加納朋子「レインレイン・ボウ」第2話「スカーレット・ルージュ」のネタバレ解説

第2話の主人公、小原陽子は出版社に勤めています。
美人なのですが、かなり気が強い性格です。
化粧映えする顔立ちであり、
タイトルの「スカーレット・ルージュ」は彼女のつけている口紅のことです。

その日の陽子は喫茶店で、初めて会う覆面作家の嶽小原遥と待ち合わせをしていました。

が、嶽小原遥は女性だと思いきや33歳の男性だったため、
陽子は嶽小原に対して非常に失礼な態度をとってしまいます。

気を取り直して、陽子は嶽小原に自分の出版社で本を出してもらうよう説得しにかかります。

そんな陽子に対し、嶽小原は最近何か変わったことはないかと尋ねました。

そこで陽子は、先週牧智寿子が死んだという話をしました。
また、牧智寿子と一番仲が良かった――というか、智寿子に依存していた感じの、
長瀬里穂がなぜかお通夜にも葬儀にもやってこなかった、ということも伝えました。

すると嶽小原は、「実は智寿子は里穂と入れ替わっており、
葬儀の際、棺の中にいたのは智寿子ではなく里穂だったのではないか、
などととんでもないことを言い出しました。

が、それは口から出まかせでした。

不謹慎だと思いつつも怒るに怒れない陽子は、うちの出版社で書いてくれと頼みました。
すると嶽小原は、回りくどい言い方で承知したのでした。

その帰りに、陽子は駅で智寿子を見たような気がしましたが、
気のせいだと自分に言い聞かせたのでした……。


というあらすじなのですが、この小原陽子というキャラクターは、
「七人の敵がいる」という連作短編でも主役を張っています。
陽子のことが気になる人は、「七人の敵がいる」も読んでみてください。

加納朋子「レインレイン・ボウ」第1話「サマー・オレンジ・ピール」のネタバレ解説

レインレイン・ボウ (集英社文庫)


加納朋子さんは連作短編を得意としている作家さんですが、
この「レインレイン・ボウ」もその連作短編集の中の1つです。

各編の主人公は毎回違っていますが、
全員同じ高校のソフトボール部に所属していたという過去を持つ、
25歳くらいの女性が主人公となっています。

この第1話「サマー・オレンジ・ピール」の主人公、渡辺美久は子どものいる専業主婦です。
お隣の家の美少年が家の前を通り過ぎるときに、
いつも自分に微笑みかけていくのが気になっていること以外は、平凡な主婦です。

ある日、美久のところへ、ソフトボール部のキャプテンだった片桐陶子から電話がかかってきました。
同じくソフトボール部だった牧智寿子、通称チーズが死んだという知らせでした。
智寿子は心臓が弱いにも関わらず激務に追われており、それが原因で死んだようでした。

美久は智寿子の葬儀に出席し、そこでかつてのソフトボール部の仲間たちと再会します。
しかし、一番智寿子と仲の良かったはずの長瀬里穂だけが来ていませんでした。

数日後、陶子が夏みかんのオレンジ・ピールを持って美久の家へやってきます。
そこで美久は陶子へ、「実は夫の文也が本当に好きだったのは智寿子だった、と打ち明けます。

高校時代、文也は、
智寿子がソフトボールの練習で失敗する度にオーバーリアクションをしていたことがきっかけで、
彼女に注目するようになりました。
それに気付いた美久は智寿子と同じ髪型にし、ポジションを変わってもらうことで、
文也に声をかけてもらったのでした。
文也は遠くから練習を見ていたので、顔までは分からなかったのですね。

美久はそのことがずっと気になっていたのですが、
お隣の家の美少年が微笑みかけていたのは美久ではなく、
窓ガラスに映る自分自身の顔だった――という陶子の推理を聞いて、吹っ切れました。


というあらすじなのですが、真相を分かってから読み返すと、
夫の文也との会話に冷んやりとしたものを感じてしまいますね。
その冷たい感じが「夏みかん」という暖かいイメージのものに上書きされる、
そんな印象の話だったと思います。

(レインレイン・ボウ 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話

西尾維新「暦物語」第7話「こよみティー」のネタバレ解説

暦物語 (講談社BOX)



月火は茶道部に所属していますが、
7人しか部員はいないはずなのに8人目の部員がいる、
と月火ちゃん以外の部員は信じてしまっている、という話です。

月火ちゃんは8人目の部員なんかいない、と他の部員を論破します。
が、論破したのに結局何も変わらない……と阿良々木くんに愚痴りました。

まあ、部員たちも本気で信じているわけじゃなくて、
ただ8人目の部員がいることにした方が面白いから、
いると信じているふりをしているんじゃないかなあ、としまうましたは思うのですが……。
だとしたら、月火ちゃんは空気読めてませんね、はい。

シスコンの阿良々木くんはそのことで神原に相談します。
そして神原のアイデアで、「みんなは月火ちゃんのために
8人目の部員がいることにしたのだと、阿良々木くんは諭します。
月火ちゃんは勝手に茶菓子とかを持ち帰っているのですが、
それは部費で購入したものなので、勝手に持ち帰ると数が合わなくなっちゃうんですよね。
で、そんな月火を守るために、存在しない8人目の部員が持ち帰ったことにしたのだと。

もちろんそれは嘘なんですけど、自分に都合のいい嘘なので月火ちゃんは信じてしまいました。


伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない⑫(最終巻)」のネタバレ解説

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)


伏見つかささんの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」12巻(最終巻)の
ネタバレ解説です。

第1章。
京介と桐乃は、秋葉原のショップでカップル限定の特典を手に入れるために、
クリスマスデートをすることになります。
いつもだったらそれは桐乃からの提案なのですが、今回は京介からの提案でした。

まずは原宿で京介の服を桐乃が全身コーディネートした後、秋葉原へ移動します。
京介たちの前には馬鹿ップルがいましたが、その馬鹿ップルの正体は赤城兄妹でした。
赤城たちは「男だらけのメリークリスマス」を、
京介たちは「くりすます聖夜(ほーりーないと)」というエロゲーを買うという、
ごく普通のクリスマスの過ごし方ですね。

京介と桐乃はラブホテルではない普通のホテルへ行き、買ったばかりのエロゲーをプレイします。
その後スカイツリーへ行きますが、曇りだったため桐乃の期限が悪くなります。
しかし、雪が降ってくれたおかげでホワイトクリスマスとなり、いい雰囲気になります。

そこで京介は、桐乃の卒業後の進路(海外留学)を話題に出した後、
「好きな奴がいるんだ」
と発言します。
それを聞いた桐乃は頬に一筋の涙をこぼし、逃げ去ってしまいます。

第2章。
はい。ここで回想が入ります。
10巻で京介が1人暮らしをしていて、あやせが通い妻をしていた頃に話は遡ります。
あやせが部屋中捜索してエロゲーを発掘したり、
京介のパンツを洗濯するために無理やり脱がせようとしているところに加奈子がやってきたり、
買い物に行った2人はそこでベビーシッターのアルバイトをしているフェイトさんと出会い、
赤ちゃんを押しつけられ、その赤ちゃんがあやせの胸を――という楽しいイベントの後、
11巻でカットされていたあやせの告白に対する京介のリアクションが明かされます。
京介は、あやせを振りました。好きな奴がいるからと。
最後にあやせは涙目でキスをし、
「さよなら、お兄さん。あなたのことなんか、大嫌いです」
と言いました。

第3章。
まだまだ回想は続きます。
今度は黒猫と付き合っていた頃の回想です。
黒猫が自宅でゴスロリビキニを着たり、京介が選んだ水着を着て市民プールで泳ぐ練習をしたり、
聖天使の格好のせいでお巡りさんに職務質問をされたり、という楽しい回想が続きます。
……もちろん、この後別れちゃったんですけどね。

そして、12月20日。
京介は黒猫に、本当の意味での別れを告げます。
黒猫は9巻で大活躍した「運命の記述」を破り捨て、慟哭しました。

そして第1章の時系列に戻ります。
逃げた桐乃を追いかける京介の前に、シスカリ仕様の痛ミニバンが現れます。
運転しているのは槙島香織で、沙織と黒猫も乗っていました。
ちなみに秋葉原デートのアイデアを出したのは沙織であり、
それをいいことに2人のデートを観察していたのでしたw

桐乃に追い付いた京介は桐乃に、「お前のことが好きだとガチの告白をします。
さらに黒猫改め闇猫が4日前、京介が闇猫に告げた恥ずかしい台詞を大音量で流します。
何度もキモいキモいと言った桐乃に京介は何度も告白し、結婚してくれええええと絶叫します。

『はい』

と見開きで泣いている桐乃の挿し絵があるのですが、これはいい演出ですね。
漫画だとありがちですけど、小説だと非常に印象に残ります。

それにしても、本当に実妹ENDやりやがりましたね。
もうそうなるんだろうなあと分かっていても驚きます。

第4章。
付き合うことになった2人が最初にやったのはエロゲーでしたwww

とりあえず、桐乃は卒業後に留学するのをやめました。
結局これからどうする?
という話になるのですが、2人はエロゲーを参考にします。
それでこそ高坂兄妹だぜ!!!

……で、まあ、エロゲーなのでそういうシーンがあるのですが、
さすがにそれを参考にはしませんでした。
実は桐乃も2年目のクリスマスデートの際に京介に告白しようとしており、
2人は一生懸命落としどころを考えます。

ホテルに泊まった翌日、2人は黒猫と沙織に報告します。
黒猫はまああれなのですぐに納得しましたが、常識人の沙織さんは戸惑います。

ゲーセンに行き、そこでクマさんパジャマを着た櫻井秋実と再会します。
桐乃は櫻井さんに、自分は京介の彼女で妹だと自己紹介してしまいます。
ちなみに11巻で3年前も今も好きな奴がいるからと断っていたという例の話は、
3年前と現在では別の人だったというオチでした。まあ、予想はしてましたけど。

これも一種の叙述トリックですね。
余談ですが、この巻には何度も叙述トリックという言葉が登場します。
ミステリーならともかく、ラノベで叙述トリックに関する詳しい説明なしに
当たり前のように文中に登場する日が来るなんて……。
ミステリーオタクのしまうましたとしては感慨深いです。

あと、加奈子はライブの真っ最中に大勢のファンの前で京介に告白しますが、振られます。
ページ数も少なく、扱い悪いですね……。
それでも告白シーンがあっただけ、沙織よりはマシですが。

それにしても、この巻は告白ラッシュ&フラグクラッシュの連続ですね。
告白って何だっけとゲシュタルト崩壊しそうです。

第5章。
櫻井さんが言っていたお布団デートをするという言い訳で、
桐乃は京介のベッドに潜り込みます。
何という馬鹿ップル。

桐乃は京介の部屋にコレクションを押しつけます。
その際、京介は例のアルバムとiPodを再発見します。
アルバムには大好きなお兄ちゃんの写真、
iPodには昔の桐乃が吹き込んだ未来の自分への人生相談が入っていました。
最終巻だけあって、伏線の回収もラッシュですね。

第6章。
一気に時間が飛び、卒業式の日になります。
京介は無事に大学に合格し、瀬菜と真鍋くんは付き合い始めていました。

部活に顔を出した京介は、部長や瀬菜や真鍋くんや御鏡と別れの挨拶をします。

その帰りに――ラスボスの麻奈美さんが登場します。

桐乃はかつてないウザさで(京介に対する言動は
まだ抑えていたんだと分かるくらいのウザさで)麻奈美を挑発します。

そして麻奈美は、桐乃のお腹に鉄拳を食らわしました。
口喧嘩ではなくリアルファイトが続きます。ガチの殴り合いです。
何度も兄妹で付き合うなんて気持ち悪い、異常だと麻奈美は主張します。

本当なら麻奈美は何年もかけて外堀を埋め、既成事実を作り、
いつの間にか京介と付き合っていることにしたかったのでしょうが、
残念ながらそれは見事に失敗してしまっていました。
1巻が始まった時点の関係がずっと続いていれば、そうなっていたかもしれないんですけどね……。

麻奈美はそれでも最後に告白しますが、京介は『桐乃を選ぶ』と宣言しました。

京介と桐乃は2人だけの結婚式を挙げ、別れました。
もともと2人は卒業したら別れる予定でした。
これが2人の出した『落としどころ』だったのですが、
何となくこれは黒猫の『運命の記述』の影響を受けたものなんじゃないかなあと思います。

エピローグでは、いつもの『オタクっ娘集まれ』に新メンバーが加わることになり、
京介と桐乃は秋葉原へやってきます。
そこで京介は、もう別れたはずなのに不意討ちのキスをしました。
10巻の桐乃の『何でも言うことを聞いてあげる』という伏線も無事に回収できました。


というあらすじなのですが……ああ、やっぱり完結してしまうのは寂しいですね。
あと、京介の両親が全く登場していないのも気になりました。
まあ、登場させてしまうとややこしくなるから仕方ありませんし、
さすがに親に対して開き直るのはギャグじゃすみませんからね。

とりあえず、長期シリーズものとしては綺麗に完結した方なんじゃないかと思います。

(2013年8月18日追記:とうとうアニメも完結しましたね。
14~16話はほぼ原作通りだったので、原作厨のしまうましたも満足です
(伏見さん的には、最終話で麻奈美と桐乃の髪型が変わってなかったのと、
最後のキスが口じゃなかったのが不満らしいですが……)。

……が、逆にどうして今まで原作通りにできなかったんでしょうか。

2期だけを振り返っても、あやせのストーカー話をカットしたり、
赤城兄妹や沙織や加奈子がメインの話を大幅に削ったり、
11巻を丸々カットしたりとかしたせいで、
伏線を張ったり回収したりできず、話が繋がってない部分も多かったですよね。
特に、あやせの告白が異様なほど唐突に見えました。
そのくせ、原作レ○プな変なオリジナルを入れるし……。

このアニメはマジで何がしたかったんでしょうか。

このシリーズは多くの巻が4章構成になっていることもあり、
原作1冊につき3~4話くらいが適正な尺だと思うので、
それに当てはめると1期も含めて36話から48話くらいの間
(つまり3クールか4クール)だと、
ちょうどいい感じだったのになあと思います。
どうせネットで配信するんなら、一定数円盤が売れるの分かってるんだし、
原作レ○プをせずに適正な尺で放送すればよかったのになあ……と痛切に思います。

作画は安定していただけに、構成や脚本が余計に残念に見えました。

まあ、それでも、この問題だらけの最終巻をおおかた原作通りに描き切った勇気は
素直に褒めたいと思います。
お疲れ様でした。)


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