時雨沢恵一「キノの旅」2巻1話「人を喰った話」のネタバレ解説

キノの旅〈2〉the Beautiful World (電撃文庫)


ある雪の森の中で、キノは立ち往生していた車を発見します。
冬の入りしなからここにいた3人の男たちは、
既に食糧を食べ尽くしてしまっており、
食べ物を分けて欲しいとキノに頼みました。

そこでキノは、報酬としてグリーンの宝石のついた指輪を渡され、
狩りに出かけました。
キノは見事に野生の兎を仕留め、料理をします。
ところで、後にキノは料理が下手だという設定ができるのですが、
このときは簡単な料理だったことや、
男たちがお腹を空かせていたこともあり、
彼らは喜んでキノの料理を食べてくれました。

翌日、2匹の兎を仕留め、また料理をして食べさせました。

さらにその翌日、体力を取り戻した男たちは、
キノにパースエイダ―を突きつけました。
実は男たちは奴隷商人だったのです。
男たちは、キノに銃とナイフを全て捨てるようにと言い、
キノはその通りにしていきます。

が、キノはナイフ型のパースエイダ―で、
油断していた30代の男を撃ち、
さらに40代の男をナイフで刺し、20代の男にぶつけました。
そして先ほど捨てさせられた『カノン』で20代の男を殺しました。

助かったキノは、エルメスに
『怖かったよ。終わってしまうかと思った』
と言い、しばらく恐怖に震えていました。

そして立ち直ったキノがトラックの荷台を開けると、
その中には、食べ散らかされた奴隷たちの姿がありました。

キノは指輪を返し、その場所を去っていったのでした。


というあらすじなのですが、この話のタイトルは『人を喰った話』ですね。
「人を喰う」というのは「馬鹿にする」とか「侮る」という意味です。
そして、男たちは「本当に人を――奴隷を食べていたという、
ダブル・ミーニングのタイトルになっています。


(キノの旅2巻 口絵 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 プロローグ あとがき

時雨沢恵一「キノの旅」2巻口絵「狙撃兵の話」のネタバレ解説

森の中に、一人の狙撃兵がいて、
湖でハ〇カで楽しそうにはしゃぐ男に狙いをつけますが、
「やめてください」
と背後から声をかけられます。

その声をかけた女の人こそが「大人の国」「森の中で」
存在を示唆されていた師匠です。

狙撃兵は森の中にいる人を無差別に殺しており、
殺された人の遺族が師匠に狙撃兵を殺すようにと
依頼していたのでした。
しかし、同じ国の別の人から、同じだけの金額を払うから
殺さないでくれ、とも頼まれていたのです。

その話を聞いた狙撃兵は、「今までは見かけて狙えそうな人は
全て撃ってきたが、これからはそのうちの何人かに1人しか
殺さないようにする、と提案し、師匠はその数字を決めました。

そして師匠は、先ほど狙撃兵に狙われていた男と合流し、
事情を説明しました。
依頼された両方から前払い金をもらっているので、
それを持って逃げることにしました。
そして車が急発進したとき、一瞬前まで車があったところに、
大きな弾丸が飛んできたのでした。


これは何とも釈然としない話です。
結局何も解決していませんし、
狙撃兵が森の中にいる人を狙う理由も全く説明されていません。
まあ、殺すのに理由なんかいらない、というタイプなのでしょうが。

ただ、この釈然としない感じが師匠が主役の話の持ち味なのです。
だんだんこれが癖になっていきますwww
それにしても、この話の師匠は、それ以降の挿絵とはまるで別人です。
キノやシズもキャラクターデザインが変更されましたが、
師匠はそれ以上にキャラデザが変貌しています。

(キノの旅2巻 口絵 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 プロローグ あとがき

西尾維新「化物語 上 第三話 するがモンキー」のネタバレ解説

阿良々木くんは、ここ数日、
バスケットボール部のエースである神原駿河に
ストーカーされていることに悩んでいました。
神原は阿良々木くんよりも学年が1つ下であり、
それまで全く接点のない人物だったのですが、話をするうちに、
どうやら戦場ヶ原さんの知り合いであると分かります。

そこで、戦場ヶ原さんの家の民倉荘で、
「神原駿河って、知ってる?」
と尋ねたところ、戦場ヶ原さんは嫉妬し、
シャープペンシルの先を阿良々木くんの眼球に突き立てる寸前までいきます。

が、しばらくして落ち着いた戦場ヶ原さんは、
中学時代は神原と仲が良かったのだが、
蟹のせいで体重を失った後、阿良々木くんのときと
同じような対処をしたのだと説明しました。

その勉強会の帰りに、阿良々木くんは雨合羽を着た人物に
ボコボコにされてしまうのですが、
忍野に渡して欲しかった10万円を阿良々木くんが
忘れてしまっていたため、それを届けに来た戦場ヶ原さんが
やってきた途端に、雨合羽は去っていきました。

その翌日、阿良々木くんは神原の家へ招待され、
部屋の掃除をした後、神原に謝罪されます。
昨夜の雨合羽の正体は神原だったのでした。
阿良々木くんは、それまで包帯で隠されていた、
「猿の手」と同化した神原の左手を見せられます。

神原は中学のときから戦場ヶ原さんのことが好きであり、
彼女と付き合いたいと「猿の手」に願ったせいで、
昨夜のようなことになってしまったのです。

神原は両親を交通事故で亡くした後、
今の祖父母の家に連れてこられてから、学校でいじめに遭いました。
小学4年生の神原はもうすぐ開かれる運動会で1番になれば、
みんなの自分を見る目も変わるのではないかと思い、
「足が速くなりたいです」
と、母親が遺した猿の手のミイラに願いました。
ところが、その猿の手は一緒に走る予定だった同級生を襲い、
出場できなくするという形で願いを叶えました。

そして今回は、戦場ヶ原先輩と付き合いたい、
と願ってしまったため、
猿の手は阿良々木くんを襲ったのでした。

ところが、いつものように学習塾跡へ行き、
忍野に相談したところ、忍野は、
それは猿の手ではなくレイニー・デヴィルという
雨降りの悪魔の手だと言いました。
レイニー・デヴィルは神原の裏の願いを読んだのです。

小学生のときに同級生が襲われたのは、
自分をいじめていた同級生をぶちのめしたかったからであり、
阿良々木くんを襲ったのも、本当は戦場ヶ原さんを独り占めした
阿良々木くんをぶちのめしたかったから、そうなったのでした。


「切り落としてくれ」「こんな左手、いらない」
「もう、いい。戦場ヶ原先輩のことも、もういい。
もう、いいから。諦めるから」
と神原は言いますが、阿良々木くんは神原を説得し、
別の方法でレイニー・デヴィルを退治することにします。

その方法とは、願いを叶える怪異を退治する方法としては
スタンダードな方法である「絶対に叶わない願い事を願う」
というものでした。
阿良々木くんがレイニー・デヴィルよりも圧倒的に強い、
つまり「願いを叶えることができない」と思わせることにより、
レイニー・デヴィルを諦めさせることにしたのです。

その夜、阿良々木くんは吸血鬼のなれの果てである忍に、
自分の血を吸わせてパワーアップします。
どうして血を吸わせたのにパワーアップするのかというと、
元々阿良々木くんは忍の眷属だったことがあるため、
忍が血を吸って吸血鬼としての力を取り戻すと、
その眷属である阿良々木くんも吸血鬼の力を取り戻すからなのです。

阿良々木くんは、忍野が用意してくれた部屋で、
神原と戦うことになりました。
ところでこのとき、408ページから409ページにかけて、
「中に這入ったら、ことが終わるまで、もう出られないからね。
内側からは、絶対に、扉、開かなくなっちゃうから」
と言うのですが、その直後に、
「阿良々木くんがこの教室に入ったのを見届けたら、
僕は四階へ寝に行くから、後のことは知らないよ。
阿良々木くんもお嬢ちゃんも、帰るときは、
別に挨拶しなくていいからね。
その頃には忍ちゃんも眠ってると思うし、勝手に帰って頂戴」
と言われます。

1つめのセリフと2つめのセリフが矛盾しています。
中に入ったら出られないため勝手に帰ることはできないはずなのですが、
阿良々木くんは気付かず、神原との戦闘を始めます。

神原が長靴ではなくスニーカーを履いていることや、
神原自身も阿良々木くんを憎んでいたことから、
阿良々木くんは苦戦します。殺されそうになります。

ところが、そこへ「戦場ヶ原さんがやってきて、
阿良々木くんを殺したら神原を殺す、と宣言することにより、
どうやっても戦場ヶ原さんと付き合いたいという
神原の願いを叶えることはできないと悟り、
レイニー・デヴィルは去りました。

神原は戦場ヶ原さんに告白し、振られ、
以前のような友人関係を取り戻すことができました。
ただし、腕は元に戻らなかったため、
神原はバスケットボール部を引退することになりましたが。


ちなみに、忍野が気にしていた、
左手以外の悪魔の身体がどうなっているのかは、
花物語で明らかになります。

西尾維新「化物語 上 第二話 まよいマイマイ」のネタバレ解説

5月14日の日曜日、母の日の話です。
ちなみに5月14日が日曜日になる年で一番近いのは、
この本が発売された2006年です。
ただし、この年が2006年だとすると、
後々のシリーズではいくつか矛盾が生じるので、
あまり気にしない方がいいでしょう。

母の日を祝わないということで妹と喧嘩して家を出てきた
阿良々木くんは、浪白公園で戦場ヶ原さんと再会します。
再会と言っても、前回の「ひたぎクラブ」が
5月8日の話だったので、6日間しか経っていませんが。

戦場ヶ原さんは「ひたぎクラブ」で助けてくれたお礼として、
何でも言うことを聞いてあげると言います。
その後、公園の看板を何度も見ているツインテイルの
女子小学生のことが気になり、戦場ヶ原さんに、
「あの看板の前に、小学生、いるじゃん。
リュックサックの名札の苗字、なんて読むんだ?」
と尋ねますが、
「は? 見えないわよ、そんなの」
と、きょとんとした表情で戦場ヶ原さんは尋ねます。

阿良々木くんはその小学生――八九寺真宵に話しかけますが、
「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」
と言われてしまいます。

それを見ていた戦場ヶ原さんは、
「どうしたの? 何かあったの?」とか、
「だから、何をしに、どこへ行くのよ」と言うのですが、
阿良々木くんはその言葉の意味には気付きませんでした。

阿良々木くんは力づくで八九寺真宵から行き先のメモを奪い、
そのメモの住所を読み上げ、土地勘のある戦場ヶ原さんに
案内してもらうことになりました。

しかし戦場ヶ原さんも八九寺もお互いによそよそしく、
おまけにどうやってもその行き先――八九寺の母親が住む
綱手家に辿り着くことができません。
おまけに八九寺も「わたしは――蝸牛の迷子ですから」
と意味深なことを言い、ようやく阿良々木くんは、
八九寺が母親の家に行けないのは怪異の仕業であると気付きます。

そして戦場ヶ原さんが忍野に相談しに行っている間に、
阿良々木くんは羽川さんと出会います。
羽川さんも綱手家の場所を知らず、別れた後、
戦場ヶ原さんから電話がかかってきました。

忍野は、阿良々木くんの質問をのらりくらりとかわし、
肝心な部分は戦場ヶ原さんに説明させることにして通話を切りました。

戻ってきた戦場ヶ原さんは、
「迷い牛という怪異は、目的地に向かうのに迷う怪異ではなくて、
目的地から帰るのに迷う怪異――なのだそうよ」
と説明した後、
『その子――八九寺ちゃんのことなのだけれど。私には、見えないのよ』
と衝撃の真実を口にします。
実は戦場ヶ原さんは、おかしいのは八九寺が見えない自分なのだろうと
思い込み、見えないのに見えるふりをしていたのでした。

八九寺は10年ほど前に、父親と離婚した母親に会いに行く途中、
事故に遭い、死んでしまいました。
それ以来、八九寺自身が蝸牛の迷子である、
迷い牛という怪異になってしまったのでした。

実は八九寺を見えなかった戦場ヶ原さんの方がまともであり、
阿良々木くんや羽川さんに見えたのは、
彼らが『家に帰りたくない』と思っていたからなのです。

そして八九寺を助けたいと言う阿良々木くんに、
戦場ヶ原さんは『I love you』と告白されました。
凄く変な状況ですが、戦場ヶ原さんには八九寺が見えておらず――
もっと言うと阿良々木くんが八九寺に色々なセクハラをしたのも
見えていないので、純粋に惚れ直していたのでした。

その後、新しく作られた道ばかりを選択して目的地に行くという
裏技を使い、綱手家へ行き、八九寺は
『――ただいまっ、帰りましたっ』
と言い、消えてしまいました。


そして阿良々木くんは、戦場ヶ原さん曰く
『萌えの更に一段階上を行く、次世代を担うセンシティブな言葉』
である『蕩れ』という言葉を使い、彼女と付き合い始めたのでした。

――という話なのですが、傷物語や「猫物語 黒」から
時系列順に読んでいくと、羽川さんのことはいいのか?
と阿良々木くんに尋ねたくなってしまう話でもあります。

また、結局八九寺は「成仏せずに浮遊霊として町をさ迷うことに
なったのでした。

小林泰三「惨劇アルバム」のネタバレ解説

惨劇アルバム (光文社文庫)


辺野古美咲は、
「なぜ私の人生には幸せなことしか起こらないのか」
という疑問を持ち、アルバムを開いてみます。
そのアルバムの中の幼稚園に入ったばかりの写真を見た美咲は、
自分は幼い頃に沼に落ちて死んだ、
という信じ難いことを思い出します。

驚いた美咲が母親に問いただすと、
母親はそれは偽の記憶であると説明します。
何と、美咲の母親は美咲に対し、自由に偽の記憶を植え付けたり、
その記憶を簡単に消すこともできるのでした。

そのことに動揺した美咲が婚約者の三浦智一に電話をすると、
何と「婚約者であるというのは偽の記憶であると言われます。
さらに、卒業したはずの大学の事務に問い合わせても、
辺野古美咲という卒業生はいない、と言われてしまいます。

母親は、美咲には元々大学生活自体もなく、恋人もなく、
可哀想に思って偽の記憶を植え付けたのだ、と説明します。


そして美咲の家族について七奈が話そうとしているところで、
第1章の「幸福の眺望」は終わります。

第2章の「清浄な心象」では、
美咲の母親の七奈の視点で話が進みます。
「完璧な子供を作りたい」と願う七奈は、
夫の迩に次々と無茶な要求をし、少しでも子供が穢された、
と思うと流産してしまう、ということを何度も繰り返します。
しかしやがて、「無抵抗だった迩が妻に反逆し、
無理やり子供を産ませ誕生したのが美咲だったのでした。


第3章の「公平な情景」では、美咲の弟の福が、
頭のおかしい教師から少しずつ悪平等な思想を押し付けられ、
最終的には同級生たちからリンチされて死にそうになってしまいます。
この話のネタは、教師に全責任を負わせず、
狂った論理についてもっと煮詰めれば、
より面白い話になったような気がします。

ところでこの話には西中島という男子が登場するのですが、
彼は「密室・殺人」や「獣の記憶」や「タルトはいかが?」や
「大きな森の小さな密室」や「氷橋」に登場する西中島巡査と
同一人物である可能性があります。

第4章の「正義の場面」では、美咲の祖父が風呂場で溺れ死にそうになる
――というシーンから始まります。
その日から祖父の生活は一変し、誰とも会話ができなくなった代わりに、
念力で物を動かせるようになりました。
祖父は、孫の福の様子を見に小学校へ行き、
福がいじめられているのに気付き、福を殴っている虐めっ子を、
シャベルで殴りました。
その後、霊であることを利用し、万引き犯や珍走団を半殺しにします。
ところが、「実は彼は自分が死んで幽霊になっていると思い込んでいる、
徘徊老人だったのでした。


第5章の「救出の幻影」では、迩が息子である福の日記を発見し、
怪物をお化け病院という廃墟に閉じ込めたという内容を読み、
お化け病院へ行きます。
そしてそこで、「実はその日記は福のものではなく
自分が書いたものだったということを思い出します。
一度は怪物を閉じ込めた迩でしたが、怪物のかけた呪いによって、
こうしてまたお化け病院へ戻ってきてしまったのでした。


そして終章で美咲は、「本物の辺野古美咲はやはり既に死んでおり、
自分は偽物であると主張します。
娘の死を受け入れることのできなかった七奈は、
自分の中に美咲としての人格を作り出してしまっていたのでした。

後味が悪い話のはずなのにラストで不思議な感動があるのは、
第2章では不完全な子供扱いしていた美咲の死を、
七奈が本当に悲しんでいたことが分かるからだと思います。


全体的にバラバラで統一感がないというか、
少し消化不良な感じの話が多いですが、
それこそがある意味小林泰三さんらしく、
これはこれで有りかな、とも思います。
小林泰三さんは作品によって出来の差が激しいですが、
この「惨劇アルバム」は平均点といったところでしょうか。
ファンならば読んでも損はないです。

西尾維新「化物語 上 第一話 ひたぎクラブ」のネタバレ解説

化物語(上) (講談社BOX)


さて、記念すべき「化物語」1話「ひたぎクラブ」のネタバレ解説です。

しまうましたはアニメ化される前にこの本を読みましたが、
正直、当時はここまでの人気が出るとは思いませんでした。
久しぶりに読み直して思ったのは「分厚い!」ということでした。
花物語囮物語鬼物語恋物語がそれぞれ280ページ前後なのに対し、
化物語の上巻は446ページもあります。
実に1・5倍以上の分量です。

発売されたのは本書が1番初めですが、
時系列としては「傷物語」と「猫物語 黒」の後の話です。
12ページに書かれている
「地獄のようだった春休み」の話が傷物語であり、
「悪夢のようだったゴールデンウィーク」の話が猫黒です。

が、別にこの「ひたぎクラブ」から読み始めても問題はありません。

まず阿良々木暦という高校三年生の男子生徒が、
戦場ヶ原ひたぎというクラスメートがバナナの皮に足を滑らせ、
階段の上から落ちてきたのを受け止めるのですが、
不気味なくらいに軽かった、というシーンから始まります。

阿良々木くんはその日の放課後、委員長の中の委員長である、
羽川翼さんに戦場ヶ原さんについて尋ねます。
かつては陸上部のスターであり人気者だった戦場ヶ原さんは、
高校に入ってから身体を壊し、
とても物静かな子になってしまったのだそうです。

ところが、その羽川さんとの会話を終えて教室の外に出ると、
いきなり戦場ヶ原さんは阿良々木くんの口の中に
カッターナイフとホッチキスを入れます。
戦場ヶ原さんは、軽いのは1匹の蟹に出会い、
重さを根こそぎ持っていかれたから、ということを説明した後、
阿良々木くんに沈黙と無関心を約束させます。
それに阿良々木くんが頷くと、戦場ヶ原さんはホッチキスの針を
口の中に刺し、去っていきます。

普通ならもう二度とこんな女には関わらないようにしようと思いますが、
阿良々木くんは普通ではないので、戦場ヶ原さんを追いかけ、
「お前の、力になれるかもしれないと、思って」
と言い、傷が残っていない口の中を見せます。
実は阿良々木くんは春休みに吸血鬼に襲われており、
その後遺症で傷の治りがとても早いのでした。

そして、その春休みに知り合っていた怪異の専門家である、
忍野メメが住み着いている学習塾跡の廃墟へ戦場ヶ原さんを案内します。

そして戦場ヶ原さんが忍野に事情を説明すると、
忍野は「おもし蟹」と言います。
おもし蟹は人から重みを失わせる神様なのだそうです。

その際、忍野は戦場ヶ原さんに
「被害者面が気に食わねえっつってんだよ、お嬢ちゃん」
と言った後、影を売る若者の話をします。

ある日、町で不思議な老人と出会った若者は、
影なんかなくても何も困らないから、という理由で
金貨10枚で自分の影を売ってしまいます。
ところが若者は家族や近所の人たちから、
影がないなんて不気味だ、という理由で迫害されてしまいます。
若者は「当たり前」を金貨10枚で売ってしまったのです。
これが今の戦場ヶ原さんの状況を例えた話なのでした。

報酬として10万円払うと約束した戦場ヶ原さんは、
阿良々木くんを民倉荘へ招待します。
戦場ヶ原さんは、母親が怪しい宗教に嵌ってしまい、
財産を全て貢ぎ、多額の借金まで背負ってしまったことを説明します。
その後、シャワーを浴びて清潔な服に着替えます。

そして「もしも全てがうまく行ったら、北海道へ蟹を食べに行きましょう」
と伏線を張るのですが――いまだにその伏線は回収されていません。
恋物語の表紙を見たときは冬の話だからその伏線が回収されるかも、
と思ったのですが……。もしかすると作者も忘れてる可能性がありますw

学習塾跡に戻った戦場ヶ原さんは忍野に様々な質問をされ、
彼女は「『母親が悪い宗教に嵌り、幹部の人に自分の娘を犯させようとした』
ということを告白します。
幸い、戦場ヶ原さんは近くにあったスパイクで幹部を殴り、
犯されずに済みましたが、母親はペナルティを負ってしまいました。

その告白の後、戦場ヶ原さんの前に蟹が現れました。
戦場ヶ原さんはうかつに顔を上げてしまったせいで蟹に襲われますが、
蟹を潰そうとした忍野を止め、土下座をして、
「お願いします。どうか、私に、私の重みを、返してください。
どうかお母さんを――私に返してください」
とお願いします。こうして、戦場ヶ原さんは、
物理的な重みと精神的な重みを取り戻したのでした。

そして、ツン状態だった戦場ヶ原さんは、あっさりとデレてしまいました。

他の作品のツンデレとは比べ物にならないくらい、デレるのが早いです。
まともに会話をするようになってから数時間でデレるなんて!
と、衝撃的な話でした。


ところで、この「ひたぎクラブ」というサブタイトルの「クラブ」は、
部活動などの倶楽部ではなく、蟹のcrabのことです。
次の「まよいマイマイ」を読んでもそのことに気付かず、
「するがモンキー」まで読んで初めて、
モンキーは猿か……あれ? じゃあもしかしてクラブは蟹?
と目から鱗が落ちたのは内緒ですwww

(化物語 上 1話ひたぎクラブ 2話まよいマイマイ 3話するがモンキー
化物語 下 4話なでこスネイク 5話つばさキャット

時雨沢恵一「キノの旅」1巻「あとがき」のネタバレ解説

本作が第6回電撃ゲーム小説大賞の最終選考候補作に選ばれたことや、
簡単な本編の説明や、あとがき大好き!
ということが書かれています。

この「キノの旅」1巻のあとがきは、
後にgoogleで「時雨沢恵一 あ」と入力すると、
「時雨沢恵一 あとがき」という候補が
表示されるようになるとは思えないくらい、普通のあとがきです。

正直、ネタバレ記事とか書く必要は全くないです。
じゃあ書くなよ、と思うでしょうが、
それでも書いてしまったのは記事の数を稼ぐためです。

今月、2012年の7月は忙しくてあまり記事が書けず、
目標にしていた「1日1記事」、つまり「7月は31記事」
というノルマを達成するのが厳しい
(これを含めてあと6時間で7つも書かないといけない!)ので、
水増ししようという作戦なのです。

ええ、今あなたが想像した通り、
しまうましたは夏休みの宿題を8月31日に始めるタイプでしたよ。

……というのは冗談ですwww
わざわざあとがきの記事を書いたのは、
時雨沢恵一さんは後々面白いあとがきを連発するようになるからです。

いずれ他の巻のあとがきのネタバレ記事を書いたときに、
1巻の記事がないのは締まりが悪いなあ、
と思ったので書いてみましたw

時雨沢恵一「キノの旅」1巻プロローグ&エピローグ「森の中で」のネタバレ解説

1巻なので説明しておくと、
このキノの旅シリーズのプロローグとエピローグは、
話の順序(時系列)が逆になっています。

あとがきにもあるように、読み方はそれぞれ自由でしょうが、
基本的にはまずプロローグを読み「これってどういう状況?」
と思った読者がエピローグを読んで「そういうことだったのか!」
と納得する感じのものが多いです。

この1巻の「森の中で」は、
ある夜、森の中でエルメスがキノに旅を続ける理由を尋ね、
キノが答えるという話です。
最初にプロローグの「森の中で・b」だけを読んでも
意味が分からないのでしょうが、最初はそれでいいと思います。

エピローグの「森の中で・a」まで読み進めた頃には、
旅人のキノと、モトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)
のことが愛おしく思えるようになっていることでしょう。

ところで、個人的には2巻以降からレギュラー化する師匠の存在が
エルメスのセリフで示唆されている点に注目したいです。

星新一「振興策」のネタバレ解説

ある古びた和風の旅館で、
60歳過ぎの男が自殺をしようとしたところを、
なぜ死ぬのかと不思議な声に止められます。

60過ぎの男はある山奥の小さな町の町長なのですが、
町興しの詐欺に遭ってしまい、
ひどい借金を作ってしまったのだ、という事情を説明します。

すると、声が「助けてあげる」と言いました。
実はその声の正体は「幽霊であり、
幽霊は自分を観光の目玉として町興しをするように勧めます。

それはとても上手くいき、町は活性化したのですが、
一年ほど経ったある夜、町長のところに幽霊がやってきて、
どこかへ行くという挨拶をしていきます。

その一年後、町長の地位は町長の息子が継ぎました。
そして依然として賑わう町の人たちはこんなことを言います。
『あの幽霊、最初のころと感じが変わっていないか』
『うん、そうだ。そう言われてみるとね。きみもか。
じつは、ぼくも、死んだあの町長にどこか似ているような気が……』
と。

結局町長は、幽霊がいなくなった後も町を賑わいさせ続けるには
どうすればいいのか分からなくなり、自殺をして、
自分が二代目の幽霊になることにしたのでした。

一度は幽霊に助けられ自殺を思いとどまったのに、
結局自殺することになってしまったという、皮肉なオチです。


今の日本もあちこちの村や集落で村興しが行われていますが、
成功しているのは極々一部であり、
彼らを騙して儲けている人がきっとどこかにいるんでしょうね……。

星新一「宇宙のあいさつ」のネタバレ解説

地球から派遣された宇宙船は、
理想的な環境の整った星に辿り着きます。
その星の住民達は、知能は優れているのですが、
若い者でも活気がありませんでした。

不思議に思いつつも、その星の住民達の寿命が200歳であり、
豊かな自然があることから、
観光用の植民地として人気の星となりました。
また、住民達を地球に送り込むと召使としても好評でした。

そんな平穏な毎日が過ぎたある日、
宇宙船の艇長の部下は、ある装置を発見します。
その装置は一瞬のうちに宇宙船をバラバラにすることができる、
強力な武器でした。
なぜ最初に侵略したときにこの装置を使わなかったのだろうと、
彼らは不思議に思い、その星の少年にその装置について尋ねます。

少年はその装置が武器であることも、使い方も、
それを祖先が作ったことも知っていました。
少年は「『この星には、未来がない』と言います。
彼らは種族としての寿命が終わりに近く、
かつては300歳以上あった平均寿命も200歳まで
減ってしまったのだそうです。

少年の祖先はこの武器を使ってあちこちの星を支配していたのですが、
ある星で伝染病を患ってしまったのでした。
そしてそれは今、地球人たちにも感染しているのです。
『いったい、なんで早く教えてくれなかったんだ。ひどいじゃないか』
と艇長は声をはりあげますが、
少年は若者に対していだく羨望と嫉妬のまざりあった老人に特有の
表情を浮かべ、少年はこう答えます。
『聞かれなかったからじゃないのかな。
ていねいに、どうぞ教えてください、ってたのめば、
だれかきっと教えたはずだと思うんだけどな……』
と。

その星の住民達が地球人に何も教えなかったのは、
きっと、地球人を道連れにしたかったからなのでしょう。

年老いた老人が若者を犠牲にしたり、
巻き添えにして心中したがるというのは、
何もこの星だけのことではありません。

例えば今の日本だって、
一部の老人が毎月何十万もの年金をもらったり、
医療費は無料で毎月十数万円もらえる生活保護を受けている一方で、
20歳代の45パーセントは正社員にもなることができず、
薄給に苦しんでいます。

原発事故の直後、水道水が放射能で汚染されていると報道されたときも、
各地で老人たちがミネラルウォーターを買い占め、
最も綺麗な水を必要としている妊婦や乳幼児には
水が行き渡りませんでした。

ところでタイトルの「宇宙のあいさつ」の意味ですが、
挨拶には「おはよう」とか「こんにちは」以外に、
「禅家で門下の僧に押し問答して、その悟り深浅を試すこと」
という意味や、御挨拶という形で、
「相手の非礼な言葉や態度を皮肉る」という意味があります。

おそらくタイトルの挨拶はそちらの意味なのでしょう。
プロフィール
Author:しまうました
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十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

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