赤川次郎「杉原爽香三十九歳の秋 オレンジ色のステッキ」のネタバレ解説

オレンジ色のステッキ: 杉原爽香三十九歳の秋 (光文社文庫)


44歳の瀬沼吉弥は嫌な上司に腹を立てて会社を休み、
同じようにクライアントに振り回され仕事をキャンセルされた
石谷由衣と遊園地に遊びに行き、そこで倒れてしまいました。

その瀬沼と待ち合わせをしていた爽香は、
瀬沼の部下であり、瀬沼に思いを寄せる高品沙苗に謝罪されました。

由衣は実家に呼び出され、妹の由加からの話で、
仕事がキャンセルされたのは
父の中河原均の手回しのせいだったと気付きます。

一方、瀬沼は上司を殴ってクビになり、
そのことで妻の希子と喧嘩をし家出をしました。
希子は沙苗と会い、瀬沼が倒れたとき由衣といたことを知らされます。

リン・山崎が描いた爽香の裸婦画が、
堀口という老人の圧力で公表されることになります。
ちなみにタイトルのオレンジ色のステッキは堀口の持っているものです。

親子3人で動物園に行った爽香は、そこに三宅舞がいることに気付きます。
その帰り道、由加が明男の運転する車の前に飛び出してきました。

中河原は由加が妻子のいる内海修一という男に捨てられたと知り、
マミというホステスを利用し内海を経済的に破滅させます。
しかしマミのヒモの健太は、
マミが受け取るはずだった報酬を横取りしてしまいました。
さらに内海がマミを殺そうとしますが失敗します。

そんなある日、爽香の部下の久保坂あやめが夜の会社で何者かに襲われます。

そして爽香のヌードが発表される展示会で、
堀口は「その絵に硫酸のようなものをかけてしまいました。

その後、保釈された内海は、
借金を断った由加を襲いますが、それを止めたのは堀口でした。

堀口はそのせいで入院しますが抜け出し、
自殺しようとしているところを爽香とあやめが発見します。
実はあやめを襲ったのは堀口だったのです。
堀口はあやめをレ〇プしようとして失敗していたのでした。
あやめは自分の絵のモデルにするようにと言い、自殺を思い留まらせます。

また、由衣と由加の両方と付き合っていた瀬沼は、
沙苗に『ひどい人!』と言われ携帯電話を壊されてしまいました。

そして物語は、明男の運転するトラックが一回り大きなトラックに追突され、
明男が意識を失うところで終わりました。


というあらすじなのですが、
やっぱり近年の爽香シリーズは消化不良な感じが否めませんね。
ここから一年も空くのに明男の事故で引っ張るというのは……。
また、健太とマミが放置なのはともかく、
希子が終盤全く登場しないというのはページ数の都合なのでしょうか。

今回印象に残ったのは、死者が1人も出なかったことと、
瀬沼がモテすぎwwwwという部分ですね。

また、どう考えてもキャラクターの数が多すぎてページ数が足りない、
という感じなので、
栗崎英子とか中川は無理して毎巻登場させる必要はない気もします。

個人的には、とにかく舞が鬱陶しいし、
爽香と明男の関係もギスギスしてて見てられませんし、とりあえず、
明男が浮気したらもうこのシリーズは見限ろうかな、とも思います。
でもやっぱり、次巻が発売されたら買っちゃうんだろうなあ……。

西尾維新「鬼物語 第忍話 しのぶタイム」のネタバレ解説

鬼物語 (講談社BOX)


この鬼物語は時系列として見ると、
傾物語の直後の話であり、「猫物語 白」の裏側の話です。

8月21日。傾物語で起こった事件のせいで始業式を
サボってしまった阿良々木くんは、
まよいルーム」で八九寺が阿良々木くんの家を訪れた際に
忘れていったリュックを取りに、八九寺と一緒に自宅に戻ります。

そして阿良々木くんは八九寺にリュックを渡した後、
ブラックホールのような『くらやみ』と遭遇しました。
本能的にヤバいと感じた阿良々木くんと八九寺は、
自転車に2人乗りをして『くらやみ』から逃げます。

が、『くらやみ』に先回りされてしまい、
呑み込まれそうになるのですが、斧乃木余接が助けてくれました。

『例外のほうが多い規則』の離脱版――要するに凄いジャンプで、
その場から逃げ出し、3人は学習塾跡へ行きました。

八九寺が逆境に弱いとか、余接が筋肉フェチだとか、
新しいキャラが見えてきた後、阿良々木くんは余接にキスされます。
いったい化物語が始まってから何回目のキスなのでしょうか……。

そして、阿良々木くんは気絶している八九寺を襲おうとしたところで、
忍に吸血鬼パンチを喰らいます。
さらに、忍は『くらやみ』の正体に関する昔話を始めました。
この昔話というか回想が非常に長く、この本の3分の1くらいを占めます。

ちなみにこの昔話に関しては傷物語で伏線が張ってありました。
ようやくその伏線が回収されたわけです。

400年前、南極から日本にジャンプして飛んできた忍は、
着地の際に湖を消滅させてしまいます。
しかしそのおかげで雨が降り、日照りに悩んでいた周囲の住民たちを救い、
忍は神様扱いされました。
調子に乗った忍は自分が神だという誤解を解かず、
神様のように振舞います。

そこで忍は1人目の眷属――『怪異殺し』と出会ったのでした。
『怪異殺し』はその一帯の権力者であると同時に、
怪異ハンターでもありました。
『怪異殺し』は『心渡』という「猫物語 黒」で活躍した妖刀と、
怪異生かしの小太刀、『夢渡』という大小2本の刀を所有していました。

ところで、忍が一ヶ所に留まっているということは、
北白蛇神社のような負のエネルギーが集まるスポットを作ってしまう
ということでもあるのですが、
今回はなぜか『よくないもの』が集まってきませんでした。

また、周辺の村では次々と人が消えていき、
とうとう『怪異殺し』を除いて1人もいなくなってしまいました。
忍と『怪異殺し』は、自分達以外の人間が全員消えていることを確認し、
落胆しているところで、『くらやみ』に襲われました。

はい、そうです。
村人たちが消えていたのは『くらやみ』に呑み込まれていたせいだったのです。

油断していた忍は全体の4分の1まで呑み込まれ、
『怪異殺し』に至っては手首しか残っていない状態で、南極まで戻りました。
そして忍は『怪異殺し』の手首から
『怪異殺し』を1人目の眷属として蘇らせたのでした。
しかしやがて、『怪異殺し』は太陽の下に出て自殺してしまいました。

えーと……傷物語でチラッと話を聞いた時には
もっとロマンチックなエピソードがあるような気がしていたんですけど、
現実はこんなもんでした。

回想を終えたところで、忍の話を盗み聞きしていた余接が戻ってきます。
さらに八九寺も目を覚ましたところで、再び『くらやみ』が現れました。

咄嗟に、忍は影の中に隠れ、八九寺は阿良々木くんに捕まり、
阿良々木くんは余接に捕まり、再び『例外のほうが多い規則』離脱版で、
学習塾跡を脱出しました。

しかし、その際に『くらやみ』が阿良々木くんの影に触れていたせいで、
忍とのペアリングが切れてしまいました。
「猫物語 白」でブラック羽川の前に忍が現れたのはそういう事情だったわけです。

一方、阿良々木くん、八九寺、余接の3人は、どことも知れぬ山奥で遭難していました。
迷子になりつつも下山を試み、影縫さんにSOSのメールを送りました。
さらに阿良々木くんは戦場ヶ原さんと羽川さん、火憐ちゃんと月火ちゃんに
メールを送りました。「猫物語 白」で羽川さんが受け取ったメールがこれです。

やがて、ようやく村を発見した阿良々木くんたちは、
そこの民家で待っていた臥煙伊豆湖と出会います。
臥煙は阿良々木くんを助ける代わりに、
神原を紹介し、余接の仕事を手伝わせるという条件を出しました。

そして臥煙は、「あの『くらやみ』が狙っているのは八九寺だった、
という衝撃の事実を口にしました。
『くらやみ』は己を偽っている――嘘をついている怪異やその目撃者を消すものであり、
忍は400年前に吸血鬼でありながら神を演じたせいで、
八九寺は迷い牛という怪異でありながら誰も迷わせず成仏もせず浮遊霊になったという
嘘をついていたせいで、『くらやみ』に狙われたのでした。

山で遭難している際に『くらやみ』が現れなかったのは、
偶然にも阿良々木くんが『迷って』いたため迷い牛としての本分を果たしている、
と『くらやみ』が判断していたためでした。

そして臥煙が帰っていった後、八九寺は阿良々木くんにキスをし、
『大好きでしたよ、阿良々木さん』
と言い、成仏してしまいました。

そして、囮物語の翌月。
阿良々木くんは忍野扇に、実は八九寺が成仏していた、という話をしました。
その際、扇は自分の正体が『くらやみ』だという感じの発言をしますが、
実際のところはどうなんでしょうね。

ところで、花物語で八九寺がいるような話を阿良々木くんがしていたのは、
阿良々木くんが、八九寺がまだこの町にいる振りをしていたからだったのでした。

というあらすじなのですが、
うーん……やっぱり、八九寺が名前を冠している傾物語でこの展開が来たなら、
覚悟ができていたので納得できましたが、
忍がメインだと思っていた鬼物語でこれをやられると、
不意討ちというか騙されたような気分になりますね……。
まあ、西尾さんのタイトル詐欺は今に始まったことではありませんが。

星新一「輸送中」のネタバレ解説

エフ氏は、自分の家の庭に奇妙な物体が出現したことに気付きました。

気になったエフ氏は、
その物体から出てきた人物にこれは何なのかと尋ねました。
すると銀衣の男はテレパシーで、
これは別の時代からやってきたタイムマシンだと説明しました。

エフ氏がタイムマシンの中を覗くと、ぼろぼろの毛皮のようなものをまとった、
原始人のような裸の男たちが手錠をはめられていました。

銀衣の男は、奴隷を輸送中にタイムマシンが故障してしまい、
エフ氏の庭で修理しているのだと言いました。

いわゆる「親殺しのタイムパラドックス」という、
祖先を殺してしまうと子孫である自分が生まれなくなってしまう、
という危険性についてエフ氏は訴えますが、
銀衣の男は相手にせずににやにやと笑いました。

銀衣の男の時代では、人類文明の危機が迫っており、地球を脱出し、
もっと環境のいい星に移住しなければならなくなっていました。
その大量の宇宙船を作るために、
銀衣の男は別の時代から奴隷を集めていたわけです。
ただし、全員が地球を脱出できるわけではなく、
手のつけようがない人間は残していくのだそうですが。

修理が終わり、あと十万年移動すると言った銀衣の男に、
『十万年とは、わたしたちにとって、夢のような未来だ……』
とエフ氏は言いましたが、
実は銀衣の男は未来人ではなく過去人でした。

銀衣の男は未来――つまり、エフ氏のいる時代からずっと先の時代から、
原始時代よりももっと前の時代に戻る途中だったのです。
確かにそれなら『親殺しのタイムパラドックス』は発生しません。

エフ氏は、銀衣の男の言っていた、
宇宙船に乗せてもらえず地球に残された人たちの子孫だったわけです。
そしてタイムマシンの中の原始人はエフ氏の子孫だったということに
エフ氏は気付き、飛びかかろうとしましたが、
その前にタイムマシンは消えてしまったのでした。

星新一「分工場」のネタバレ解説

実業家のエム氏は、だいぶ前に手に入れたものの
ずっとほったらかしにしていた郊外の工場へ行きました。

そしてそこで、本物の鬼と出会います。
鬼たちはエム氏の所有する工場を、
地獄の分工場にしていたのでした。

エム氏は所有者の権限として工場の中を見学します。
最初に見たのは、延々と判子を押して回っている亡者たちでした。
彼らは生前に役人だった連中であり、
あっちの課へ行け、そっちの課で判子をもらってこい、
と民間人をたらい回しにした数だけ罰を受けているのでした。

他にも、レストランのウエイトレスだった女性が、
客の水をくれというサインを無視した分だけ、
咽喉が渇いても水を与えられないという罰を受けていました。
水道関係者はもっと長時間水を与えられません。

また、珍走団は爆音を撒き散らしてた録音を聞かされ、
道路工事の責任者は台の上で揺らされ、
禁煙の場所で煙草を吸っていた亡者は煙責めにされ、
煙草のポイ捨てをした亡者は煙草の吸殻を拾わされ、
生前いばっていた数だけぺこぺこと頭を下げさせられ――
というふうに、生前の行ないに対して
同じ数だけの罰が与えられていました。

何だか働いていた人の方が損をしているような気もしますが、
おそらく働いていなかった人は、
その人が生前に使ったのと同じ金額分だけ地獄で働かされるのでしょう。

工場を見学し終えたエム氏は鬼に、
これからもこの工場を地獄の分工場として使っていいと言いました。
そしてエム氏は帰りの車の中で、
『計画は、中止したほうがよさそうだ。
あの場所に、テレビのコマーシャル専用の制作スタジオを建てる
つもりだったのだが。
そんなことをしたら、死んでから成仏するまでに……』

と呟いたところで話は終わります。

最後のエム氏のセリフはどういう意味?

と思った人もいるのではないでしょうか。
テレビのコマーシャル専用の制作スタジオを建てて、
そのCMが繰り返しテレビで放映されてしまうと、
視聴者が見たくないと思っているCMを見させられた回数だけ、
エム氏も死んでからそのCMを見させ続けられることになるから、
スタジオを建てる計画を中止にしたのでした。

石持浅海「玩具店の英雄 座間味くんの推理」7話「警察の幸運」のネタバレ解説

津久井、大迫、座間味くんの3人は、
いつものように新宿で待ち合わせ、火鍋のお店に行きました。

このとき、津久井は恋人からのプロポーズの返事を
どうするか悩んでいました。

津久井はいつものように座間味くんに、
新幹線で起こった事件について話します。
ある国に新幹線を売り込もうとして失敗した商社マンの男が、
その国の大臣を新幹線の中で襲撃する
という事件が発生しました。

犯人はゴミを捨てたいと言って警備の警察官を油断させ、
護身用のマスタードスプレーを噴射しました。
さらに男は発煙筒を大臣がいる車両内に投げ入れようと
しましたが、警察官がスプレーで反撃したため、
事態は収束しました。
そして大臣は事件を知ることなく帰っていったのです。

という話を聞いた座間味くんは、
発煙筒を使う予定だったのに、犯人が目を護るための
ゴーグルをしていなかったのがおかしいと指摘しました。
事件当時は花粉症の時期だったため、
ゴーグルやマスクをしていても不自然ではなかったのに、です。

座間味くんは、犯人は発煙筒を車内に投げ入れたら、
すぐに新幹線を降りて逃げるつもりだったのではないか、
と推理しました。

実は、犯人は大臣の手先であり、
自然な形で新幹線の売り込みを失敗させるのが目的だったのです。

そして、座間味くんの凄さに感服した津久井は、
妙な劣等感を捨て、恋人と結婚することを決意しました。

もうちょっと事件の内容と、津久井が結婚を決意するドラマ部分を
関連付けられなかったのかな、とも思いますが、
連作短編の締めくくりとしては悪くなかったと思います。

石持浅海「玩具店の英雄 座間味くんの推理」6話「警察官の選択」のネタバレ解説

津久井、大迫、座間味くんの3人はいつものように
新宿で待ち合わせ、アメリカ料理のお店に行きました。

そこで津久井は、一昨年、
車が釣具屋に突っ込んだ事件について話しました。

釣りが趣味の警察官、角森と会田は静岡県の川に、
ニジマスを釣りに行きました。
2人は釣り場の近くの釣具店で顔馴染みの店の奥さんと
雑談をしながら遊漁証を買います。
奥さんは、彼らが警察官であることも知っており、
夫である店主は末期に近いガンでした。

ところが実は店主は自分がガンだと気付いていて、
『妻に負担をかけたくないんだ』と角森に
言っていたこともありました。

その事件の日は店主は眠っていたため、
店主の顔を見ることなく2人は店を出ました。
そして、そこで交通事故を目撃しました。

川上方向に50メートルほど上った場所で、
トラックが子どもの自転車を引っかけながら、
ガードレールに突っ込んだのです。

2人はすぐさま現場に駆けつけます。
子どももトラックの運転手も呼吸していませんでした。
トラックのドアにはロックがかかっていたため、
角森と会田は2人がかりで子どもの蘇生処置を行いました。
釣具店の奥さんには救急車と警察を呼ばせます。

奥さんが戻ってきたとき、さらに事態は悪化しました。
ガードレールに突っ込んでいたトラックが動き出したのです。
会田は子どもの蘇生処置を続けましたが、
角森はトラックを素手で止めようとしました。

実際、1度はトラックが止まったのですが、
やがて耐え切れなくなり角森はトラックから離れました。

その結果、子どもは助かりましたが、
トラックは釣具店に突っ込み、店主は即死しました。
そして、この事件の際にとった角森と会田の行動が、
後に様々な議論を呼んだのでした。

という話を聞いた座間味くんは、
角森が自転車をトラックのタイヤに噛ませて
トラックを止めようとしなかったのが不自然だと指摘しました。

そして素手でトラックを止めようとしたのは、
本気でトラックを止めるつもりがなく、
ただ努力はしたけど駄目だったという
心理的アリバイを作るためだったのです。

角森の目的は、ガンで苦しむ店主を自然な形で事故死させ、
保険金や事故の補填などで奥さんを経済的に救うことでした。


というあらすじなのですが、
えーと……言っちゃっていいのかな、
角森だけじゃなくて奥さんの行動もおかしいと思うんですよね。
角森がトラックの動きを止めている間、
奥さんはいったい何をやっていたんでしょうか。

進行方向には夫が寝ている店があるのに、
ぼーっと突っ立っていただけだったのでしょうか。
普通は急いで店に駆け込み夫を起こして
連れ出そうとするのではないでしょうか。

というか、救急車と警察を呼ぶために店に戻ったときに、
夫を起こすのが普通じゃないでしょうか?

実は夫はトラックが店に向かってきているのを知っていて逃げず、
なおかつ奥さんも夫を『安楽死』させてあげようと思い、
このような結果になったと考えるのは、考えすぎでしょうか。

でも、美しいだけの話で終わらせていいのかな、とも思います。

亡くなったトラックの運転手にも家族はいたことでしょう。
例えば運転手にも妻子がいたとします。
運転手の子どもは、自分の父親が結果的に老人を死なせてしまった、
という負い目を一生背負わなくてはならないのです。
まだ学校に通っていた場合、人殺しの子ども、
などといじめられる可能性もあります。
運転手の妻だって、一生、店主のお墓参りを続け、
その度に釣具店の奥さんに謝罪し続けることでしょう。

運転手の親も、自分の子どもの死を悲しむ前に、
店主を死なせてしまったという
やり切れない思いでいっぱいになるでしょう。

そういう、小説には登場しない人物のことまで含めて考えると、
本当に美談で終わらせていいのかな、と思ってしまいます。
まあ、しまうましたがひねくれているだけかもしれませんが。

石持浅海「玩具店の英雄 座間味くんの推理」5話「住宅街の迷惑」のネタバレ解説

津久井、大迫、座間味くんの3人は鍋のお店に行きました。
そこで津久井は、さいたま市仏像事件の話をします。

大乗救国会という新興宗教のトップの今岡が、
さいたま市内の高級住宅地に大邸宅を建てたのですが、
その家の壁に大きな仏像を埋め込んだため、
付近の住人たちが抗議をしました。

そんな中、今岡たちは周辺住民の神経を逆撫でするかのように
新築祝いをします。
新築祝いと言っても中庭でパーティーをしただけなのですが、
近くに政治家の生家があったこともあり、
警察は周囲を警備しました。

そこへ段ボール箱を抱えた男が乱入します。
男は箱の中身の爆弾で仏像を爆破すると言い、
団体の幹部1人を人質にとりました。

しかし今岡はビール瓶を投げつけ犯人を昏倒させました。
警備の責任者が箱の中身を確認したところ、
カセットコンロを利用した爆弾が入っていました。
そして責任者が「消火器!」と叫んだところ、
信者の1人がすぐに消火器を持ってきました。
その消火器を爆弾に噴射し、事件は沈静化したのでした。

ちなみに、犯人の男は敵対する宗教団体の人間でした。
仏像に反対する=犯人と同レベルの危険人物扱いされる、
と住民たちは考え、抗議をやめました。

という話を聞いた座間味くんは、
責任者の『消火器!』という言葉を聞き、
信者がすぐに消火器を持ってきたのは不自然だと指摘しました。
普通は警察の部下に対する指示だと考え、
信者はすぐには反応できないのではないか、と。

実は、周辺住民の仏像を撤去させようという抗議をなくし、
敵対する宗教団体の弱体化を狙い、
さらにその宗教団体から大量の信者を獲得した、
今岡こそが黒幕であり、犯人は共犯者に過ぎなかったのではないか、
と座間味くんは考えました。


というあらすじなのですが、「早い話が自作自演だったわけです。

まあ、正直、消火器を素早く持ってきたから自演だろう、
というのは言いがかりに近いですけど、
座間味くんの考えた真相には説得力があります。

実際、自作自演って結構効果的ですからね。

自分自身やその協力者が、自分と敵対する勢力になりすまし、
過激な迷惑行為や犯罪行為を繰り返すことで、
相手を貶めて自分を優位に立たせるという手法は、大昔から存在しています。

石持浅海「玩具店の英雄 座間味くんの推理」4話「玩具店の英雄」のネタバレ解説

津久井、大迫、座間味くんのいつものメンバーは
新宿のイタリアンのお店に行きました。
そこで、いつものように津久井が事件の話をします。

9月初めにハロウィンの衣装を買いに、
娘と一緒に玩具店に来ていた警察官は、
悲鳴を聞き駆けつけ、
女性店員が中年男性に包丁で刺される現場に遭遇しました。

犯人と出口との間に警察官がいたため、
犯人は男の方に駆けてきました。
警察官は交通課勤務だということもあり、
戦意を喪失してしまいます。

警察官が犯人に刺されるかと思いきや、
警察官と知り合いの民間男性の榊が犯人を突き飛ばしました。
その後、榊は何度も犯人の頭を棚にぶつけたのですが、
打ちどころが悪かったらしく犯人は死んでしまいました。

榊は傷害致死で逮捕されてしまいましたが、
世間は榊を英雄扱いし、執行猶予がつきました。

その話を聞いた座間味くんは、
事件の際に、榊が不自然な態度をとっていると指摘しました。
それは、榊が子どもの安全を確保しなかったことです。

そもそも榊は本当に警察官を助けに行ったのか、
本当は知り合いの警察官を追っ払うために、
助けに入ったふりをしたのではないか、
と座間味くんは思考を進めます。

榊は玩具の携帯電話で包丁から身を守っていたのですが、
実は榊はその玩具を万引きしようとしており、
警察官の注意を犯人に向けるために犯人を店外に逃がそうと
していたのではいか――という、とんでもない結論に達しました。


というあらすじなのですが、
これは安楽椅子探偵ものとして非常に完成度が高い話だと思います。
表題作になるのも頷けます。

ただ、1つ難癖をつけるとすれば、
津久井は榊が包丁を受け止めたのは『玩具』だとしか
説明していないのに、
なぜか座間味くんはそれが『玩具の携帯電話』であると
知っていたのがおかしいのですが……。


しまうましたが読み落としているのでなければ、
これはもったいないミスだと思います。
編集者とか校正の人とかは気が付かなかったんでしょうか……。
文庫化するときには直してほしいです。

時雨沢恵一「キノの旅」3巻「あとがき」のネタバレ解説

この3巻のあとがきは、
1巻のプロローグのパロディになっています。

あとがきで有名な小説のパロディをやる、
というのはよくありますが、
あとがきで自作のパロディをやる作家というのは
非常に珍しいのではないかと思います。
思いついても普通はやりません。

さすが時雨沢! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる! あこがれるゥ!

という感じですね。

こんなに中身のないネタバレ解説が存在してもいいのでしょうか……。
もしもこのブログに編集者とかがついていたら、
絶対こんな記事はボツになると思います。

時雨沢恵一「キノの旅」3巻プロローグ&エピローグ「雲の中で」のネタバレ解説

山岳地帯を訪れたキノとエルメスは、
遠くに大量の死体が折り重なっているのを発見しました。
全員が口から泡を吹き、顔が緑に変色していました。

キノは、彼らは『知らなかったんだ』と言います。
キノは足元の草を引っこ抜き、
これは他のところに生えている草と同じ種類だけれど、
高いところに生えるものだけには毒があるのだと
エルメスに説明しました。

彼らはそれを知らずに草を食べてしまい、全滅したのでした。
そしてその話をした直後、雲が流れてきて何も見えなくなりました。


というあらすじなのですが、
この話の前日譚である12巻10話「雲の前で」で、
彼らが全滅するに至った経緯が明らかになります。

ところで、毒のある食べ物って怖いですよね。

スイセンをニラと間違えて食べてしまい、
食中毒になったという事件が後を絶たないので、
自生しているものを食べる時は気を付けましょう。

特にキノコとかは食用のものと毒があるものを見分けるのが大変なので、
素人は山に登ったときにキノコを見つけても取らない方がいいです。
また、魚を釣ったときなども、
慣れるまではできるだけ多くの人の意見を聞いてから調理しましょう。
用心しすぎるということはないです。
プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年8月9日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。