘘をついていたことを東口に告白しました。
奈々恵は幼い頃に父親と事故に遭い、そのせいで右脚を怪我してしまい、
普通に歩いたり走ったりすることができなくなってしまいました。
それからも奈々恵は引っ込み思案のまま学生時代を終え、引きこもっていました。
ジジタキに語った中国へ行った話は嘘だったので、ずっと罪悪感を覚えていたのです。

翌日、東口たちは色々と策をめぐらせながら決死の覚悟で屋敷を脱出しました。
何のかんので疫病神も消えます。

スクラップ置き場に戻ると、地主の橋本がやってきて、あの屋敷のことは口外するなと釘を刺しました。
あの屋敷の持ち主に東口の情報を売っていたのは橋本だったのです。

東口たちはスクラップ置き場を去り、別の場所でホームレスとして暮らし始めました。
その場所で、チュウさんやトキコさんに手伝ってもらいながら仕事を続けています。
モクさんには入院してもらいました。
しかし、東口にはいずれまた会社を作り、
そのときにはチュウさんやトキコさんやモクさんを従業員として雇うという夢がありました。

一方、奈々恵の方は親の反対を押し切って宅配ピザの仕事をしており、
東口も奈々恵も、過去を乗り越えて生まれ変わることができたのでした。


というあらすじなのですが、
いくら何でも裕福な家庭で育った若い女性である奈々恵が、切羽詰まった事情があるわけでもないのに
ホームレスと同じような生活をするのは無理があるんじゃないかなあとか、
まだ若い東口は年齢的に無理でも、他の人は生活保護を受けられるだろうに何で受けないんだろうとか、
一度はあの屋敷の持ち主が東口たちを殺そうとしたのに見逃すのは物語として都合が良すぎないかとか、
結局東口が智恵と和解することがないまま話が終わってしまうのはどうなのか
(例えば笙太のお墓参りで再会するとかそういう展開にすることもできたはずです)
」とか、
色々と突っ込みどころはあるものの、比較的いい感じにまとまったんじゃないでしょうか。

鈴木光司「エッジ」のネタバレ解説

エッジ 上 (角川ホラー文庫)

この本が出版されたのは2008年、雑誌に連載されていたのは2004年なのですが、
物語の大部分の時系列は2012年の出来事を描いています。

まず冒頭で、アメリカのカリフォルニア州で2011年に起きた
謎の失踪事件に関するエピソードがあります。

また、2012年12月13日には、天文台にいたスタッフが、
空の星の光の一部が突然消えてしまったことに気付きました。

さらに2012年12月19日には、
円周率πの値が、それまでに分かっていたものと突然変わってしまった、
ということが明らかになります。

……ここまでの情報で既に勘のいい人なら気付いてしまったかもしれませんが、
2012年人類滅亡説が題材になっている話です
(ただし、作中では明言されていませんが)。
2012年人類滅亡説というのは、
マヤ文明の暦が2012年12月21日から23日ごろに区切りを迎えることから、
人類が滅亡するのではないかと一部の人達が騒いでいた話のことです。

2013年になった今となっては笑い話にもなりませんがw

正直に言うと、しまうましたは1999年のノストラダムスの大予言については
少し信じてましたけど、あれが何事もなく過ぎてしまったので、
2012年人類滅亡説については結構冷ややかな目で見ていました。

さて、いよいよ本編が始まります。
はっきり言って、この本の前半は時系列が入り乱れていて読みにくく、
あらすじを書くのにも苦労します……。
もう少し時系列通りに書くわけにはいかなかったんでしょうか?
例えば藤村精二の初登場シーンとか、
藤村家に初めて入るシーンとかは回想にする必要性は全くないと思うのですが……。

それはともかく。
主人公の栗山冴子は2012年の時点で35歳です。

大金持ちだった冴子の父親、栗山眞一郎は1994年に、
冴子が17歳だったときに謎の失踪を遂げていました。
その後、冴子は失踪事件専門の探偵、北沢に頼んで眞一郎を探してもらいますが、
結局見つかりませんでした。
冴子はやがて結婚しますが、離婚してしまいます。

それから冴子は眞一郎の莫大な財産を持て余しつつ、
フリーライターをしながら一人暮らしをしていました。

冴子は知り合いの編集者に頼まれ、高遠という場所で2012年1月に、
藤村という一家4人(両親と息子と娘)が突然姿を消していた失踪事件について調べました。

2012年11月5日に、冴子は自分の胸に乳がんのようなしこりがあることに気付きました。
が、それをスルーして仕事をします。
例の藤村家の失踪事件をテレビ局が取り上げることになり、冴子が呼ばれました。
冴子はそこで、もう1人の主人公と言うべき存在の、
チーフディレクターの羽柴と知り合いました。

本物の霊能力者の鳥居繁子をメインに据えて、番組の制作が始まります。

藤村家の鍵を所有しているのは、藤村家の主人である藤村孝太の兄、藤村精二です。
精二は無職であり、借金もあるようでした。

この精二が冴子のことを気に入っており、冴子にしか家の鍵を貸さないことから、
冴子もテレビ局のスタッフに同行し、藤村家を再訪します。

そこで鳥居繁子に霊視してもらうために、藤村家の様々なものを集めます。
その際、冴子は父親の栗山眞一郎の手帳を発見し、それをポケットに入れてしまいました。

その後、鳥居繁子が予言した直後に地震が発生し、冴子は戸棚の下敷きになり、
気を失ってしまいました。

目が醒めると病院にいて、付き添っていた羽柴が帰った後、冴子は再び眠ろうとしました。

が、夜中になぜか精二が病室にやってきて、ピンポイントで冴子の胸のしこりに触れていきました。

それから時間が経過し、2012年12月の中旬になります。
冴子は、今度は1年以上前に3人の男女が失踪した事件について追い始めました。

やがて冴子や北沢や羽柴は、全国の失踪事件についても調べ、その失踪場所が偏っていることに気付きます。
主に日本列島の中央で連続して失踪していたのです。
さらに、世界中の失踪事件についても調べていきます。

その帰りに、冴子と羽柴が夕食をとろうとレストランへ行くと、
そのレストランのビルから誰かが飛び降りました。
飛び降りたのは、何と藤村精二でした。

その後、冴子は羽柴を自宅に招き、セッ〇スしようとするのですが、
羽柴が冴子の胸のしこりに触れると、羽柴はその気をなくしてしまいました。

翌日、藤村家で発見して持ち帰った眞一郎の手帳の表紙の裏にフロッピーディスクがあることに気付き、
冴子たちはそれをプリントアウトしようとします。

そのとき、テレビが次のようなニュースを告げました。
熱海の近くのハーブ園で、100人近い人達が同時に失踪したというニュースでした。

ここで上巻は終わり、下巻になります。

エッジ 下 (角川ホラー文庫)


2012年12月22日。
冴子と羽柴、鳥居繁子、そして例の番組の製作スタッフたちはハーブ園に駆けつけ、
園の従業員や観光客91人が姿を消した事件について調べます。

ハーブ園の中では無数の蟻があり得ない動きをしていたり、
オーロラが出たりと、異常なことが起こっていました。

彼らは海辺のホテルにチェックインしますが、その夜鳥居繁子が自殺するところを冴子は幻視し、
駆けつけると鳥居繁子は老衰で亡くなっていました。

翌日、12月23日。
羽柴は冴子に、実は自分には妻と子供がいるのだと告白しました。
冴子にとっては寝耳に水だったのですが、冴子はそんなことは知っていたと嘘をつきました。

さらに翌日、12月24日。
冴子は自宅に戻り、途中だったプリントアウトの続きをやり、
主にマチュピチュの遺跡について書かれた、眞一郎の手記を読みます。

その手記には不自然な箇所がいくつかあり、父親には同伴者がいたのだろう、
その同伴者は藤村家の妻ではないかと冴子は推理します。

12月25日。
冴子は物理学者の磯貝直樹という人物と一緒に再びハーブ園へ向かいます。
この磯貝というキャラは、登場が遅い割には重要人物で、主にこの小説の探偵役を務めます。

冴子と磯貝がハーブ園へ行くと、そこには巨大なクレーターが出現していました。
そこの取材が終わると、父親の失踪の手がかりを掴むために、冴子は藤村家に向かいました。

一方、ホテルに残っていた羽柴は、磯貝から、
πの値が変化したこととか、宇宙の星が次々と消滅していることを知らされ、
その意味を解説してもらいます。

さらにそこへ、アメリカで数百キロにも及ぶ大地の亀裂――エッジが出現したというニュースが入ってきます。

磯貝は、「もうすぐ相転移というものが起こり、地球は消滅するのだと説明します。
磯貝は最後の時間を同性の恋人のクリスと過ごすために、羽柴たちを部屋から追い出しました。

しかし、それからしばらくして、磯貝は羽柴を呼び出しました。
磯貝は、世界中で失踪事件が頻発していたのは、ワームホールの影響だと言いました。
ワームホールというのは異世界への入り口であり、
失踪した人達はワームホールがあまりにも魅力的だったため、
自らの意志でワームホールに入り失踪したのだそうです。

そして、そのワームホールが出現する場所はある程度決まっており、
磯貝はこの近くだとハーブ園にワームホールができると推理します。
そこで、羽柴たちは近親者などをハーブ園に呼び寄せました。

しかし、口止めをしていなかったせいで無関係な人達も集まってしまいました。
羽柴や磯貝も含めると、その数、173人です。そのうち女性は150人もいました。

集まったメンバーの中には、失踪専門の探偵の北沢の息子である北沢俊哉もいたのですが、
人数を聞いた俊哉は青ざめました。

マチュピチュに遺されていた遺骨は173体あり、そのうち150人が女性だったのだそうです。
しかも、その遺骨は四肢が切断されていました。

つまり、羽柴たちはワームホールを通って過去のマチュピチュへ行き、
そこで四肢を切断されて殺されてしまうのです。
それを知った羽柴たちはワームホールを通るべきか悩みました。


一方その頃、藤村家を訪れていた冴子は、家の中に自分以外の誰かがいることに気付き緊張していました。
リビングへ行くと、そこで藤村精二が待っていました。

冴子は藤村精二にヒントをもらいつつ、父親の眞一郎や藤村一家が失踪した理由を推理します。

眞一郎には第三の乳首がありました。
18年前、藤村家の妻、藤村晴子と不倫していた眞一郎は、
晴子から、晴子の夫の藤村孝太にも第三の乳首があることを教えられ、興味を持ち、藤村家を訪れます。

……ここまではいいんですが、ここから先の展開が物凄い超展開です。
冴子は堕天使のような藤村孝太の姿と、その声を幻視します。

いえ、ごめんなさい。
はっきりと幻視したとは書かれていないので、これはしまうましたの推測なのですが、
冴子には予知夢とか千里眼っぽい感じの超能力があり、
これまでにも冴子は色んなものを幻視していたので、
おそらくこの藤村孝太の姿と台詞も幻視なんじゃないかと思います。

で、その幻視の内容なのですが。
実は冴子の父親と藤村孝太は、表裏一体の天使と悪魔のようなものでした。
冴子の父親の来訪によって力を取り戻した藤村孝太は、冴子の死を予知し、それを冴子の父親に告げます。

藤村孝太は冴子の父親の力を奪います。そうしなければ冴子は死ぬと脅して。

それから、冴子の父親は、藤村孝太に姿を変え、藤村孝太として17年過ごしてきました。

藤村一家が失踪したのは、自分の意志でした。
藤村孝太になった栗山眞一郎は、いずれ宇宙が消滅することをしっていたので、
藤村晴子やその子どもたちをワームホールに逃がしました。
そして自分は、予め生きているように見せかけていた藤村精二になりすましていたのでした。

つまり、藤村精二の正体は栗山眞一郎だったのです。

何を言っているのか分からないと思いますが、本当にこんな感じの話なのです。
ただし、正直に言うと、この部分、しまうましたには何が書いてあるのかよく分かりませんでした。
何回読んでもよく分からないのです。
意味不明です。
ですから、もしかするとこの部分のあらすじは間違っているかもしれません。ご了承ください。

何が書いてあるのかよく分からないせいで、自分の頭が急に物凄く悪くなったような感覚を味わいました。
それまでは割とリアリティのある描写が続いていたのに、急に悪魔とか天使とか出てきても困ります。
最終的にこういう話になるんなら、もっと悪魔とか天使とかに関する伝承とかをストーリーに絡ませて、
それがどういったものなのか伏線を張っておくべきだったんじゃないかと思います。

……気を取り直して解説を続けます。

一瞬だけ眞一郎になった精二と別れを告げた冴子は、羽柴たちとは別のワームホール出現場所へ行きました。
電話で羽柴たちが過去のマチュピチュへ行くか迷っていることを教えられた冴子は、
行って過酷な運命と闘うべきだと勇気づけました。

その後、冴子もワームホールを通って別世界へ移動しました。

そしてエピローグになり、栗山眞一郎の視点で、栗山冴子がこの世に生まれたときの話が語られます。
冴子の母親は、飛び降り自殺をしようとしていた藤村精二の下敷きになり、命を落としてしまいました。
冴子は死んだ母親の体内から、帝王切開で生まれました。

さて。別世界へ行った冴子がどうなったのかですが……、
おそらく、もう一度栗山冴子として生まれ変わったのではないかと思います。

そう考える根拠は、ワームホールを通って別世界へ行った冴子が
『自分は今、球体の中にいるとはっきり認識できた』
と書いてあるからです。

その後、球体の薄皮に鋭利な刃物が差し込まれ、外へ出ようとした冴子は身体が動かないことに気付きます。
『膝を両手で抱え、冴子は玉虫のように丸くなっていた。
歓喜の声を上げようとして、口が開かない。
顔一面が、べとべととした粘液で覆われていた。』
という描写もあります。

これはつまり、胎児の状態に戻った冴子が帝王切開で誕生したことを意味しているのでしょう。

うーん。最後まで、分かったような分からないような話でしたね。

時雨沢恵一「キノの旅」4巻「あとがき」のネタバレ解説

この4巻のあとがきには本編のネタバレがあるのでご注意ください。

キノが宇宙へ旅立つ」ことなどシリーズ開始時点で決めていた設定もあれば、
実は「陸が敵のスパイでシズがクロロホルムをかがされてさらわれてしまったこと」など、
今後の展開を全く決めずに見切り発車で書いてしまったところもあったようです。

このあとがきの中で挙げられている点以外にも、この4巻には、
例えば「キノの師匠の師匠の師匠が実は魔族であり、
そのせいで木乃心眼流の継承者であるキノが敵に狙われる羽目になったこととか、
キノに双子の妹がロボトミー手術のせいで廃人になっていて、
キノはその妹を救うために旅を続けていたこととか、
4巻までに登場した陸はシズのペットだったオリジナルの陸のクローンだった
」こととか、
2013年7月時点でまだ回収されていない伏線がいくつも張られていますよね。

ずーっとその伏線が回収されるのを待っているんですけど、いつになることやら……。

シリーズは全部で454巻になる予定らしいのですが、
学園キノシリーズを含めてもまだ21冊しか発売されていませんからね。
単純計算で、まだ4・6パーセントくらいしかシリーズの全貌が明らかになっていないことになります。

長い戦いになりますけど完結までちゃんと付き合いますから、
未完のまま作者死亡ということにだけはなってほしくないです。
みんなで時雨沢さんの長生きを祈りましょう。

いや、その前にしまうましたも長生きできるように頑張らないといけませんがw

時雨沢恵一「キノの旅」4巻エピローグ&プロローグ「紅い海の真ん中で」のネタバレ解説

キノとエルメスはある国を訪れますが、
その国は既に廃墟になっていました。

廃墟を出たキノは、紅い花が咲き乱れる大きな丘の頂上で、
エルメスを横倒しにし、歌い始めました。

キノはエルメスを倒したまま、何度も歌ったのでした。

というのが今回の話のあらすじです。

さて。

この話に出てくる廃墟となった国というのは、「大人の国」のことだと思われます。

そう考えたのにはいくつか理由があります。

まず、国の外に紅い花が咲き乱れている、ということ。
これはキノの改名前の名前の元ネタになった花のことでしょう。

12巻の表紙裏の「寄付の国」でも、キノは
「ボクの故郷の国ですか? ――もう滅びました」
と発言しています(まあ、「寄付の国」の文章を鵜呑みにはできませんが)。

また、廃墟になった国を去るときに、
「もう、この国に用はない。二度と訪れることもないだろうしね」
とキノが意味深なことを口にしていますし、紅い海で倒されたエルメスが
「非道いなあ。こんな非道いことをするのはいったい誰?」
と大人の国に出てきた台詞を口にしています。

キノが歌を歌っていた理由は、
当時は歌手になる夢を見ていたのを思い出したのと、
滅びた故郷に対する鎮魂歌の意味合いがあったのでしょう。

以上のことから、キノが師匠のところで修行している3年間のうちに、
大人の国は滅びてしまったのでしょう。
ただ移住しただけならここまで崩壊することもなかったでしょうから、
何らかの天変地異とか戦争とか内乱があったのだろうと思われます。

国を離れていたキノだけが生き残ったというのは、何とも皮肉な話です。

キノがこの国を訪れた理由は……本格的な旅に出る前に、
過去と決別したかったとか、そんな理由なのではないでしょうか。

時雨沢恵一「キノの旅」4巻11話「塔の国」のネタバレ解説

キノとエルメスは、とても高い塔がある国に行きました。

230年かけて建てられ続けていたその塔は、
入国3日目の朝に崩壊しました。

すると、その国の人達は「大喜びしました。
彼らにとって塔が崩れるのはおめでたいことなのです。
今度は300年は崩れない塔を作ろうと住人達は盛り上がっていました。
ここまで来ると一種の宗教ですね。

キノが出国しようとしたとき、1人の男が自分を連れて行ってくれと頼みました。
塔を建てるだけの人生は嫌だと。

そこでキノが、レンガに彫刻する名人になってはどうかと提案すると、
男は楽しそうに住人達のそのことを提案し、住人達は大歓迎したのでした。


というあらすじなのですが、シュールですね……。
いつか崩れる塔を作り続けるという無意味なことを繰り返しているあたりが、
前話の「橋の国」と対照的です。

レンガ職人になった男ですら、結局は同じ穴のムジナです。
自分の国の伝統に逆らって国を出ようとする、
というのはキノの生い立ちと似ているところもあるのですが、
レンガ職人になった男の場合は、他の人たちに認められさえすればそれでよかったんでしょうね。

でも、意外とこういう話って現実世界にも転がっているような気もします。

最近だと、今月の20日に中国が超高層ビル「天空都市」の着工にとりかかりました。
その高さは838メートルで、
2013年現在世界一高いドバイの「ブルジュ・ハリファ」を10メートル上回り、
完成すれば世界一高いビルとなります(完成すれば、ね)。
それをわずか10ヶ月で建てようというのですから、中国は凄いです(色んな意味で)。

ちなみに、「ブルジュ・ハリファ」は着工から開業までに10年かかってます。
つまり、「天空都市」は「ブルジュ・ハリファ」の工期の12分の1です。

こういうのって、明らかに「世界一高い塔を作った!」と自慢したいがために
作り続けているようなものですよね。
根本的な部分は「塔の国」の住人たちと何も変わらない気がします。

……ところで、もうお気づきかもしれませんが、
5ヶ月以上放置していたキノの旅シリーズのネタバレ解説を再開したのは、
「天空都市」の着工のニュースを見たからですwww

(7月25日追記)
……上記の「天空都市」ですが、安全性に関する審議や手続きが完了していないため、
工事着工するのは違法だとして、当局が工事中止命令を出した、
というニュースが今日報じられてました。
意外な結果ですね。
中国人でも安全性とか気にするんだ、という感じで。

まあ、日本も耐震偽装の姉歯物件とかあるので、他国のことは言えないんですけど。

でも、別の場所で作っておいた箱を組み立てていく方式なので、
既に箱は作っちゃってるんだろうし、人員も確保してるんだろうし、
工事できなかったら大損害でしょうね。

時雨沢恵一「キノの旅」4巻10話「橋の国」のネタバレ解説

キノの旅〈4〉the Beautiful World (電撃文庫)


旅人とモトラド――っていうかキノとエルメスは、
海を渡る巨大な橋を通って隣の大陸へ行くことにしました。

橋の上で野宿し、翌日再び走り出した後、
エルメスは橋の欄干に文字が書いてあるのを発見しました。

それは、以前この橋を作った人達の書いた文章でした。

昔々、橋を作るためにある国から派遣されてきた罪人たちがいましたが、
彼らはそれを隠蔽して新しい国を作りました。
長い年月が過ぎ誰もそれを知らなくなった頃、
海の底からでてきた書類を読み、
罪人たちの子孫は自分たちが何者なのかを知りました。

彼らは計画書通りに橋を作ることにしましたが、
橋の材料となる石を使って家や城壁を作っていたせいで、
やがて石が足りなくなりました。
家や城壁を解体して、その石で橋を作り続けますが、
橋の中央に作っていた彼らの家を取り壊したとき、
その場所が長い窪みになってしまっていることに気付きました。

そこで彼らは、「仲間を殺してその骨で窪みを埋めたのでした……。

その文章を読んだキノは、もう1日橋の上に滞在し、
例の1つの国にはちょうど3日間滞在するというルールを守ることにしました。

そして、空の上から橋を見ると、
『私達は、成し遂げたのだ』という文章が書いてあったのでした。

というあらすじなのですが、
いやいやいやいや、ちょっと待てと言いたくなる話ですね。
彼らの国があった場所は砂漠なので、
新しく石を手に入れることはできないという伏線は張ってありましたが、
別の場所から石を運んでくるとか、何か方法はあったと思うんですよね。

結局骨で窪みを埋めるなら、動物や魚を狩ってその骨で窪みを埋めてもいいのですし。

だから、しまうましたが思うに、彼らは心中したかったのではないでしょうか。
罪人たちの子孫であるという事実に耐えきれなくなったのかもしれないし、
どうせもう家も国もなくなってしまったのだからと自棄になっていたのかもしれませんし、
自分たちの存在そのものを橋と同化させたかったのかもしれません。

ただ、何にせよ、彼らにとっては自分たちが生きることよりも
美しく巨大な橋を完成させることの方がずっと重要だったのです。
価値観の相違と言ってしまえばそれまでですが、何だか悲しくなる話です……。

赤川次郎「三毛猫ホームズの夢紀行」のネタバレ解説

三毛猫ホームズの夢紀行 (カッパ・ノベルス)


三毛猫ホームズシリーズ第48弾、「三毛猫ホームズの夢紀行」のネタバレ解説です。

ヒロインに「あゆ」という名前をつけた美少女ゲームに没頭している、
24歳ひきこもりの小出弘一の母親、小出雪子が自宅で何者かに殺されました。
弘一と2人暮らしをしている、
平凡な主婦に見えた雪子には3000万円以上もの貯金があり、
雪子は何者なのかというのが今回のメインの謎です。

その美少女ゲームはウィーンが舞台らしいのですが、
ウィーンなのは完全に赤川さんの趣味ですね。

あと、雪子と言えば「三毛猫ホームズの推理」のヒロインの名前でもありますが、
これは単に名前を使い回ししているだけで無関係でしょうね。

雪子が殺されたのを知っても、弘一は警察や救急車を呼ぶことすらできず、
弘一は四年前に別れた元カノの天宮亜由に電話します。
亜由が弘一の代わりに通報し、片山と石津が捜査にやってきました。
弘一の部屋から拳銃が見つかりますが、片山は安易に弘一を犯人扱いしませんでした。

亜由の上司、尾田八郎がミステリー好きだったこともあり、
尾田に後押しされた亜由は弘一の面倒を看に通うようになり、
やがてまた一緒に寝るような仲になります。

小出雪子が殺されたというニュースを警察署で見ていた車上荒らしの村井定は、
雪子のことを知っていると言いました。

以前、亜由の会社が入っている高層ビルの車上荒らしをしているときに、
高級車に乗っていた雪子の車に盗みに入り、
ボディーガードに見つかってボコボコにされていたのでした。

手がかりがあると思った片山と晴美は村井とそのビルへ行き、
そこで受付にいた安西むつみと知り合いました。
その安西むつみが、児島光枝の世話したお見合いの相手でした。

片山とむつみは日曜日にホテルでお見合いをしますが、
片山はむつみの元彼の松原忠士にバットで殴られそうになりました。

その日、村井定が車に轢かれて亡くなりました。
光枝の友人がその車を目撃しており、冴島真弓という女性の車だと証言しました。
しかし、病院の院長をしている、真弓の夫の冴島五郎に話を聞くと、
その車は村井が殺される前に盗まれたのだと言われました。

冴島五郎は例の車を処分させた千葉志帆という若い女性と不倫するようになり、
尾田八郎も会社が入っているビルの喫茶店のウエイトレス、香川涼子と不倫します。
不倫ばっかりですね。

一方、元鞘に戻ったはずの弘一と亜由でしたが、
ゲームのヒロイン「あゆ」が亜由に嫉妬していると弘一が主張し始め、
雲行きが怪しくなります。

やがて、香川涼子の喫茶店が給仕している貸し会議室が怪しい、
ということになり涼子や晴美が調べ始めますが、感づかれて逃げられてしまいました。

しかも逃げる際に、その貸し会議室を使っていた男は、
受付にいた安西むつみの腹を拳銃で撃ってしまいました。

翌日、貸し会議室の社長、八木啓介に話を聞きますが、
八木もその部下の吉沢小百合も何も知らないと主張しました。
それでも一応貸し会議室の中を調べると、ホームズが壁紙に注目していたので、
片山はその写真を撮りました。

その壁紙が実は上下逆さまだったということに気付き、
片山、尾田、涼子、ホームズの「4人」は夜中に貸し会議室に入り、
壁紙の中を調べました。

すると、「中から監視カメラや盗聴器が何台も見つかりました。
八木達はそれをネタにして会議室を借りた企業を脅迫しており、
殺された小出雪子もその出資者だったのです。

……『三毛猫ホームズの茶話会』と似ている気もしますが、気にしないでおきましょう。

しかし、それを知った犯人たちが会議室に放火し、片山達は危うく死にかけました。

八木よりも実は吉沢小百合――本名、大坪明美という女の方が凶悪で、
明美は八木を口封じしようとしますが、片山達の活躍で阻止できました。

明美は、海外に逃亡しようとしていた冴島真弓についていこうとします。
が、冴島五郎と千葉志帆が不倫していることを知ると、
真弓は冴島と志帆を射殺し、明美も殺してしまいました。
真弓は自首し、明美に頼んで、
利益の分配に不満を抱いていた雪子を殺させたのだと供述しました。

一方、亜由は、『あゆ』になりきっていた弘一に監禁され、生き埋めになりそうでしたが、
ホームズが発見してくれたおかげで助かりました。

最後に、片山に好意を抱いていたはずの安西むつみが、
むつみの手術をしていた外科の永井と結婚することになった
という知らせが入ってきたところで、今回の物語は終わります。

他の話に比べると、むつみと永井の結婚だけがおざなりというか唐突ですね。
せめて、2、3ページでいいから2人が仲良くなるきっかけのようなものがあれば
納得できたのですが……。
ページ数が足りなかったのでしょうか。
他の作家なら単行本化するときに加筆修正するでしょうが、
赤川さんは1度書いた文章はよっぽどのことがない限り直しませんからね。


さて、せっかく三毛猫シリーズのネタバレ解説を始めたので、
シリーズ全部の死者の数をカウントしてみようかと思います。
今回の死者の数は「男性2人、女性3人」でした。
そのうち累計の死者数もカウントする予定です。

西尾維新「暦物語」第10話「こよみシード」のネタバレ解説

1月中旬。
センター試験の帰り道に、暦は道で余接と出会いました。
余接は影縫さんに頼まれて何か探し物をしているのだそうです。

阿良々木くんはその探し物を手伝うことにしたのですが、
余接は自分が何を探しているのかすら分からない状態でした……。

余接は指を1本上に向け、
阿良々木くんが影縫さんのようにその上に乗ることで視点の高さを上げ、
探し物をするのですが、結局上手くいきませんでした。

後日、その話を聞いた羽川さんは、
1月中旬と言えば恋物語で貝木が町をうろついている時期だったので、
余接は阿良々木くんと貝木が鉢合わせしないようにしたのだろう、
と推理しました。

阿良々木くんが余接の上に乗っているのは非常に目立つので、
それを見つけた貝木は逃げ出すだろう、
と余接は考えたのでしょう。

……正直、余接にそんな知恵が回るのかどうかはちょっと疑問ですがw


タイトルの「シード」は、
有力な選手やチーム達が最初から対戦することがないように
トーナメントなどを調整する、という意味のシードなのだと思います。

((※追記)と思ったのですが、アニメ「暦物語」の副音声では、
「撒かれた種は地面に埋まっていても分からない、
という意味合いだと解説されていました。)

西尾維新「暦物語」第9話「こよみトーラス」のネタバレ解説

タイトルのトーラスという言葉には耳馴染みがないかもしれませんが、
トーラスというのはドーナツの形のことです。
タイトルを「こよみドーナツ」にしなかったのは、
それだと目次を見た段階で9話は忍がメインの話だと分かってしまうから、
という理由なのではないかと推理してみますw

さて、12月。
受験勉強をしていた阿良々木くんは、
戦場ヶ原さんが作ってくれた手作りのドーナツをおやつに食べようとします。

が、それを嗅ぎつけて忍が目を覚ましてしまいました。
ミスタードーナツの商品ではないことに文句を言いつつも、
忍は毒味だと称してドーナツを1個食べてしまいます。

さらに残りの4つも全て食べてしまおうとする忍を阿良々木くんがとめると、
忍はある勝負を持ちかけてきました。
それは、忍が部屋の中に4つのドーナツを隠し、
それを制限時間内に阿良々木くんが発見できれば阿良々木くんが食べていいし、
発見できなければ忍が食べてもいい、というものでした。

その勝負の結果、
阿良々木くんは「3つのドーナツを発見して食べることができたのですが、
結局最後のドーナツを発見することはできませんでした。

その話を聞いた羽川さんは、ドーナツの形が不揃いであり、
ドーナツにはクリームもついていたことから、
阿良々木くんが発見した3つのドーナツの中に、
小さめのドーナツを隠したのだろう、と推理しました。


というあらすじなのですが、本来ならばこの12月という時期は
こんな平和なことをやっている場合じゃないんですよね。
阿良々木くんと忍だけではなく、
手作りのドーナツとか作っている戦場ヶ原さんも含めて。

だって、「卒業式までに撫子を倒すことができなかったら、
阿良々木くんも戦場ヶ原さんも忍も撫子に殺されてしまうんですから。


でも、それを言ったら受験勉強なんかしている場合じゃないような気もしますし、
何かもう色々と感覚が麻痺しちゃってるんでしょうね。
例えば数分後に生きるか死ぬかという本物の戦争の真っ最中でも、
兵士たちは些細な冗談で笑ったり、
くだらない賭けやゲームをやったりするのだと聞いたことがあります。
ずっと緊張しっぱなしというのは人間には無理なんですよね。

そういう意味では、リアルだと言えないこともありません。

……ところで、戦場ヶ原さんは忍の好物がドーナツだということを知っていて、
あえてドーナツを阿良々木くんに差し入れたのでしょうか?
だとしたら、戦場ヶ原さんは最初から、
阿良々木くんだけじゃなくて忍にも差し入れしたつもりだったのかもしれませんね。
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